議事内容
○渡辺会長
本日は公益委員3名、労側委員2名が欠席です。池田委員は間もなくお見えのようでございますが、ただ今から第9回目安制度のあり方に関する全員協議会を開催いたします。
今回は、まず、前回の全員協議会において、新しい総合指数に基づく、ランク振分けなど、ランク区分の見直しについて議論を進めることとされたことを踏まえ、事務局から新しい総合指数及びランク区分の振分けの案について、資料を用意していただいておりますので、これについて、ご審議いただきたいと思います。それが終わりましたら「賃金改定状況調査結果第4表の計算方法に係る公益委員試案」について、ご審議いただく予定でございます。
では最初に、新しい総合指数が算出されたようですので、事務局から資料に基づいて説明をお願いいたします。
○前田賃金時間課長
まず、資料1をご覧ください。これは前回ご議論いただいた20の指標でございます。基本的に、平成11年から平成15年の数値を用いて行うということでしたので、新しく整理し直したものです。
1点だけ、2頁の(19)「1就業者当たり年間売上高(一般飲食店)」の指数について、前回は、平成10年の「商工業実態基本調査」を用いたのですが、本調査については平成10年以降実施されていません。このため、これに代わる調査がないかといろいろ探してみたのですが、各都道府県の年間売上高を表す適当なものがなく、やむを得ず、今回も前回と同様、平成10年のものを利用することとしたことです。基本的に、平成11年から平成15年ですので、平成10年で若干古いのですが、多少古いという程度ではないかと思っております。
次に、資料2をご覧いただきたいと思います。資料2は、現行の20指標に基づいて、各都道府県の原数値と、東京を100とした指数を整理したものです。全般的に申しますと、1頁の「総合指数」は、東京を100として沖縄が66.0ポイント、その他の道府県についても、前回と比べると0.5から5.3ポイント上昇し、すべての都道府県において東京との格差は縮小しております。ちなみに、平成12年のときは3府県で格差が拡大しておりました。
次に、6頁の(18)「1就業者当たり年間販売額(卸売業・小売業)」を、ご覧いただきたいと思います。前回の卸売・小売それぞれ1人当たりの販売額を出した上で、それを平均して用いたらどうかというご議論を踏まえ算出しました。その結果、各都道府県において、格差が縮小し、神奈川では30.8ポイント上昇しました。大阪が4.2ポイントで、一番上昇幅が小さいという結果となりました。
今回、この(18)を変えたことによって、全体の格差が4割程度縮小し、その他の指標についても、全般的に、東京と他道府県の格差は縮小傾向にありました。
一方、指数間格差が拡大したものとして、(20)「1就業者当たり年間事業収入額(サービス業)」を挙げることができます。このほか、(1)「1人当たりの県民所得」、(14)「新規高校学卒者の初任給(10人以上)」も若干拡大しましたが、それ以外は縮小しました。その結果が「総合指数」という形になっております。この総合指数を順に整理して、前回のものと比較したのが資料3です。上から高い順に並べておりますが、若干道府県の入れ替わり等が見られるということです。
資料1から3までの説明を終わらせていただきます。
○渡辺会長
ただ今の事務局の説明について、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。
○加藤委員
資料1の(19)「1就業者当たり年間売上高(一般飲食店)」について、これは平成10年の調査が直近のもので、それ以降、この調査は行っていないということでよろしいですか。
○前田賃金時間課長
資料1の(19)ですが、通産省の「商工業実態基本調査」という調査自体、平成10年が最後ということです。その後、経済産業省になって、「企業活動基本調査」というものが、この調査に代わるものとして一応行われているのですが、それは資本金3,000万円以上の企業のみを対象とし、一般飲食店のサンプル数が少ないため、全都道府県の数値が使えなかったのです。
それ以外に、民間の調査等も探してはみたのですが、なかなか都道府県ごとの数字というものが公表されていないということもあり、今回は時間的な制約もあって、取りあえず平成10年のものを使わせていただいております。
○加藤委員
趣旨はよく分かりました。今回はやむを得ず平成10年のものを使うということで理解しますが、この調査がなくなっているのであれば、また5年後にこういう議論をしなければならないわけで、5年後はやはり代わるべき資料なり、あるいは少し全体的にどういう取扱いにしたらいいのか、課題として残ったと理解してよろしいのでしょうか。
○前田賃金時間課長
特に次回に向けて、これをどうするかということを今後検討していかなければいけないと思っております。
○加藤委員
資料1の(20)「1就業者当たり年間事業収入額(サービス業)」ですが、これも平成11年ということでちょっと古いデータですが、この調査は何年に1回くらい行われているのですか。
○山口副主任中央賃金指導官
5年に1回でございます。
○加藤委員
5年に1回ですね。分かりました。
○渡辺会長
ほかにございませんか。資料2の(18)「1就業者当たり年間販売額(卸売業・小売業)」について、(18)-a、(18)-bは、前回、川本委員のご指摘を踏まえ、今までと変えた集計にしております。
特にご質問、ご意見がないようでしたら、その次に、ランク区分の振分け(案)について、資料に基づいて説明をお願いすることにいたしますが、よろしいですか。
(了解)
○前田賃金時間課長
それでは資料4をご覧ください。今回のランク区分の見直しについては、まず、1にあるように、現行と同様に「4ランクに分ける」ということを前提とします。また、2にある「3点に留意する」ということで、1つ目は、総合指数を順番に並べて、指数の差が比較的大きいところに着目すること、2つ目は、個々の都道府県のランク間の移動や各ランク毎の変動を極力抑えること、3つ目として、特にB、Cランクについては、分散度合をできるだけ小さくすることに留意すること、以上から、2頁の別紙1のような区切りが考えられるのではないかと考えます。
まず、別紙1のAランクとBランクの区切りです。現在、Aランクは3つの都府県です。3都府県以上で、現在の境界線に近く、比較的格差が大きいところを見ると、愛知と大阪の間が0.6ポイントの指数間格差がありますので、そこがX1という1つの案です。次に、千葉と滋賀で1.0ポイントの指数間格差があるため、これをX2の案とし、これで2案としてはどうかと言う事務局案です。
BランクとCランクの間の区切りについても、現在の境界線付近で、比較的格差が大きい富山と三重のところが0.4ポイントの格差で、これをY1とし、また、栃木と茨城で0.5ポイントの格差があるので、これをY2としてはどうかということです。
次にCランクとDランクの間の区切りですが、これも現在の境界線付近で格差が大きいところと言うことで、1つは岐阜と福島が0.9ポイントの格差で、これをZ1とし、和歌山と徳島の格差は0.3ポイントで、ここで区切ると、今のDランクの数及び所属する県が同じだということで、それをZ2とします。さらに、徳島と大分が0.7ポイントの格差があり、これが3つ目の案でZ3とします。
これを単純に組み合わせると、別紙2のような12の案になります。12の案を並べて議論するのも数が多いため、それぞれの区切りの中で、相対的な評価を行った上で、もう少し案を絞ったらどうかという考えの下、資料5を作成しております。
資料4の別紙1及び資料5を照らし合わせてご覧いただければと思います。資料5については、それぞれ各区分の区切りについて、相対的な評価をしています。
まず資料5の(1)「Aランク・Bランクの区切り方」です。X1の愛知/大阪で区切る案については、格差が0.6ポイントと言うことで、今のAランク内の都府県である3以上を確保し、相対的に格差が大きいところです。ただ、この案では愛知と大阪が入れ替わり、Aランクの最低賃金額自体の平均水準も下がります。
X2では、千葉と滋賀の格差は1.0ポイントで、こちらの方が格差が大きくなります。しかし、愛知と千葉がAランクに入って、Aランクが5都府県となり、X1と比べても、最低賃金額の平均水準が下がります。
評価として、X2の方がX1より格差が大きく、Aランクの分散度合もX2の方がX1より小さくなります。分散度合については、資料4の別紙2のとおり、X1で区切ると26.6、X2だと22.4になります。ただ、X2で区切ると、X1で区切るよりもさらにAランクの最低賃金額の平均水準が下がるということです。以上から、X1、X2については、直ちにどちらかというところの決め手に乏しいというところです。
Bランク、Cランクの区切り方について、Y1の富山と三重で区切ると、指数間格差は0.4ポイントです。ただし、これについては、富山がBランクに上昇し、栃木、広島がCランクに下降します。しかし、平成7年に、栃木がBランクに上がったという経緯があります。また、広島については、平成12年にBランクに上がったという経緯があり、一旦Bランクに上がった両県が、再びCランクに下降するのは、いかがなものかという問題があります。
一方、Y2については、栃木と茨城の間に0.5ポイントの指数間格差があります。この案についても、富山と三重がCランクからBランクに上がるということで、三重が平成7年にCランクに落ちた後、再びBランクに上昇することになります。ただ、このY1とY2を比べた場合には、Y1については過去にBランクに上がった栃木、広島がまたCランクに落ちるというようなこともあるので、どちらかというとY2のほうが適当ではないかと、事務局としては考えております。
Cランク、Dランクの区切り方について、岐阜と福島の間のZ1は、格差が0.9ポイントということで、格差の面から見ると一番大きいところです。この案については、平成12年に福島がDランクからCランクに上がったのですが、それがまた今回Dランクに落ちる等の問題があります。Z2は、和歌山と徳島の間で区切ると言うもので、指数間格差が0.3ポイントと、やや小さいのですが、現在のDランクに所属する県に変動がないことが挙げられます。Z3の徳島と大分の格差は0.7ポイントで、ある程度の格差があります。この場合、徳島が、DランクからCランクに上がるというものです。Z1については、平成12年に福島がCランクに上がったものが、Dランクに下降し、和歌山も下降するという、2県のランク間移動を伴いますので、Z2又はZ3の方が、相対的にはいいのではないかと思います。
以上、それぞれの区切りの相対的な評価で、一応Y1とZ1を消去した場合、次の資料6にあるような4つの案に収斂されます。X1−Y2を取ってZ2とするか、Z3とするか、それからX2−Y2を取って、Z2とするか、Z3とするかの4つの案です。それぞれ評価すると、X1は大阪がBランクに下降します。Z2、Z3の違いは、徳島がDランクからCランクに上がるかどうかということです。
X1−Y2−Z2(案5)については、大阪がBランクに下降します。Bランクが2県増加して、Cランクが2県減少します。
X1−Y2−Z3(案6)については、大阪はBランクに下降します。Bランクは2県増加し、Cランク、Dランクが1県ずつ減少します。ただ、4つの中では最もBランクとCランクの分散度合が最も大きくなっています。
X2−Y2−Z2(案11)については、Aランクが2県増加し、Cランクが2県減少します。Bランク、Cランクの分散度合は、この4つの中では最も小さいということです。この案は、すべての県で上昇するという特徴があります。
X2−Y2−Z3(案12)についてもすべての県が上昇します。案11との違いは、徳島がCランクに上がるということです。これも4つの中では相対的にBランク、Cランクの分散度合が小さいという特徴があります。
事務局としては、資料6にある4つの案を中心にご議論していただいてはどうかと思いますが、その他のものも含めて、委員の皆さんの中でご意見をいただければと考えております。
○渡辺会長
ただいまの事務局の説明について、ご質問、ご意見がありましたらお伺いします。
1ついいですか。5年前、あるいは10年前、上がるだけという見直しはあったのでしょうか。
○山口副主任中央賃金指導官
平成7年の場合は、7県に移動があって、そのうち5県が上昇、2県が下降しています。平成12年の場合は、3県が上昇し、1県が下降しています。したがって、上昇のみの見直しというのはございません。
○渡辺会長
岡部委員、どうぞ。
○岡部委員
前回、ランク見直しを行った際、使用者側委員から、地元の反応が様々で、上がるということをよしとするところと、下げた方がいいとする意見など、両方の意見が錯綜していたような気がします。やはり上がるということについては、それは経済的に損だからいやだというのか、あるいは、県勢を認めてもらってありがたいという、雰囲気が強いのでしょうか。
○川本委員
今日示していただいた案について、各地域の意見も聞いてみないと、何とも申し上げられないという状況です。
○渡辺会長
池田委員、どうぞ。
○池田委員
次回へのお願いなのですが、前回(平成12年)と今回(平成16年)について、賃金がどう変わったかという表をお願いしたい。今回変わった時点の1時間当たりの賃金と、前回のときの1時間当たりの賃金で、ランクは上がっても、実質的には賃金の変動が出てきますね。
○前田賃金時間課長
今の最低賃金の時間額という意味ですか。
○池田委員
ええ、参考資料としてです。下降した県であっても、必ずしも時間額が下がっているとは限らない。
○渡辺会長
ほかにはございませんか。
○加藤委員
今日拝見したばかりで、労働者側委員として、まとまった結論をもっているわけではなく、全く個人的な意見ですが、1つは、5年に1回、総合指数を使って見直しをしておりますが、特定の県について、前回は例えばランクが上がり、今回は下がるとか、そういう変動については、少し考慮した方がいいのかなと思います。
基本的には、20指標を使って、総合指数を算出し、それを見ながらランクの入替えについての議論を行うわけですので、指数格差をある程度重視した検討が必要なのかなと思います。
上がる場合、下がる場合の影響は、いろいろあると思うのですが、上がることによって、上位ランクの引上額が適用されることになります。ランク別に異なるような引上額が出される場合、上位ランクになれば、高い引上額が適用されますが、一方では、下位のランクから上位のランクにランクアップして移動すると、そのランクの平均値が下がることにもなり、どちらが得か損かということは、よく分からない面があると思うのです。
例えば、Aランクに、過去のBランクの千葉なり愛知なりがランクアップすると、Aランクの水準が下がります。各ランクすべてアップする県だけになると、各ランクの平均額がみんな下がることになるという面があります。ただ、指数格差などを重視した検討が必要なのではないかという意見をもっております。労働者側委員として、まとまった見解ではありません。
○渡辺会長
それでは、この議題については、労使各側におかれては、本日の議論や今日のご説明の趣旨等を踏まえてお持ち帰りいただいて、さらに検討を重ね、次回の全員協議会の場で検討結果を披露いただき、この場で再度議論して結論を出すという運びにしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(了解)
○渡辺会長
それでは、そのような形でこのランク区分の見直し等についての議論を進めることにしたいと思います。
続いて、「賃金改定状況調査結果第4表の計算方法に係る公益委員試案」の議題に入りたいと思います。まず、公益委員試案を配付いたします。
(公益委員試案の配付)
○渡辺会長
事務局で公益委員試案を読み上げてください。
○山口副主任中央賃金指導官
読み上げさせていただきます。「賃金改定状況調査結果第4表の計算方法に係る公益委員試案」。賃金改定状況調査結果第4表の賃金の上昇率の計算方法を、パートタイム労働者構成比の変化を反映した現在の方法から、構成比の変化を除去した方法に変更する。
1.目安を審議する際の重要な参考資料である賃金改定状況調査の賃金上昇率については、平成7年から「パート労働者の賃金水準とそのウエイトの変化、男女構成比の変化及び就労日数の増減を反映した方式」とされ、10年を経過した。
2.この間、年々のパートタイム労働者の構成比の変化は大きくなり、それによって「賃金の上昇率」の計算結果が大きな影響を受けている。
3.現行の「賃金の上昇率」の計算方法は、相対的に高賃金又は低賃金の労働者の構成比が、対前年で変化すると、その影響で計算の結果が変動するという特徴がある。
4.目安賃金の参考とされる「賃金の上昇率」の計算結果が、対前年のパートタイム労働者構成比の変化という賃金上昇率と関係がなく、年により変わり得る要因に左右されることは、目安審議資料の安定性の観点からは望ましくない。このような要因の影響を除去し、類似労働者の賃金の上昇率を把握することが必要である。
5.現行の計算方法が決定された平成7年前後は、パートタイム労働者比率は比較的安定していたが、その後、就業構造の変化を背景に、年々のパートタイム労働者比率の変化は大きくなっている。平成7年には想定し難かったこのような状況の変化に対応し、毎年の賃金の上昇率を安定的かつ的確に把握するため、パートタイム労働者比率の変化を除去した計算方法とすることが必要である。
6.なお、今後、パートタイム労働者比率に限らず、何らかの労働者構成の大きな変化により、賃金の上昇率が影響を受ける場合には、上記と同様の考え方から、その影響を除去することとしていくことが適当である。
以上です。
○渡辺会長
いま事務局から、公益委員試案を読み上げていただきましたが、私の方から、公益委員試案の基本的な考え方について、簡潔に説明をさせていただきます。
公益委員としては、年々のパートタイム労働者の構成比の変化が大きくなってきており、これによって賃金の上昇率が左右されることは好ましくないと考えられることから、パートタイム労働者構成比の変化による影響を除去して賃金の上昇率を計算することが望ましいと判断しました。
そこで、賃金改定状況調査結果第4表の賃金の上昇率の計算方法を、パートタイム労働者構成比の変化を反映した現在の方法から、構成比変化を除去した方法へ変更しようというのが、この案でございます。
具体的な計算は、調査年の前年の一般労働者とパートタイム労働者の構成比を、固定して賃金の上昇率を計算する方法、一般にラスパイレス方式と言われておりますが、これを採用しようというものです。
なお、平成6年までは、男女構成比の変化を除去した数値を算出していましたが、この際には男女構成比を調査年の前年に固定して、賃金の上昇率を計算しておりました。今回のパートタイム労働者の構成比変化の除去についても、それと同様の方法を採用しようとするものです。
若干説明を加えさせていただきましたが、この公益委員試案について、ご質問がございましたらお願いいたします。原川委員、どうぞ。
○原川委員
揚げ足を取るようで恐縮ですが、この試案の中の5番目の文章で、「平成7年には想定し難かったこのような状況の変化に対応し」というのは、認識として正しいのでしょうか。
○渡辺会長
し難かった、しなかったのではなくて、知ることが困難だった。
○原川委員
知り得なかったのですね。要するにできなかったということは、客観的に見て正しいのでしょうか。
○渡辺会長
10年前、パートタイム労働者の比率が、今日のように急激に増加するというようなことは予想できず、構成比の影響を考慮した計算方法を用いることとなったと思われます。
その後、今日になって、構成比の変化が非常に著しいということなので、その状況に的確に対応し、計算方法の変更を提案するということですが、当時、これほどのパートタイム労働者の増加を的確に予想できたかと言われれば、やはり困難であったと言わざるを得ないのではないかと思います。勝委員、どうぞ。
○勝委員
その点について、会長が言われたように、ある程度の変化はあると予想されていたかもしれませんが、ここまで変化するとは、やはり予想しにくかったと思います。それはやはり、要因としては2つあって、循環的に景気停滞に入ったということと、構造的に変化したということです。特に企業のあり方が、10年前と今とではかなり大きく変化し、その当時を予想するのは非常に難しかったのだろうと思います。
つまり、循環的だけであれば、それほどの変化はないと思われたのですが、日本経済の構造、特に産業構造、企業構造というものが減ってきたということを考えると、やはりその当時は、ここまで変化するということを予想することは非常に難しかったのではなかろうかと思います。
○渡辺会長
杉山委員、どうぞ。
○杉山委員
平成7年、パートタイム労働者を含めたこと自体、パートタイム労働者が重要になってきていることを明らかに反映しています。そこに区切りがあったので、それ以前予測していなかったら、なぜ平成7年にそのような改定をしたのかということになるわけです。
構成比が高まったということ自体は、平成7年の改定によって、十分それを消化できてきているわけです。ただ、1年ごとの変化が、かなりの効き目で、上昇率に影響するということは、上昇率自体が低いものですから、この構成比の変化というのが相対的に非常に目立つことが最近の問題であって、1年ごとの変化だけを捉えてみても、過去、例えば今年の変化よりも大きい年もあり、そのこと自体もそんなに問題ではないのではないかと思います。したがって、パートタイム労働者が増えたからという単純な論理ではないように思います。
○前田賃金時間課長
平成7年当時、パートタイム労働者の比率を見ると、例えば賃金構造基本統計調査で見ると、その前後は大体12%程度で落ち着いており、安定的でありました。その後、毎年のパートタイム労働者の構成比の変化が大きくなり、ですから、長期的に見てどうかというよりも、1年ごとの構成比の変化が大きく、それが賃金上昇率に与える影響を見る際に、その構成比の影響が大きいので、それを取り除いたらどうかというのが、この公益の試案の趣旨ではないかと思っています。
先ほどの賃金構造基本統計調査や毎月勤労統計調査で見ても、平成7年前後は、パートタイム労働者の比率が安定的だったのですが、その後、年々、かなり大きな変動が見られるため、それは除いたほうがいいのではないかという趣旨だと理解しております。
○杉山委員
趣旨を誤解しているわけでもありませんし、この間いろいろ議論を尽くしているので、間違ってはいないつもりです。しかし、平成7年のパートタイム労働者は、約13%とおっしゃいましたが、それくらいの比重になって無視ができなくなってきているということが、平成7年のポイントなのであって、誤解されるような表現がちょっと窺えます。そこを原川委員が指摘したのだろうと思います。
○渡辺会長
公益委員試案の第5番目の記述の趣旨について、より趣旨を明確にするために、さらに検討させていただきたいと思います。
原川委員、何か追加してご発言ございますか。
○原川委員
特にございません。真意は杉山委員が言ったとおりです。
○内海委員
以前は男女構成比を除去するような形でやっていたのですね。それをやめたのは、男女構成比が慢性的に変わらなくなってきたからということだと思うのですが、今後、パートタイム労働者の構成比が安定してくると、また除去するのをやめるということになるのでしょうか。つまり、このパートタイム労働者の比率を除去するような形で、今回計算方法を改めて、また何年か経つと、男女比率がそうだったように、これが安定的な形になってきたとすれば、状況を見ながら変えていくというものと理解すればいいのでしょうか。いつも状況を見ながら変えていくというシステムであれば、そうしていけばいいとは思うのですが、しょっちゅう計算方法が変わるのは、あまり好ましくないのではないかと思います。何年かに1回変わるというのは、いかがなものかなと思っております。パートタイム労働者の構成比が、ここ数年増大していますが、この先どうなるかは、平成7年に、いまの状況が想定しにくかったと同様に、いまも想定しにくいと思います。その辺のところは、5年に1回とか、そういう形で見直していくと決めているのであれば、それはそれで、少なくとも5年間は安定的に、その計算方法でやることとしなければならないと思います。
○渡辺会長
今年、公益委員試案のように決めましたら、次の5年後まではそのとおりに踏襲されます。パートタイム労働者の比率が、現在20%強という認識を前提にご提案しているわけですが、それがほぼ20%前後で安定してきたということになれば、そのままの状況で、つまり構成比の変化を固定した状況がその後も続くだろうと思います。それがまた平成7年頃のような状況に逆戻りしたり、あるいは正規とパートタイム労働者という要素以外の別の要素を考慮しなければならないものが出てきたら、それをまた考慮し、構成比が変わらなければ、この考え方がその後も続くと思います。
○内海委員
構成比が変わろうが変わるまいが、ずっと除去するというこの計算式でいいのではないかと思うのです。つまり、構成比が変動するので、賃金の上昇率に影響を及ぼすわけですね。
それで構成比が安定的で、変わらないといったとき、除去する方式に何かマイナス要因があるのでしょうか。男女構成比率が安定したとき、除去する方式をやめた理由が、私はなぜかと思うのです。平成7年には想定し難かった、できなかったという話がありましたら、また今もしにくいわけで、その先はどうなるのかなと思ったのです。
○渡辺会長
次回までに、今日いただいた意見を、十分検討させていただきたいと思います。
○勝委員
今の質問に関してですが、この方式に変えることによって、構成比(ウエイト)がこれから変化しようと、安定しようと、賃金の上昇率で見ることが基本になるとすれば、将来どうあってもこの方式は変わらないということでいいのではないでしょうか。これからはむしろ、もしかしたら働き方がどんどん多様化するかもしれません。そういったことを想定して、6番の項目が立てられているのではないかと理解しているのですが。
○渡辺会長
この平成7年のときは、男女構成比のほかに、労働時間の短縮効果も考慮できるように改定状況調査結果を工夫しようということがありました。ですから、賃金に直接影響を与えるような重要な要素が出てきたときは、それをできる限り柔軟に取り入れていこうという基本発想がありますので、その6番に書かれたような記載が出てくるわけですが。
○池田委員
これから除去するのではなくて、ここ1、2年の、除去した場合にどう変わるかということを計算してみるのは大変なことなのですか。現状と除去した場合に、どういう影響があるのかということを、計算して具体的な数値で出すのは大変なことなのですか。除去するとどうなるのか、あまりよく見えないのですが。
○前田賃金時間課長
具体的な数値というのは、なかなか難しいです。具体的な計算方法を説明させていただきます。
(追加資料配付)
○前田賃金時間課長
これは公益委員の方ともご相談して、計算方法を分かりやすく示したものです。前年の一般労働者とパートタイム労働者の数が、それぞれa1(人)、b1(人)という人数であったとし、それぞれの時間給が、A1(円)、B1(円)であったと仮定します。それで、本年度の一般労働者の数がa2(人)で、パートタイム労働者がb2(人)、それぞれの時間給がA2(円)、B2(円)であったということを前提に式を書いたものです。
「現在の計算方法」は、パートタイム労働者の構成比を反映しているものです。まず、前年の平均賃金をそれぞれ一般労働者の数と時間給、それからパートタイム労働者数と時間給を掛けて、全体の人数で割ると、全体の平均の賃金が出る。当年についても、当年の指標であるa2(人)について、A2(円)の時間給、パートタイム労働者b2(人)についてB2(円)の時間給ということで、それを全体の人数で割ると、当年の平均賃金が出て、その(2)と(1)を比較して、賃金上昇率を出しているというのが、現在の方法です。
これを、「パートの構成変化を除去した場合」には、前年の平均賃金は同様の式ですが、当年の平均賃金を出す場合に、その人数のところを前年の人数で使うということで、賃金の額は、A2、B2と、当年の数値を使えますが、人数は前年のa1、b1という人数で計算して、賃金上昇率を出すことによって、この前年と当年との間、1年間のパートタイム労働者構成の変化が除去されるという趣旨です。
具体的にどう影響を及ぼすかというのは、それぞれの構成比や賃金の上がり方によって変わってくるので、いろいろな場合があります。しかし、あくまで構成比変化を除去させて引上率のみを見ていくことが、引上げの状況を見るときには適当ではないかという趣旨のもと、こういう計算式はどうかということです。
○渡辺会長
池田委員、この計算式に基づく、具体的な数値を直ちに提示することは難しいと思います。
お手元に配付した公益委員試案について、特に5番目の記述の内容について、新しい計算方法の趣旨が、より一層理解されるように、公益委員としても、これからまた検討させていただきたいと思います。全体の趣旨としては、前年のパートタイム労働者構成比に従って、当年度の賃金上昇率を見るということに変更はないのですが、記述の方法、内容について、工夫すべきところがあれば、さらに工夫を重ねたいと思っております。
それでは、この議題について、さらにご意見がございませんようでしたら、これまでとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。労使各側におかれては、これもお持ち帰りいただいて、さらに検討していただいて、その結果について、11月の全員協議会報告の骨子(案)の議論の場で披露していただくということにしたいと思いますが、そういう運びでよろしいでしょうか。
(了解)
○渡辺会長
特にそのことについてご意見もないようですので、そのようにさせていただきたいと思います。
以上で、今日準備した議題は終了いたしました。次回の全員協議会について確認をいたします。次回は、10月13日午前10時から厚生労働省専用第17会議室(16階)にて開催したいと思います。議題としては引き続き、先ほどご検討いただいた「ランク区分のあり方」等についてご検討いただくということで進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(了解)
○渡辺会長
これで第9回目安制度のあり方に関する全員協議会を終了することといたします。本日の議事録の署名は加藤委員、東條委員にお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
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