輸血用血液製剤でHBV(B型肝炎ウイルス)感染が疑われた事例
(2月4日報告)について


 経緯
 平成17年2月4日、日本赤十字社から輸血(赤血球濃厚液)によるHBV感染の疑い事例で患者が死亡した症例の報告があった。

 事例
 60歳代の男性。原疾患は悪性腫瘍。平成16年9月8日から11月24日まで、貧血のため、輸血を計9回(赤血球濃厚液合計14単位)を受ける。
 輸血前の血液検査(平成16年8月3日及び9月8日)では、HBs抗原検査陰性であったが(9月8日はHBs抗体及びHBc抗体検査も陰性)、平成16年11月24日の輸血時にHBs抗原検査陽性が確認された(HBs抗体及びHBc抗体検査は陰性)。
 平成17年1月26日の輸血施行時に、HBs抗原検査陽性に加え、HBc抗体検査が陽性となり(HBs抗体検査は陰性)、1月31日には黄疸が出現するとともに、肝機能検査で高値を示し、2月2日に劇症肝炎により死亡した。
 なお、当該患者の輸血前血液(平成16年9月8日)の保管検体のHBV−NATは陰性で、輸血後血液(平成16年10月21日)はHBV-NATは陽性であった。

 状況
(1) 輸血された血液製剤について
(1) 当該患者には9人の供血者から採血された赤血球濃厚液を輸血。
(2) 9人の供血者と同一の供血者に由来し、同時に製造された原料血漿は7本が確保、新鮮凍結血漿4本のうち2本は確保済み。残りの新鮮凍結血漿2本は医療機関へ供給済みであるが、医療機関への情報提供は実施済み。
(2) 9人の供血者について
 供血者9人のうち、再献血した人はいない。
(3) 供血者個別NATの試験結果
 輸血時の供血者9人の供血時の保管検体について、個別NATを実施したところ、すべて陰性であった。

 今後の対応
(1) 供血者9人の再献血・検査に係るフォローを行う(再採血の依頼中)。
(2) 血液の安全対策の推進
 「輸血医療の安全確保のための総合対策」を着実に実施する。
(3) その他
 悪性腫瘍の治療にプラチナ系抗癌剤等(8月18日)及びテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(11月10日)を使用しており、薬剤性の劇症肝炎の疑いも完全には否定できない。

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