厚生労働省

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平成20年8月1日






薬事・食品衛生審議会
医薬品等安全対策部会
安全対策調査会






ゲフィチニブに係る国内第III相試験等の結果及び
ゲフィチニブの使用等に関する意見

○ 平成19年2月1日、本調査会において、企業から提出された「1又は2レジメンの化学療法治療歴を有する、進行/転移性(IIIB期/IV期)又は術後再発の非小細胞肺癌患者を対象にゲフィチニブとドセタキセルの生存期間を比較する多施設共同非盲検無作為化並行群間比較第III相市販後臨床試験」(以下「国内第III相試験」という。)の結果について検討を行った。

○ 検討の結果、ゲフィチニブの副作用の発現状況については、最新の添付文書等に記載されているものと同程度であることを考慮すると、安全性に関しては、引き続き、少なくとも投与開始後4週間は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うなど、添付文書に記載されている安全対策を継続しつつ、肺癌化学療法に十分な経験をもつ医師による使用を徹底するなど、現在の安全対策を継続することが適当であるとされた。

○ 有効性に関しては、ゲフィチニブの臨床的有用性を評価するためには、投与初期における生存率については、ドセタキセル群がゲフィチニブ群よりも優れていることが示唆されたこと等の結果を確認するとともに、患者背景、後治療の影響、未整理のデータなどについて更に詳細な解析を行い、その結果について検討する必要があるとされた。

○ 本日、本調査会において、企業から提出された国内第III相試験に係る上記の詳細な解析の結果等について検討を行った。また、企業から提出された「プラチナ製剤を含むレジメンによる治療歴を有する局所進行又は転移性非小細胞肺癌患者におけるゲフィチニブとドセタキセルの多施設共同非盲検無作為化並行群間比較第III相試験」(以下「INTEREST試験」という。)の結果についても、併せて検討を行った。

○ 国内第III相試験及びINTEREST試験の結果及びゲフィチニブの使用等に関する意見は、次のとおりである。

第1 国内第III相試験及びINTEREST試験の結果について

1 国内第III相試験について

○ 全生存期間におけるゲフィチニブ群のドセタキセル群に対する非劣性を示すことはできなかった(ハザード比=1.12(95.24%信頼区間0.89〜1.40))。後治療が全生存期間に何らかの影響を与えた可能性が考えられるが、その影響を正確に評価することは困難と考えられた。

○ 主要評価項目である全生存期間について、各サブグループにおいて治療群間を比較した場合、ドセタキセルと比較してゲフィチニブの効果がより高いサブグループは明らかにならなかった。また、EGFR遺伝子変異については、死亡例が非常に少ないため、全生存期間に関して評価を行うことは困難であった。

○ 以上の結果等を踏まえると、平成19年2月1日の安全対策調査会における検討結果(1又は2レジメンの化学療法歴(少なくとも1レジメンは白金製剤を含む。)を有する手術不能又は再発非小細胞肺癌の患者の治療に際し、一般的に、ドセタキセルに優先してゲフィチニブの投与を積極的に選択する根拠はない)を変更する必要はないと考えられた。

2 INTEREST試験について

○ INTEREST試験は、アジア地域を含む24カ国(注1)が参加して行われた試験(注2)である。

注1)日本は不参加。アジア地域(中国、香港、インドネシア、マレーシア、フィリピン及びタイ)の登録症例の割合は21%

注2)INTEREST試験の無作為割付症例数:1,466例、国内第III相試験の無作為割付症例数:490例

○ 全生存期間におけるゲフィチニブ群のドセタキセル群に対する非劣性が示された(ハザード比=1.020(96%信頼区間0.905〜1.150))。なお、ハザード比は、アジア人(1.04)とアジア人以外(1.01)で類似していた。

第2 ゲフィチニブの使用等について

○ 国内第III相試験及びINTEREST試験の結果などを踏まえると、少なくとも投与開始後4週間は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うなど、現在の安全対策が継続されることにより、本剤は手術不能又は再発非小細胞肺癌の治療において臨床的に有用なものである。

○ 上記第1の1の国内第III相試験の結果などを踏まえると、平成19年2月1日の安全対策調査会の検討結果のとおり、引き続き、1又は2レジメンの化学療法歴(少なくとも1レジメンは白金製剤を含む。)を有する手術不能又は再発非小細胞肺癌の患者の治療に際し、一般的に、ドセタキセルに優先して本剤の投与を積極的に選択する根拠はない旨について、国内第III相試験の結果とともに、患者に十分な説明が行われるよう企業に対し、医薬関係者に情報提供するよう指導することが適当である。
 なお、上記の情報提供のため、国内第III相試験の結果(概要)については、添付文書の「その他の注意」欄に記載することが適当である。

○ 厚生労働省は、引き続き、国内外における本剤の有効性及び安全性に関する情報を収集し、必要な対応を行うことが適当である。


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