資料1

加工食品品質表示基準第5条(特色のある原材料等の表示)の考え方について(案)

 これまでの経緯
 加工食品品質表示基準(以下「加工品表」という。)第5条では、原材料として、特定の原産地のもの、有機農産物、有機農産物加工品その他使用した原材料が特色のあるものである旨を表示する場合又は製品の名称が特色のある原材料を使用した旨を示すものである場合、当該原材料の使用割合を表示しなければならない旨規定されている。
 この特色ある原材料の範囲について、平成16年12月14日に食品の表示に関する共同会議(以下「共同会議」という。)がとりまとめた報告書「わかりやすい表示方法について」(以下「報告書」という。)では、「強調表示されている原材料については、原則として特色ある原材料に該当する原材料として、第5条の規定を適用する」こととされた。
 この報告書について、平成16年12月14日から平成17年1月31日までの間、パブリックコメントを募集したところ、特色のある原材料の範囲について、原則はおおむね賛成が得られたものの、個別商品の事例を広く収集して整理すべきとの意見が多く寄せられた。こうした状況のもとに、平成17年3月23日に開催された第22回共同会議では、特色のある原材料の範囲については、実際の事例をもとに整理した上で、再度共同会議で検討することとされた。


 特色のある原材料の考え方
 (1)  基本的考え方
 本規定の目的は、原材料の特色について特別に強調された表示による消費者の誤認を防止することである。例えば、商品に「国産××使用」のように「特色のある原材料」が表示がされている場合、消費者は「国産××」の使用割合が100%であると認識するものと考えられる。このような場合において、実際には「国産××」の使用割合が10%であったとすると、消費者に誤認を与えることになる。
 このため、(2)に示す「特色のある原材料」を使用した旨を表示する場合には、100%使用である場合を除いて、当該原材料の使用割合を明示する必要がある。
 なお、今般、加工食品品質表示基準の解釈において特色のある原材料に該当しないとされたものについても、その原材料を表示することにより、実際のものより優良な製品であると誤認させる表示は適切でない。事業者はJAS法に基づく本規定のみならず、不当景品類及び不当表示防止法など他法令に定める優良誤認防止の規定にも留意しつつ適切な表示を行う必要がある。

 (2)  特色のある原材料
 使用した原材料が以下のいずれかである旨を特別に強調して表示する場合、特色のある原材料に該当するものとする。
(1)  特定の原産地のもの
国産大豆絹豆腐 ・トルコ産へーゼルナッツ使用 ・十勝産小豆使用
国内産山ごぼう使用 ・三陸産わかめを使用  等
(2)  有機農産物・有機農産物加工食品
有機小麦粉使用 ・有機栽培こんにゃく芋から自社生産  等
(3)  遺伝子組換えのもの
(4)  特定の製造地のもの
群馬県で精製されたこんにゃく粉入り ・北海道で製造されたバターを使用
ベルギーチョコレート入り  等
(5)  特別な栽培方法により生産された農産物
特別栽培ねぎ入り ・栽培期間中農薬不使用のにんじん使用  等
(6)  品種名等
とちおとめ使用 ・コシヒカリ入り ・本まぐろ入り  等
(7)  銘柄名、ブランド名、商品名
宇治茶使用 ・松阪牛使用 ・越前かに入り
○○(市販されている商品の商品名)使用  等

 なお、「(4) 特定の製造地のもの」については、原料加工食品の製造地を表示することになるが、この場合、加工品表第6条(2)「産地名を示す表示であって、産地名の意味を誤認させるような表示」が表示禁止事項とされていることから、表示された産地名の意味が明確になるように表現する必要がある。基本的には、製造地を表示する場合には、国内産においては原料原産地と一致する場合を除き「○○産」の用語は使用できない。

 (3)  他の規定との関連
 次に示す規定に基づき表示する場合については、(2)に該当するものであっても、特色のある原材料とはみなさないものとする。
(1) 個別食品に関する品質表示基準
製麺地:○○、△△(乾めん類品質表示基準)  等
(2) 公正競争規約
ブルーマウンテンブレンド(レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒー公正競争規約)
信州の高原で搾乳された牛乳(飲用乳公正競争規約)  等
(3) 健康増進法関連規定
DHA配合 ・カルシウム入り  等


 特色のある原材料の割合の表示方法
 (1)  割合表示の基本的な考え方
 特色のある原材料を表示する場合、加工品表第5条に基づき使用割合を当該表示に併記する(使用割合が100%である場合は、規定に従い割合表示は省略できる)。
 特色のある原材料の使用割合の表示方法としては、加工品表において、以下の割合を表示する旨規定している。
(1)  製品全体に占める割合
(2)  同一の種類の原材料に占める割合(この場合、同一の種類の原材料に占める割合である旨表示する)
 2に規定した特色ある原材料の特徴から、基本的に(2)の考え方に基づき同一の原材料に占める割合を表示することになるものと考えられる。

【具体例】
強調表示したい特色のある原材料 表示が必要な割合(100%であれば省略可)
 国産えび入り 「えび」に占める「国産えび」の割合
 ベルギーチョコレート使用 「チョコレート」に占める「ベルギーチョコレート」の割合
 とちおとめ使用 「いちご」に占める「とちおとめ」の割合
 松阪牛肉入り 「牛肉」に占める「松阪牛肉」の割合

 なお、上記の考え方から、基本的には、特色のある原材料を使用したことを表示した場合には、(1)を表示する必要はない(ただし、4(6)のような場合には(2)ではなく(1)の表示が必要)。

 (2)  表示の単位
 割合の単位は、「%」又は「割」とし、いずれの場合も整数値を記載することとする。「割」については、%表示の際の10の位の数値とする。例えば、53%使用の場合、「53%」に代えて「5割」とすることも可能である。

 (3)  表示箇所
 割合を表示する箇所については、加工品表において、以下のいずれかに記載する旨規定している。
(1)  強調表示に近接した箇所に記載
(2)  一括表示事項の原材料名の次に括弧を付して記載
 一方、3(1)(2)にも示したように、加工品表第5条において、同一の種類の原材料に占める割合を表示する場合は、「同一の種類の原材料に占める割合である旨表示する」ことを規定している。
 これらを踏まえると、例えば、米としてコシヒカリと日本晴を使用している「炊き込みご飯のレトルトパック」において、コシヒカリを使用していることを表示する場合、以下の2つの方法が考えられる。
   【 方法1】強調表示部分において「米に占める割合」であることがわかるように表示
(例1) 「コシヒカリ50%使用(米に占める割合)」
(例2) 「この商品に使用されている米はコシヒカリを50%使用しています」
   【 方法2】原材料名欄において割合表示
(例) 強調表示部分:「コシヒカリ使用」
一括表示欄:「米(コシヒカリ50%)」

 (4)  割合表示の比較の方法
 割合表示は、製造時における原材料の重量により比較を行う。
 ただし、濃縮、乾燥等の状態の原材料を混合して使用する場合、他の同一種類の原材料と同等の状態に換算して重量比較を行う。

 (5)  重量割合が変動する場合
 季節変動等やむを得ぬ事情により使用割合が変動する特色のある原材料を強調して表示する場合は、最低保証値を「○○%以上」のように表示することができる。
 例えば、季節により使用割合が45〜52%の範囲で変動する特色のある原材料を強調して表示するような場合は「45%以上」と表示できる。

 留意事項
 (1)  「特別な製造方法」や「製造者が特定の考えの下で特色付けたもの」について
 例えば、「炭焼焙煎麦入り」、「特製ソース使用」など、特別な製造方法や特定の考え方で特色付けた原材料を使用した旨を表示するものについては、明確な定義が存在するものが少なく事後の検証が困難なこと、このような表示は消費者にとってイメージ的に捉えられるものであることから、割合表示の義務化に馴染むものではないと判断し、現時点においては特色のある原材料に該当しないものと整理する。
 なお、当然のことながら、消費者に優良誤認を与えないことや、消費者からの問い合わせ等に適切に対応できるような根拠をもって表示を行うことが必要である。

 (2)  「製品の風味」を表示する場合
 例えば、抹茶風味を付けた製品に「抹茶風味」、「抹茶使用」のような表示を行う場合、当該表示は抹茶の味や香りがするという製品の特徴を表しているものであり、特色のある原材料の表示には該当しない(原材料名として「抹茶」、「香料」等の表示が必要)。
 なお、この場合であっても、例えば銘柄茶の抹茶を使用したことを「○○抹茶使用」と表示する場合には、特色のある原材料に該当し、3の考え方が適用される。

 (3)  「使用量の多寡」を表示する場合
 例えば、「青のりたっぷり」「バターたっぷり」などの表示は、青のりやバターが当該製品自体に多くの量が入っていることを表すものである。このような表示を行う場合については、製造者が当社比などの基準等を持っていることが必要であると考えられる(消費者からの問い合わせがあった場合にその考え方を説明できる必要がある)。
 一方、青のりやバターは一般名称であり、そのものは特色のある原材料にあたらない。また、仮に製品に占める割合が表示してあっても、その値のみでたっぷりを判断することはできないことや、逆に割合が示してあれば、特に基準が明確になっていなくてもたっぷりとの表示ができることになってしまい、かえって混乱を招くことも想定される。
 このようなことから、「たっぷり」のような表示を行う場合については、割合表示の対象とはしない。もちろん、自主的に「バターたっぷり(5%使用)又は(10g使用)」のように表示することは差し支えないが、この場合、消費者は当該製品全体に占める量が「たっぷり」であると捉えることから、3(1)(1)に示す製品全体に対する割合を表示することが必要である。
 例えば「四万十川産青のりたっぷり」や「北海道製造バターたっぷり」のような場合には、特色のある原材料に該当し、3の考え方が適用される。
 なお、当然のことながら、消費者に優良誤認を与えないことや、消費者からの問い合わせ等に適切に対応できるような根拠をもって表示を行うことが必要である。

 (4)  「原料からの抽出物」の使用を表示する場合
 例えば、緑茶飲料にあっては、緑茶からカテキンなどの成分を抽出しこれを添加しているものがある。抽出物は緑茶を原料としているが、特定の成分を取り出したものであり、いわゆる緑茶とは異なるものであり、特色のある原材料には該当しない。
 例えば、「緑茶抽出カテキン入り」という表示は、茶葉からいれたお茶に緑茶抽出カテキンをさらに加えていることを伝えるものであり(原材料名として「緑茶、緑茶由来カテキン」等の記載は必要)、お茶と比較した割合表示は必要ない。
 なお、「緑茶抽出カテキン○○mg入り」等の表示を妨げるものではない。

 (5)  「一般的名称」の細分化の取扱い
 例えば、「抹茶」、「黒糖」、「黒酢」など、それぞれ「緑茶」、「砂糖」、「食酢」の中の細分化したものとして、その名称が一般的なものとして定着しているものについては、特色のある原材料には該当しない。
 しかしながら、例えば「黒糖」と「黒糖以外の砂糖」を使用している製品において、原材料名欄に「砂糖」と表示し、表面に「黒糖使用」と表示すると、当該商品の糖分としては黒糖のみを使用したとの誤認を与えるため、原材料名欄に「砂糖(上白糖、黒糖)」のように分けて記載するなど、消費者へ誤認を与えないように留意することが必要である。

 (6)  割合表示を行うことによってかえって誤認を与えるような場合について
 例えば、「ホンマグロ10%(北太平洋産30%、メキシコ産70%)、メバチマグロ85%、ねぎ5%」からなる「ねぎとろ」に、「北太平洋産ホンマグロ入り」のような表示を行う場合、3(3)に従い「北太平洋産ホンマグロ30%入り(ホンマグロに占める割合)」と表示すると、原材料名欄に「メバチマグロ、ホンマグロ、ねぎ」と記載されていても、商品全体に占める「北太平洋産ホンマグロ」の割合が30%であると誤認する可能性がある。
 このように、特色のある原材料と同種の原材料を比較する場合、より分類の大きな一般名称(上記例の場合、ホンマグロ、メバチマグロに対するマグロ)が存在し、細分化された原材料の製品に占める割合が少ない場合、「北太平洋産ホンマグロ3%使用」のように、3(1)(1)に示す製品全体に対する割合を表示することが必要である。

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