厚生労働省

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第4回有期労働契約研究会 議事概要

1 日時
平成21年6月18日(木)10:00〜12:00
2 場所
厚生労働省労働基準局第1・2会議室(16F)
3 出席者
〈委員〉
荒木委員、鎌田委員、佐藤委員、橋本委員、藤村委員、山川委員
〈事務局〉
渡延労働基準局審議官
山越労働基準局総務課長
富田労働基準局監督課調査官
黒澤労働基準局監督課中央労働基準監察監督官
4 議題
関係者からのヒアリングについて(非公開)
5 ヒアリング対象者
  • 製造業関係の労働組合     1団体
  • 流通業関係の労働組合     1団体
  • 非正規労働者を組織している労働組合  1団体
  • 労働相談担当者    1名
6 ヒアリングにおいて聴取した主な事項
(製造業関係の労働組合)
○ パートタイム労働者(6ヶ月契約、更新あり)と正社員のうちの日給月給者を比べると、(1)業務面では明確な差がない。(2)正社員との待遇の差として、賃金水準自体が異なる、賞与の額が勤続年数に応じて変わるほか、通勤手当等がその月の労働時間が(基準より)少ない場合には支給されない、忌引休暇の日数差がある、退職慰労金等が存在しないなどの違いがある。
○ 正社員転換制度へのニーズは大きいが、この1年間での転換事例はない。転換を推進するにはトップダウンが効果的。
○ 有期契約労働者は6ヶ月の契約を20回程度更新し、平均勤続年数が約10年というのが実態であり、経営状況を理由とした自己都合による退職以外の労働契約の終了は、現下の不況下を含め行われていない。しかしながら、制度的には常に雇止めの不安を抱えているという声を聞いている。
○ 有期労働契約であっても、契約更新を反復すれば、一定期間経過後、無期契約に切り替えるべき。
○ 有期契約労働者が6ヶ月の契約を20回更新しているのはおかしいとの考えから、現在、無期契約に移行することを労使で協議中。
○ 現行の労働基準法の契約期間の上限を延長することについては、不安定雇用を継続することになるため、反対。
○ 有期労働契約の締結事由を制限することについては、無期契約との違いを明確にするためにも、賛成。
(流通業関係の労働組合)
○ 小売業では一般的だが、8割程度が有期契約労働者となっており、基幹労働力としての役割を期待している。
○ 正社員との均等・均衡については、これまで忌引き休暇や退職慰労金の導入(退職金はない)等の取り組みを図ってきており、近年、人事処遇制度を一本化した。この人事処遇制度では、属性に関わる手当を職務給へ一本化したほか、教育訓練機会も同様であり、同じ評価基準で昇進することになっている。有期契約労働者からも評価されている。
○ 正社員は、フルタイム・無期雇用であり「シフト勤務」に組み込まれ、日によって勤務時間帯が異なる不規則勤務となることもある。自宅から離れた他事業場へ配置転換されるケースもある。また、過去には正社員を対象として雇用調整が行われたこともある。
○ 正社員登用制度については、複数の有期契約労働者が正社員に転換されている実績がある。無期契約の正社員を希望するというよりも、雇用の安定を望む声が出ているが、会社側が受け止めるに至っていない。
○ 有期契約労働者は、平均勤続年数が約11年で、店舗閉鎖時を除き、契約期間が1年の契約を反復更新する形で続けてきているというのが実態であることから、雇止めを巡る大きなトラブルは起きていない。正社員は希望退職者の募集を行った例はあるものの、有期契約労働者には行っていないことも理由かもしれない。
(非正規労働者を組織している労働組合)
○ 有期労働契約であるがゆえの、雇止め、中途解雇、契約更新時の労働条件の不利益変更(いわゆる「変更解約告知」のようなもの)などの相談が後を絶たない。20年近く働いていても、簡単に契約更新を拒絶されてしまうのが現状であり、働く中で神経衰弱状態に晒されている。
○ 10年ぐらいかかって少しずつ賃上げがあっても、1回の契約更新で大幅に下がることがあるため、均等待遇を実現するためには、有期労働契約そのものの問題とセットにして是正をしていかないと、実効性がなくなることが懸念される。
○ 有期労働契約であることから、更新されないことを恐れて、職場内で意見を述べたり、権利の主張もできない状況になっている。また、有期契約労働者同士のカップルが増えている中で、将来設計が描けないことから、子どもを生み育てることも躊躇してしまっている。さらに、先が見えない不安から、働く意欲や会社に対する貢献意欲も低下している。また、妊娠を告げた途端に解雇されるケースも多く、産休・育休を取得しにくい。
○ 有期労働契約のメリットは、労働者にとってはないのではないか。
○ 派遣労働者については、雇用主である派遣元のみならず、派遣先企業がその労働者を使用し続ける意図があるかどうかが、契約更新に影響をしており、ほかの有期契約労働者に比べて、さらに雇用の安定感がないと考えている。
○ 仕事は恒常的なものであるにもかかわらず、実際の契約期間は細切れ化してきており、6か月以下が圧倒的に多くなっている。
○ 現行の労働基準法の契約期間の上限(3年)については、それが、契約更新の回数や勤続年数の上限であるかのように受け取られ職場の中で一人歩きをしている。現行の労働基準法の契約期間の上限を延長することについては、労働者の方が辞めたいのに拘束されてしまうのではないかとの指摘もあるが、1回の契約期間が6か月以下など細切れになってきている中では、そのようなことは、実際にはあまりないと考えている。
○ 販売ノルマの未達成を直接理由とした雇止めの事例は聞かないが、ノルマの引上げを拒否したら更新してもらえないと思い込み、メンタルヘルス不調の状態になっている例がある。
(労働相談担当者)
○ 紛争のあっせん事案から見ると、業務の内容や必要性、一時的な業務など、客観的な理由や、労働者の希望によって、有期労働契約になっていることはほとんどない。雇用の調整弁及び試用期間の機能という会社側の都合があるのだと考えられる。
○ 使用者が試用期間自体を形式的に捉えており、試用期間を徒過した後、本来の契約期間の満了直前になって、能力不足等を理由に雇止めの話が出されることがあるが、労働者には予見できず、納得もできない。事前に、指導や教育、至らない点の指摘や、より軽度の処分を行うことも含めて、段階を踏んで手続きをしていくことが重要ではないか。
○ 契約期間中の解雇について、特段の事情がないと困難であることについても、認識が乏しい。
○ 有期労働契約を反復更新した場合などで、期間の定めのないものと同視すべき状況になっているときに雇止めをすると、雇止めといえども解雇権濫用法理と同様の制限がかかることは、判例上もはっきりしているが、使用者側、特に中小企業には、十分に知られていないのが現状であり、当然雇止め出来るという認識が非常に強い。雇止めの制限について、何らかの形で明確化する必要があるのではないか。
○ 「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」について、判断基準の明示、雇止めの理由の明示については、必ずしも守られておらず、周知徹底が必要。

以上

照会先:労働基準局総務課政策係(内線:5587)


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