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2011年10月18日 第3回職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ議事要旨

労働基準局労働条件政策課賃金時間室

○日時

平成23年10月18日(火)13:00〜15:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省仮設第3会議室


○議事

○出席者
(参集者)
岡田委員、尾野委員、津野代理(川上委員代理)、木村代理(小林委員代理)、佐藤主査、澤木委員、杉山委員、冨高委員、内藤委員、西谷委員、松本委員、輪島委員

(政府側)
齋藤最低賃金制度研究官、亀井賃金時間室長補佐

○議題
 職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する有識者ヒアリング

○議事要旨

○ 徳島労働局岡田労働紛争調整官から提出資料について以下のとおり説明が行われた。
・ 徳島労働局でもいじめに関する相談が年々増え、相談窓口でいじめの相談がない日はないような状況であることに加え、平成22年10月に深刻ないじめの相談があったことがいじめの問題に取り組むきっかけとなった。
・ 具体的には、当局が独自に、いじめに対する企業アンケート調査や新聞への広報の取組を行った。
・ そのアンケートでは10%、ほかの機関でも10〜25%程度の企業でいじめがあるという調査が出ている。職場のいじめの認識がない人から日常的に感じている人までさまざまな状況。
・ 相談窓口で困っていることは、いじめの定義がはっきりしておらず、相談内容がいじめかどうか判断できない場合もあることである。いじめの事例を研究し、いじめかどうか判断する定義やツール、判定する仕組などがあればいいのではないかと思う。
・ また、政府、企業が啓発活動として、いじめは許さないということをアピールすることが特に重要ではないかと感じる。
・ 労使から相談を受けていると、労働者からは、相談窓口が企業内にあっても、相談しても対応してくれないだろうとか、何か言えば自分がもっと嫌がらせを受けるのではないかと思って相談しないという話を聞くことがあり、社外であっても企業が資金を出している点は同じという理由から相談を控えると聞いている。このことから、公的な相談窓口の役割が非常に重要だと感じている。また、相談窓口を利用した者への不利益取扱いを禁止するなら法的整備が必要。
・ アンケートでは、私が当初思っていたよりも、企業はいじめに関する認識が高く、対応することができる窓口を設けていると感じた。問題が起こった場合の対処方法をマニュアル化している企業もあると思うが、マニュアルにはないような部分、例えばいじめかどうかの判断基準、事実把握の方法、当事者達に対する対応などは、臨機応変に対応しているように感じた。
・ 社内の調査で把握した事実を当事者に公開せず、うやむやな、結論ありきの処分をすると、労使関係が壊れる結果になる。それによって紛争が拡大し、裁判沙汰になるのは時間、費用的にも無駄なことだと考えられる。
・ また、いじめの結果、勤労意欲をなくし、働けなくなる労働者が増えている状況がより重要な問題である。近年、メンタルヘルス不調者が増えており、対処方法、施策を緊急に検討する必要がある。
・ お配りした資料に相談事例を2つ紹介している。また、企業側の関心はどうなのかということで、ある企業にお伺いして、聴き取りを行った。そこの担当者は、いじめはいじめられる側にも何かしらの原因があるのだということを強調されていた。作業能率が悪いとか、仲間に打ち解けないため、配置転換を行っても、またそこの部署でいじめに遭う。結局、うつになって職場復帰できない状況が発生しているという話があった。
・ いじめか否かの判断基準は、当局の相談員からは、正当な理由があるか否かとの意見がある。しかし、理由があれば構わないのか。理由は後付けすることもできる。より大事な問題は、いじめを行う側の「意図」にあるように感じる。しかし、意図は隠すことが容易であり、真意をつかむことは容易ではない。当事者でないとわからないこともあるため、「周りの人」がその行為に「悪意」があると感じるかどうかがポイントではないか。
・ 「いじめ相談で聞くポイント」として、従来は、いじめのきっかけは何だったのかとか、立場を利用したものかどうか、対象が1人か複数かということや回数、頻度等を確認していたが、今後はこれに加えて、どのような行為をいじめと感じたのか、相手方はその行為を覚えているのか、相手方はその行為をした理由を説明したのか、労働者の話を聞いて悪意を感じられるかどうかということなども判断する要素になり得ると思う。
例えば業務指導がいじめとなるのか、悪意を感じる度合の中で、なぜそういうような指摘をしたのか、なぜ大声で威圧的に話したのか、なぜ机やごみ箱をけったのか。その理由が何か、それに対して悪意を感じるか。職場の上下関係や男女の立場により感じ方に違いはあるかもしれないが、そのようなことが判断基準になってくるのではないかと思う。

○ 岡田労働紛争調整官の説明の後、以下のとおり質疑がなされた。
・ 資料の最後のページの事案に大声で言うとか、1年前のミスを言うという内容があるが、こうした要素の他に、特定の人を対象として繰り返しやっていればいじめに近いと思うが、15人部下がいて誰にでも毎日やっているという場合はどう判断するのかという旨の質問がなされた。
これに対し、相談を受ける側としては、対象が複数で誰にでも同じようにやっていれば、行為者に対し言動がおかしいのではないかと話を進めることができるが、1人だけやられている場合に行為者の言動を指摘することによって、相談者の立場がもっと不利になる可能性があるため、その後の進め方を考える上で1人か複数かは聞いているが、いじめかどうかの判断にはあまり関係がないと思われるという旨の回答がなされた。
・ いじめ相談事例の助言内容に「パワハラの可能性があります」という旨企業に助言したという記載があるが、労働局がそのように判断したポイントは何かという旨の質問がなされた。
これに対し、パワハラの定義がはっきりしていないため、「可能性がある」という言い方をしているが、相談者ご本人の認識として捉えている部分がある旨の回答がなされた。
・ 公的相談窓口の必要性について、労使からの話で企業内の相談窓口では相談しないという実態があるからとのことだが、むしろ企業外の相談窓口の方が、程度によっては相談しにくい状況もあると思うが、他に何か理由があるかという旨の質問がなされた。
これに対し、(労働局の相談窓口を)新聞に載せて初めて職場のいじめを相談できる窓口があることを知ったという話を聞くことがあり、労働局以外のものを含めた相談窓口に行き着けない労働者も多いと思うので、公的相談窓口はその存在を大きくアピールできるのではないかと思うという旨の回答がなされた。
・ 労働紛争調整官は各都道府県労働局に配置されていると思うが、いじめだと訴えてくる相談に対しての判断基準は、全国統一のものがあるのか、各紛争調整官の経験則で判断されるのかという旨の質問がなされた。
これに対し、事務局から、厚生労働省から統一の判断基準はお示しできていない状況である旨の回答がなされた。
また、岡田紛争調整官から、労働者がいじめということで相談に来た場合、その内容が些細なことであって、いじめとは違うのではないかと思うケースでも、本人からいじめだと主張されればいじめ・嫌がらせに分類するし、求められれば会社に助言するが、そのようなケースでは、会社の人との話し合いもなかなかうまくいかず、解決にならないケースが多いと思われるという旨の回答がなされた。
・ 労働組合の対応ぶりについて、相談の中で相談者から何か発言があったら教えてもらいたいという旨の質問がなされた。
これに対し、企業内に労働組合があって、労働組合が団体交渉をする等の対応をしている場合は、労働局の方に相談にはこないが、組合でも対応できず労働局に相談に来るケースもあり、その場合はかなりこじれているケースが多いので、解決が難しい場合が多いと思われるという旨の回答がなされた。
・ 公的相談窓口の必要性について、企業に相談窓口があるけれども相談せずに労働局に相談に来るのか、企業に相談してもらちが明かないので相談に来るのか、又はそもそも企業に相談窓口がないから来るのか、現状を教えてほしい旨の質問がなされた。
これに対し、企業内の相談窓口でらちが明かない場合や企業内の相談窓口がないため労働局に来る場合もあり様々であること、また、労働局に相談に来られたときに、自社で解決できないか、まずは自社に相談窓口がないか確認し、それで解決できない場合に、再度労働局に相談してはどうかと説明することもあるという旨の回答がなされた。
・ いじめを受けている本人からでなく、いじめの現場を見ている第三者からの相談はあるかという旨の質問がなされた。
これに対し、第三者からの相談としては、同僚よりも血縁者からの相談が多いこと、また、ご本人からの話を聞かないと対応できない旨説明しても、本人からの相談はこないケースがある旨の回答がなされた。
・ 何をもって解決とするかという点について、労働局等の外部から企業に助言等を行って、企業側が、解決したとか謝罪したと回答をしたとしても、本当に当人にとって解決をしたのか、それとも結果的に働きにくさが変わらなかったり、小さいところや地方では余計関係がぎくしゃくしてしまったりするケースもあると思うが、何かその辺りの工夫やよい解決法があれば教えてほしいという旨の質問がなされた。
これに対し、その職場が働きやすい健全な職場になることが一番いい解決方法である。その一方、本人が争いを望まないということで主張を取り下げるというのも一つの解決であること、また、いい形で解決するのはごく少数であると思われるという旨の回答がなされた。

○ 職場のハラスメント研究所代表理事 金子雅臣氏から提出資料について説明が行われた。
・ 東京都で長年労働相談に取り組んできたが、相談の変遷については、従来は働く人たちの中心は男性であったものが、最近は女性、非正規の若者たちがよく相談に来るという傾向があるなど、時代背景の影響を受ける。
・ また、大きくは集団的労使関係から個別的労使関係に、労働組合を中心とする労働問題から一人ひとりの権利を巡る争いに関する相談が非常に増えている。このような大きな流れの中で、「利益紛争から権利紛争へ」というのが一番の眼目になる。簡単に言うと、従来は、賃金を払ってもらえないことや労働時間が長い、残業手当が付かない等、数字で測れる利益紛争というような労働条件を巡る争いが多かったが、現在はメインがお金ではなく、解雇になったことの権利回復のような争いに徐々になりはじめている。
・ 労働相談は法律の説明をすればそれで解決するということはほとんどない。例えば残業手当は支払わなければいけないと法律の説明をしても、では残業手当をくださいと言った途端に、明日から来なくていいよという話になる可能性もある。権利意識をつけると、逆にとんでもない目にあうケースもある。
・ また、パワハラのように法律のないものについて、法律の説明ができないのにどんどん相談が来るということも労働相談の特徴の一つである。セクハラも派遣労働も外国人労働相談も、はじめは法律がない中でやらざるを得なかった。そのようなことがあったので、東京都では、我々は法律の説明で終わるのではなくて、具体的に間に入って解決をする、言わばあっせんを行ってきた。
・ お配りした資料の図で言うと、左側の紛争から労働相談を受けて、上は労使で自主的に解決していただく。これはアドバイスで済むが、労使だけで解決が困難な場合は、企業内の解決に立ち入るという流れであっせんをやらざるを得ない。パワハラの段階にくると法律もなく、企業としてもどう対応していいかわからないようなテーマであるため、間に入ることに加え、それをどのように解決するのかという解決のシステムの作り方やマネジメント・労務管理の部分にも入り込んだ相談が必要である。レジュメにも、?予防が最大の対策、?迅速・適切な対応が効果的、と記載しているように、起こさないためにはどうするか、起きても企業の中でどう解決をしていくかと、そちらのほうが大事なことである。
・ 企業の中でいろいろなトラブルを抱えた人たちが相談に来る。そうすると労使の間に入って、解決するだけではなくて、今後起きないための対応も含めていろいろな指導をしていく。この種の問題は、特にパワハラに関しては、今までは企業の中で解決がされてきた。例えば人事担当者に苦情が申し込まれた場合、人事担当者が間に入って解決をするなどができたが、そういう処理能力が企業の中でだんだん落ちてきたと。これにはいろいろな原因があるが、働く人たちの意識が変わって、上司とお酒を飲むこともなければ、そのような機会に苦情を上司に相談することもなくなったということが考えられる。また、労働組合も機能が落ちてきて相談を受けても対応できないというように企業内のこの種の苦情処理の装置が機能しなくなったと考えられる。このため、いろいろな意味で企業内にきちんと解決する能力を作り直さないと、なかなかこの種の問題に対応できないのが現状だと思う。
・ セクハラの法律が作られたときも私自身も東京都で最初の取組をいろいろ行ったが、この種のことを企業の中でどのように装置として作るか。セクハラであれば相談窓口を作るとか、企業の中にルールを作るとか、研修をやるとかいろいろと議論をしたけれども、パワハラも基本的には企業内で解決できれば、ある意味ではいちばん当事者にとってもいいので、その辺の機能をどのように、セクハラとどう違うかも含めて考えていく必要がある。
・ 早めにきちんと企業の中でルール化をしていただければある種、解決はできると思われる。できないものについては企業の自主的な解決能力を、どうやってきちんと作るかを前提にしながらこの問題の対処をする。その観点から、解決手法については、加害者を調査するみたいな手法からそろそろ変わらなくてはいけないと思う。セクハラも深刻な性的な被害であれば行為者を呼んで調査して、処分をするというやり方は、ある意味では非常に合理的であったが、現在はだんだん深刻なケースから、環境型にシフトしているので、例えば酷い言葉で上司から呼ばれるというような環境型のちょっとしたトラブルを、いちいち調査で処分するとなると非常にハードルが高くなるため、もっとハードルが低い解決手法も含めて考え直せば、訴えるほうも気軽に、「実はこんなきついことを言われて、非常に傷ついているので、是非上司に一言謝ってほしい」という程度の訴えもできるし、そういうことも含めた解決手法を我々はいろいろな取組みの中で進めている。

○ 金子雅臣氏の説明の後、以下のとおり質疑がなされた。
・ 労働相談の中で非正規労働者の方が受けたいじめの内容と正規労働者の方が受けたいじめの内容に違いがあれば教えてほしいという旨の質問がなされた。
これに対し、非正規に見られる特徴というものはないが、解雇はいじめ問題とするかどうかはあるが、正規労働者に比べ、解雇されやすいという雇用の関係が第一の問題になると思われる旨の回答がなされた。
・ 「誰が相談にやってくるか」について、相談に来る企業の規模、業種の特徴や相談窓口のある大企業も相談に来ているのかどうか等教えてほしいという旨の質問がなされた。
これに対し、勤めているところが小さな事業場でも本社が大きい場合もあるため、企業規模を聞いても相談者が分からない場合も多いが、大きな流れで言うと規模は大規模から小規模に、業種は製造業からサービス業にシフトしていると思われるという旨の回答がなされた。
・ 「新たな解決手法」について、セクハラとの違いを含めて具体的に教えてほしいという旨の質問がなされた。
これに対し、セクハラの場合は性的な重大な人権侵害が起きていることを前提にしているので、被害者の訴えを基本に行為者に対する調査を行い、事実認定をやって、場合によっては処分する。一方、パワハラの場合は、つい声を荒げたという程度のことから深刻なものまで幅広くあると思われ、どちらかの訴えを基本にいきなり調査・処分という話ではなく、状況に応じた解決手法を検討する必要がある。そのグレードを少し落とすために、調整、調停という手法がある。
調整は双方から話を聞いて、両者の認識にズレがあればそれを調整して仲直りしてもらう。調停については、感情的になってお互いに引かないような場合に、上位の第三者から一方に「お前、ここは謝れ」と、もう一方に「お前はここを少し反省しろ」というようにお互いに一歩ずつ引き合うかたちで提示をする。どうしても一言謝ってほしいという場合は、調整を願い出ることができるし、それで当事者ではなかなかうまくいかない場合は調停にするという手法もある。
大学のアカハラは、民間企業でいえばパワハラである。教育指導する立場であるため大きな発言力を持っている先生の言動を何とかしてほしいという場合は、誰かに苦情を出してもらい、行為者に苦情が出た旨通知する。誰から苦情が入ってもおかしくない人が多いから、それで通知をすれば、誰が言ったか特定できず、本人に自覚を促すというやり方をする。この手法は大学では結構有効である。
様々なやり方、手法があるがワンパターンにするのではなく、訴えた方にも手段を選んでもらうというのも重要であるという旨の回答がなされた。
・ (独)労働政策研究・研修機構では2008年に企業内紛争処理システムに関するアンケートとヒアリング調査を行ったが、企業内の相談窓口、苦情処理委員会が機能していない、特に中小企業では誰が相談したかすぐにわかってしまうため、相談が上がってこないという実態が明らかになったが、どうすれば機能するか考えがあれば教えてほしいという旨の質問がなされた。
これに対し、私も人権委員でいろいろな大学に行っているが、苦情処理委員会等に第三者が入ることによって、相談者からの訴えに対してある程度公平性が保たれ、相談者が直接第三者である我々に相談してくる場合もあるので解決すると思われること、また、相談窓口について、中小企業では、例えば毎週土曜日の午後に相談できる外部の相談窓口を置かせてもらい、そこで聞いた相談内容について企業内部に話をし、第三者の視点も入れながら解決の水準を上げていくという対応を行っている旨の回答がなされた。
・ 相談窓口について、よくいろいろな企業で悩んでいるのは、本社の窓口に相談して解決する場合に話が大げさになってしまうという問題点がある一方、職場に窓口を置いて解決する場合は、職場の上司がやると隠蔽してしまう可能性があるという問題点がある。双方の善し悪しがあると思うが、どこにどう置いたらよいか、規模、業種にもよるのか何か考えがあれば教えてほしい旨の質問がなされた。
これに対し、中小零細の場合は、社長に一言言えば解決するケースも多いが、大企業の場合、業種による違いが規模による違いより大きく、言わば体質の違いにつながる。男性中心でできた企業と女性の製品を扱うような企業では体質が全然違うのでいじめ問題の発生の仕方も違うし、対策も違ってくるので、規模では一概に言えず、私も実験しながら何が一番有効なのかを模索しているところであるという旨の回答がなされた。
この質疑応答を受けて、今後の調査研究の課題として、どのような業種で、どんないじめが起きやすいのか分かればよいのだろうけれどもという意見が出された。
・ 規模による差異については、労働局に寄せられた相談のデータを、企業規模別に分析できるのであれば出して欲しいとの意見があった。また、社内に解決の仕組みを作り直すとの説明があったが、中小企業などは元々解決の仕組みがないのではないか。その意味でも、規模別に分析してみないといけないとの意見があった。また、上司部下の関係でない、同僚間でのいじめは、通知という方法は機能しないのではないか、という旨の質問がなされた。
これに対し、業界による違いにびっくりすることが結構ある。同僚間のいじめは、男性中心の職場と女性中心の職場で全然異なるし、上司部下間が比較的パターン化し易いのに対し、本当にいろいろなものがある。ただ、例えば病院などのように人間関係を中心に成り立っている職場では、人間関係のいじめが際立っているといった特徴はあると思うという旨の回答がなされた。
・ 次に、いじめや嫌がらせという問題は、新たに出てきたと見るべきか、昔からあったものが顕在化したと見るべきか、どのようにお考えかという旨の質問がなされた。
 これに対し、両方あると見るべきとの回答があった。職場のいじめは昔からあったが、非正規をはじめとする雇用形態の多様化や、業務量の増大・仕事のスピード化・ミスに対する厳しい評価といった職場環境の変化が余裕を失わせ、そういう流れの中でパワハラが起きる面もある。だから、従来からのものに加え、職場環境の変化から生じる面もきちんと捉えていく必要があると考える旨の回答がなされた。

○ JFEスチール株式会社組織人事部竹内良氏から提出資料について説明が行われた。
・ 人権への取組の契機となったのは、1975年の部落地名総鑑購入事件という同和問題、部落問題への取組であった。その後、部落差別から幅広い差別問題ということで、さまざまな差別の取組をしてきた。
・ 現在、社内研修の中では、人権問題に取り組むということを2つの側面から捉えている。1つは企業を取り巻く多くの社会の人々を賢明な消費者、あるいは善良なる市民という捉え方で、その人権を尊重していくということ。もう1つは、企業を構成している職場の人々の人権を尊重していくということである。「人権の尊重とは何か」という点について、日本経団連の指導もあり、今日では多くの企業が自社における行動指針や倫理憲章を提唱している。
・ 私が社内で展開しているのは、個の自由に着目して、選択肢を自分で考え出してその中から決められるという、この自己決定こそが個の尊重なのだということである。会社の中で職場構成員に、「あなたは言ってもいいんだよ、自分の思っていること、感じていること、考えていることを言おうよ。これがあなたが一人、個として尊重されているというひとつの具体的な行動の現れなんだよ」とこのような話をしている。言ってもいいんだよ、ということを通して、社員は元気になるのではないか。
・ 言ってもいいんだよ、ということは、「私はあなたの話を聞くよ」ということを意味する。そこにコミュニケーションが生まれる。そういうことを通じて社員は元気になり、自分の職場や会社に誇りを持ち、生き生きと働けるようにも、ワーク・ライフ・バランスを考えることも、セルフ・エスティームということも考えられるようになり、能力を最大限発揮できるようになる。そこを会社が適正に評価すれば、社員はもっと元気になる、そんなサイクルを回していこうと研修で話している。
・ 言おうよと言われても、「言えるかよ」という意見や、「言ったところで変わりはしないよ」という従業員も当然いるが、言うということは単なるガス抜きではなく、職場の皆で問題を共有することである。共有が類似の問題となる行為の抑止力に繋がり、タイミングが合えば改善への動きに繋がる。
・ 明るい職場づくりや風通しのよい職場というのは、具体的には人権という、一人ひとりが個としてその職場で大事にされているという実感を持ったときに、本当に実現していくものであり、企業の生産性も安全性も新しい商品を開拓する意欲も一人ひとりが活性化するところから生まれるものであると考えている。
・ 研修では、人権はまさに重要な経営課題であるという話をした上で、お配りした資料「こんな職場って、どうよ?」という自己診断チェックリストのようなものを使用して、全体で40分の時間をかけている。前段5分で私が1問1問読み上げ、各自に「問題あり」「やや問題あり」「微妙」等の判定をしてもらう。最後まで終わったところで、自分がつけた判定の結果について、意見交換をしてもらう。
・ 掲載している事例のミソは、実際に会社の中でいかにも起こりうること、現に起こったことが中心であるということと、それを判定するに当たっては、意図的にやや説明不足にしているということである。どういう条件が整っていて、どのような関係性の中でこの言葉がなされていたのかというようなことによって、判定結果が変わってくる。そこのところは話合いの中で、条件設定をしながらみんなで考えてもらうというやり方をしている。20分ぐらい意見交換をしてもらい、それが終わったところで、これが正解ではないけれども、1つの受け止めとして参考として聞いてほしいということで、私のコメントを簡単に15分くらいで述べる。
・ これは、現にこのような行為が実際にある職場にとってみれば、もしかして、自分のことを言っているのかもしれないと、思い当たる節があるという部分で一つ抑止力が働くことになる。パワーハラスメント等の場合には、当事者間ではなかなか言いにくいというような場面もあるので、抑止力という意味では、こういう形で直接的に自分のことを言っているのではないのかもしれないけれども、でももしかしたら、というように考えさせることによって、抑止力が期待できる。話合いの材料であるので、後日、同じようなことが職場で仮に起こったときに、それってこの間研修の中でも言っていたじゃないですかという、軽い乗りでお互いに指摘、注意し合えることも期待できる。
・ 研修の際に一番出される質問は、パワーハラスメントと厳しい指導の違い。パワハラと言われるので自信を持って指導できないなどという管理職も出てくる。そうした方には、とんでもない話だと言って払拭してもらう。上司たるもの、職位・職能に応じた権限をしっかり持ってもらわなければ困りますと。ただ、その力を発揮するときのベクトルと程度とタイミングは考えて下さいと言っている。指導を受け止めた側に納得性が得られるような伝え方をしているかにかかってくると思う。
・ 研修の最後に、このハラスメント研修を受けたうちのある役員が発言した「うちの社員すべてがうちに帰れば自慢の娘であり息子であり、尊敬されるべきお父さん、お母さんだ。そんな人たちを会社のハラスメントなんかで苦しめていいわけないじゃないか。そのことをみんな一人ひとり考えようよ」という言葉を紹介している。

○ 竹内良氏の説明の後、以下のとおり質疑がなされた。

・ 実際に研修をやって、手応えはどうだったかという質問がなされた。
これに対し、役職を問わず男女一緒に100人くらいの教室で、3人掛けの机の奇数列に後を向いてもらい、最大6人のグループで話し合いをするのだが、あちこちで笑い声が上がるなど20分間非常に活発な議論がなされる。後日の感想文も概ね好評であった旨の回答がなされた。
・ 研修以外に例えばハラスメントなどに対する周知をしているとか何か別の取組をしていれば教えていほしいという旨の質問がなされた。
これに対し、セクシャルハラスメントの相談窓口のかなり大きなポスターを貼りだしており、ポスターには「セクシャルハラスメント並びにパワーハラスメントを決して容認しません」という言文を掲げている。また、階層別の研修も行っており、その中でも必ず明るい職場づくりということを訴えているという旨の回答がなされた。
・ お話しいただいた研修方式は、役職の上下、男女別を問わずに色々なコミュニケーションが取れて、様々な考え方を知ることができてよいと思うのだが、リスクマネジメントの観点からは、踏み込み不足になりはしないか。また、実際にパワハラをする人は、自分の自覚はあるけれども感情がコントロールできない場合が結構多いと思うが、そうした方に対する対策は何か講じているかという旨の質問がなされた。
これに対し、リスクマネジメントの観点からの研修は、階層別研修で行っている、また、挙げられたタイプの方々に特化した対策はできていない旨の回答がなされた。
・ このような研修の取組に関して、会社のトップから何らかのメッセージを社員に向けて出しているかという旨の質問がなされた。
これに対し、人事担当役員が人権啓発推進委員長なので、委員長の名前でほぼ毎年人権週間には、必ず会社の中でセクシャルハラスメントやパワーハラスメントの防止について取り組んでいくというメッセージを出している旨の回答がなされた。
・ 研修には事前の予防という効果があると思うが、具体的な問題が起きた後の対応として、相談窓口に相談しやすくするとか、事後の対応で工夫されていることはあるかという旨の質問がなされた。
これに対し、研修において、何か問題があったときに「言っていいんだよ」ということを言っているので、具体的なハラスメントの事例が人権啓発室に来やすくなったし、私のところで本人の了解を得ながら、具体的に何をしよう、どう動いてほしいという話をしていく中で、場合によっては、人事担当部署に話をつなげるということもやっているという旨の回答がなされた。
・ 相談をしやすくなったということだと思うが、逆に何でもかんでも身の回りの問題を持ち込む事案も増えていないか。誰かが何とかしてくれるという意識がいろいろな意味で自立を妨げ、パワハラを受けやすいと感じることにつながっているのではないかと思われるが、その辺の調整をどう考えているかという旨の質問がなされた。
これに対し、相談を受ける際には、相談者に対し、私は気の優しいおじさんとしてではなく、会社として相談を受けているのであって、会社として話をさらに展開させるべきことなのか、単に話を聞いたら終わることなのかを問いかけている。なので、来るものは全部話を聞いているが、それで終わるケースも結構あり、会社として手立てを講じないといけない例が沢山あるわけではないという旨の回答がなされた。
・ 労働組合との協力関係はあるのかという旨の質問がなされた。
これに対し、特段、労働組合と共同して何かを行っているわけではないが、相談者は組織人事部にも労働組合にも相談にくることがあるという旨の回答がなされた。


<照会先>

労働基準局労働条件政策課賃金時間室

政策係: 03(5253)1111(内線5373)

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