厚生労働省


連絡先

厚生労働省大臣官房厚生科学課

担当  坂本(内線3803)

内田(内線3807)

電話  03-5253-1111(代表)

03-3595-2171(直通)

平成21年1月26日

厚生科学審議会科学技術部会
第23回がん遺伝子治療臨床研究作業委員会
議事概要

1. 日時

平成21年1月23日(金) 10:00〜12:00

場所

金融庁 共用第2特別会議室(12階)

2. 出席委員

笹月委員長 浅野委員 荒戸委員 安藤委員 小澤委員 垣添委員 金子委員 金田委員 島田委員 早川委員 吉倉委員

(事務局)

厚生労働省 坂本研究企画官 内田主任研究官 他

3. 議事概要

概要は以下のとおり。

東京大学医学部附属病院より申請のあった遺伝子治療臨床研究実施計画(対象疾患:進行性膠芽腫)について、本作業委員会からの照会事項に対する回答書が提出されたことを受けて、再度審議が行われた。

回答書について総括責任者らより説明を受けた後、委員間で実施計画の妥当性等について審議が行われた。

その結果、本研究計画は概ね了承されたが、同意説明文書の記載に関して委員より指摘のあった点については、申請者と事務局との間で整備の上、委員長の確認を得た後に、次回以降の科学技術部会に報告することとされた。

(遺伝子治療臨床研究実施計画の内容は別紙1参照。) 

引き続き、三重大学医学部附属病院より申請のあった遺伝子治療臨床研究実施計画(対象疾患:食道癌)について、本作業委員会からの照会事項に対する回答書が提出されたことを受けて、再度審議が行われた。

回答書について総括責任者らより説明を受けた後、委員間で実施計画の妥当性等について審議が行われた。

その結果、海外での類似の臨床試験におけるTCR遺伝子導入細胞のクローナリティー検査に関する情報収集、同意説明文書の記載の整備等に関する委員の意見について、事務局で整理し、申請者に検討を依頼し、その回答を確認することが必要とされた。

(遺伝子治療臨床研究実施計画の内容は別紙2参照。)

引き続き、国立がんセンターより申請のあった遺伝子治療臨床研究実施計画(対象疾患:造血器悪性腫瘍)について、本作業委員会からの照会事項に対する回答書が提出されたことを受けて、再度審議が行われた。

回答書について総括責任者らより説明を受けた後、委員間で実施計画の妥当性等について審議が行われた。

その結果、本研究計画は概ね了承されたが、遺伝子導入細胞のクローナリティー検査に関して委員より指摘のあった点については、申請者と事務局との間で整備の上、委員長の確認を得た後に、次回以降の科学技術部会に報告することとされた。

(遺伝子治療臨床研究実施計画の内容は別紙3参照。)


(別紙1)遺伝子治療臨床研究実施計画の内容 平成21年1月23日審議分

研究課題名 進行性膠芽腫患者に対する増殖型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスG47Δを用いた遺伝子治療(ウイルス療法)の臨床研究
申請年月日 平成19年10月23日
作業委員会での審議経過 第1回:平成19年12月25日
第2回:平成21年1月23日
実施施設及び
総括責任者

実施施設:東京大学医学部附属病院

総括責任者:東京大学大学院医学系研究科

TRセンター(脳神経外科)

藤堂 具紀 特任教授

対象疾患 進行性膠芽腫
導入遺伝子 増殖型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスI型(HSV-1) G47Δ(大腸菌LacZ遺伝子を含む)
ベクター HSV-1
実施期間及び
対象症例数

厚生労働大臣了承日から5年間
標準21 例、最大30例(各用量群3〜18例)

治療研究の概要

本研究は、初期放射線治療にもかかわらず再増大または進行する膠芽腫の患者に対して、増殖型遺伝子組換えHSV-1であるG47Δの定位的腫瘍内投与を行った場合の安全性の評価を主目的とする。副次目的として、G47Δの効果を評価する。

その他(外国での状況等)

増殖型遺伝子組換えHSV-1であるG47Δは、国内外を含めてヒトへの投与経験がない。G47Δは、増殖型遺伝子組換えHSV-1であるG207のウイルスゲノムにα47遺伝子の欠失変異を加えて改変したものである。G207については、米国で再発悪性グリオーマの患者21例を対象とした第I相臨床試験が実施され、その結果、G207に起因するgrade3以上の有害事象は認められていない。

(別紙2)遺伝子治療臨床研究実施計画の内容 平成21年1月23日審議分

研究課題名 MAGE-A4抗原特異的TCR遺伝子導入リンパ球輸注による治療抵抗性食道癌に対する遺伝子治療臨床研究
申請年月日 平成20年6月9日
作業委員会での審議経過 第1回:平成20年7月15日
第2回:平成21年1月23日
実施施設及び
総括責任者

実施施設:三重大学医学部附属病院

総括責任者:三重大学大学院医学系研究科

遺伝子・免疫細胞治療学講座

珠玖 洋 教員

対象疾患 食道癌
導入遺伝子 MAGE-A4抗原特異的T細胞受容体α鎖及びβ鎖遺伝子
ベクター レトロウイルスベクター
実施期間及び
対象症例数
厚生労働大臣了承日から3年間
9例(最大18例)
治療研究の概要 本研究は、治療抵抗性の食道癌患者〔HLA-A2402陽性、腫瘍組織中に腫瘍抗原MAGE-A4 が発現〕を対象とし、レトロウイルスベクターによりMAGE-A4をHLA-A2402存在下で特異的に認識するT細胞受容体(TCR)のα鎖及びβ鎖の遺伝子を導入した患者の自己リンパ球を輸注後、MAGE-A4143-151ペプチドを投与する治療法の安全性の評価を主要エンドポイントとする。副次的エンドポイントは、TCR遺伝子導入リンパ球の血中動態及び腫瘍組織への浸潤、腫瘍特異的免疫反応、腫瘍縮小効果。
その他(外国での状況等) MAGE-A4抗原特異的TCR遺伝子を発現するレトロウイルスベクターを用いる遺伝子治療臨床研究は、国内、海外を含めて今回が初めてである。海外での類似の研究として、悪性黒色腫を対象疾患として、腫瘍抗原MART-1特異的TCR遺伝子を導入したリンパ球を投与する臨床研究が実施されている。

(別紙3)遺伝子治療臨床研究実施計画の内容 平成21年1月23日審議分

研究課題名 ハプロタイプ一致ドナー由来T細胞除去造血幹細胞移植後のHSV-TK遺伝子導入ドナーTリンパ球“Add-back”療法
申請年月日 平成20年6月9日
作業委員会での
審議経過
第1回:平成20年7月15日
第2回:平成21年1月23日
実施施設及び
総括責任者

実施施設:国立がんセンター

総括責任者:国立がんセンター中央病院

薬物療法部 幹細胞移植療法室

平家 勇司 医長

対象疾患 造血器悪性腫瘍
導入遺伝子 単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ(HSV-TK)遺伝子及び細胞内領域欠損ヒト低親和性神経成長因子受容体(ΔLNGFR)遺伝子
ベクター レトロウイルスベクター
実施期間及び
対象症例数
厚生労働大臣了承日から3年間
10例
治療研究の概要 本研究は、高リスク造血器悪性腫瘍患者に対して、ヒト白血球抗原(HLA)ハプロタイプ一致ドナー由来T細胞除去造血幹細胞の移植を施行した後、レトロウイルスベクターを用いてHSV-TK遺伝子及びΔLNGFR遺伝子を導入した同一ドナー由来のTリンパ球を追加輸注(Add-back)する治療法の安全性の評価とAdd-back後の免疫系再構築並びにGVHD発症頻度及び制御能の評価を主要エンドポイントとする。副次的エンドポイントは、感染症頻度、無病生存率及び全般生存率。
その他(外国での状況等) イタリアのモルメド社により欧州で同一のベクターを用いた同様の臨床試験(第I/II相)が実施されている。また、筑波大では、対象疾患等は異なるが、同一のベクターを用いた遺伝子治療臨床研究を実施中である。

厚生科学審議会科学技術部会
がん遺伝子治療臨床研究作業委員会委員名簿

   氏名 所属
浅野(あさの) 茂隆(しげたか) 早稲田大学理工学術院特任教授
荒戸(あらと) 照世(てるよ) 独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部審査役
上田(うえだ) 龍三(りゅうぞう) 名古屋市立大学大学院医学研究科臨床分子内科学教授
小澤(おざわ) 敬也(けいや) 自治医科大学医学部教授
垣添(かきぞえ)  忠生(ただお) 国立がんセンター名誉総長
金子(かねこ) 周一(しゅういち) 金沢大学医学部長
金田(かねだ) 安史(やすふみ) 大阪大学大学院医学系研究科教授
笹月(ささづき) 健彦(たけひこ) 国立国際医療センター名誉総長
島田(しまだ) (たかし) 日本医科大学医学部教授
濱田(はまだ) 洋文(ひろふみ) 札幌医科大学教授
早川(はやかわ) 堯夫(たかお) 独立行政法人医薬品医療機器総合機構顧問
吉倉(よしくら) (ひろし) 厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課参与

(がん化学療法、造血器)

<兼任>上田(うえだ) 龍三(りゅうぞう) 名古屋市立大学大学院医学研究科臨床分子内科学教授
(食道がん)
安藤(あんどう) 暢敏(のぶとし) 東京歯科大学市川総合病院院長

(神経芽腫)

牧本 ( まきもと )   ( あつし ) 国立がんセンター中央病院小児科医長
(ウイルス(ヘルペスウイルス))
佐多(さた) 徹太郎(てつたろう) 国立感染症研究所感染病理部長

○委員長 (五十音順 敬称略)

(平成20年6月27日現在) 



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