年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方に関する検討会
中間とりまとめ
○ 『年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方に関する検討会』においては、平成21年11月30日の第1回会合以降、本年6月までに計8回の会合を重ね、厚生年金保険及び国民年金の積立金の管理・運用に関する様々な事項について、検討を重ねてきた。
○ 以下は、これまでの検討会における議論を踏まえ、項目ごとに主な意見を整理したものである。
(1)厚生年金保険及び国民年金の積立金の運用の目的について
[1] 公的年金の積立金運用に何を求めるかについて
・ 我が国の公的年金制度においては、将来の保険料率の引き上げや給付の削減を招かないための重要な国民の資産として、国民に納付が義務づけられて徴収された保険料のうち年金給付に充てられなかったものを、年金積立金として保有している。この年金積立金の運用においては、年金財政からの要請に確実に応えるため、(1)年金制度や年金財政との関係、(2)国民がどこまでリスクを許容できるかといったことを考慮しつつ、長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行うことが重要である。
・ 公的年金の積立金は、投資を目的としたものではなく、老後の年金給付に充てるために一時的に国が預かっているものであり、安全運用を基本とすべきである。また、運用に失敗した場合には、国民の負担に直結する重い問題であることを前提として、運用に何を求めるかを考える必要がある。
・ なお、公的年金の積立金運用について議論する際の「リスク」については、運用の失敗による損失という意味に限定せず、年金財政上予定された収益を下回ることにより将来の保険料率の引き上げや給付の削減を招くという視点を踏まえて議論する必要がある。
[2] 運用の目標について
・ 運用の目標については、
イ 年金財政の安定に必要な利回りとして、賃金上昇率を一定程度上回る利回りの確保を目標とすべき、
ロ 市場の運用環境に鑑みて、国債利回りを一定程度上回る利回りの確保を目標とすべき
という両方の意見があった。
・ なお、年金積立金は、年金給付を賄うためのものであることから、年金積立金管理運用独立行政法人(以下、「GPIF」という。)に示す運用の目標を、国債利回りを一定程度上回る利回りの確保とする場合であっても、給付水準において勘案される賃金上昇率との関係を踏まえたものとする必要があるという意見があった。
・ また、年金財政上必要とされる目標収益率を長期的に達成するというGPIFに課すべき目標が曖昧にされているという意見があった。また、この点に関しては、例えば、財政検証における運用利回りが名目の1つの数値で示される一方で、GPIFには、目標運用利回りとして「賃金上昇率+α」と示されてきたが、その両者の関係が整合的である旨が十分説明されてこなかったという意見があった。
・ 目標運用利回りの設定については、適切な経済見通しを前提とする中長期のマクロ経済的な観点からの分析なども含め、運用と年金制度や年金財政との関係をセットで議論するプロセスが必要である。
・ 経済見通しの前提の設定に当たっては、慎重な設定が必要であるという意見があった。
・ また、目標運用利回りの設定に当たっては、現実的なリスクとリターンの水準から判断することが必要であり、経済実態から乖離してはならない。加えて、デフレの下でマクロ経済スライドが機能しないために年金財政が悪化するような場合には、それに対応するために高い運用利回りを設定するのではなく、年金制度の見直しによって対応すべきである。
・ 平成21年財政検証は、今後100年の年金財政を見通しており、その経済前提において長期の実質経済成長率を0.8%、物価上昇率を1.0%とし、それを前提として、今後の労働力人口の減少を見込んで、賃金上昇率を2.5%とした上で、長期金利を3.7%、運用利回りを4.1%と設定している。第2期中期目標期間の運用目標を考える上で、これを目標運用利回りとするには問題があった。また、こうした数値が、運用対象資産や運用手法等の運用の在り方全般について、様々な議論を呼ぶ一因となっていることも否めない。したがって、今後、現在の暫定的な目標を本格的な目標に改める際や、運用の在り方の議論を進める際には、様々な経済見通しを慎重に見極めるとともに、現実的なリスクとリターンの水準など経済実態を踏まえたものとする必要がある。
・ また、上記の前提の中には、年金財政における将来の年金給付と保険料収入の双方に関係するファクターがあり、それを認識せずに名目の運用利回りの数値だけを見て議論すると、運用方法が適当でないものになる可能性がある。したがって、運用の目標について議論する際には、年金財政に影響する賃金上昇率などの経済指標を常に意識して、それに相応しい方法で運用していくことが大切であるという意見があった。
(2)運用の基本方針、運用手法や運用対象の在り方等について
[1] 基本ポートフォリオの策定・見直し及び資産配分の見直しについて
・ 基本ポートフォリオの策定に当たっては、年金制度、年金財政において、将来のどの時点でどの程度の年金給付と保険料収入があるか等を考慮した分析・対応が必要である。
・ 基本ポートフォリオは長期的なものであり、短期的な市場の変動を受けて直ちに変更すべきものではなく、また、市場動向を予測して頻繁に基本ポートフォリオを変更しても上手くいかないものである。
また、基本ポートフォリオは頻繁に変更すべきものではないが、これが最適なものであるか否かについては常に検証しつつ、経済局面が大きく変わるような場合には、これを見直す必要があるか検討するプロセスが必要である。
・ なお、現在の枠組みにおいて、基本ポートフォリオを変更するには厚生労働大臣及び財務大臣の了解を得て中期計画を変更する必要があることに留意すべきである。
・ また、基本ポートフォリオの乖離許容幅の範囲内での資産配分の見直しは、運用収益に関わるGPIFの重要な業務であり、その許容幅を最大限活用した資産配分の見直しを行うべきであるという意見と、一方で、市場環境の変動に伴って基本ポートフォリオに沿ったリバランスを行うことにより、運用パフォーマンスは自動的に安定化することから、裁量的に資産配分を変更して積極運用するのではなく、適切なリバランスを実施すればよいという両方の意見があった。
[2] パッシブ運用とアクティブ運用について
・ パッシブ運用については、費用が低廉で透明性が高く、パッシブ運用を多く使うことは合理的である。
・ アクティブ運用については、その平均的な収益はパッシブ運用に劣後していること、優秀なアクティブ運用機関の選択は非常に難しく、手数料も高いこと、また、GPIFの規模からは、アクティブ運用の余地は限られること等から、アクティブ運用の比率を下げるべきという意見があった。一方、過去のデータを見て、アクティブ運用は意味がないというのは誤りであり、アクティブ運用は市場における資金配分を効率化するという経済的に非常に意味があるという両方の意見があった。
・ アクティブ運用については、市場のベンチマークを継続的に上回ることは非常に難しいことであることを認識した上で、年金基金の側も運用哲学や必要な体制を構築し、検証結果に基づいた判断を行っていく必要がある。一方、パッシブ運用についても、運用機関のモニタリングなどの専門的な管理が必要である。
[3] 運用対象資産について
・ 運用対象資産については、
イ 国内の成長産業や海外の成長国に投資することにより、将来の経済成長、国民生活に不可欠な技術・産業の育成に貢献するとともに、そこからの収益を得ることを考えるべきである。また、長期の積立金運用に必要なリスク分散のために、インフレ、金利、経済変動、国別等の各々のリスクとリターンを計測し、全体としてのリスクレベルを最適化するため、技術革新、ベンチャーキャピタル、新興国への投資のような成長への投資(成長点投資)を検討すべき、
ロ 成長分野への投資や新興国への投資については、将来の「成長分野」を事前に見分けることは難しく、また、市場はすでに将来の成長をある程度織り込んだ値付けをしているため、リターンを得るのが困難である一方で、期待が外れた場合のリスクが大きいという面がある。また、新興国への投資は先進国にはないリスクが存在することから、将来の年金受給者の生活の糧をリスクにさらすことになり問題である。さらに、運用に失敗した場合には、国民の負担に直結することに鑑みれば、低リスクの資産による運用を第一に考えるべき
という両方の意見があった。
・ 全額国債で運用するという見解については、
イ 市場への政治の介入を排除するといった問題意識から、非市場性国債のみで保有しているアメリカと同様に、公的年金積立金の運用は、全額国債での運用とすべきである。また、リスクを取って高いリターンを目指す運用は国が行うべきではなく、公的年金積立金の運用に外債や株式などによる運用に伴う不確実性を挟むべきではない、
ロ 年金制度は保険料と給付額が決まっており、リスクは取りにくい。安全運用の観点から、基本的には国債を中心とした運用に徹し、リスクを最小限にするべき、
ハ 国債のみによる運用は、金利変動リスク(金利上昇による債券価格の下落)があり、年金財政上必要とされる収益率を下回った場合に年金財政が悪化するリスクがあること、また、国債自体のリスクがあること、国債での運用は将来の税収に依存しているということ、公的年金の重要な役割の1つであるインフレリスクの回避という点からすると、インフレリスクの高い国債で積立金の全額を運用するということはリスクが高いということに留意が必要である、
ニ 年金財政が期待する収益を国債だけで賄えるのであれば国債だけの運用でよいが、賄えない場合には、どこまで運用に期待し、どのようなリスクをどこまで取るかについて、合意形成が必要
という様々な意見があった。
[4] 経済成長との関係について
・ 年金積立金は長期の資金であり、国内の成長産業や新興国に対して安定した資金供給を行う役割を果たすことにより、経済成長や産業構造の転換を促し、年金積立金の運用収益の向上も図ることができるのではないかという意見があった。
・ 一方、年金積立金は、年金給付に充てるための国民の重要な資産であり、年金積立金の運用によって経済成長を促すという立場に立つべきではなく、また、年金積立金の運用の基本理念は、長期的な経済成長に伴う果実を享受するということであることから、運用をどうするかということの前に、日本経済が成長することの方がはるかに重要であるという意見もあった。
・ また、国内株式市場が過去20年にわたり価値を生み出して来ていないという事実を大きな問題として共有すべきであるという意見があった。
(3)運用組織、体制、ガバナンス及び説明責任等について
[1] 運用組織、体制、ガバナンス及び説明責任について
・ 公的年金の積立金運用に何を求めるかによって、運用組織やその体制、ガバナンスも異なってくる。
・ 諸外国を見ると、カナダ、スウェーデンなどの公的年金の積立金運用組織においては、意思決定主体と執行機関を分離するとともに、意思決定主体がその業務執行の監視を行う組織になっている。一方、アメリカは、その積立金額は極めて巨額であるものの、非市場性国債による運用であることから、運用のための組織はない。
・ GPIFは、独立行政法人として、主務大臣である厚生労働大臣から指示された中期目標及びその認可を受けた中期計画に基づき業務を執行することがその役割であり、GPIFの意思決定も、主務大臣(厚生労働大臣)から授権された範囲に限定されているものである。
・ 運用組織の政府からの独立性という観点から、年金運用の委託者である厚生労働大臣(厚生労働省)からGPIFを分離・独立させることが必要ではないかという意見があった。
・ また、GPIFを監視・監督する厚生労働省が十分にその機能を果たしていないということから、諸外国の例を参考に、GPIFを監視・監督する体制について検討すべきではないかという意見があった。
・ 運用の組織・体制については、運用の手法や運用対象資産の在り方によって必要な組織・体制は異なることから、例えば、
イ 全額を国債で保有することとした場合には、財務省で一元化することができ、運用組織は必要ないが、一方で、国債の発行者の目的と運用者の目的とが相反する可能性もある、
ロ パッシブ運用のみを行うこととした場合には、大きな運用組織は必要ない、
ハ 新興国、新商品への投資やアクティブ運用などの積極的な運用の拡大を行うこととした場合には、体制の充実が必須であり、十分な体制がないままに積極的な運用をすることは、受託者責任違反、注意義務違反になりかねない。また、体制を充実する場合、専門性に応じた処遇も考える必要があるのではないか
という様々な意見があった。
・ 現在のGPIFの業務の進め方については、
イ 「方針決定」及び「業務の執行」は、理事長1人の専管事項となっているが、運用委員会との関係で、実質的な権限と責任が不明確となっている。また、意思決定過程における複数の専門家による多面的な検討ができていない、
ロ 業務の執行機能と監視機能が明確に分離しておらず、また、「方針決定」及び「業務の執行」への監視機能が弱い
ことから、主務大臣によるGPIFに対するガバナンスの強化を含め、ガバナンスの強化が必要ということについては、意見が一致した。
・ このため、運用の組織、体制及びガバナンスの見直しを行うに際しては、
i)政府とGPIFの間で意思決定及び監視における役割分担を明確化すること、
ii)GPIFにおける意思決定、業務の執行及び監視の三つの機能を、どのような機関が、どのように担うか明確化すること、
iii)GPIFにおける意思決定は、理事長一人の専管となっている現在の仕組みを改めること、
iv)GPIFにおける意思決定及び業務の執行に対する監視機能を強化すること、
が少なくとも必要であり、本検討会の中で更に検討し、結論を得る必要がある。
・ こうした見直しを行うに当たっては、意思決定、業務の執行及び監視の機能を、どのような機関が、どのように担うこととするかによって、様々なバリエーションが考えられ、今後、本検討会において、運用組織、体制及びガバナンスを検討する際に、より具体的な案を念頭に置きつつ考えていく必要がある。この場合、GPIFの真のあるべき姿を議論することが必要であるため、現行の独立行政法人の枠組みにとらわれず、具体案を検討するという考え方が重要である。また、運用の組織、体制及びガバナンスの見直しにより、現行の独立行政法人の枠組みの中では対応できず、法改正等の制度改正も必要となる場合もある。
・ いずれにしても、運用委員会におけるポートフォリオの見直し等の専門的な検討やGPIFの業務執行の監視といった機能の強化が必要である。また、理事長は、GPIFの運用に関し、主務大臣及び運用委員会に対する説明とともに、国民に対する説明責任を十分果たすことが必要である。
・ また、厚生年金保険の積立金の原資は、労使が拠出した保険料であり、積立金の運用方針の決定プロセスに労使が参加できる仕組みが必要であるという意見があった。
[2] 組織を分割して運用することについて
・ 120兆円全体を1つの組織で運用する事自体が国民に不安を与えているということから、
イ 国債のみの安全運用部分と、リスクをとって運用する積極運用部分に明確に分けて運用する方が、国民にとって分かりやすく、安心感がある
という意見があったが、
ロ 運用は資産全体で最適化を図るべきものであるため、資産を2つの組織に分けて運用することは基本的には意味がなく、また、組織を分けることにより管理部門が複数必要になるなど、かえって非効率となることから、1つの組織の中で、資金規模に応じた適切な管理方法を考えればよい。また、積極運用部分に多額の手数料が必要となるだけでなく、不透明な運用との指摘を受ける恐れもあることから、運用として決して好ましいものにはならない、
という意見があった。
[3] 人材の確保・育成について
・ GPIFは、その資産の大半を外部の運用機関に委託して運用していることから、運用受託機関を選定・管理・監督できる能力・経験のある人材の確保・育成が必要である。また、ガバナンス、組織改革に見合った人材の確保・育成が必要であり、それに向けて柔軟に対応していく必要があるという意見があった。
・ GPIFの重要な業務として基本ポートフォリオの策定のみならず、更に資産配分の適時・適切な見直しの業務を行う場合には、そのための経済情勢等の調査・分析を専門的に行う人材が一層必要であるという意見があった。
・ また、今後、成長分野への投資を積極的に行うこととした場合には、長期的なマクロレベルでの成長要因の分析を行った上で、実際の資産配分を進める必要があり、そのためには、人口動態や技術革新を分析し、成長率推計を行うといった経済的なアプローチをし、ポートフォリオを構築し、リスク管理ができる常勤の専門家の採用が必要であるという意見があった。
・ さらに、運用の組織・体制及びガバナンスの見直しの動向によって、その運用組織・体制にふさわしい人材を登用できるように、その選定方法や必要な人材・能力を明確にした上で、人事・組織の見直しや人材の確保・育成を計画的に進める必要があるという意見があった。
[4] その他
・ 独立行政法人は経費削減が第一の目標であり、年金の運用目標を達成することが後回しになっているという問題意識から、日銀のような特別な法人格が必要ではないかという意見があった。
(4)社会的責任投資(SRI)について
・ 社会的責任投資(SRI)など、ESG(環境、社会的責任、ガバナンス)に配慮した投資については、
イ 年金生活者の将来の生活基盤である地球環境や社会・経済の在り方を考慮して、公的年金積立金の運用を考えるべきであり、こうした運用を行っている諸外国や各共済も参考に早期に実施してはどうか、また、受託者責任との関係についても議論をすべきである、
ロ 社会的責任投資(SRI)は、安全かつ効率的という運用の行動基準と対立する面があることから、公的年金の積立金運用においては、対象としない方がよい、
という両方の意見があった。
(5)終わりに
・ 年金積立金は、将来の年金給付のための貴重な財源であり、その運用の在り方については、国民的な議論、幅広い観点からの議論が必要である。
・ この中間とりまとめにおいては、意見が一致している事項と、意見が分かれている事項があり、特に、運用組織、体制等のいわゆる「ガバナンス」の在り方については、見直しの必要性については一致しているものの、どのように見直すべきかについては、様々な意見があり、結論が出ていない。
・ 今後、この中間とりまとめを踏まえ、年末に向けて更に議論が進められる必要がある。
<検討会で出された主な意見>
(1)厚生年金及び国民年金の積立金の運用の目的について
[1] 運用に何を求めるか
・ 公的年金積立金の運用に対して何を求めるかによって、必要とされる運用組織のガバナンス体制も異なってくる。
・ 所得の少ない人にとって公的年金は命の綱。それを認識して議論を組み立てないと、国民の信頼がなくなってしまう。
・ 年金積立金は、投資をして欲しいということではなく、老後のためにということで一時的にお預かりしたものであり、安全運用が基本である。
・ 公的年金の積立金運用において、運用に失敗した場合には、国民の負担に直結する重い問題である。それを前提として、運用に何を求めるかを考える必要がある。
・ リスクを取って高いリターンを目指す運用は民間が行えば良いのであって、公的年金の積立金運用においては、外債や株式などの不確実性を挟むべきではなく、積立金は縮小することを検討すべき。
・ 政治的なリスクを伴うことになることから、巨額の積立金は持つべきではない。保険料率アップを抑えるため、早めに積立金の圧縮を図るべき。
・ 今後、高齢者が倍に増え、現役が減っていく状況では、積立金なしでは年金の受取額が半分以下になる。高齢化の進展による世代間の不公平を許容できないということで、積立金がある。
・ 年金の負債を気にしながら運用を行うカナダ、デンマーク、スウェーデンなどと、現時点では払い出しがないため、純粋に積み立てているフランス、アイルランドなどでは、積立金の性格が異なり、どのくらいのリスク・リターンをとるかにも影響する。
[2] リスクをどう考えるべきか
・ 年金財政の問題や年金制度が抱える問題、リスクと運用の在り方は密接な関係がある。
・ ここでリスクとは、将来給付の削減若しくは保険料率のアップの可能性である。
・ 投資政策を考える上では、リスクをどこまで取るか、国全体、国民合意として短期的な損失をどこまで許容できるかが重要。
・ 単に安全かハイリスクかではなく、年金の財政状況などについて広報をして、国民の意思を問うなど、慎重に議論すべき。将来の給付の削減若しくは保険料率のアップが許容できるのならばハイリスク運用も合理的となるが、そうでない場合には安全運用が中心となる。
・ これ以上リスクをとることに国民の理解が得られるかについては大きな問題がある。
・ 年金財政の安定に必要とされる利回りを越えないことがリスクであり、それを「安全」といっているところに問題がある。
・ 公的年金の積立金運用について議論する際の「リスク」の定義について、収益の変動幅を意味する「リスク」と、目標運用利回りを超えることができない「リスク」などといった様々な意味があり、その定義の違いに留意して議論すべき。
[3] 運用目標をどう設定するか
・ 将来の年金給付が賃金上昇率あるいは物価上昇率によって変動するため、賃金上昇率若しくはそれを上回る実質的な利回りである「賃金上昇率+α」を運用目標とすべき。
・ 実際の運用環境を考慮して、どの程度のリスクを取って運用するかを基本に考え、「長期金利(国債の利回り)+α」を運用目標とすべき。
・ マクロ経済スライド方式の機能不全による年金財政の悪化を糊塗するために、経済や市場の実態からかけ離れた運用目標が設定されたのでは、基本ポートフォリオは策定できず、運用の執行も不可能である。
・ 現実的でない運用目標が提示されないようにするために、財政検証を担当する厚労省と運用政策の策定を担当するGPIFが協議して運用目標を決定してはどうか。
・ かつて厚生労働省に設置されていた資金運用分科会のような、年金制度や年金財政と、積立金の管理・運用をセットで議論する場が必要
・ 公的年金の積立金は、労使が拠出した保険料であり、運用方針の決定プロセスに労使が参加できる仕組みが必要である。
・ 目標運用利回りの設定については、年金制度や年金財政との関係や、マクロ経済的な観点からの分析なども含めて考える必要がある。
・ 現在の第2期中期目標における目標は、年金制度の抜本的な見直しやこの検討会での検討が進められていることから、暫定的なものとなっているが、今後、どのような過程を経て目標設定がなされるのか、整理が必要。
・ 平成21年財政検証の長期の名目運用利回りの前提である、4.1%が目標であり、これを超えないことがリスクである。
・ 目標は名目運用利回りで考えるのではなく、現行制度が成り立つのに必要な利回りを確保するために、最低限のリスクで運用することを考えるべき。
・ 平成21年財政検証における経済前提が現実から乖離しているとした場合、これを達成しようとすると余計なリスクを抱え込む恐れがあり、また、そのため、早い段階で財政検証をやり直すべき。
[4] その他
・ 公的年金の積立金運用においては、時価評価を前提とすべきであり、実質的な影響を説明すべき。
・ 国家公務員共済組合連合会の積立金運用においては、年金の負債を考慮したアプローチを採用しており、公的年金の積立金運用においても、これを参考にすべき。
(2)運用の基本方針、運用手法や運用対象の在り方等について
a) 運用の基本方針
[1] ポートフォリオの見直しについて
・ ポートフォリオは長期的なものであり、1年間で市場価格が変動したからといって、すぐに変えるべきものではない。また、専門家がタイミングを取って運用するのはうまくいかないことが定説。
・ GPIFは経済情勢の変動に応じてポートフォリオの配分を見直すことが業務であるのに、リーマンショックやグローバル経済のアジアへのシフトを大きな変化ととらえて、ポートフォリオの変更をしなかったのはなぜか。5年間動かさないというのは運用の現実にあっていない。
・ 経済局面が大きく変わる、あるいはそういうシグナルが発生した場合は、基本ポートフォリオをよく見直すことを求めるような形にすべき。
・ 期待リターンは変動しており、それを分析してポートフォリオを常に検証し、変えなければならない。
・ 現在の枠組みにおいて、基本ポートフォリオを変更するには厚生労働大臣及び財務大臣の了解を得て中期計画を変更する必要があり、機動的なポートフォリオの見直しには限界がある。
b) 運用手法や運用対象の在り方等
[2] アクティブ運用とパッシブ運用について
・ パッシブ運用については、費用が低廉で透明性が高く、パッシブ運用を多く使うことは合理的。
・ アクティブ運用の平均はインデックス運用に負けている。また、相対的に優秀なアクティブ運用機関を選択することは誰にもできず、費用も高いことから、比率を下げるべき。
・ GPIFの規模を考慮すると、実際問題としてアクティブ運用の余地は限られる。
・ パッシブ運用についても、運用機関のモニタリングなどの専門的な管理は必要。
・ 過去のデータを見て、アクティブ運用は、インデックス運用に勝っていないために意味がないというのは間違い。アクティブ運用により資金がきちんと配分されるといったことに経済的には非常に意味がある。
・ アクティブ運用については、市場指標に継続的に勝つことが非常に難しいことであるのを認識した上、年金基金の側もそれなりの哲学や体制を構築し、検証結果に基づいた判断を行っていく必要がある。
[3] 運用対象資産とベンチマーク
イ 新興国や成長分野などへの投資について
・ 国内の成長産業や海外の成長している国(インド・中国等の新興国)に投資することにより、将来の経済成長、国民生活に不可欠な技術・産業の育成に貢献するとともに、そこからの収益を得ることを考えるべき。
・ 成長分野に投資してこなかったから、現在のような状況がある。投資対象を見直していないので、新興国の成長の果実が得られていない。
・ 成長分野への投資は、将来の年金受給者の生活の糧をリスクにさらすことになり、問題。
・ どういう分野が成長するかは、過去を振り返って初めて分かるものであり、10年前に見通すことは難しい。
・ 市場価格は将来の成長を織り込んで値付けされるため、期待水準以上に成長しないとリターンは得られない可能性が大きい。
・ 新興国を含めたワールドワイドなベンチマークを採用することは、理にかなっている。ただし、新興国への投資は、10数年前のアジア通貨危機を見ても、先進国にはないリスクがいろいろと存在するため、予めそれらへの対処法等に留意しておくことが必要。
・ 諸外国における運用手法については、株式・債券以外にも、不動産商品等は一般的に見られるが、最近はインフレ対応資産としてインフラ投資が目立ってきている。
ロ 全額国債で運用することについて
・ アメリカは、年金積立金を市場で運用すると、政治介入などを排除できないという問題意識から、長い論争の末、すべて国債で運用している。日本においても、年金積立金の運用は、全額国債とすべき。
・ 現実に市場運用していることも踏まえると、現行法に基づき「安全かつ効果的」な運用、基本的には国債を中心とした運用に徹するべき。リスクを最小限にし、リスクの責任が取れる範囲で運用することが必要。
・ 年金制度は保険料と給付が決まっており、リスクは取りにくいことから、国債を中心とするしかないのではないか。
・ 全て国債でやれば簡単かというと、金利変動リスクや国債自体のリスク、インフレ傾向が強い場合のリスクもあり、それも難しい。
・ 積立金の運用目標は賃金上昇率を上回るリターンを確保することにあり、その場合、各資産のリスク・リターンも賃金上昇率との相対で把握する必要がある。この意味では国債にもリスクがあり、よりリスクの小さい資産として物価連動債等を検討すべき。
・ 国債での運用は、将来の税金をあてにしているに過ぎない。証券市場の理論から言うと、国債は必ずしも資産ではない。
・ 年金制度の要求する利回りが、国債だけで賄えるのであれば国債だけで運用すればいいが、国債等で賄えない分については、(1)どこまで運用に期待するのか、(2)どのリスクをとって、どのリスクはとらないかを判断し、合意形成を行うことが必要。
・ 積立金の運用は、各国各様であり、アメリカのように全額国債のところもあるが、逆に、アイルランドのように自国の国債には投資しないと決めている国もある。
ハ その他
・ インフレヘッジという観点からは、株式や不動産など、価値の裏付けがある「リアル」なものに投資することが必要であり、また、オルタナティブ投資は、債券とも株式とも連動しない、本当の意味でのリスク分散として行うことが考えられる。
・ 仮にリスクがあまり取れないとすると、株式に変わる新たなミドルリスク・ミドルリターン資産を探し、運用する必要がある。例えば、不動産、インフラファンド、低格付け社債等が検討される必要がある。
・ 投資の基本理念は、長期的な経済成長の果実を確保していくということ。したがって、投資の議論の前提が崩れないためにも、運用をどうするかより、日本の経済成長戦略の方がはるかに肝心要の問題である。
・ 国内株式市場が過去20年にわたって価値を生み出してこなかったのは大きな問題。公的年金も企業年金も国内の株式への投資が報われてこなかったという事実を共有して、今後の投資やコーポレート・ガバナンスの議論に活かしていく必要がある。
(3)運用組織、体制及びガバナンス等について
[1] 意思決定と執行体制の在り方について
(現在の体制の課題等)
・ 公的年金積立金の構造的な課題として、政治的な影響が不可避であること、損失が出たときの批判など運用に対する国民の意見に左右されること、があることから、ある程度専門的な、独立した政策決定の仕組みが必要。
・ GPIFは、理事長が運用の実行部隊であり、上層部にも厚生労働省からの出向者がおり、政府からの独立性がない。
・ 運用委員会の機能として、「運用方針の決定」と「業務執行」、「業務執行の監視」の区別ができていない。
・ 運用方針の決定などに積立金の原資の拠出者たる労使の代表が参画する仕組みになっていない。運用委員会や管理運用会議に労使の代表も含まれているが、これによってガバナンスが効いているかどうかは疑問。
・ 運用委員会は諮問機関だが、それを適切に監視・監督する組織が政府部内に存在しない。
・ 運用委員会は、執行部門の中ではなく、政策決定にかかわる機関であった方が合理的ではないか。
・ 基本ポートフォリオは、政策の一部なので、GPIFではなく、政策決定部門(政府)が目標と一体で決めてもいいのではないか。
・ 運用委員会は運用政策決定機関とし、責任と権限を与える(委員長は理事長で構わない)。主な任務は基本ポートフォリオの策定、変更、及び運用機関の選定とする。それとは別に、それら決定内容、運用成果を監視・監督する運用評価委員会をGPIF内に設ける(年4回程度の開催)。これは独立行政法人の評価委員会とは別で、より頻繁な評価を目的とする。また政府内での運用目標等の策定の際には運用委員会からも参画する。
・ 現在の「運用委員会の助言により理事長専管で決定する」というGPIFの意思決定の方式は機能していない。運用委員は非常勤で必ずしも運用の専門家でないので、市場動向や運用手法などについて十分な分析や対応ができていない。一方、理事長は運用委員会の決定を尊重して、判断を避けてしまう。この方法は、責任の所在を曖昧にしており、当面はこの意思決定の在り方を改善する必要がある。
・ GPIFにおいては、責任と権限を持つ理事の合議によって意思決定をすべき。この場合、理事は運用の専門家で、常勤とし、十分なスタッフを付けることが必要。
・ 独立性の確保、どう運用したいかということへの答えを踏まえつつ、日本ならではの最適なガバナンス体制を検討すべき。
・ 業務の監視と執行を明確に分離し、運用委員会は、執行役としてのGPIFの監視に徹することが必要。
・ そのため、開催頻度については、月に1回程度開催することが適当。
(諸外国の体制)
・ 諸外国の公的年金積立金の運用組織のガバナンス・モデルは、大きく2つに分かれる。
・ 1つが「独立型ガバナンス・モデル」(ある程度のリスク・リターンを追求したいというもの。カナダのCPPIBやスウェーデンのAPなど諸外国の公的年金積立金の運用組織の多く)
・ もう一つが「法定型ガバナンス・モデル」(低リスク・低リターン、低コストで運用したいというもの。アメリカのソーシャル・セキュリティ(全額非市場性国債を保有))
・ 「独立型ガバナンス・モデル」においては、政府と積立金運用組織の間に統治主体(理事会)を設け、意思決定主体と執行部隊を分離。これにより、政治介入や政府からの干渉などのリスクを遮断。より自律的な組織になるが、同時に説明責任も伴う。
・ 理事会は、非常勤で年に何回か集まり、集中的に審議。意思決定の責任・権限は理事会にあり、理事会が決定しないと何も動かない。
・ 理事会の理事などの任命は、カナダ、アイルランド、スウェーデンは財務大臣、デンマークは雇用担当大臣、スイスは連邦内閣。
・ ノルウェーは、(政府と別の統治主体を設けている)諸外国と異なり、運用組織は財務省から委託を受けた中央銀行の中にあり、財務省が運用を監視。
[2] 運用手法や運用対象に応じた組織・体制について
・ GPIFは公的な性格を持つため、国民の負託に応えるのに十分な体制かどうかをよく議論すべき。それは、運用に何を求めるかとも不可分である。
・ 国債だけで運用するのであれば、財務省に一元化したらよい。また、ポートフォリオを固定し、かつ、インデックス運用を行うのであれば、大きな組織は必要ない。
・ 国債だけで運用する場合の財務省への一元化については、発行者の目的と運用者の目的とは相反する可能性があるため、一元化は避けるべき。
・ 積極運用の拡大や、新興国、新商品に投資する場合には、GPIFにおける管理体制の充実が必須。十分な体制がないままそのような運用を求めれば、受託者責任、注意義務に違反することを強いることにもなりかねない。
・ アクティブ運用を実施するのであれば、専門的な見識を持って運用会社を選定する必要があり、条件がそろわなければ成功しない。
・ インハウスにするか、外部委託にするかも各国各様で、その比率によって組織の人数も変わってくる。
・ GPIFにおいて運用することのメリットとしては、規模が大きいことから、手数料を低く抑えられ、正確な情報が利用可能なこと、分散投資が可能であり、長期的な観点からの運用であることから、普通の投資家が取れないリスクを取れることである。
・ GPIFにおいて運用することのデメリットとしては、規模が大きすぎて、運用がしにくいこと、投資家の心理や機関投資家の組織の歪みにより、運用は必ず失敗するということがあるが、これについては、規模のメリットとのバランスであり、ガバナンスの強化により、デメリットを小さくする工夫が可能である。
[3] 分割して積極運用することについて
・ 120兆円全体を1つの組織で運用をするという形態になっていること自体が国民に不安を与えている。完全に国債のみの安全運用部分と、リスクを取って運用する積極運用部分に明確に分けることで、むしろ国民の安全、安心感が上昇するのではないか。
・ 現在7割国債を持っているとすれば、残りの3割についてリスクを取った運用をして、その部分について、例えば4%といった目標を設定すべき。
・ 分割運用のメリットとしては、競争により全体のパフォーマンスが良くなる、専門性の高い運用機関の能力が利用できる、意思決定が分散化され、安定した収益が上がるということ。
・ 年金基金がどれくらいの規模でなければならないかということはなく、120兆円の規模であれば、その大きさに相応しい運用の仕方、組織の持ち方をすればよい。1つの組織の中で、運用のジャンルごとに管理する部門を分けるという考え方もある。
・ 資産運用は資産全体を最適化することが大切であり、資産を二つに分けて運用することは、基本的には意味がない。また、組織を分けると管理部門が二つ必要になったりするので、効率的でない。
・ 積立金を分割して積極運用をすると、米国の色々なファンドや、SWFのように大失敗してしまう。
・ 国家ファンド的なものを作るという話があるが、金融界に巨額の手数料が配分されることになる。大きな金融版の公共事業と言えるのではないか。
・ スウェーデンは、基金を4分割しているが、リターンに大きな差が出ておらず、コスト節約のため1つにした方がいいという考え方も出ている。
・ 分割運用のデメリットとしては、運用機関相互の政策の不整合が起き、全体のリスク分散が不十分となる、リスクテイクが歪められる、全体として相殺するような取引が行われるといったこと。
[4] その他
・ 人材の確保という観点からは、一流のファンドマネージャーではなく、ファンドマネージャーを管理・監督できる専門家が必要。
・ ガバナンスの見直しと同時に、あるいは別個に、運用者、運用の管理・監督者、外部の運用機関を選定する能力・経験のある者といった、運用に最適な人材の確保が必要であり、また、バックオフィス業務と運用業務の人材は分けて考える必要がある。
・ 今後、キャッシュ・アウトが必要になるため、インハウス運用の強化も必要。
・ 独法の枠組みの中では、まず経費削減が第一の目標であり、年金の運用目標を達成することは後回しになっている。したがって、例えば日銀のような、特別な法人格が必要ではないか。
(4)その他全般について
[1] 社会的責任投資等について
・ 年金生活者の将来の生活基盤である地球環境や社会・経済の在り方を考慮した議論をすべき。
・ 120兆円という巨額の投資の責任という視点から、社会や世界の問題の解決に向かうのかどうかは、大きな問題。年金が加入者の将来の生活基盤を支えることが目的なのであれば、投資の結果、それがどうなるかを考えるべき。
・ 公的年金の運用における受託者責任をどう考えるのか。海外の公的年金運用組織の中には、国連のPRI(責任投資原則)に署名しているところもあり、ESG要因(環境、社会的責任、ガバナンス)を考慮した責任投資の意識が高まっている。日本においても議論すべき課題。
・ 消費者がESG配慮をしている企業をもっと支持する社会を作り、それがよりよいパフォーマンスにつながっていくという話であり、政策による誘導も非常に重要。
・ SRI(社会的責任投資)は、効率的な運用という本来あるべき行動基準や投資が評価されるべき行動基準と対立する面が出てくるため、公的年金の運用には持ち込まない方がいいのではないか。
・ ESGが重要であることは誰も異論がないと思うが、それと投資は必ずしも直接的にはつながらない。リターンが低くてもESG投資を行うのか、どれだけ投資するかが問題。
・ 現実の投資と矛盾することが多々想像されるので、国連や国連に準ずる国際機関、主要国の参加する条約などで打ち出した上で、各国の年金基金がそれに従うことにしてはどうか。
・ ESGに配慮しない企業はいろいろなリスクをはらんでおり、持続可能性の問題もあるので、投資家として企業評価をする際のファクターとしては見逃せないが、超過収益が得られるかどうかは難しい。また、企業の実力に比して過剰な資金が流れると、資本市場を歪めてしまうことにもなるため、留意が必要。
・ 明確な定義はないが、SRIは投資戦略や投資商品のひとつの分野を連想させるのに対し、PRIはまさにアセット・マネジャーや運用機関等の行動規範のようなものであると思われる。そのあたりをきちんと区別して議論していくべきではないか。
[2] その他(株主議決権など)
・ 株主議決権については、行使ガイドラインを作るべき。地共連はガイドラインを作成しており、こういうことを通じて社会的価値を創造していくことも必要。
・ 株主議決権のガイドラインを作ることが、どれだけ効果があるか疑問で、優先順位の低い課題である。
・ 国内株式市場が過去20年にわたって価値を生み出してこなかったのは大きな問題。公的年金も企業年金も国内の株式への投資が報われてこなかったという事実を共有して、今後の投資やコーポレート・ガバナンスの議論に活かしていく必要がある。(再掲)
年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方に関する検討会
(メンバー)
氏名 | 所属・現職 | |
---|---|---|
浅野 幸弘 | 横浜国立大学経営学部教授 | |
(座長) | 植田 和男 | 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 |
小島 茂 | 日本労働組合総連合会総合政策局長 | |
小幡 績 | 慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授 | |
末吉 竹二郎 | 国連環境計画・金融イニシアチブ特別顧問 | |
富田 邦夫 | 三菱電機株式会社顧問 | |
富田 俊基 | 中央大学法学部教授 | |
村上 正人 | 株式会社みずほ年金研究所専務理事 | |
山崎 元 | 楽天証券経済研究所客員研究員 | |
山崎 養世 | 総務省顧問 山崎養世事務所社長 | |
米澤 康博 | 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 | |
(五十音順、敬称略) |
年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方に関する検討会
(開催状況)
日程 | 議題 |
---|---|
第1回 平成21年11月30日 |
○ 検討会の設置について ○ 今後の年金積立金管理運用独立行政法人の運営について |
第2回 平成21年12月24日 |
○ 次期中期目標における運用目標について ○ 今後の検討会の進め方について |
第3回 平成22年1月22日 |
○ 年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方について(ヒアリング等) ・ GPIF理事長 川瀬 隆弘氏 ・ 一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授 本多 俊毅氏 ・ 検討会メンバー 山崎 養世氏 ○ 次期中期目標における運用目標について |
第4回 平成22年2月22日 |
○ 年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方について(ヒアリング等) ・ 元GPIF運用委員会委員 鹿毛 雄二氏 ・ 検討会メンバー 村上 正人氏 |
第5回 平成22年3月18日 |
○ 年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方について(ヒアリング等) ・ 野村資本市場研究所主任研究員 野村 亜紀子氏 ・ 検討会メンバー 小島 茂氏 ○ 検討会で出された主な意見の整理について |
第6回 平成22年4月12日 |
○ 年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方について(ヒアリング等) ・ 検討会メンバー 浅野 幸弘氏 ・ 検討会メンバー 末吉 竹二郎氏 ○ 検討会で出された主な意見の整理について |
第7回 平成22年5月17日 |
○ 年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方について(ヒアリング等) ・ 検討会メンバー 山崎 元氏 ・ 検討会メンバー 小幡 績氏 ○ 中間とりまとめに向けた意見の整理について |
第8回 平成22年6月 7日 |
○ 中間とりまとめ(案)について |
(肩書きはいずれも当時) |