厚生労働省

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第12回ILO懇談会議事要旨

1.日時:平成21年5月14日(木) 13:30〜15:30

2.場所:厚生労働省仮設第3会議室(2階)

3.出席者:(敬称略)

(1)労働者側

日本労働組合総連合会国際代表中嶋 滋

日本労働組合総連合会総合労働局長長谷川裕子

日本労働組合総連合会総合国際局長生澤 千裕

(2)使用者側

日本経団連国際協力センター参与鈴木 俊男

日本経済団体連合会国際協力本部主幹高澤 滝夫

(3)政府側

厚生労働省大臣官房総括審議官(国際担当)村木 太郎

厚生労働省大臣官房国際課国際企画室長横幕 章人

4.議題

(1)第304回ILO理事会の報告

(2)未批准条約について
・第1号条約について
・第132号条約について

(3)その他

5.議事要旨

(1)議題1 第304回ILO理事会の報告

村木総括審議官からの挨拶、横幕室長からの出席者紹介に引き続き、政府側より資料1に基づき第304回ILO理事会の概要説明がなされた。

【発言概要】

(労働者側)

1)ミャンマー案件について

ビルマについて、連合が加盟しているITUC(国際労働組合総連合)などが、現在2100人以上の政治犯の釈放を求め署名運動を進めている。第18回日・EU定期首脳協議における共同プレス声明(5月4日)の内容は、「2010年選挙は民主化に向けての前進であるが、手放しでは評価できない側面もある」とした第304回ILO理事会における日本政府の対応より進展が感じられるものの、しっかり認識する必要がある点は、軍事政権の狙いが、90年選挙の結果の正当性を反故にし、現在の政治体制を今後も強行することであり、事態は全く改善していないということ。日本政府としてビルマ政府に対し、結社の自由委員会の勧告を基礎にした対応すべきである。

2)結社の自由委員会について

国労の案件は23年と長期に及んでおり、結社の自由委員会から何度も勧告が出ている。国内でも、先日の東京高裁の判決は、時効を地裁判決よりも有利に拡げた内容であった。政府は人道的見地からも、早期解決に向けて是非前向きな対応を取るべきである。

3)FSR(地域機構見直しについて)

地域機構の見直しについてILO事務局より提案があったが、ILO事務局が職員団体との合意がなされないまま、職員の異動について進めようとしたため職員団体から反発があった。11月理事会までに職員団体と合意を成すという条件付きで提案が採択されることとなった点にも触れるべきである。

(使用者側)

1)事務局長の再選制限について

事務局長の再選が1回までとされ、本年11月理事会で再び議論されるという点にも触れるべきである。

(2)議題2 未批准条約について

政府側より、資料2−1〜2−2に基づき、第1号条約、第132号条約について説明がなされた後、意見交換が行われた。

1)第1号条約について

[労]

現行法制の下で過労死まで至っている長時間労働の問題を克服するため、批准が必要である。問題を克服するための方向性を示さない中で、変形労働時間制やフレックスタイム制に関する国内の法制度を条約に抵触しないように改善することが容易でないので批准に値しないというのは納得できない。ワークライフバランスを掲げ、高らかに宣言したからには、社会的にバランスの取れた働き方の実現の方策を政労使で真剣に考えるべきである。

長時間労働の問題解決のために、国際労働基準の適用を1つのファクターとして考えていくべきである。

[使]

そもそも、1号条約を批准すれば、過労死等の問題が解決されるというのは十分に理解できない。問題解決のためには、まず長時間労働はなぜ起きているのか考えなければならない。

一方、1号条約を批准すると、企業は業務の繁閑度に応じた柔軟な労働時間の運用ができなくなり、事業の正常な運営を妨げる可能性がある。

ILO懇談会のマンデートは、未批准条約について、なぜ批准できていないのか問題点を整理し、どうしたら批准できるのか道筋をつけることである。

[政]

ILO条約と我が国の法制が厳密に一致していることが要求される1号条約は基本的には満たしているが、厳密には満たしていない。懇談会は性質上、条約批准をどうするかということを考える場である。ワークライフバランス、ディーセントワークを進めていく上で何がツールとなる条約なのかを出し、その問題は何かということをセットで考えていくことが重要である。

2)第132号条約について

[労]

日本では病気休暇制度が充分に普及しておらず、病気の際に有給休暇を使っている実態がある。そういう実態がある以上、確かに2週連続の有給取得は難しい面があるかもしれない。しかし、日本においては、権利があるのに有休取得率が低い現状があるので、条約の批准による連続休暇制度の導入がワークライフバランス実現のきっかけになれば良いと考えている。

有給取得率が高まれば代替要員を雇用する必要性が生じるので、雇用創出の面でプラスの効果も期待できる。

[使]

日本の場合、年次有給休暇の取得時季は、労働者の権利として認められており、連続して取得することも分割して取得することも労働者の任意である。条約が規定する連続休暇を義務付けることは、労働者の休暇選択の幅を狭めることになる。また、使用者側としても連続休暇が強制され、時季変更権が縛られると事業の正常な運営の妨げになる可能性もあり、賛同することはできない。


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