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独立行政法人雇用・能力開発機構の
平成15年度の業務実績の評価結果



平成16年8月24日
独立行政法人評価委員会



1.平成15年度業務実績について
(1)評価の視点
 独立行政法人雇用・能力開発機構(以下「機構」という。)は、特殊法人雇用・能力開発機構が平成16年3月から新たに独立行政法人として発足したものである。
 今年度の当機構の業務実績の評価は、平成16年3月に厚生労働大臣が定めた中期目標(平成16年3月〜20年3月)の初年度(1か月間)の達成度についての評価である。
 当委員会では既存の独立行政法人に対して実施してきた従来の評価方針や平成14年度までの実績の評価の過程で生じた評価作業等に係る今後の課題に加え、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から当委員会に対し提出された平成13年度及び平成14年度における独立行政法人の業務実績に関する評価の結果についての意見を踏まえ策定した「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」に基づき、評価を実施した。

(2)平成15年度業務実績全般の評価
 平成15年度は、主体的な業務運営を行うことが可能である独立行政法人としての発足の初年度であるが、法人設立から1か月間という短期間の実績評価ということもあり、いずれの評価区分についても、平成16年度中の実施に向けた検討・準備事項が多く、中期計画に掲げるような定量的な実績の評価は困難である部分が多いため、実績の評価については判断し難い面がある。このため、平成16年度が本来の初年度であると認識し、中期目標及び中期計画の達成に向け、さらなる業務の着実な遂行及び効率化を図ることを望むものである。
 なお、中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2.のとおりである。個別項目に関する評価結果については、別紙として添付した。

2.具体的な評価内容
(1)業務運営の効率化について
 業務運営の効率化の観点から実施する事業については、いずれも平成16年度以降の実施事項であるため、平成15年度業績評価の対象としていない。

(2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上について
(1) 雇用開業務
 雇用開発業務については、労働者の新たな雇用機会の創出を図るために、平成16年3月の1か月間(以下「対象期間」という。)において、「新規・成長分野企業等の雇用管理改善のためのセミナー」を45回開催し、923人が受講したこと、「雇用創出セミナー」を3回開催し、3,286人が受講したこと等から、雇用管理等や創業に必要な経営・雇用に関する情報のノウハウを提供したことは、平成15年度計画の通りの実績と認められる。なお、セミナー受講者数に係る定量的評価とともに、セミナー活用による成果・効果について、アンケート調査によるセミナー受講者の満足度に加え、創業の状況等のアウトカム指標による評価を行う必要があると考える。
 また、雇用開発関係助成金については、助成金の制度理解を促進するための説明会を97回にわたり開催し、申請内容の適正化、不正受給の防止を目的として、306事業所を直接訪問する等の措置を図ったが、これについては概ね計画通りに実施されたものと認められる。

(2) 職業能力開発業務
 機構の行う就職に資する職業訓練の受講促進に係る取組については、対象期間中、キャリア形成支援コーナーにおいて13,247件のキャリア・コンサルティングを実施する等、離職者本人の意欲、適性、能力等を把握し、適切な職業訓練の受講に結びつくよう支援していることは評価できる。また、職業訓練の実施段階における就職支援については、施設内訓練においては段階的できめ細かい面接指導の実施等の取組を、委託訓練においては委託先が行う就職支援の内容に関し、委託先毎に訓練カリキュラムの一環としての就職相談の実施等の指導を行っているが、これらの支援により就職率の向上を図り、中期目標に掲げる職業訓練修了者の就職率の達成を図るよう努める必要がある。
 新分野等への事業展開の支援については、起業・新分野展開支援センターにおいて、新たな分野の展開等に必要な技術、起業全般といった専門的な相談・情報提供等を337件行うとともに、公開講座や起業家養成セミナーを、対象期間中において、それぞれ5コース、1コース実施しているところである。対象者のニーズを考慮した夜間のセミナー実施については評価できる。
 若年者対策については、若年者に対する職業意識の形成支援の一環として、ヤングジョブスポットにおいて、職業ふれあい事業、フォーラム事業等が実施されており、対象期間中において、それぞれ44回、105回開催される等順調に実施されていることや、「中高生に対する仕事ふれあい活動支援事業」(職業人の講話、仕事体験施設の活用、職場体験・就業体験等の活動)についても、79件実施していることから、計画通りの実施が認められる。また、私のしごと館については、平成15年度の展示・体験事業、ライブラリィ事業等各事業は、若年者の職業意識の涵養に資すると認められるものであり、対象期間中の利用者数は27,428人にのぼる。今後は、当該施設の一層の利用促進を図るためにも、有効な広報活動の実施や学校等教育機関との一層の連携を図る必要がある。
 キャリア・コンサルティングについては、各都道府県センター等に配置したアドバイザーにより、労働者に対しては、キャリアシートの作成指導等といったキャリア・コンサルティング等能力開発について必要な援助及びキャリア形成に関する情報提供を112,783件実施し、事業主団体及び事業主に対しては、キャリア・コンサルティングに関する技術的相談援助、キャリア形成に関する情報提供等を14,382件実施した。これらの取組については、活発かつ意欲的と評価できる。
 また、職業能力開発関係助成金については、申請内容の適正化、不正受給の防止を目的として、50事業所を直接訪問する等の措置を図ったが、これについては概ね計画通りに実施されたものと認められる。

(3) 勤労者財産形成促進業務
 平成16年4月から適用する貸付金利を設定するに当たり、平成16年3月1日の基準金融機関の短期プライムレート等をもとに、貸付金利を設定し、その金利を住宅金融公庫及び厚生労働省との調整を経て確定を行ったが、これについては、平成15年度計画の通り、適切に実施されたものである。

(3)財務内容の改善について
 予算執行等については、平成15年度計画通りに実施している。財形融資及び雇用促進融資の債権管理については、委託金融機関と債権管理に係る情報の共有化を図り、適切な債権管理を行うための連携強化を行っているところである。

(4)その他業務運営について
 業務運営の効率化のために、一般管理費や事業経費の効率的な利用に努めるとともに、目標に定める人員削減を行う必要があるが、当該人員削減が士気の低下につながることがないよう配慮する必要がある。


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