厚生労働省

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連絡先

厚生労働省医政局研究開発振興課

担当 田邊・梅垣(内線2545)

電話 03-5253-1111(代表)

03-3595-2430(直通)

平成21年6月3日

厚生科学審議会科学技術部会
第8回ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会
議事概要

1.日時

平成21年6月3日(水) 17:30〜19:30

場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省17階 専用第18会議室

2.出席委員

永井委員長
青木委員 阿部委員 位田委員 掛江委員 春日井委員
貴志委員 戸口田委員 中畑委員 中村委員 前川委員
松山委員 水澤委員 湊口委員 山口委員

(事務局)

厚生労働省 医政局研究開発振興課

3. 議事概要

すでに厚生科学審議会科学技術部会に付議されたヒト幹細胞臨床研究実施計画のうち、継続審議となっていた慶應義塾大学、京都府立医科大学、(財)先端医療振興財団先端医療センター病院および松本歯科大学からの申請に加え、平成21年5月19日付で新たに付議された東邦大学医療センター大森病院、国立病院機構千葉東病院、市立函館病院、および青森県立中央病院からの申請をあわせた、計8件の申請について審議された。

その結果、京都府立医科大学、(財)先端医療振興財団先端医療センター病院、松本歯科大学、東邦大学医療センター大森病院、国立病院機構千葉東病院、市立函館病院、および青森県立中央病院からの計7件の申請は持ち回り審議、慶應義塾大学の申請については、次回審査委員会以降も継続して審議していくこととされた。

(審議された臨床研究実施計画の概要は別紙1〜8参照。)


(別紙1)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年6月3日審議分

研究課題名 重症心不全患者への外科的治療に付随して行う、自己骨髄由来間葉系細胞を用いた細胞移植に関する臨床研究
申請年月日 平成19年11月14日
実施施設及び
総括責任者

実施施設:慶應義塾大学医学部

総括責任者:四津 良平

対象疾患 冠動脈バイパス術及び左室形成心臓外科手術施行予定の重症心不全患者
ヒト幹細胞の種類 (自己)骨髄間葉系幹細胞
実施期間及び
対象症例数

2年間

20歳から79歳までの5症例

治療研究の概要 冠動脈バイパス術や左室形成術などの心臓外科手術が必要な重症心不全患者に対して、自己骨髄より採取し培養した間葉系幹細胞の浮遊液を、心臓手術時に直視下に心筋内に注入し、安全性とともに手術によって得られると予想される心機能改善効果に付加的な改善効果が認められるかを、historical controlとの比較により確認する。
その他(外国での状況等) 心臓への骨髄間葉系幹細胞(MSC)移植は、中国で経冠動脈投与による70例弱の臨床例があるが、動脈塞栓の危険性により現在は心筋への直接注入が主流。特殊なカテーテルを用いて心臓内から心筋へ細胞を注入する大規模臨床試験が米国で進行中であり、本邦でも国立循環器病センターが同様の手法による臨床研究を行っている。開胸手術時に直視下に針を用いて心筋内へ細胞を注入する方法での臨床例は、2001年にLancetでの報告がある。
新規性について 開胸術時にMSCを心筋に直接注入する方法は、前述のLancetによる報告の他、大阪大学でも骨髄由来CD133陽性細胞移植の臨床研究開始が予定されている。今研究は培養したMSC移植を左室形成術にも適用する点で新規性を認め、また慶應義塾大学医学部での初めての幹細胞臨床研究であることから審議の必要性を認める。

(別紙2)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要  平成21年6月3日審議分

研究課題名 重症慢性虚血性心不全に対するヒト心臓幹細胞と幹細胞増幅因子bFGFのハイブリッド自家移植療法の検討
申請年月日 平成20年12月12日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:京都府立医科大学

研究責任者:松原 弘明

対象疾患 重症慢性虚血性心不全
ヒト幹細胞の種類 ヒト自家(心臓組織由来)心臓幹細胞
実施期間及び
対象症例数
登録期間 2年(試験期間は登録開始〜最終症例の移植後1年まで)、6症例
治療研究の概要 カテーテルにより、心臓内壁より心筋組織を約15〜20mg採取し、心臓幹細胞を分離、培養する。5〜8週間後、冠動脈バイパス手術の際、障害心筋組織に心臓幹細胞を直接注入すると共に、線維芽細胞増殖因子(bFGF)を含むブタ皮膚由来ゼラチンシートで注入箇所を被覆する。
その他(外国での状況等) 骨髄又は末梢血から採取した単核球もしくは内皮前駆細胞を経冠動脈的に投与する方法、大腿部骨格筋より分離した骨格筋芽細胞を直接心筋に注入、あるいはシート状にして移植する方法等による臨床研究の報告例がある。ヒト心臓前駆細胞を用いた研究については、マウスモデルによる研究が2007年に報告されているが、臨床研究の報告は今のところない。
新規性について 本研究は幹細胞(心臓組織由来心臓幹細胞)を用いている点、bFGFを含有したシートを用いる点などで新規性を有している。

(別紙3)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年6月3日審議分

研究課題名 難治性骨折(偽関節)患者を対象とした自家末梢血CD34陽性細胞移植による骨・血管再生療法に関する第I・II相試験
申請年月日 平成20年12月18日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:先端医療振興財団 先端医療センター病院

研究責任者:黒田 良祐

対象疾患 難治性骨折(偽関節)
ヒト幹細胞の種類 自家末梢血CD34 陽性細胞
実施期間及び
対象症例数

3年間

目標症例数 17例

治療研究の概要 5日間のG-CSF投与により動員した、末梢血中のCD34陽性細胞を採取分離し、偽関節となった下肢骨折部の手術の際に、アテロコラーゲンと共に患部に移植する。
その他(外国での状況等) 骨再生については、これまで間葉系幹細胞を用いた臨床研究が主に行われ、報告されている。一方CD34陽性細胞については、国内外の複数のグループにより,G-CSFで動員された末梢血単核球からCD34陽性細胞を単離・純化し,慢性重症下肢虚血患者に対して投与する臨床研究はすでに報告されている。
新規性について 本研究はこれまで血管再生等に用いられてきたCD34陽性細胞を、骨折の治療へ応用する臨床研究であるという点で、新規性を有する。

(別紙4)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年6月3日審議分

研究課題名 ヒト培養自己骨髄間葉系細胞移植による顎骨増生法の確立
申請年月日 平成20年12月25日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:松本歯科大学

研究責任者:上松 隆司

対象疾患 顎堤の高度骨吸収症例(上顎洞底挙上術または歯槽堤形成術を行う症例)
ヒト幹細胞の種類 自己骨髄間葉系幹細胞
実施期間及び
対象症例数
3年間 16症例(上記症例8症例ずつ)
治療研究の概要 歯槽骨の増生を図るために上顎洞底挙上術または歯槽堤形成術を行う際、あらかじめ採取した培養した自己骨髄間葉系幹細胞を、自己血から調整した多血小板血漿と人工骨(β−リン酸三カルシウム)と共に移植して、その骨形成効果を評価する。細胞の調製は共同研究機関である信州大学医学部附属病院先端細胞治療センターのCPCにて行われる。
その他(外国での状況等) 国内では、骨髄細胞から分化させた骨芽細胞様細胞を用いて歯槽骨の骨形成を図る臨床研究が、Uedaらによって行われている。また、歯肉下骨骨膜、歯槽骨由来の骨芽細胞、コラーゲンと混和した骨髄間葉系幹細胞等を用いた研究もみられる。一方国外ではテヘラン大学のグループが、自己骨髄培養細胞を、β-リン酸三カルシウムを担体として上顎洞へ移植する研究(6例)を2008年に報告している。
新規性について 本研究は培養した自己骨髄間葉系幹細胞を骨芽細胞などに分化誘導させることなく、多血小板血漿とともに、β-リン酸三カルシウム単独キャリアで移植する点で新規性を認める。

(別紙5)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年6月3日審議分

研究課題名 末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植治療のランダム化比較試験
申請年月日 平成21年3月11日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:東邦大学医療センター大森病院

研究責任者:水入苑生

対象疾患 既存の治療に抵抗性の末梢動脈疾患(慢性閉塞性動脈硬化症・バージャー病)
ヒト幹細胞の種類 自家末梢血単核球細胞
実施期間及び
対象症例数
厚生労働大臣の意見発出から3年間、144例(推奨療法群72例,推奨療法+細胞移植治療群72例)
治療研究の概要 G-CSF皮下注射から4日目に自己末梢血を採取、アフェレシスによりCD34陽性細胞を採取、末梢動脈疾患患肢に筋肉内注射し、末梢血管再生効果を見る。札幌北楡病院をはじめとする計19施設による多施設共同研究を予定。
その他(外国での状況等) Inabaら、Asaharaらは,G-CSFで動員された末梢血単核球からCD34陽性細胞を単離・純化し,慢性重症下肢虚血患者に対して臨床研究を実施。一方,Kawamuraら(2005)はCD34陽性細胞を単離・純化することなく,G-CSF動員による末梢血由来の単核球細胞を重症下肢虚血患者への移植を報告している。その他、Huang, Ishida(2005)、Hoshino(2007)による同様の臨床研究の報告がある。
新規性について 本研究は用いる幹細胞、対象疾患としての新規性はないが、計19施設が参加予定の多施設臨床研究として実施され、推奨療法群あるいは推奨療法及びG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植併用治療群のいずれかを無作為に割り付け,この併用治療の有効性と安全性を推奨療法との比較によって評価するものであり、プロトコールとしての新規性を認める。

(別紙6)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年6月3日審議分

研究課題名 末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植治療のランダム化比較試験
申請年月日 平成21年3月31日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:国立病院機構千葉東病院

研究責任者:岩下 力

対象疾患 既存の治療に抵抗性の末梢動脈疾患(慢性閉塞性動脈硬化症・バージャー病)
ヒト幹細胞の種類 自家末梢血単核球細胞
実施期間及び
対象症例数
厚生労働大臣の意見発出から3年間、144例(推奨療法群72例,推奨療法+細胞移植治療群72例)
治療研究の概要 G-CSF皮下注射から4日目に自己末梢血を採取、アフェレシスによりCD34陽性細胞を採取、末梢動脈疾患患肢に筋肉内注射し、末梢血管再生効果を見る。札幌北楡病院をはじめとする計19施設による多施設共同研究を予定。
その他(外国での状況等) Inabaら、Asaharaらは,G-CSFで動員された末梢血単核球からCD34陽性細胞を単離・純化し,慢性重症下肢虚血患者に対して臨床研究を実施。一方,Kawamuraら(2005)はCD34陽性細胞を単離・純化することなく,G-CSF動員による末梢血由来の単核球細胞を重症下肢虚血患者への移植を報告している。その他、Huang, Ishida(2005)、Hoshino(2007)による同様の臨床研究の報告がある。
新規性について 本研究は用いる幹細胞、対象疾患としての新規性はないが、計19施設が参加予定の多施設臨床研究として実施され、推奨療法群あるいは推奨療法及びG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植併用治療群のいずれかを無作為に割り付け,この併用治療の有効性と安全性を推奨療法との比較によって評価するものであり、プロトコールとしての新規性を認める。

(別紙7)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年6月3日審議分

研究課題名 末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植治療のランダム化比較試験
申請年月日 平成21年4月20日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:市立函館病院

研究責任者:森下清文

対象疾患 既存の治療に抵抗性の末梢動脈疾患(慢性閉塞性動脈硬化症・バージャー病)
ヒト幹細胞の種類 自家末梢血単核球細胞
実施期間及び
対象症例数
厚生労働大臣の意見発出から3年間、144例(推奨療法群72例,推奨療法+細胞移植治療群72例)
治療研究の概要 G-CSF皮下注射から4日目に自己末梢血を採取、アフェレシスによりCD34陽性細胞を採取、末梢動脈疾患患肢に筋肉内注射し、末梢血管再生効果を見る。札幌北楡病院をはじめとする計19施設による多施設共同研究を予定。
その他(外国での状況等) Inabaら、Asaharaらは,G-CSFで動員された末梢血単核球からCD34陽性細胞を単離・純化し,慢性重症下肢虚血患者に対して臨床研究を実施。一方,Kawamuraら(2005)はCD34陽性細胞を単離・純化することなく,G-CSF動員による末梢血由来の単核球細胞を重症下肢虚血患者への移植を報告している。その他、Huang, Ishida(2005)、Hoshino(2007)による同様の臨床研究の報告がある。
新規性について 本研究は用いる幹細胞、対象疾患としての新規性はないが、計19施設が参加予定の多施設臨床研究として実施され、推奨療法群あるいは推奨療法及びG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植併用治療群のいずれかを無作為に割り付け,この併用治療の有効性と安全性を推奨療法との比較によって評価するものであり、プロトコールとしての新規性を認める。

(別紙8)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成21年6月3日審議分

研究課題名 末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植治療のランダム化比較試験
申請年月日 平成21年4月28日
実施施設及び
研究責任者

実施施設:青森県立中央病院

研究責任者:久保恒明

対象疾患 既存の治療に抵抗性の末梢動脈疾患(慢性閉塞性動脈硬化症・バージャー病)
ヒト幹細胞の種類 自家末梢血単核球細胞
実施期間及び
対象症例数
厚生労働大臣の意見発出から3年間、144例(推奨療法群72例,推奨療法+細胞移植治療群72例)
治療研究の概要 G-CSF皮下注射から4日目に自己末梢血を採取、アフェレシスによりCD34陽性細胞を採取、末梢動脈疾患患肢に筋肉内注射し、末梢血管再生効果を見る。札幌北楡病院をはじめとする計19施設による多施設共同研究を予定。
その他(外国での状況等) Inabaら、Asaharaらは,G-CSFで動員された末梢血単核球からCD34陽性細胞を単離・純化し,慢性重症下肢虚血患者に対して臨床研究を実施。一方,Kawamuraら(2005)はCD34陽性細胞を単離・純化することなく,G-CSF動員による末梢血由来の単核球細胞を重症下肢虚血患者への移植を報告している。その他、Huang, Ishida(2005)、Hoshino(2007)による同様の臨床研究の報告がある。
新規性について 本研究は用いる幹細胞、対象疾患としての新規性はないが、計19施設が参加予定の多施設臨床研究として実施され、推奨療法群あるいは推奨療法及びG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植併用治療群のいずれかを無作為に割り付け,この併用治療の有効性と安全性を推奨療法との比較によって評価するものであり、プロトコールとしての新規性を認める。

(参考)

厚生科学審議会科学技術部会
ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会委員名簿

  氏名 所属・役職
  青木   清 上智大学名誉教授
  阿部  信二 日本医科大学呼吸器感染腫瘍内科部門講師
  位田  隆一 京都大学大学院法学研究科教授
  掛江  直子 国立成育医療センター研究所成育保健政策科学研究室長
  春日井  昇平 東京医科歯科大学インプラント・口腔再生医学教授
  貴志  和生 慶應義塾大学医学部形成外科准教授
  木下   茂 京都府立医科大学眼科学教室教授
  高坂  新一 国立精神・神経センター神経研究所長
  小島   至 群馬大学生体調節研究所所長
  島崎  修次 杏林大学救急医学教室教授
  高橋  政代 理化学研究所神戸研究所網膜再生医療研究チームチームリーダー
  戸口田  淳也 京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野教授
永井  良三 東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授
  中畑  龍俊 京都大学物質−細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター副センター長
  中村  耕三 東京大学大学院医学系研究科整形外科学教授
  西川  伸一 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター 副センター長
  前川   平 京都大学医学部付属病院輸血部教授
  松山  晃文 先端医療振興財団先端医療センター研究所膵島肝臓再生研究グループグループリーダー
  水澤  英洋 東京医科歯科大学大学院脳神経病態学教授
  湊口  信也 岐阜大学大学院医学研究科再生医科学循環病態学・呼吸病学教授
  山口  照英 国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部長
 

(敬称略)

○:委員長


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