厚生労働省

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厚生科学審議会科学技術部会
第9回ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会
議事概要

1.日時

平成21年10月7日(水)17:00〜19:00

場所

厚生労働省 17階 専用第21会議室

2.出席委員

永井委員長 青木委員 阿部委員 位田委員 貴志委員
高橋委員 戸口田委員 中畑委員 中村委員 松山委員
水澤委員 湊口委員 山口委員

(事務局)

厚生労働省医政局研究開発振興課

3. 議事概要

厚生科学審議会科学技術部会に平成21年9月15日付で、新たに付議された名古屋大学医学部附属病院、東京医科歯科大学医学部、有隣厚生会東部病院、天神会新古賀病院、徳島赤十字病院、島根大学医学部附属病院、奈良県立医科大学、および国立循環器病センターからの申請をあわせた、計8件の申請について審議された。

その結果、8件の申請について次回審査委員会以降も継続して審議していくこととされた。

(審議された臨床研究実施計画の概要は別紙1〜8参照。)


(別紙1)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年10月7日審議分

研究課題名 非培養自己ヒト皮下脂肪組織由来間葉系前駆細胞を用いた腹圧性尿失禁治療の有用性に関する研究
申請年月日 平成21年8月11日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:名古屋大学医学部附属病院

研究責任者:後藤 百万

対象疾患 腹圧性尿失禁
ヒト幹細胞の種類 ヒト皮下脂肪組織由来間葉系前駆細胞
実施期間及び
対象症例数

登録期間 承認後から平成25年3月31日まで

計30症例(女性10例、男性20例)

治療研究の概要 皮下脂肪組織由来間葉系前駆細胞(ADRCs)は、腹部または臀部の皮下脂肪から従来の脂肪吸引法により採取し、ADRCs分離装置により回収する。障害された尿道の括約筋及び尿道粘膜下に経尿道的内視鏡下で注入し、括約筋機能を回復させ、尿失禁を治療する。ADRCsが括約筋障害のために開いた尿道を閉鎖すること、ADRCsが括約筋再生に向かうこと、ADRCsから分泌されるサイトカインが局所の血流を改善することなどが、尿失禁を改善させる機序と考えられる。
その他(外国での状況等) ADRCsを用いた腹圧性尿失禁治療は国内外において行われていない。オーストリアにおいて間葉系細胞を用いたヒト培養自己骨格筋細胞を使用する臨床再生治療が行われているが、培養過程における安全性の問題は大きなハードルとなる現状がある。
新規性について ADRCsを用いる本研究では、細胞供給源として大量の前駆細胞が含まれる脂肪組織を用いる。細胞分離装置を用いることで、短時間で前駆細胞が得られる。さらに、腹圧性尿失禁に対する、ADRCsを用いた臨床研究は世界で初めてのものであるという点で、新規性が極めて高い。

(別紙2)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年10月7日審議分

研究課題名 末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植治療のランダム化比較試験
申請年月日 平成21年8月20日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:東京医科歯科大学医学部

研究責任者:金子 英司

対象疾患 既存の治療に抵抗性の末梢動脈疾患(慢性閉塞性動脈硬化症・バージャー病)
ヒト幹細胞の種類 自家末梢血単核球細胞
実施期間及び
対象症例数
厚生労働大臣の意見発出から3年間、144例(推奨療法群72例,推奨療法+細胞移植治療群72例)
治療研究の概要 G-CSF皮下注射から4日目に自己末梢血を採取、アフェレシスにより単核球を採取、末梢動脈疾患患肢に筋肉内注射し、末梢血管再生効果を見る。札幌北楡病院等を含む計21施設による多施設共同研究を予定。
その他(外国での状況等) Inabaら、Asaharaらは,G-CSFで動員された末梢血単核球からCD34陽性細胞を単離・純化し,慢性重症下肢虚血患者に対して臨床研究を実施。一方,Kawamuraら(2005)はCD34陽性細胞を単離・純化することなく,G-CSF動員による末梢血由来の単核球細胞を重症下肢虚血患者への移植を報告している。その他、Huang, Ishida(2005)、Hoshino(2007)による同様の臨床研究の報告がある。
新規性について 本研究は用いる幹細胞、対象疾患としての新規性はないが、計21施設が参加予定の多施設臨床研究として実施され、推奨療法群あるいはG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植併用治療群のいずれかに無作為に割り付け,この併用治療の有効性と安全性を評価するものであり、ランダム化比較試験としての新規性を認める。

(別紙3)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年10月7日審議分

研究課題名 末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植治療のランダム化比較試験
申請年月日 平成21年8月21日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:社団法人 有隣厚生会 東部病院

研究責任者:花田 明香

対象疾患 既存の治療に抵抗性の末梢動脈疾患(慢性閉塞性動脈硬化症・バージャー病)
ヒト幹細胞の種類 自家末梢血単核球細胞
実施期間及び
対象症例数

厚生労働大臣の意見発出から3年間、144例(推奨療法群72例,推奨療法+細胞移植治療群72例)

治療研究の概要 G-CSF皮下注射から4日目に自己末梢血を採取、アフェレシスにより単核球を採取、末梢動脈疾患患肢に筋肉内注射し、末梢血管再生効果を見る。札幌北楡病院等を含む計21施設による多施設共同研究を予定。
その他(外国での状況等) Inabaら、Asaharaらは,G-CSFで動員された末梢血単核球からCD34陽性細胞を単離・純化し,慢性重症下肢虚血患者に対して臨床研究を実施。一方,Kawamuraら(2005)はCD34陽性細胞を単離・純化することなく,G-CSF動員による末梢血由来の単核球細胞を重症下肢虚血患者への移植を報告している。その他、Huang, Ishida(2005)、Hoshino(2007)による同様の臨床研究の報告がある。
新規性について 本研究は用いる幹細胞、対象疾患としての新規性はないが、計21施設が参加予定の多施設臨床研究として実施され、推奨療法群あるいはG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植併用治療群のいずれかに無作為に割り付け,この併用治療の有効性と安全性を評価するものであり、ランダム化比較試験としての新規性を認める。

(別紙4)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年10月7日審議分

研究課題名 末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植治療のランダム化比較試験
申請年月日 平成21年8月24日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:医療法人天神会 新古賀病院

研究責任者:古賀 伸彦

対象疾患 既存の治療に抵抗性の末梢動脈疾患(慢性閉塞性動脈硬化症・バージャー病)
ヒト幹細胞の種類 自家末梢血単核球細胞
実施期間及び
対象症例数
厚生労働大臣の意見発出から3年間、144例(推奨療法群72例,推奨療法+細胞移植治療群72例)
治療研究の概要 G-CSF皮下注射から4日目に自己末梢血を採取、アフェレシスにより単核球を採取、末梢動脈疾患患肢に筋肉内注射し、末梢血管再生効果を見る。札幌北楡病院等を含む計21施設による多施設共同研究を予定。
その他(外国での状況等) Inabaら、Asaharaらは,G-CSFで動員された末梢血単核球からCD34陽性細胞を単離・純化し,慢性重症下肢虚血患者に対して臨床研究を実施。一方,Kawamuraら(2005)はCD34陽性細胞を単離・純化することなく,G-CSF動員による末梢血由来の単核球細胞を重症下肢虚血患者への移植を報告している。その他、Huang, Ishida(2005)、Hoshino(2007)による同様の臨床研究の報告がある。
新規性について 本研究は用いる幹細胞、対象疾患としての新規性はないが、計21施設が参加予定の多施設臨床研究として実施され、推奨療法群あるいはG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植併用治療群のいずれかに無作為に割り付け,この併用治療の有効性と安全性を評価するものであり、ランダム化比較試験としての新規性を認める。

(別紙5)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年10月7日審議分

研究課題名 末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植治療のランダム化比較試験
申請年月日 平成21年8月24日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:徳島赤十字病院

研究責任者:阪田 章聖

対象疾患 既存の治療に抵抗性の末梢動脈疾患(慢性閉塞性動脈硬化症・バージャー病)
ヒト幹細胞の種類 自家末梢血単核球細胞
実施期間及び
対象症例数

厚生労働大臣の意見発出から3年間、144例(推奨療法群72例,推奨療法+細胞移植治療群72例)

治療研究の概要 G-CSF皮下注射から4日目に自己末梢血を採取、アフェレシスにより単核球を採取、末梢動脈疾患患肢に筋肉内注射し、末梢血管再生効果を見る。札幌北楡病院等を含む計21施設による多施設共同研究を予定。
その他(外国での状況等) Inabaら、Asaharaらは,G-CSFで動員された末梢血単核球からCD34陽性細胞を単離・純化し,慢性重症下肢虚血患者に対して臨床研究を実施。一方,Kawamuraら(2005)はCD34陽性細胞を単離・純化することなく,G-CSF動員による末梢血由来の単核球細胞を重症下肢虚血患者への移植を報告している。その他、Huang, Ishida(2005)、Hoshino(2007)による同様の臨床研究の報告がある。
新規性について 本研究は用いる幹細胞、対象疾患としての新規性はないが、計21施設が参加予定の多施設臨床研究として実施され、推奨療法群あるいはG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植併用治療群のいずれかに無作為に割り付け,この併用治療の有効性と安全性を評価するものであり、ランダム化比較試験としての新規性を認める。

(別紙6)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年10月7日審議分

研究課題名 重症低ホスファターゼ症に対する可及的早期に行う同種間葉系幹細胞移植
申請年月日 平成21年8月27日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:島根大学医学部附属病院

研究責任者:竹谷 健

対象疾患 重症低ホスファターゼ症
ヒト幹細胞の種類 同種骨髄由来間葉系幹細胞
実施期間及び
対象症例数

登録期間 意見発出日から平成25年3月31日まで

10症例

治療研究の概要 本研究は、アルカリホスファターゼ欠損により骨を作ることが障害される低ホスファターゼ症の中で、致死的な経過をとる乳幼児の患者に対して、同種骨髄間葉系幹細胞を移植するものである。ドナーは、患者の家族(2親等以内)の中でこの病気ではない人から選定する。間葉系幹細胞は、HLAクラス1の発現がないため拒絶反応が起きにくいが、造血幹細胞移植および臓器移植に準じて、免疫抑制剤を6か月間使用する。
その他(外国での状況等)

この疾患の重症型は、現在の段階では、呼吸障害に対する人工呼吸管理、痙攣に対する抗けいれん薬などの対症療法が行われる。これまで、同施設の経験症例を含めて3人の患者が骨髄移植、骨移植および骨芽細胞・間葉系幹細胞移植を施行され救命された。なお、2008年からアメリカで骨へ移行しやすく改良されたリコンビナントALP製剤の治験が始まっている。

新規性について 本研究では重症低ホスファターゼ症の患者を救命するために、同種間葉系幹細胞のみを用いた比較的低侵襲な移植をすることに新規性が認められる。

(別紙7)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年10月7日審議分

研究課題名 顎骨良性腫瘍、顎骨腫瘍類似疾患を対象とした自己骨髄培養細胞由来再生培養骨の有用性を検証する研究
申請年月日 平成21年8月31日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:奈良県立医科大学

研究責任者:桐田 忠昭

対象疾患 顎骨良性腫瘍、腫瘍類似疾患
ヒト幹細胞の種類 骨髄由来間葉系細胞
実施期間及び
対象症例数

登録期間 承認後5年間

培養骨移植群10症例、自家骨移植群10症例

治療研究の概要 本研究は、自家骨移植が必要な比較的規模の大きな顎骨疾患に対して、患者自身の骨髄細胞から分離・培養して得られた骨芽細胞とセラミックを複合化することにより得られる培養骨移植法が自家骨移植法の代替法となり得るか検討する。
その他(外国での状況等) 奈良県立医科大学整形外科学講座では、大腿骨壊死に対して自己骨髄培養細胞の臨床研究が行われた。ドイツではPradelらが、骨髄培養細胞の顎骨疾患へ応用した。ともに、数例の症例報告がみられる段階にとどまる。
新規性について 本研究は顎骨疾患への応用に関して、骨髄由来間葉系細胞と人工骨を用いることに新規性が認められる。

(別紙8)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年10月7日審議分

研究課題名 重症慢性虚血性心不全に対するヒト心臓幹細胞と幹細胞増幅因子bFGFのハイブリッド自家移植療法の検討
申請年月日 平成21年9月1日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:国立循環器病センター

研究責任者:友池 仁暢

対象疾患 重症慢性虚血性心不全
ヒト幹細胞の種類 ヒト自家(心臓組織由来)心臓幹細胞
実施期間及び
対象症例数

登録期間 2年(登録開始〜最終症例の移植後1年まで)

2施設で6症例

治療研究の概要

京都府立医科大学医学部附属病院との共同研究。

カテーテルにより、心臓内壁より心筋組織を採取し、心臓幹細胞を分離培養する。5〜6週間後、冠動脈バイパス手術の際、障害心筋組織に心臓幹細胞を直接注入すると共に、線維芽細胞増殖因子(bFGF)を含むブタ皮膚由来ゼラチンシートで注入箇所を被覆する。

その他(外国での状況等) 骨髄又は末梢血から採取した単核球もしくは内皮前駆細胞を経冠動脈的に投与する方法や、大腿部骨格筋より分離した骨格筋芽細胞を直接心筋に注入、あるいはシート状にして移植する方法等による臨床研究の報告例がある。ヒト心臓前駆細胞を用いたマウスモデルによる研究が2007年に報告されているが、ヒト臨床研究の報告は今のところない。
新規性について 本研究は幹細胞(心臓組織由来心臓幹細胞)を用いている点、bFGFを含有したシートを用いる点などで新規性を有している。

(参考)

厚生科学審議会科学技術部会
ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会委員名簿

  氏名 所属・役職
  青木   清 上智大学名誉教授
  阿部  信二 日本医科大学呼吸器感染腫瘍内科部門講師
  位田  隆一 京都大学大学院法学研究科教授
  掛江  直子 国立成育医療センター研究所成育保健政策科学研究室長
  春日井  昇平 東京医科歯科大学インプラント・口腔再生医学教授
  貴志  和生 慶應義塾大学医学部形成外科准教授
  木下   茂 京都府立医科大学眼科学教室教授
  小島   至 群馬大学生体調節研究所所長
  島崎  修次 杏林大学救急医学教室教授
  高橋  政代 理化学研究所神戸研究所網膜再生医療研究チームチームリーダー
  戸口田  淳也 京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野教授
永井  良三 東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授
  中畑  龍俊 京都大学物質−細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター副センター長
  中村  耕三 東京大学大学院医学系研究科整形外科学教授
  西川  伸一 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター 副センター長
  前川   平 京都大学医学部付属病院輸血部教授
  松山  晃文 先端医療振興財団先端医療センター研究所膵島肝臓再生研究グループグループリーダー
  水澤  英洋 東京医科歯科大学大学院脳神経病態学教授
  湊口  信也 岐阜大学大学院医学研究科再生医科学循環病態学・呼吸病学教授
  山口  照英 国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部長
 

(敬称略)

○:委員長


照会先:医政局研究開発振興課 田邊

03(5253)1111(内線2545)


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