輸血用血液製剤で細菌感染が疑われた事例について


 経緯等

 平成17年1月26日、日本赤十字社から輸血(人赤血球濃厚液)による細菌感染疑いの症例の報告があった。


 事例

 70歳代の男性。原疾患は脳梗塞、腎疾患等。
 平成17年1月21日、輸血(人赤血球濃厚液2単位を1本)を実施。輸血55分後に頭痛、全身痛、不穏が出現し、血圧上昇をきたし、輸血1時間20分後に輸血を中止した。翌22日には血圧低下、白血球数の上昇、炎症所見を認め、23日発熱し、敗血症となり、24日ショック状態となる。その後2月18日多臓器不全により死亡。


 状況

(1) 輸血された輸血用製剤について
 当該患者には、1人の供血者から採血された赤血球製剤を輸血。
 当該製剤に関わる血漿は新鮮凍結血漿(FFP)1本、原料血漿1本ともに確保済み。
(2) 検体検査の状況
 日本赤十字社から輸血血液と同一採血番号の血漿について、無菌試験を実施し、無菌試験結果は適合。
(3) 患者検体の調査
 患者血液培養でカビと大腸菌を検出。
(4) 担当医の見解
 無菌試験の結果を受け、輸血用血液製剤と敗血症及び多臓器不全との因果関係は低いとの見解を得ている。


 今後の対応

(1) 輸血用血液製剤とカビ及び大腸菌感染の因果関係は確認できなかった。
(2) 今後、遡及調査ガイドラインの徹底や細菌を除去・不活化する方策の検討を進める。

トップへ