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2011年7月8日 第1回職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成23年7月8日(金)15:00〜17:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省省議室(9階)


○出席者

委員


○議題

(1)職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議の開催について
(2)検討事項及び今後の進め方について
(3)職場のいじめ・嫌がらせ問題について
(4)その他

○議事

職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議(第1回)

第1回職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議

○日時 平成23年7月8日(金)15時〜17時

○場所 厚生労働省省議室

○出席者
 (参集者)
 石井委員、石黒委員、大久保委員、岡田委員、香山委員、團野委員、佐々木委員、佐藤委員、田中委員、堀田座長、山浦委員、山川委員、吉田委員
 
 (政府側)
 小宮山厚生労働副大臣、金子労働基準局長

(事務局)
渡延大臣官房審議官、本多大臣官房参事官

○議題
 1 職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議の開催について
 2 検討事項及び今後の進め方について
 3 職場のいじめ・嫌がらせ問題について
 4 その他

○議事
○本多参事官 それでは、定刻になりましたので、まだお見えでない委員もいらっしゃいますけれども、「第1回職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」を始めさせていただきます。
 私、厚生労働省大臣官房参事官の本多と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日の議事は、座長の互選までの間、私が進行させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、また、お暑い中、本円卓会議に御出席を賜りまして誠にありがとうございます。本日は、山浦委員から御欠席との御連絡を頂戴しております。
 それでは、開会に当たりまして小宮山厚生労働副大臣より御挨拶をいただきます。副大臣、よろしくお願いいたします。
○小宮山副大臣 本日は、皆様お忙しいところ、職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議にお集まりいただきまして本当にありがとうございます。この部屋もちょっと暑いんですけれども、省エネということでお許しいただきたいと思います。
 この円卓会議で御議論いただきます職場のいじめや嫌がらせ問題、このところ、都道府県の労働局、そして労働基準監督署などへの相談が増加しておりまして、社会的な問題としてずっとあったんですけれども、近年、特に顕在化してきた問題ではないかと考えております。
 職場のいじめ・嫌がらせは、言うまでもなく職場内の人間関係を悪化させまして、労働者に身体的、精神的苦痛を与え、メンタルヘルスの悪化の原因ともなっています。また、職場の士気の低下、生産性の低下につながるとも指摘されています。企業にとりましても大きな損失になるということで、関係者の関心も高まっていると思っています。
 一方で、職場のいじめ・嫌がらせ問題の対応に当たりましては、業務上の指導との線引きが難しいといった問題もございます。そのため、まずどのような行為を防止・解決すべき職場のいじめ・嫌がらせとしてとらえるか、そういった基本的なところから関係者の認識を共有することが必要だと考えまして、このたび、この円卓会議を開催することにいたしました。
 皆様には、活発な御議論をいただきまして、職場のいじめ・嫌がらせ問題の防止・解決に向けました足掛かりを何とかつかむことができればと考えております。かなり短期集中的にお願いすることになるかとは思いますけれども、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
○本多参事官 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、カメラの方、よろしくお願いいたします。
 次に、この円卓会議の座長でございますが、参加者の皆様の互選により決定することとしております。どなたか御推薦がありましたらよろしくお願いいたします。佐藤先生。
○佐藤委員 佐藤です。委員の中で私としては堀田委員にお願いするのが最適ではないかと思います。
○本多参事官 ありがとうございます。ただいま堀田委員を座長にという御提案がございましたが、皆様いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○本多参事官 ありがとうございました。それでは、皆様から御了承いただきましたので、堀田委員には座長席にお移りいただき、御挨拶をいただければと思います。
○堀田座長 御推挙いただきました堀田でございます。よろしくお願いいたします。そうそうたる方々おそろいの中で、どう議論を整理させていただくのか、一生懸命努めますけれども、何分いろいろと補佐していただければうれしくと思います。よろしくお願いします。
 私が進行役ということで、ここにシナリオがありますので、これを外さないように進めたいと思います。終了時間は5時でございます。お忙しい方々ばかりですので、時間どおり終了するよう運べれば幸せでございます。
 それでは、初顔合わせの方々が多いと思います。一言ずつ御挨拶を頂戴できれば、大変うれしゅうございます。1人3分以内でよろしくお願いいたします。あいうえお順がいいでしょうか。ということになりますと、石井委員の方から順次お願いいたします。よろしくお願いします。
○石井委員 私、ソニー銀行の石井と申します。このたび委員にということで、喜んで参加させていただいたんですが、さっき小宮山副大臣からもありましたように、私ども、経営している立場からすると、業務上の指導といじめというところは線引きが難しゅうございます。
 ただ、会社として社員に生き生きと働いてもらうためには、いじめと受け取られるような事態はぜひ避けたいと思いますし、これから多様な人材を活用するためにも、ぜひそういうことは避けたいと思っていますので、ここで御議論させていただきたいですし、ここでの議論の結果を私どもも反映させていきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○堀田座長 ありがとうございます。では、石黒委員、よろしくお願いします。
○石黒委員 初めまして。日本サービス・流通労働組合連合で事務局長をしております石黒生子と申します。よろしくお願いします。
 私たち、サービス・流通連合というのは、百貨店、スーパー、専門店、卸、クレジット、ホテル等々の流通とサービス産業に関係する22万人の組織でございます。産業の特徴として、女性組合員が全体の6割、それからパートタイマーが組合員の4割になっておりまして、今後明らかになると思いますが、いじめとか嫌がらせというものは、立場の弱い者、また、女性とか、特に不安定な雇用である有期契約で働いているパートタイマーといった方々が被害に遭うことが多いと考えられますので、このような観点からも、この円卓会議が開催されて、職場におけるいじめとか嫌がらせ問題が顕在化されることで、いろいろ検討されることは大変よいことだと思っております。
 私たちサービス・流通連合では、運動方針の中で、特に男女共同参画ということをきちんと日常化していこうとか、ディーセントワークのために同一価値労働・同一賃金をやっていこうと取組をしていますし、雇用契約の違いとか性別に関わらず、一人ひとりがきちんと尊重される社会が私たちの目指すものでございます。
 特にハラスメントの対策としては、それぞれの組織の中でもやっておりますし、本部でも2年前にハラスメント対策委員会を設置いたしまして、相談体制を整備しています。ちなみに、事務局長がハラスメント対策委員会の委員長ということで、私が今回から行っています。しかしながら、2年ごとに実施する意識調査で職場にハラスメントがあるのかという調査、これは自分が受けるかでなくて、あるのかということを調査した結果では、残念ながら前回の2010年では、セクハラで1割、パワハラで2割が「ある」ということで、まだまだだなと思っております。
 立場とか職場におけるポジショニングに関係なく、人権がきちんと守られなければなりませんし、特に先ほどお話があった職務内容の指導の問題も、人格を否定することがあってはならないということを明らかにしていかなければならないのかなと思っております。特に、このような円卓会議の中で、防止のために人権意識の向上や、いろいろな形での政策が検討されることを望んでおりますので、どうかよろしくお願いします。
○堀田座長 ありがとうございます。パワハラが2割というのは、相当な数字だと思います。大久保委員、よろしくお願いします。
○大久保委員 リクルートワークス研究所の大久保と申します。私のところは、主に人事とかキャリアといった問題についての研究をしている研究機関でございます。
 今回の職場のいじめや嫌がらせの問題に関して言えば、最近、職場の風土が非常にぎくしゃくしている、コミュニケーションも非常に不活性な状態になっている職場が多いということについて、いろいろ調べたりしております。何かそこはかとなく、その調査から職場の風景の変化というものが感じられております。
 つまり、この職場のいじめ・嫌がらせの問題というのも、パワハラのような問題でいくと、大変声が大きくて、横暴な上司が行っているようなイメージが膨らむんですけれども、実際の職場で起こっている、個人にとっていじめと感じたり、嫌がらせと感じたりすることというのは、もっと非常に多様になっているんじゃないかと私は感じております。
 つい最近、別の件で労働者個人に対して、この直近3か月間の出来事をいろいろ調査したのですが、人間関係で非常に悩んだという回答に丸を付けた人が11%もいたんです。直近3か月でそんなに悩んでいる人がいるのかと、大変意外に思いまして、一体何が職場で起こっているのか。この機会に私も改めて、少し整理・分析してみたいと思っているところであります。よろしくお願いします。
○堀田座長 ありがとうございます。岡田委員、どうぞ。
○岡田委員 クオレ・シー・キューブの岡田でございます。私どもは20年前に設立した会社ですが、メンタルヘルス相談、企業の社員の方に相談を受ける外部相談窓口をやっておりまして、均等法改正以降、セクシュアルハラスメントの相談窓口等をやらせていただいておりました。その中で、セクシュアルな問題以外のハラスメントの相談等が結構ありまして、それは何だろうということで、いろいろ調査もしてまとめたのがパワーハラスメントではないだろうかと提言してきました。それが2001年ですから、ちょうど10年経ちました。
 その中でだいぶ様相が変わってきた。大久保委員もおっしゃられましように、当初は非常に大声で怒鳴る上司とか、確かに10年前はそういう方がいらしたのですが、今は非常にあいまいな相談とかで企業の方も非常に悩んでいらっしゃいます。今回の会議では、その定義はどういうふうに考えたらいいのだろうかと考えています。私自身、パワーハラスメントということをやってきた立場からも、職場のいじめとパワーハラスメントの関係ということを明確にしていきたいと思います。
 それから、私が多少お役に立てるとしたら、実際に企業の社員からも相談を受けている立場と、割と先駆けて、研修など防止の取組をやってきており、いろいろな企業から課題を投げかけられ、一緒に解決策を考えてきたという実績がありますので、そういったところで少し情報提供できるかなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○堀田座長 よろしくお願いします。では、香山委員、お願いします。
○香山委員 香山と申します。私は精神科医をしておりまして、現在は都内にあります診療所、また幾つかの企業の医務室で健康相談にも当たっております。
 皆さん御存じのように、最近、いわゆるメンタル不全の問題で悩む、お仕事をされている方、あるいはうつ病を中心とした心の問題、病気で休職される方が増えているという現実があります。その原因はもちろん、一つには絞れないのですが、私も最近、ざっと自分が今、診ている患者さんたちに対して、あるいは企業の医務室で相談にいらっしゃる方たちに対して、一番の理由を洗い出したところ、8割ぐらいの方に職場の人間関係というものが関係しておりました。
 よく言われるように、残業時間が多いとか、労働量よりも、何と言っても職場の人間関係、その中には、今回の問題になるいじめ・嫌がらせということと、とても関わるような問題が関係しております。
 しかし、先日、労働政策研究・研修機構が発表した調査で、メンタルヘルスの問題を抱える従業員が事業所にいると答えたところが、たしか57%ぐらいありました。何が原因と思うかという調査に対して、事業所側は67.7%が本人の性格の問題と答えていて、2位が58.4%で職場の人間関係、つまり、本人側の受け取り方とか耐性の低さが、何と言ってもメンタルヘルス不全の最大の問題であるという解釈を依然として、事業所はしているのだと思います。
 もちろん、それがいくらかは関わっているとは思いますが、これは非常に経験的な物言いで恐縮ですが、私が今、関わっている、相談を受けているビジネスパーソンの方や、実際に診療所で診ている患者さんの中に、これは本人の性格が弱いために、こういった人間関係ですぐに折れてしまうんだろうと明らかに思わせるケースは、はっきり言ってないに等しいですね。あるいは、同じ企業でも、同じ部署で繰り返し休職者が出ている部署もありまして、そうなると、それはそこの部署の人間関係の中で何か大きな問題があると考えざるを得ません。
 もちろん、それはすべて事業所の上司のハラスメントとか嫌がらせだと、問題を帰着させようという気持ちではないんですけれども、とにかくそういう意識を企業に持っていただくことが必要だと思います。本人の性格が問題だという意識から、いや、ハラスメントが起きている、嫌がらせが起きているのではないかという意識を持っていただくところから始めなければいけないかなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
○堀田座長 よろしくお願いいたします。座席順で私もここで自己紹介させていただきます。
 30年間、法務、検察で勤めまして、その後20年間、ボランティアの世界で団体を作ってやってきております。検察というところは、鬼の誰々、はんにゃの誰々、情け知らずの誰々とあだ名を付けられた者が多く存在している世界でありまして、そういう上司の中でパワハラそのものの中で過ごしてまいりました。法務省で官房人事課長を3年勤めまして、何とか近代化に務めてまいりました経験をこの中で生かせればうれしく思っております。
 ボランティアの世界は、御承知のとおり、全くのフラットな世界でありますが、これがなかなか実力の世界でありまして、フラットだからパワハラが起こらないというわけでもない。ピラミッドの典型とフラットな組織の典型と、両方経験した立場から、少しでもお役に立てればと願っております。
では、佐々木委員、お願いします。
○佐々木委員 サラリーマン生活を40年ぐらいやってきて、セクハラ、パワハラ、メンタルヘルス、いろいろなケースに遭遇してきました。私の部下でセクハラを訴えられて、その後、何でこんなことでセクハラになるのだということで、一切女性とは関与しない、指導もしない、危なくてしようがないという人もいます。明らかにパワハラ、セクハラというのと、パワハラもどき、ぎりぎりのところ、業務上の指導もあると思います。私などが入社したときには、灰皿を投げられたという経験をしていますから、何でこんなことがということがあります。
 実際に私自身は、部下から、あなたのやっていることはパワハラだと言われたことがあって愕然としたことがあります。こういうことをどう処理していくんだということで、本当に会社は悩んでいます。あちこちでいろいろな事件が起こって、明らかにパワハラだというケースはいいんですけれども、そうでないところをどう克服していくのかと困っています。
 ただ、困ってはいますけれども、本当に会社の中で解決しようとして実行している会社はほとんどないですね。ですから、窓口を作ったり、予防のための研修をやったりというところもあまりなくて、マニュアルは作るのですが、これは、現場で起こっていることについて何の役にも立たないと思います。 私はもう一切審議会に出ないと決めていたんですけれども、出させてもらうことにしました。どうぞよろしくお願いします。
○堀田座長 期待いたしております。では、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 佐藤です。企業の人材活用、人事管理論を勉強しています。今日は、自分が勉強している人事管理論の立場から、この円卓会議に期待することを二、三お話したいと思います。
 一つは、パワハラなりの定義をきちんとすることがすごく大事だと思っています。もういろいろな方が言われているように、暴力的な行動などは非常に分かりやすいのですが、業務関連とか現場の部下指導に関わる部分と密接に結び付いていて、どう線引きするか、これが分からないと、企業としてもどういう予防措置をとっていいのか、あるいは現場の管理職も業務管理・部下指導をどうしていけばいいかが分かりませんので、まずそこをきちんとすることが大事だと思います。
 今日も大学院での学生指導が始まって、修論を書かない学生が増えているということで、強く言えなくなっているという、アカデミックハラスメントみたいな議論があって、どう学生を指導するか、教員の間でも悩みがありますので、定義をきちんとするということが大事だと思います。ただ、最近そういうのが増えてきているわけですから、増えてきている背景要因、個人の問題なのか、あるいは職場の構造の問題なのかという背景要因をきちんとある程度まで整理し、そうすることによって、企業としてどういうことを事前に予防措置として取り組んだらいいのか。そのメッセージが出せるようにできればよいと思います。
 あと、現場の管理職もどういう職場マネジメントなりをしていけばいいのかが分かるものが少しでも出せればいいかなと思って、すごく期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
○堀田座長 ありがとうございます。田中委員、どうぞ。
○田中委員 経団連から出ております田中と申します。
 皆様、御指摘されているように、最近の職場の中での人間関係が、10年前、20年前、もっと以前と比べると大きく変化しているということは、私どもも認識しておりますし、個人的にも自分が入社したウン10年前と比べると、今の若い人との関係がだいぶ違うなと思っていますので、そういう中でいじめ・嫌がらせの問題がいろいろな形で出てきている、そういう問題をここで議論していくということは、一つ有意義かなと思っています。
 ただ、経済団体の立場から言うと、この問題はまずは企業内でいろいろ防止または対処に取り組まれているということが現実の問題であって、私どものような多数の企業の関係者が集まりが、公開の場でいろいろ議論していくのになじまないところがあったものですから、私どもの団体としての知見とか経験がちょっと薄いなと、私個人としては思っておりますので、その辺をむしろ皆様に教えていただきながら、経済団体の視点からこの会議に貢献できればと思っております。
○堀田座長 ありがとうございます。では、團野委員、どうぞ。
○團野委員 日本労働組合総連合会の團野と申します。組合の専従者になりまして、はや30数年がたってしまいました。鉄鋼企業に入ったわけでありますけれども、組合の専従になりまして、知らず知らずのうちに年をとってしまったということであります。
 今回、厚生労働省がこの問題を取り上げることに対して評価申し上げたいと思います。この問題は、今日の社会的問題であるということは言うまでもありませんけれども、労働組合として、働きやすい職場環境なり人間関係の構築というのは、欠かせない、大変重要な問題だと考えております。したがって、この円卓会議において、様々な議論がされまして、今後の方向性なり考え方の整理をされることを強く望んでおります。
 御紹介申し上げたいのは、5月31日に男女平等月間実態調査というのを連合でやりました。その結果について、簡単でありますが、報告申し上げたいと思います。
 仕事をやめたきっかけ、職場の人間関係が約3割という結果でありました。
 それから、働き続けるためにどのような支援・環境が必要かということでありますけれども、上司や同僚とのコミュニケーションがとりやすい職場の雰囲気を作ってほしいというのが全体で23%程度でありました。
 それから、セクシュアルハラスメントを受けたことがあるというのが、女性の場合で言うと17%程度、それからパワーハラスメントを受けたことがあるというのが女性で18.8%、男性が24.4%と、男性の方が多い結果でありました。
 それから、セクハラ、パワハラを受けたけれども、結局誰にも相談しなかったという結果が一番多かったということでありました。
 こういう問題がどこから発生してきているのかということでありますけれども、一つ目は、仕事の進め方という問題があるのかもしれません。また、背景としては、非常に経済が成熟していることです。我々も豊かな時代をずっと過ごしてきました。親としては、どのように子育てしてきたのか、その背景も多分大きな関係があるのかもしれないなと思います。私も子どもを3人育てましたけれども、私ができなかったことを、かわりに子どもにある程度期待します。また、そう育てようとするわけでありますけれども、行き過ぎた過剰感というか、期待感というのは、子どもには当然プレッシャーになりますし、子どもは努力するわけでありますけれども、その努力することと同時に、親がすべての障害を排除しようとする努力が、子どもにとってはスムーズに育っていったように見えたとしても、ストレスをあまり感じなくて上へ上がっていったこともあって、ある意味では打たれ弱い子どもとか大人が増えてしまったということにもつながっているのかなと思いますし、成熟を拒否する人も増え始めているだろうと思います。
 ですから、自分は何ができるのかということと、何ができないのかということを認める過程が大人になるということですから、それを拒否する人たちが増えてきている。これは、子どもだけじゃなくて、今の大人にもそういう人たちが増えてきているんじゃないか、そういう要因もすべて相まって、今日の職場のいじめ・嫌がらせ問題があるのではないかと思います。
 佐藤先生が様々な労務管理の問題もおっしゃいましたので、そういうことも含めまして、様々な議論をさせていただければありがたいと思います。
 最後に、今日、4時に出なければいけないものですから、恐縮でございますが、そのこともお断りしたいと思います。よろしくお願いします。
○堀田座長 ありがとうございました。御意見、御要望を伺いました。山川委員、どうぞ。
○山川委員 慶應義塾大学法科大学院の山川と申します。よろしくお願いいたします。労働法を専攻しておりまして、その中では労働紛争の解決や予防が一つの研究テーマでしたので、先ほど小宮山副大臣からもお話がありましたように、労働相談の中でいじめ・嫌がらせが非常に増えている。現在、解雇と労働条件の引下げといじめ・嫌がらせが三大相談内容の中身になっておりますので、そういう観点から関心がございます。
 もう一つは、数年前に21世紀職業財団でこのパワハラの研究会に参加させていただきまして、その中で判例等の研究をいたしましたので、何らかのお役に立てればと思っております。ただ、判例等に出てきますのは、ある意味で悲惨な事件といいますか、メンタルヘルスで極度に害されて自殺してしまったということなので、そういう判例になる前に何とかということが、法務学者ではありますけれども、関心が強いところでございます。
 そういう意味で、今回はいろいろな御専門、お立場の方が参加されておられますので、いろいろ教えていただきたいと思います。特に、職場というのは一体どういうものなのか、職場の持つ企業や従業員にとっての価値みたいなものが出てくれば、非常にいいのではないかと個人的には思っております。以上です。
○堀田座長 ありがとうございました。では、最後になりました、吉田委員、どうぞ。
○吉田委員 私、ブールミッシュというお菓子屋を営んでおります吉田菊次郎と申します。皆様、そうそうたるメンバーの方の中で、私だけがなぜか異質じゃないかなと思っておりますけれども、私どもは父方も母方もお菓子屋の系統でして、お菓子屋という製造業、販売業、サービス業という立場から呼んでいただいたのではないかと思っております。
 私ども、今、北海道から沖縄までシフトさせていただいて従業員もたくさんになっておりますので、職場のいじめ・嫌がらせ云々といったことは、ある意味では日常茶飯事の問題で、ここにいらっしゃる皆様より、一番直面している問題だろうと思っております。例えば作る側においては、これは技術の問題ですから、なかなか難しいのですが、教える場合にもきつく教えると、これは今で言うパワハラということになるのでしょうか。それと、売る側においても販売のキャリアの方とアルバイトの方とか、いろいろあります。
 これらとはまた別に、私どもが今、一番悩んでいるのは、お客様による私どものスタッフへのいじめ・嫌がらせと言いましょうか、これは新しい切り口だと思います。日々、いろいろな方に接しておりますと、言葉は悪いですが、やや粗暴な方などがいらっしゃるんですね。でも、そういった方たちは割と扱いやすいと言ったら語弊がありますが、ガス抜きすると大体終わります。
 一番困ってしまうのは、ここにいらっしゃる方以外の方ですけれども、おばちゃま、本当に許してください、そういう方が多くて、これも嫌がらせと言うか、パワハラと言いましょうか、物事を上から目線で見たときに必ず起きますね。私は客よ。何、今の言葉遣いは。お宅様のお嬢様はいかがでしょうと聞きたくなる場合もあるんですけれども、そんなことを言ったらえらいことになってしまいますから、これも本当に大変な問題です。
 それと、先ほどちょっと伺って、小宮山様がNHKにおられたということで、私もいろいろなドラマに絡んでいるんですけれども、何年か前の朝の連ドラで「どんど晴れ」というのがございましたね。比嘉愛未さんというお嬢さんがパティシェの娘として生まれて、それでお父さんの背中を見ながら一生懸命、私も立派なパティシェになるんだと頑張っていたところ、盛岡の旅館のぼんと仲良くなって、あっちへ行く。
そこでは、旅館の仲居さんにいじめられたりしながら、立派なおかみに成長していくという物語で、大変日本人受けしますね。あの世界でも、また我々の世界でも日常茶飯事ですが、日本人特有のところで、いじめなり嫌がらせなりを受けながら、じっと耐えて、それで大成していくという、ややストイックなところがあります。それを美学とするような根底がある。
 私はパリにもスイスにも住んでおりましたけれども、そういったものはヨーロッパでは感じなかったですね。日本人特有のメンタリティーの問題なのではないかと思います。そうすると、いじめ等の問題というのは、ある種国民性もあるのではないかと思っております。いろいろな事例を持っておりますので、そういった面では皆様方に結構貢献できるのではないかなと思っております。
○堀田座長 分かりやすい事例で、ありがとうございました。
 3分以内に大変御協力いただきまして、ぐっと議論する時間が増えました。これから議論に入るわけでありますが、最初にこの会議、どういうふうに進めるのかにつきまして、本多参事官から資料1から2まで、よろしく御説明ください。
○本多参事官 それでは、まず資料1−1、この円卓会議の開催についてという紙を御覧ください。
 まず、この会議の開催趣旨を改めて御確認させていただきますが、職場のいじめ・嫌がらせが増加傾向にある現状を踏まえ、その防止・解決に向けて、いじめ・嫌がらせ問題への取組の在り方等について、労使、有識者及び政府による検討を行うため、円卓会議を開催するということでございます。
 メンバーは、今、御紹介いただきました。本日御欠席は、参集者の下から3番目の山浦委員、全日本運輸産業労働組合連合会中央執行委員長でございます。
 次に、資料1−2を御覧ください。「議事の公開について」でございます。
 本会議の議事は、原則公開といたします。ただし、この資料1−2の(1)から(4)にありますように、この項目に該当し、座長が、非公開が妥当であると判断した場合には、非公開にすることがございますので、御了解ください。
 続きまして、資料2を御覧ください。「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議の検討事項及び今後の進め方について」でございます。これは事務局で用意させていただいた案でございます。
 検討事項ですが、1点目として、職場のいじめ・嫌がらせ問題の現状と取組の必要性について。2点目、どのような行為を、防止・解決すべき職場のいじめ・嫌がらせととらえるか等について。3点目、職場のいじめ・嫌がらせ問題への取組の在り方についてでございます。
 何人かの委員からも、いじめ・嫌がらせの定義が重要というお話がございました。この会議の名称には、とりあえず「職場のいじめ・嫌がらせ」と使っておりますけれども、これはまだ明確な定義をして使っているわけではございません。この会議でどのような言動や行為を防止・解決すべき対象とするかを、まず御議論いただきたいと思いますし、あわせて、いじめ・嫌がらせのほかにパワーハラスメントという言葉もございますので、どういった用語を用いていくことが適切かということも御議論いただければと思っております。
 以上の検討事項をどういうふうに進めていくかということでございますけれども、この円卓会議は平成24年度中に3回程度開催しまして、来年3月をめどに「職場のいじめ・嫌がらせ問題の防止等に向けた提言」、これは仮称でございますが、何か提言の形で取りまとめをいただければと思っております。
 この取りまとめのために、円卓会議の下にワーキング・グループを設置してはいかがかと思っております。このワーキング・グループでは、検討事項(1)から(3)までについて検討し、来年の円卓会議までの間に、この取りまとめに盛り込むべき事項の論点整理など、必要な作業を行うこととしてはいかがかと思っております。このワーキング・グループが行った論点整理をベースにいたしまして、再度、円卓会議で御検討していただき、提言をまとめていただければと思っております。
 この案によって進めてよろしいか、またワーキング・グループでの作業に対して、何か御要望がありましたら、あわせて御議論をお願いいたします。
○堀田座長 ありがとうございます。検討事項、今後どう進めるのか、それから議事の公開をどうするか等につきまして説明がありました。どうぞ御質問なり御意見なり、ございましたら頂戴いたしたいと思います。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 資料2ですが、提言ですから、メッセージを出す相手がいると思います。一つは、社会全体として意識啓発ということから、企業に取組を促すということ、職場に対するもの。提言は誰に対してやるのか、はっきりするといいと思います。
 もう一つ、取組と言ったときに、行政の取組もあれば、企業の取組もあるし、組合の取組もあると思います。職場の管理職といったときに、全部目配りするか、あるいはまずは企業なのか、その辺が事務局として、あるいはここで議論すればいいのか分かりませんが、「職場の」とはありますが、誰に対してメッセージを出すのか、誰に取り組んでもらうのか、多少議論しておいた方がいいかなと思いました。
○堀田座長 ありがとうございます。ここで議論すべき事項も含まれておるかと思いますが、事務局が今の点でどういうふうにお考えになっておられるか。
○本多参事官 まさに先生から御指摘いただいた、誰に対してメッセージを出すのかということと、誰が取り組む必要があるということ自体、御議論いただきたい点でございます。労使の方にお集まりもいただいておりまして、企業、労働組合にお取り組みいただく必要はあるかと思うんですけれども、企業だけではなくて、その中で働く人自身も自分の問題として、パワハラを受ける側かもしれないし、パワハラをする側かもしれませんので、働く人へのメッセージも必要かもしれません。
 また、その企業、職場を取り巻く国民一般にもメッセージを出した方がいいのかもしれませんし、その辺りもぜひ御議論いただければと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。広く対象を考えているという事務局としての案が出ました。御意見があれば、また伺います。吉田委員、どうぞ。
○吉田委員 今回のテーマはパワーハラスメントということですが、私どもがいろいろな事例を見ていると、平たい言葉で言うと、パワハラもセクハラも根っこはほとんど同じです。ただ、対象が異性間になったときに、それはセクハラという形で顕在化するということで、おおむね根っこは同じだと思っておりますので、それも含めた形でよろしいんじゃないかなと思っております。
○堀田座長 ありがとうございます。セクハラも含めて考えたらどうかという御意見ですね。ほか、ございますでしょうか。山川委員、どうぞ。
○山川委員 資料2の検討事項の1の(1)、現状と取組の必要性とありますけれども、考え方としては現状と原因の分析、その原因の分析に照らして解決を考えるというパターンの思考法が割と多いかと思うんですが、この現状の中には、原因の分析みたいなことも含まれているという理解でよろしいんでしょうか。
○堀田座長 どうぞ、本多参事官。
○本多参事官 原因の分析についても、あわせて行えればと思っております。ただ、このいじめ・嫌がらせに特化して政府として取り組むのが初めてということもありまして、必要な材料、また深い分析が1年間でできるかどうかということもあります。ですので、1年間でできない分については、その後どんな調査なり分析をしたらいいかということも、この中で出していただければと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。1年間でできる範囲で原因の分析もということですね。ほか、質問、御意見ありますか。とりあえず、手続的な点はこういうことでいいですか。メッセージの対象等は、また後で議論するといたしまして、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○堀田座長 では、中身の議論に早速入っていきたいと思いますが、その関係は資料3ですか。本多参事官、御説明ください。
○本多参事官 それでは、資料3、横長のものですけれども、こちらを御覧ください。こちらの資料は、皆様に御議論いただく際の参考として、とりあえず把握できる現状につきましてまとめたものでございます。既存のデータ、裁判例などを簡単に御紹介いたします。
 まず、表紙をめくっていただいて1ページ目、職場のいじめ・嫌がらせ問題の現状とその影響でございます。
 職場のいじめ・嫌がらせに関しましては、副大臣の挨拶でも触れましたが、都道府県労働局の総合労働相談コーナーというところで、個々の労働者と事業主の間のトラブルについて相談を受け付けておりますが、その相談件数の中でいじめ・嫌がらせが増えているというのがございます。
 第1図を御覧いただきますと、棒グラフがすべての相談件数でございます。この制度が始まったのが平成13年からですが、その時点からほぼ一貫して相談件数が増加しておりまして、平成22年度は約25万件の相談がございました。この棒グラフの上の折れ線グラフが相談に占めるいじめ・嫌がらせの割合でございます。
 この割合もほぼ一貫して増加を続けておりまして、平成22年度は16.0%です。平成21年度までは、相談件数の中で解雇・労働条件の引下げに次いで3番目だったんですけれども、平成22年度は解雇に次いで2番目にいじめに関する相談が多くなっております。このいじめ・嫌がらせに関する相談が増えている背景としましては、相談コーナーが創設されて、このコーナーの認知が徐々に広がっているというのがございまして、それとあわせていじめ・嫌がらせについて相談を望む労働者が増えているという両面があると考えております。
 1ページの右側は、パワハラについての企業の問題意識を聞いたものでございます。調査をしましたのが中央労働災害防止協会、平成17年でちょっと古いんですけれども、東証一部上場企業1,000社に送付して209社から回答を得たものです。この調査では、パワハラの定義として、職場において職権などの力関係を利用して、相手の人格や尊厳を侵害する言動を繰り返し行い、精神的な苦痛を与えることにより、その人の働く環境を悪化させたり、あるいは雇用不安を与えることと定義しております。
 その上で、パワハラは企業にどんな損失をもたらすと思いますかという質問ですが、これに対する回答では、社員の心の健康の悪化、職場風土の悪化、本人のみならず、周りの士気の低下、職場の生産性の低下などが多く挙げられております。これを見ますと、いじめを受けた本人だけではなく、企業にとっても損失であると認識されていることが分かるかと思います。
 こういった問題意識を踏まえて第3図では、38%と44%を足して、約8割の企業がパワハラ対策は経営上重要な課題であると回答しております。
 続きまして、2ページを御覧ください。先ほど申し上げましたように、どういう言動がいじめ・嫌がらせに該当するかという判断基準については、はっきりした定義は確立していないわけですけれども、ここではその議論のたたき台というか、御参考として、都道府県労働局が扱った相談事例を労働政策研究・研修機構が分析したものを紹介させていただきます。
 これは下の米印に書いておりますが、都道府県の労働局のうち4局を選んで、その4局が平成20年度に取り扱ったあっせん事例を紹介しております。ここでは、身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛と分けておりますけれども、これはあくまでも便宜的な分類でございます。中を御覧いただきますと、一つひとつ読み上げると気が滅入ってくるような内容ですので、読上げは差し控えさせていただきますが、暴言、罵声、悪口、傷害、プライバシー侵害、無視するとか、仕事を与えない、職場の暑気払い等の集まりに呼ばないといった行為が相談の対象となっております。
 ただ、一つ御注意いただきたいのは、この都道府県の労働局の相談やあっせんというのは、事実の認定をする場ではございませんので、これが本当に事実かどうかという審査がされたわけではございません。あくまでもこういう相談が労働者側からあったというものでございます。
 続きまして、3ページには、職場のいじめ・嫌がらせで裁判になった事例を2つ御紹介しております。A事件、B事件、2つとも不幸にしていじめを受けた方が自殺された例でございます。A事件は地裁の判決、B事件は高裁の判決です。いわゆるいじめ・嫌がらせについては、現時点では最高裁の判例はございませんで、こういった地裁、高裁の判決を御紹介いたします。
 A事件は、民間の病院で男性の看護師が、先輩の同じく男性の看護師から約3年近く、執拗ないじめを受けたという事件でございます。業務中に暴言が発せられたり、また職員旅行中に嫌がらせが行われたり、また業務外で頻繁に私用を言い付けるといった行為が行われたものです。それを苦にして自殺されたということでございます。
 判決では、いじめを行った先輩看護師について、これは悪ふざけや職場の先輩のちょっと度を越した言動であると認めることは到底できないと判示されておりまして、いじめをした行為者の不法行為による損害賠償が認定されております。あわせて、勤務先の病院に対しては、いじめが長期に及んでいることから、病院はいじめを認識することが可能であったけれども、認識した上で防止する措置をとらなかった点が安全配慮義務違反であるとして損害賠償を認定しております。
 右側のB事件でございますが、これは市の水道局で起きた公務員の事件でございます。市の水道局の職員が、配属先の課長、係長、主査から継続的に侮蔑的な言動を受け、それを苦にして自殺したという事案でございます。内容は、異性経験、容姿に対するあざけり、からかい、またナイフを突きつけて脅すといった言動が行われたということでございます。
 判決は、職員の自殺が上司らのいじめによって精神障害の結果生じたということで、いじめを止めなかった、また精神的負担の軽減をしなかった管理職の行為について、市の安全配慮義務違反が認められた行為でございます。
 公務員の事件でございますので、国家賠償法が適用になります。国家賠償法の規定では、公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を与えた場合には、国または地方公共団体が賠償の責任を負うべきであり、公務員個人はその責任を負わないとされております。ですので、ここでは行為者である上司については責任は認定されておりません。
 続きまして、4ページを御覧ください。これは企業がいじめ・嫌がらせ問題に対応するに当たっての、いわば悩みを挙げているものでございます。
 左側第4図は、東京都の労働相談情報センターが平成18年に行った調査でございます。これは、30人以上の規模の3,000事業所に調査票を送付して、954の事業所から回収しています。また、この調査では、パワーハラスメントを職場において職務上の地位や影響力を背景に嫌がらせをすることと、仮に定義して調査いたしております。
 結果を御覧いただきますと、複数回答ですが、パワハラと業務上の指導との線引きが難しいと回答した企業が約3分の2の64%でございます。次いで多いのが、事実確認が難しい、45%。また、そのほかにも、被害者が嫌がっていることを加害者に理解させるのが難しい、プライバシー保護が難しい、被害者の精神的ダメージが大きいときの対応が難しいといった結果になっております。
 右側の図は、1ページで御紹介した中央労働災害防止協会の調査でございます。上場企業を対象にした調査ですが、こちらではパワハラ問題を取り上げる場合、職場でどのような問題が発生することに留意する必要があると思いますか、いわばパワハラ問題に企業が取り組んだ場合の副作用的なものについて、意識を調査しております。これについては、管理職が弱腰になる、上司と部下との深いコミュニケーションがとれなくなる、権利ばかり主張する者が増える、若手をきちんと教育できなくなるといった回答が多くなっております。
 この2つの調査の項目から、いじめ、パワハラへの取組について、企業が非常に困難を感じている現状がお分かりいただけるかと思います。
 最後の5ページに、いじめ・嫌がらせ問題への対応の現状を簡単にまとめております。労使、行政、裁判の3つの主体の対応を書いております。
 まず、労使でございますが、企業のいろいろなヒアリングやパワハラについてのテキスト、本などから拾い上げたものでございます。多いのは相談窓口を設置する、就業規則や社員の行動基準にパワハラについての規範を盛り込む、講演や研修会を実施する、社内報などで社員に対して広報・啓発を行う、また、社内の実情の把握をするといった対応をとっている企業が多いようでございます。
 また、労働組合の対応についても、組合として相談窓口を設置したり、対策のハンドブックを作成するといった例がございます。また、企業に対して取組を行うように要請するというのも、組合の取組ではございます。
 続いて、行政による対応でございます。厚生労働省といたしましては、いじめ・嫌がらせだけに特化した取組というのは、この会議が初めてなんですけれども、これまで先ほどの労働局で相談、助言・指導、あっせんといった解決援助サービスでいじめ・嫌がらせの問題を取り上げております。そのほかにも、職場のメンタルヘルス対策の一環として、いじめ・嫌がらせがメンタルヘルスの悪化の重要な原因の一つであると理解いたしておりまして、関係指針を策定し、その中でいじめ・嫌がらせも含めて職場環境を改善していきましょうといった事業場への指導を実施してきております。また、労災補償の枠組みの中で、精神障害も労災として認定されるケースがございますが、精神障害を引き起こす原因として、いじめ・嫌がらせがあるということも認識いたしております。
 また、地方自治体でも、これも自治体によって様々ではございますが、労政事務所などが多いかと思いますけれども、相談窓口を設置したり、地方労働委員会の多くのところでは、個別労働関係紛争のあっせんをしたりしていて、その中でいじめ・嫌がらせのあっせんも行われております。また、企業向け対応マニュアルを作成しているところ、これは私どもで把握しておりますのは、東京都が作成していますけれども、そういった例もございます。また、自治体の中のパワハラというのも問題になっておりまして、自治体が中の職員向けに防止指針などを策定する例も複数あると聞いております。
 最後、右側が裁判による対応例ですが、民事上では先ほど御紹介しました裁判のように、いじめた人の不法行為による損害賠償請求とか企業の安全配慮義務違反による損害賠償請求といった形式での裁判・訴訟がございます。また、暴力や脅迫などが行われれば、職場のいじめであっても、当然ながら暴行罪、脅迫罪、侮辱罪、名誉棄損罪といったものが適用されて責任を問われる可能性がございます。以上でございます。
○堀田座長 ありがとうございました。これから1時間、いろいろな御意見を伺いたいと思いますが、先ほど承認されました議論の進め方の手順によりますと、これからこの会議が終わりますと、後はワーキング・グループの方で論点整理が来年1月ぐらいまで行われて、それが出てくるということになります。
 もし、そのとき出てきたものが、この会議として根本的にここが足りないとか、違うということになることが一番恐ろしいわけであります。そういう意味で、本日、この機会にこういう方向を目指すべきだ、こうあるべきだ、こういう問題点を論じてほしいという点は全部お出しいただきたいと願っております。
 ということで、團野委員、お帰りになるそうで、まず最初におっしゃりたいことを全部おっしゃってからお帰りいただければうれしいと思います。
○團野委員 いきなり当てられると思っておりませんでしたので、考えておりませんけれども。
 問題なのは、冒頭申し上げましたように、どこからこのいじめ・嫌がらせ問題が発生するのか。それは、別に企業経営側だけにあるとは思いませんし、労働者間でも起きますし、上司・部下の関係でも起きますし、男女間でも起きるでしょうし、様々な関係の中で起こり得る。どこでも起こり得る、多分起こっている問題だろうと思います。したがって、それぞれの切り口から議論しておく必要があるのかなと思います。
 もう一つは、これは香山先生の専門だと私は思うんですけれども、例えばうつ病患者がいらっしゃる。だけれども、うつ病だと内々に引っ込むという症状が出ると言われていますけれども、最近の症状としては、人を攻めるというか、人のせいにするという新型うつ病も大変多くなっているということですので、そういうことも含めて、傾向がどういうことになっているのか、それも因果関係の一つだと思いますので、様々な議論を尽くした上で、要因分析なり対策というものを考えるべきじゃないかと思います。以上です。
○堀田座長 ありがとうございました。
 問題点を全部ここで洗い出したいと思っているわけでありますが、佐藤委員が最初に提起された問題について、事務局としては企業、労働組合等だけでなくて、国民一般にも対象を広げて、メッセージを出す相手方を幅広く出したいというのが事務局案だという説明がありました。対象者がそういうことでありますと、それぞれの立場での取組はどうあるべきかということを当然論じることになりますが、問題提起されました立場から、先ほどの説明について、どういう御意見でしょうか。
○佐藤委員 メッセージの出し方としては、社会全体にこの問題を喚起することはすごく大事だと思います。それは企業だけじゃなくて、管理職や働いている一般職の方。ただ、取組のことについてはどこに重点を置くかというと、まずは企業に動いてもらうということを理解してもらい、特に予防措置と問題が起きている事業処理は、労使と言ってもいいと思いますが、企業にある程度積極的に動いてもらうことが大事かなと思っています。
 ですから、メッセージの対象と具体的な取組について言うと、企業が必要性を理解し、職場の構造のあり方をどうするかといった問題もあるかと思いますけれども、管理職のマネジメントの教育をどうするかという問題もあると思います。管理職が風通しのいい職場なり円滑な職場をつくるという方向に持っていくというと、まずは企業かなと。ウエートの置き方です。もちろん、組合も労使関係でもあると思いますけれども、例えば管理職にこうしてくださいというのは、企業に研修をしてもらう。その辺、メッセージの出し方、取組は少し変えてもいいかなという気がしたんです。
○堀田座長 取組についての重点ということでありました。田中委員、いかがですか。
○田中委員 佐藤先生のおっしゃることは理解できる部分はありますが、今の段階で焦点なりターゲットを絞るというのは何となく違和感があります。團野さんもおっしゃったように、この問題がどこから起きてきているのか、それを防止するにはどういう手だてがあるかというのを、現場の状況を踏まえて議論して、対策を考えていく。当然職場で起きているので、最終的には企業が取り組まないといけないことはたくさんあると思います。だけれども、それを最初から決められると、我々としては非常にディフェンシブにならざるを得ないので、もう少しオープンマインドにやりたいとすると、そこまで決めてやらなくていいと思います。
 先ほどおっしゃっているように、職場ですから、上司と部下、同僚の間、そして狭い職場だけじゃなくて、会社全体。先ほどちょっとお話があったように、お客様と従業員との関係とか、非常に多様なので、企業のあり方、業種・業態、またビジネスのあり方が違っているので、多分問題の発生の仕方がだいぶ違うだろう。そうすると、それに手を打つ、防止するのか、起きた後に穏便にうまく悪化しないような格好でする方策とか、いろいろなことが考えられるので、それを一つひとつ原因なり実態を踏まえた上で、最終的に政府として取り組むべきことは何か、企業として取り組むべきことは何か。
 さっき私も意外だったんですけれども、團野さんが教育のあり方みたいなことに触れられていらっしゃったので、そういういろいろな方面が関係してくるのかなと思ったということです。
○堀田座長 ありがとうございます。実質的には、大体同じことをおっしゃっているんじゃないかと思いますが、幅広く対象を広げて、しかし議論していけば、実態はパワハラですから、自ずから議論の重点が出てくるのかなと思います。
 手が挙がっております。吉田委員。
○吉田委員 振り返ってみると、ついこの間まで、パワハラやセクハラという言葉すらなかったわけで、この言葉が今、何とか社会的な市民権を得てきた。すごい進歩だと思います。それで、こういう表現が正しいかどうか分かりませんけれども、日本という国はどちらかというとお上社会だと思います。ガバメントサイドでこういったことを取り上げた円卓会議が行われたということ自体、ものすごく波及効果があると思います。マスコミの皆様方もこういったことを取り上げていただいて喧伝していただく。
 この円卓会議を開いたからといって、早急に結論が出るというものでもない。でも、すごい進歩であるので、結論が出ないまでも、この会議を開いていただいてよかったなと思いますし。
 もう一つ、パワハラ、セクハラと言うと、大体女性が弱者だと思われるんですけれども、実際、私どもでは逆の問題もたくさんあります。男の子の方が泣かされている場合もあります。めそめそして、どうしたのと言ったら、何とかさんにどうこう言われた。おい、しっかりしろよと言いたくなるんだけれども、それは逆セクハラということでしょうか、パワハラということでしょうか。女性の管理職・指導者も私どもは多いので、そういったことも当然起こってくるし、そういったことも含めて議論させていただけたらうれしいなと思っております。
○堀田座長 ありがとうございます。会議自体に予防効果があるという御発言です。ただ、その観点からいきますと、会議を開いて、職場のいじめ・嫌がらせを断固としてなくすぞというぐらいの意気込みを最初には示した方が効果があるかもしれません。どうぞ、大久保委員。
○大久保委員 取組手順がなかなか難しいテーマだと思うんですけれども、この職場のいじめ・嫌がらせ問題というカテゴリー自体が非常に新しい枠組みでございますので、まず実態として相談件数が増えていることもありますから、職場においていじめ・嫌がらせを受けている人たちの情報の分析、具体的にはどういう内容の職場におけるいじめ・嫌がらせが起きているのかということをある種類型化して、実態をとらえることが優先順位として高いのではないでしょうか。
 その上で、実際には、それのいじめの主体となっている人たちが、どうも上司だけではなさそうだ、同僚間の問題も相当多そうだし、先ほどおっしゃったように、顧客とか取引先の問題もある。それをひも解いていくと、その背景にどんな原因があるのかということが分かっていきます。その中で優先順位が高いカテゴリーはどこなのか、あるいは実際にそれは対応策が作れるところと作れないところがあると思いますので、どこにフォーカスしてメッセージを出していくのかということになるんじゃないかと思います。
 私は、最初に、実態のある程度整理・類型化をしっかりやるということが大事なんじゃないかなと思っております。
○堀田座長 ありがとうございます。ワーキング・グループで今おっしゃったような手順でしっかり進められればいいなと思います。例を挙げられましたが、このごろは部下が中間管理職をいじめるというのも結構あるようでありますから、本当に幅広くやってほしいと思います。香山委員、どうぞ。
○香山委員 実態調査というのは、私も賛成ですが、どこでその調査を、その人たちを洗い出すかという問題もあると思います。先ほど言いましたように、私のような精神科の診察室に来られるうつ病の方で、職場のいじめ・嫌がらせが原因となっているのではないかと思われる方たちもいるわけですけれども、その人たちはまず職場で訴えて、その次のステップとして病院に来たわけじゃなくて、直接病院に来られている方も多いんですね。
 話を聞くと、これは明らかに不当な嫌がらせ・いじめで、このことを誰かに、上司なり人事なりに相談しましたかというと、相談していない。言えないとか、あるいは、先ほど吉田委員がおっしゃったように、日本の場合、職場での威圧的な態度は、むしろ「しごき」みたいな感じで、美徳あるいは当然のことという風土もありますので、言ってはいけないことだと思っていたとか。あるいは自分が受けていることがいじめや嫌がらせだという意識さえなかったということなんです。
 そういう場合、私はいつも、「それはあなた、パワーハラスメントですよ」とか、これは労働紛争にした方がいいですよとか、そこまで精神科で言っていいものかどうか。この人は治療を受ける前に本当はもっとするべきことがあるんじゃないかなと思う事例も、実はすごく多いんです。ただ、そういう方たちの実態調査という場合は、まだパワハラと認識していないけれども、いじめを受けているような人たちにこそ、本当に問題の本質があったりするかもしれないので、その方たちの実態をどこで把握していくかという問題もあります。
 それと、もう一つ、今、言ったように、まず労働者の方たちに、それはいわれのない、受ける義務のないいじめや嫌がらせですし、しつけや教育とは違いますということをメッセージとして意識していただく。これは異議を申し立ててもいいような問題だということを認識してもらうためにも、先ほどのメッセージの対象ということでは、取組とは別に、広く一般の方たちに、「あなたが受けている、その苦痛は嫌がらせかもしれません」ということを意識してもらう必要があるかなと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。順次御発言いただきます。調査は当然必要なんでしょうが、調査だけで1年過ぎてしまったのでは、これは何にもなりません。答えを出すための必要な限度での調査ということになるんでしょうが、それにしても被害者の意識と、加害者といいますか、本人はその加害の意識すらないような事態が多いので、その場合にどういう調査をするのか問題だという御指摘がありました。
 今、香山委員がおっしゃったことについて、大久保さん、何かお考えはありますか。
○大久保委員 今、香山委員がおっしゃったことは非常に大事な問題だと思います。実際に治療とか相談に出てくるのは、まず一つは氷山の一角であって、本当に一部の事例でしかない。職場の実態を知りたいということがあります。
 もう一つは、個人の受け止めている側と実際の行為者の側の認識がだいぶ違うことがポイントになると思います。私が以前、これに類似した調査をやったときは、自分の職場について調査する、つまり、第三者として、観察者としてどういう行為が職場で起こっているかということについての調査をやったときに、かなり大きな数字であまり望ましくない行為が行われていることが見えてきたので、そういうふうに見るのも一つの方法ではないかなと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。自分のことは分からないけれども、人のことなら分かるから、そういうふうにして調べればいいだろうと。岡田委員、どうぞ。
○岡田委員 私どもも調査をやろうということでいろいろ試みて、各企業で実際調査していることがあるんですけれども、かなり企業によって違う、規模によっても違いますし、業種によっても実態と言われるものは違うと思います。ここでは、被害を受けている人も受けていない人に対しての客観的に見たものも調査しています。
 もう一つは、被害者だけ調査する場合、またちょっと特別な事情があると思いますので、正直言って、調査というのをどういうふうにしていくのか。特に、私どもも広くやろうとするんですが、いろいろお願いしても企業としては割と出したくないところでもあるような気がするんですね。もちろん、調査をやっていくことはとても重要だろうと思うんですけれども、その前に、最初から出ている職場のいじめ・嫌がらせということをどう定義するのかという問題もあると思います。
 パワーハラスメントとの関係で言うと、職場のいじめ・嫌がらせは若干違うところもあると思います。先ほど幾つかの分類もありましたけれども、これが類型化に少しは役に立つ、参考になるかと思います。私どもは5つぐらいに分けましたが、暴力とか脅迫といった、刑法上、問題になってしまうようなものも含まれています。でも、これはすごく分かりやすいところです。
 いじめ・嫌がらせと言うと、私生活あるいは個人の容姿とか人格まで触れるようなことは、明らかに該当するところだと思います。該当するか分からないのが何かというと、業務との関連性の中で、適正な範囲を超えた過度な指導とか業務の指示が今、非常に難しくなっているところです。企業でも、私どもがお付き合いさせていただいているところは大手なので、もう既にいわゆるいじめ・嫌がらせという明らかな行為というのは、少なくとも大手ではだいぶなくなってきていると思います。そこをどうとらえるのか。それから、もしかしたら中小企業だとまた実態はだいぶ違うのかなと思います。特に肉体労働を伴う現場があるところは、暴力に近いことも実際なくはないということもあると思います。  
ですから、そもそも、この会議でその中のどこをやっていくかということがはっきりしないと、実態調査は難しいかなと思っています。
 全体的に、せっかくこれだけの多様な方々がお集まりなので、いろいろなところで特に絞り込まないでいろいろなお話をさせていただいた上で、可能なところから提言していくという取組はどうなんだろうかと思っております。
○堀田座長 最後の提言は、先ほど御承認いただきました手順によりますと、多様な御意見をいただくのは、今日がワーキング・グループに行く前の最後のチャンスで、あとはワーキング・グループで出るのを待つことになりますので、なるべく今日、それこそ多様に御意見をおっしゃっていただきたいと思います。
 先ほどおっしゃった、セクハラとは少し違う面がある。特に、業務上の指導行為との差が難しい。そこがセクハラと一番違う点でしょう。業務上、セクハラをやることは普通はあり得ないので、性風俗は別ですけれども、そこは今回の議論では放っておけばいいので。ところが、パワハラは業務上の指導と密接に関連する場合が非常に多い。
 そのときに、正当業務行為と言いますか、形式的にはかなり精神的な圧迫も与えているんだけれども、それが認められる範囲はどの範囲なのか。そこのところは事務局が整理してくれますか。一番難しいところであり、御議論、御検討、調査していただかなければいけないところでしょう。それが職場によって、また現場の仕事とかホワイトカラーとか、程度は違うでしょう。その辺りも見ていただくことが必要。おっしゃるとおりだと思います。ありがとうございます。
○岡田委員 もう一つ、その内容と表現の仕方の問題がありまして、そこがパワハラやいじめの場合はすごく難しい。同じことを言っているんだけれども、本当に嫌な顔をして言うとか、声の調子とか、そういうものが非常に相手に圧迫感を与えていたりすることがあるので、この問題、扱っていながら非常に難しいなと自分で思っているんです。
○堀田座長 分かりました。表情、言い方が問題ですので、可視化しないとなかなか証拠がそろわないですね。ありがとうございます。先ほどから手を挙げていただいておりました石黒委員、どうぞ。
○石黒委員 皆さんいろいろ御意見をおっしゃっているので、一つ定義というか、いじめ・嫌がらせというものは漠としたところがあるので、そこをはっきりさせないといけないなと思っています。
 ただ、自分は、セクハラという言葉が世の中に出てくる前から働いていますが、セクハラということがいろいろなところで言葉として定義とかができた時点で、セクハラというものに対する関心とか防止というものがかなり顕著に行われました。
 今回も、初めての円卓会議で、「いじめ・嫌がらせ、何、それ」という話も私の組織の中ではありましたが、セクハラみたいに類型化していきながら、ある程度いじめ・嫌がらせとは何なのかということをはっきりさせて、それはやってはいけないことなんだよという話を世間、世の中に対してきちんと発信していくことが一番大事かなと思います。
 ただ、初めにおっしゃっていた、指導上の問題、業務上の問題との線引きが非常に難しいんですが、逆にこれは周りの人間が見ていて、セクハラの場合はされている側ではなくて、その隣の人間が見て、それがセクハラかどうかという判断もあるので、そういう指導を隣で見ていて、それが人格を傷つけているのかどうかという視点も含めて、少し御検討いただければいいかなと。
○堀田座長 ありがとうございます。定義の問題、調査の問題が出ましたが、今、石黒さん、出口の問題をおっしゃっていただいて、メッセージを出すんですけれども、どういう形で、例えば制裁が仮にあるとすれば、どんな制裁がいいのか。中身とあわせて、そこのところまで話が詰まらないと、ここで検討した価値がないでしょう。
 セクハラのように法律を作って、しっかりした制裁の形も考えるのもあるでしょうし。いや、それはまだきつ過ぎるということで、とりあえず定義し、啓蒙に努めるという、いわば教育的指導にとどめるという出口でおさめる方法もあるでしょうし。それは、最後にいろいろ考えた上で出てくる結論でしょうが、いずれにしても着地点をしっかり考えながら、ワーキング・グループの方も進めていただかなければいけないということになろうかと思います。いい意見、ありがとうございました。
 どうぞほかに。たくさん手が挙がっておりますが、佐々木委員から順番に行きます。
○佐々木委員 メンタルヘルスの問題が出てきたときは、私の記憶で15年ぐらい前に会社の中で心の相談員というのを作って、メンタル不調になった人が相談に行くことから始まって、だんだん改善していった。私は会社の中で、周囲で9人のうつ病を知っていますけれども、6人を相談室へ連れていって、精神科へ連れていったことがあります。
 これは、企業にとってメンタルヘルスというのは大問題だからです。だから、そういう設定をしていくわけです。大体1割ぐらいの人が何らかの形でそれに近いことになっていまして、企業の経営問題になっているわけです。それが会社の中ではありますけれども、上司・部下との関係もありますけれども、外注先の問題でもあるわけです。ですから、下請になっている会社の現場では、かなりたくさんのメンタルヘルスの人がいる。
 何を言いたいかと言いますと、パワハラだと言って、道徳だ、正義をかざしてやるべきではないと思っています。そういう切り口でやっても、先ほど誰にメッセージを送るんですか、企業に送ると言ったら、企業はこのことをちゃんとやらなかったら困るんだというのがないと、企業は真剣になってやらないからです。実際、今、起こっていることが社員の心の傷になって、結果として企業の現場、仕事をやる上でマイナスになっているというものをきちっと把握してあげないと、経営者は無関心です。
 企業には経営理念というのがあるんですけれども、例えば東レの場合は、安全・防災・倫理はあらゆる経営課題に優先するというのがあって、特に倫理については、世のため、人のためということを経営の軸に置かなかったらだめですよということは、社員に入社以来、ずっと言い続けていたわけです。だから、倫理にかなわないような行動はやらないということは、本能的に社員の中に出ているわけです。
 いわゆる組織、会社を運営していく上で、このことを守らなければならない大事なものだというものを、きちんと経営者の中に浸透させないと、私は、効力はないのではないかなというのを感じます。
○堀田座長 ありがとうございます。経営側からの御意見であります。田中委員、何か今の点に関して、ありますか。
○田中委員 そういう意味で、確かに経営者サイドの認識は、企業倫理も含めて必要だと思います。そういう意識レベルのデータとして、例えば先ほど御説明ありました中災防の統計データで、企業サイドとしては社員の心の健康を害するというのが83%、認識しているとありますが、そういう数字と、今、起きているいろいろなトラブルと、どう乖離があって、その乖離をどうやって埋めていくのかというのが、多分、この円卓会議、そしてワーキング・グループで具体的に明らかにしていくポイントだろうと私は思っております。
○堀田座長 実証的に経営者を説得しようという御意見ですね。先ほど手が挙がりました山川委員、どうぞ。
○山川委員 今、御発言のあった点は同感でして、メッセージを出すときに、それがいかに説得力のあるメッセージかというのがポイントだと思います。企業にとっては、各従業員に十全に働いてもらう、ある意味で権利がある、ところが、パワハラでもセクハラでもそうですけれども、企業にとって従業員に働いてもらう権利をある意味で侵害しているんじゃないかという観点があり得るかと思います。
 本当は、実証的にという観点からしますと、パワハラとかセクハラ等によるいろいろなコストがあります。休職のコストとか、人事・担当者が余計なといいますか、本来だったらより有益なことにエネルギーを割けるのが、失われたコストとか、そういうコスト的なものまで調査できればいいのですが。アメリカだったらそういうのはありそうですが、できるかどうか分かりませんが。
 もちろん、従業員にとってのメッセージとしても、さっき申しましたけれども、職場というか、自分の居場所が失われることのダメージがどれだけあるのかみたいなことも、ひょっとしたら従業員側にもメッセージになるかもしれないという気がします。
 あとは定義の問題ですが、やり出すと切りがない。一つの切り口は、当事者が誰であったかということと、行為態様と。あと、パワハラとの関係では、例えば先輩が使い走りに行かせるのはいじめだと思いますけれども、業務命令権とか指導の中で行き過ぎたというのはパワハラだということで、先ほど御意見がありましたように、業務の指導とか業務命令権の中で生まれたものかどうかというのを、意識的に区別して調査する必要があるかと思います。ただ、これはいくら突き詰めていっても、定義を細かくやればやるほど問題が生じてくるんじゃないかという感じがしています。実態的な定義をすると、非常に細かい深みに入り込んで、一体何のための定義かということ事態がよく分からなくってきてしまうと言いますか。
 例えば法律で処罰するんでしたら、実態に明確な定義を置く必要がありますが、そこまで出口にもし行かないとすると、座長がおっしゃられたように、いろいろな段階でモニタリングができて、こういうことをやってはいけないのかなというのを自覚して、あるいは周りの方で見ている人がいるとか、そういうプロセスでいろいろな仕組みを作っていくようなやり方もある。だとすると、定義があまり重箱の隅をつつくような作業にならなくて済むのかなという感じもしています。
 あと、最後に一点だけですけれども、セクハラについても既にどういう取組があるかというのが、参考になると思いますが、一つ、ポリシーとして経営トップなりがこれはやっていけないんだということを明確に打ち出せば、従業員も発言しやすくなるというのがありますので、ポリシーと予防のシステムと、あるいは現実に問題が発生した後の事後処理のシステムというシステム的な面が一つあります。
 あと、恐らくもっと重要なのは、職場の管理職なりの日常の人事管理の問題かなと思います。システムと日常の管理の2つの仕組みとして、あるいは取組として考える必要があるのかなと思っております。以上です。
○堀田座長 ありがとうございます。幾つかいい御意見をいただきました。定義の問題は、既に定義の例もここに出ておりますけれども、表で定義するときはかなり幅広い定義になる。ただ、パワハラの場合は法律の定義も同じですけれども、正当業務行為は違法性を失うという、許されるという。だから、法律の場合だと二段構え、特に刑法ですけれども、実態的にはどんなものが正当業務行為になるかというのは、事例、判例、類型化しかできないですね。
 ただ、定義としては、正当業務行為は許される。そういうふうにきちんと構造を踏まえてしっかり定義すれば、不可能ではないだろうと、これはワーキング・グループに強く期待するところであります。
 前段でおっしゃいました、企業にとってもパワハラはマイナスである、要するに、部下をつぶしてしまうような管理職は、企業にとってもマイナスであるということだろうと思いますが、そういう点につきましての何か統計とか先例とか、大久保さんとか石黒さんも数字をおっしゃいましたが、あるいは岡田さん、企業にとってマイナスであるという調査結果と言いますか、そういうことを言えるようなエビデンスと言いますか、御承知の方、いらっしゃいますでしょうか。香山委員、どうぞ。
○香山委員 直接いじめ・嫌がらせじゃないですけれども、去年、厚生労働省の方で自殺対策とかで、うつ病などの長期休職者と自殺した労働者による損失利益というものが年間2.7兆円ぐらいに相当するという試算を初めて打ち出したと思うんですけれども、そういったものを一部援用したりして、その中でどれだけパワハラとかいじめ・嫌がらせが原因となったうつ病による休職とか自殺と、なかなか洗い出すのは難しいかもしれませんけれども、そういったものなども一部もしかしたら利用可能かもしれないと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。詳しく見ていけば出てくるかも分からないという示唆でした。岡田委員、どうぞ。
○岡田委員 実際にデータがあるというわけじゃないんですけれども、つい最近、聞いたところでは、株主総会で株主から問われたというケースです。株価が下がっているのは、ハラスメントがあるからじゃないかということを株主が言っているということとか。ある意味、企業の担当者にどういう面で影響があると思いますか、それは金額にしたらいくらですかというのを何社かとってみると、ある程度出てくるかなと思います。
 感覚的には皆さん持っていらっしゃると思うんです。従業員の意欲、労働効率が下がることもありますし、休職すれば、その間の給料とか保険とか、実際にいろいろな損失がありますので、1人出たらどのくらいの損失になりますか。あるいは、採用費にも大きく影響してくるでしょうから、そんなのを調査してみるのも一つかなと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。実態を全部調査するというのは不可能なことでしょうから、そんなに広範囲にやらなくても、経営者側の感覚で聞いてみるというのは、一つあるかもしれません。ありがとうございます。大久保委員、どうぞ。
○大久保委員 今のお話にぴったりくる感じでもありませんが、職場で行われている様々なことが具体的にどうストレスにつながり、それがどうモチベーション、意欲の低下につながっていくのかということは、ある程度はシミュレーションが可能なものがあるんじゃないかと思っています。
 私が今、申し上げたかったのは、実際にいじめを受けている御本人だけではなくて、そのことが行われている職場全体がモチベーションが低下したり、業務効率が下がったりしているということで考えて、経営者にとってはインパクトがあるという道筋にもなるんじゃないかなということです。
○堀田座長 ありがとうございます。さっきから手が挙がっております吉田委員。
○吉田委員 この問題は、根底を見ると文化の問題だと思います。私、ヨーロッパにも住んでおりまして、あちらでも勤めておりましたので、比較的、日本と比較できる立場にあるんですけれども、あちらでもいじめ・嫌がらせは皆無ではないと思いますけれども、日本で取り上げるほど暗い面は感じませんでした。
 例えば職場で先輩が後輩に教える、入りたての子に教えるとき、失敗したとき、かなりきつい言葉で怒りますけれども、例えば昼食のときは本当に和気あいあいと対等で付き合って、先輩だろうが後輩だろうが意見もします。それから、政治、ポリティックな問題は、日本人は割と避けますが、あの人たちは平気で言いますね。
 それは、あちらはキリスト教という精神的なバックボーンで、人は生まれながらにして平等であるということがあるのではないかと思うんですね。日本の場合は儒教精神があって、上下関係とか長幼の序というのがあります。ただ、日本はその儒教の精神が薄れつつあって、平等意識が目覚めていく、そのちょうど過程にあるから、こういった問題は起こるべくして起こったことだと思います。当然いつかクリアしていかなければいけない問題で、ちょうどそれが引っかかっているのだと思います。
 ですから、これは問題で取り上げながらでも、結論が出ないまま、あるところに落ち着く。キリスト教になるわけじゃないですが、そういった精神的な平等のところに行くんじゃないかなと思うんです。でも、この問題は言い続けなければいけないと思っておりますし、そんなところで文化の違いを浮き彫りにされた問題ではないかなと。
 結論は、お互いの人格を認め合うところで着地点になっていくんじゃないか。日本の場合には、上司だったら仕事場でも上司だけれども、通常の一般会話でも上下関係が続いていくんですね。飲み屋に行っても続いていくだろうし。ですから、それらを取り払うべきだろうし、相手を、少年だろうと、新人だろうと、人格を認め合ったときに、そういった陰湿ないじめだの、パワハラだのというのは薄れていく、少なくなっていくんじゃないかなと思っております。
○堀田座長 ありがとうございます。昼間がんとやっておいても、夜、酒を飲んで、握手をして対等にやっていれば許してもらえる上司もおります。石井委員、どうぞ。
○石井委員 調査について、力を注ぐのは大変いいことだと思うんですけれども、あまり定量化にこだわらない方がいいかなと思います。いろいろな切り口があろうかと思いますが、例えばいじめがあったりして、コストで言えば、社内で異動することもコストになりますし、非常に広い範囲があるので。例えば定性的に働きやすい職場の方が、会社のパフォーマンスが高いということでも、それはよろしいと思いますので、調査について私が思うのは、あまり定量化にこだわらずやってもよろしいのではないかというのが一つです。
 もう一つ、出口のところで提言という言葉が非常に重いんですけれども、先ほど石黒委員がおっしゃられたように、パワハラということがコンセプトとして社会に認知され、できれば健全な職場で楽しく働く権利みたいなことが認知されるだけでも、状況は大きく変わるのかなと思います。提言だからといって、例えばこうやって法律にまで落とすとか、人数300人以上の会社はちゃんと相談窓口を外部に設けろとか、そういうシステム的な対応はあり得ると思うんですけれども、提言の射程として、最初から法律のところまで想定しないでもいいんではないかなと、感想として思いました。
○堀田座長 ありがとうございました。出口の議論ですので、最後の3回目のときの議論の焦点になっているだろうと思いますが、いろいろな選択肢を考えていけばと思います。おっしゃいました調査は、これは学術論文じゃありません。実態を正確につかむことが目的じゃなくて、おっしゃるとおり、類型的に問題がきちんと摘出されれば、その範囲できちんと出てくればいいのかなと、それはそういうことだろうと思います。
 どうぞ、大久保委員。
○大久保委員 ちょっと違う観点なんですけれども、もともとデータでお示しいただいたように、いじめとか嫌がらせの相談件数がこの10数年の間に急増している。日本にもともとずっと古くからいじめがあったかどうかという問題よりも、この短期間の間に非常に増えているということに注目しなければいけないだろうと思います。ということは、10数年の間に何がしかの背景・要因となる変化があったということだと思います。
 実際にいじめの問題の実態を見ていっても、何がその背景要因なのか、原因なのかということがストレートにはなかなか見つからないんだろうと思います。そういう中でどうやって原因に迫っていくのかということを一つ考えなければいけない。
 いろいろな形で人事の人たちと情報交換している中で、もしかしたらこういうことが背景にあるのかもしれないということは、幾つか気になっているところがありますが、そういう背景の原因となるようなものは何なのかということを、仮説レベルでも少し出しながら議論を深めていくのも一つの方法ではないかなと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。類型化するときに動的に観察する。最初のころに、特に最近の若い人たちはという話がありましたけれども、そういうことも考えながら、これもワーキング・グループでそういう視点もしっかり持ってほしいということでした。
 今の意見について、香山委員、いかがですか。そういうことをお感じですか。傷つきやすくなってきているというか、変わってきているというか。
○香山委員 耐性というか、それを傷つきやすいという言葉で言うのかどうかが分かりませんが。最近の若い人たちは仕事、イコール単純に生活費を稼ぐというよりは、自己実現の場というか、自分らしさを見つけたいとか、自分にしかできないことをしたいと、仕事に対して自分の内面との関わりとか、先ほどからお話があった居場所を見つけたいという期待値が上がっている部分もあると思います。
 だから、逆に言えば、従来だったら、これはただ金のために働いているんだからといって耐えていたような嫌がらせとか、あるいは全く不本意な仕事を振り当てられても、黙って耐えて、それこそ仕事が終わってから飲んでうさ晴らしみたいな生活スタイルもあったと思うんですけれども、ある意味非常に仕事に対して、まじめにそこで何とか自己実現をしたいというところがありますので、そこで感受性が上がっていて、自分の人格が認められないとか、いわゆる自分らしい仕事をさせてもらえないということに対する傷つきというのが非常に強くなっていると感じますね。
 そのことを単純に弱さとか我慢しなくなったととらえるべきなのか、それともむしろ昔よりも仕事というものを彼ら自身が非常にまじめにとらえて、仕事に期待値が上がっているととらえるかといった問題もあると思いますが、そこに対して会社側がなかなか理解しないとか、あるいはそれは非常にわがままだとか。彼らもまだ実力が十分じゃないのに、自分にしかできない仕事をくれとか、そんなことを要求したりする面もありますので、その辺の折り合いも非常に問題になってくると思います。
 その辺で非常に誤解があるなと思ったんですけれども、先ほど事務局から配っていただいた資料でも、パワハラ問題を取り上げると、どんな副作用的なことがあるかという調査でも、上司と部下の深いコミュニケーションがとれなくなるというのがあったんですが、これは私が現場で感じたのと逆で、コミュニケーションがとれていないからこういったパワハラの問題が起きたりしているわけで、むしろ対策をして、お互い風通しのいいコミュニケーションができるようになれば、パワハラという問題も、嫌がらせという問題も解決に向かうはずなのに、全く認識が違っていることに非常に驚きました。
 そういう意味で、大久保委員が言われたような、若い社員というのをどうとらえるかということに対しても、表面と裏面があり、コミュニケーションをどうとらえるか、その認識の差をどう埋めるかということも、実際に起きてしまったパワハラにどう対策するかという以前の予防の問題では非常に大きいことかなと思います。
○堀田座長 ありがとうございました。上司と部下との深いコミュニケーションがとれなくなる。こういう調査をしたのは中央労働災害防止協会であります。よろしくお伝えください。専門家の御意見をただで伺うことができました。ありがとうございます。岡田委員、どうぞ。
○岡田委員 今の関連で言うと、状況が変わってきたというのが一つあると思います。耐える価値があるかないかということは、とてもあると思います。例えばスポーツ選手なんか、かなり厳しい指導でも、あれは夢を持っているというのが一つあると思います。そういう意味で、職場で自分が成長していけるという夢がそこの会社になくなったときに、耐えられなくなるというのはあると思います。
 もう一つ、深い関わりということがありましたけれども、仕事ではなくても、人と深い関わりが持てるというのが一つの報酬だと思います。それが非常に少なくなっている。最近、私どもに依頼が来るのは、パワハラの防止をどうこうしてくださいというより、企業文化とかコミュニケーションの問題、お互いにメールでやりとりをしていて、顔も見ない、言葉も交わさないという人がすごく多くなっていて、それを何とかしたいという要望が多いんですね。
 最近は、少し人間関係というのも、若い人も求めつつあるのかなという感じもしていますね。それが希薄だと、こじれていくということがあるのかなと思っています。
○堀田座長 ありがとうございます。大変よい、中身の議論になってきておりますが。
○岡田委員 もう一つ、よろしいですか。私どもが今年報告をまとめた企業担当者アンケートで、中災防のアンケートのフォローも幾つかしているんですが、行政への期待というのがあります。これは担当者がどういうことを期待しているかということです。
 パワハラ防止ガイドラインの作成が66.9%、次がパワハラ自己診断などツールの提供が47.9%、パワハラに関する啓発・教育47.2%、パワハラに関する法整備47.2%というのが上位4番目に来ています。皆さんが求めているところに、こちらが何か提供できるとしたら、ガイドライン的なものを出していくことかなというのはあるかと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。今、岡田さんがおっしゃった資料は、本多さん、持っていますか。
○本多参事官 いただいております。
○堀田座長 そうですか、結構でした。田中委員、どうぞ。
○田中委員 感想めいたことになってしまいますが、ワーキング・グループで議論していくときに参考にというぐらいのことです。
 先ほど香山委員、岡田委員から、職場への期待値が上がっているというか、若い人の価値観が変わってきているんじゃないか。お二人の発言を聞いて、もう一回改めて考えると、職場の価値というのが変わってきているんだろうと私も職場で感じております。職場の価値というのは、従業員が持つ価値と、あと会社としてその職場で何を実現するかということも変わってきている。
 そうすると、会社の方から見れば、会社がその職場で何を実現して、従業員に何が提供できるかという視点になりますし、従業員の方から見れば、その職場がこういう価値を持って、そこに自分が自己実現するとか、こういう新しい付加価値を付けるという関係になってきて、職場の価値というのが変わってきているんだなというのを改めて感じた次第です。ですから、そういった観点をワーキング・グループで念頭に置いて議論されたらいいのではないかと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。経営側の経営者の今の御意見は、そういうことはよろしゅうございますか。大久保委員、どうぞ。
○大久保委員 職場の今の期待値の変化とか価値観の変化、まったくそのとおりだと思います。
 それ以外に背景にあるものとして、少し気になっているところは、例えば職場でパワーハラスメントのような実態があったとしても、職務が細分化されていまして、お互いに隣に座っている人が何をやっているか知らないという状況の職場が多いわけです。それぞれに踏み込まない、関わらないという風土もあって、しかも人事異動が非常に減っていまして、人間関係がこじれても、どっちかが人事異動するとリセットされるんですけれども、組織間流動性も下がっていますので、逃げ場がなくなってしまう。それも一つ背景にあるだろうと思います。
 あと、マネジメントスキルが非常に低くなっているというのも、多くの調査で実態として出てきています。特に今、上司になっている、課長クラスの人たちというのは、ちょうど景気後退期で部下のマネジメント経験が比較的少ない上に、プレイングマネジャーでいろいろな仕事を抱えている中の一つがマネジメントなので、それでうまくマネジメントできていなくて、破綻しているというケースも多分背景にはあるんじゃないかと思います。
○堀田座長 なるほど、ワーキング・グループでしっかり調べてもらえばと思います。公務員も人事異動が多いからいいですよね。どうぞ、山川委員。
○山川委員 一点だけ簡単に。大久保委員に全く同感でして、アメリカの人事管理ではコンフリクトマネジメントと言いまして、職場の利害対立をマネジメントするというか、管理することが職場でトレーニングとしてかなり行われていますし、重視されている。日本だと、職場の苦情・不満、これはひょっとして本来の管理職とか上司の重要な役割だったのかもしれませんが、その辺があまり強調されていないので、おっしゃられたように、それもメッセージとして出せればなと思います。以上です。
○堀田座長 ありがとうございます。本日、予定よりも議論の時間が随分たくさんあったわけですが、それでもあと5分少々であります。あとは来年1月に答えが出てくるわけですから、この際、これだけはというものがあれば。香山委員、どうぞ。
○香山委員 出口のところですが、私も企業で医務室にいて、同じ部署で何人か休職者が出たりすると、その部署の中の人間関係に問題があるだろうということで、そこのリーダーを呼んだりすると、「嫌がらせとかいじめに関するお説教ですか」みたいな感じで、ただでさえ今、企業はいろいろ大変な状況で、いろいろな課題があるのに、更にパワハラを産業医から怒られるんじゃないかというので、非常に萎縮したり、反感を買ってしまったりすることが多くて、これは悩ましいなと思っているんです。
 だからと言うわけではないんですけれども、明るい話題にはなりようもないんですが、先ほどから出ていますように、この問題を解決しないと大変だという脅しめいたものばかりではなくて、解決するとこんなにいいことがあるという、何か前向きな提言になればいいなという気もします。
 例えば全く問題が違いますけれども、ワーク・ライフ・バランスとか職場のダイバーシティの関係では、かなりいろいろな企業がうまく成果を出していますけれども、それなどでも本当に決まり文句のように、これはウィンウィンでワーク・ライフ・バランスとかダイバーシティを実現することが、もちろん従業員にプラスだし、そうしないと企業も生き残れないし、女性が長く就労を続けるとか、多様な価値観を持っている人が職場にいることが企業の成長にもプラスだと思ってくれている企業は、積極的にそういったことを取り入れて非常に円滑にうまくやっていると思うので。
 このパワーハラスメントの問題、嫌がらせの問題を解決することが、企業にとっても非常にプラスになることなのだというモチベーションを、企業の方にも、また何かとがめられるとか、締め付けられるとか、罰せられるというのではなくて、これは国際的にも生き残っていくためにも非常に必要なんだと、モチベーションを上げるような提言もいいんじゃないかなと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。では、お二方、順番に。
○佐藤委員 今、言われた出口の議論は非常に大事で、パワハラ対策、特別なことをやるということではなくて、例えば管理職はきちんと職場のマネジメントをやる。部下の人格を尊重する。多分、本来管理職ならばやらなければいけないことをきちんとやるように教育しなさいと。パワハラだから、これをやれというんじゃなくて、今、言われたようなことのメッセージを出せば企業は分かるのではないかと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。裏から行かずに表から企業の管理のあり方をしっかり言えばいいと。佐々木委員、どうぞ。
○佐々木委員 さっき、若い人が自己実現のためにというか、昔とスタンスが違うんじゃないかという話は、いくら議論しても私は答えは出てこないだろうと思っています。昔の人と今の若い人の価値観がどう変わって、それが行動にどう影響が出てきたかというのは検証できないだろうと。それぞれの知り合った人たちの、ある意味では先入観で決まってくるのではないかと思っています。
 同じような議論で、あまり建設的な話じゃないんですが、コミュニケーションの話です。パワハラの問題が上司と部下との深いコミュニケーションがとれなくなると答えたのは、上下、逆じゃないかという議論がありましたね。コミュニケーションというのは一体何だろうか。昔より今の方がコミュニケーションがとれていないのか。とれていないからパワハラが起こっているのか。これは、また検証はできないことだろうと思います。
 私、別に本の宣伝をするわけじゃないですけれども、この間メールをいただいて、会社をやめようと思って辞表を出したら、隣のマネジャーが「君、この本を読んでごらん」と言って、私の本「働く君に贈る25の言葉」、簡単に会社をやめるなという文章を読んだときに、まるで自分の事態を全部理解している先輩が私にアドバイスをくれているような気になって、涙がこぼれてしようがなかった。辞表を取り下げましたという人が3人、メールで来たんです。3人来たということは、その後ろにたくさんいるなと思うんです。
 そのとき私が感じたのは、そんなコミュニケーションをとれる相手もいないのかということです。自分が悩んだときに、職場にいない。それで、ちょっとした本を読んだだけで辞表を取り下げる。昔より今はコミュニケーションがとれているとか、とれていないとか、そういうのはいくら検証しても分かりませんよ。
 ですが、もし今の若い人たちがどうだこうだという議論をするんだったら、コミュニケーションの問題についても、答えは出ないとしても、マイナスになるというグラフになっているわけですから、これはおかしいという問題提起がされているわけですから、その辺は少し議論していただきたいなと思います。
○堀田座長 ありがとうございます。失礼ですが、本の題名は。
○佐々木委員 「働く君に贈る25の言葉」、半年間で35万部行きました。
○堀田座長 ありがとうございました。もう心行くまでお話いただきましたでしょうか。こういうことで、後はワーキング・グループに委ねたいと思います。あと2分ありますので、私も一言だけ言わせてください。
 非常に管理の厳しい検察・法務でありますけれども、私どもの中の優れた先輩たちから引き継いでおりますことは、部下を管理するにしても、被疑者を調べるにしても、叱ってもいいけれども、相手の人格を傷つけることは絶対にしてはいけない。相手の人格を傷つけると、部下は仕事をしなくなるし、被疑者は自白しなくなると教えられてきておりまして、ずっとそれを守ってきたつもりであります。それは正しいと私は思っております。そういう正当業務行為の範囲を画する一つの考え方かなと思っております。
 ということで、思い切りおっしゃっていただけたと思いますので、後はワーキング・グループにゆだねまして、来年1月、ここで出ました宿題が全部きれいに整理されて返ってくることを待つことにいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○堀田座長 では、後はよろしくお願いいたします。
○本多参事官 今日は充実した御議論、ありがとうございました。ワーキング・グループの進め方については、事務局と座長で相談させていただいて進めていきたいと思います。
 それでは、本日はこれで終了したいと思います。皆様、どうもありがとうございました。


(了)

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