平成16年1月8日
労働政策審議会職業安定分科会 雇用保険部会 部会長 諏訪 康雄 |
労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会報告書
1 | 育児休業給付制度及び介護休業給付制度の見直しの必要性 |
○ | 育児休業給付及び介護休業給付は、育児休業及び介護休業のように当該休業が円滑に取得できなければ労働者の職業生活の円滑な継続が困難となってしまうような性質を有する休業について、特に両休業が「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)において義務化されており、当該休業の取得について社会的コンセンサスが確立していることを踏まえ、これらの休業事由が発生した一定の被保険者について、当該休業を取得しやすくし、その後の円滑な職場復帰を援助、促進することを目的として創設されたものである。 |
○ | 今般、労働政策審議会雇用均等分科会において、育児休業制度及び介護休業制度について法的整備を求める報告が取りまとめられた。この報告では、育児休業制度及び介護休業制度について、一定の期間雇用者についても育児休業及び介護休業の対象とすること、特別の事情がある場合に育児休業の期間を延長すること、介護休業を取得できる回数に関する制限を緩和すること等を行うことが適当とされているが、これらの内容は、労働者の雇用の継続等を図り、もって職業生活と家庭生活との両立に寄与するという育児・介護休業制度の趣旨目的を変更することとなるものではない。 |
○ | したがって、このような改正に伴い、新たに育児休業又は介護休業の対象となる場合について、育児休業給付及び介護休業給付によって育児休業及び介護休業を取得しやすくし、その後の円滑な職場復帰を援助、促進する必要性もあるものと考えられる。 |
○ | 一方、雇用保険制度は、当部会の昨年12月18日の報告書に基づき、当面する財政破綻を回避するとともに、将来にわたり制度の安定的運営を確保するため、給付・負担の両面にわたる見直しを行い、本年5月1日から施行したところであり、このような中で今般育児休業給付制度及び介護休業給付制度の改正を行うに際しては、「雇用継続を援助・促進する」という、雇用保険制度の一環として制度化された制度本来の趣旨を十分踏まえるとともに、改正によっても基本的に財政的に中立となるような配慮が必要である。 |
○ | なお、同報告書記の3「今後の課題」で指摘したように、育児休業給付制度及び介護休業給付制度については、雇用保険制度本来の役割との関係や、他の関連諸施策の動向等も勘案しつつ、今後ともその在り方について検討していく必要があるのは当然である。 |
2 | 育児休業給付制度及び介護休業給付制度の見直しの方向 育児休業給付制度及び介護休業給付制度については、以下のような見直しを行うことが必要である。 |
(1) | 育児休業給付の給付期間の延長 育児・介護休業法の改正による育児休業期間の延長に合わせて、保育所に入れない等特別の事情がある場合に限り、育児休業給付の給付期間を最大1歳半まで延長する。 |
(2) | 介護休業給付の受給回数の見直し 育児・介護休業法の改正により介護休業を取得できる回数の制限が緩和されること(現行:一の対象家族ごとに一回 → 改正案:要介護状態ごとに一回)に合わせて、介護休業給付の受給回数を見直す。 |
(3) | 期間雇用者の適切な取扱い 育児・介護休業法の改正により期間雇用者に休業の権利が付与されることとなるが、これに対応し、そのような者のうち「雇用継続を援助・促進する」という、雇用保険制度として制度化された制度本来の趣旨に適う者について給付が行われるよう必要な措置を講ずる。 |
(4) | 端数期間の処理の見直し 制度創設当初より、事務処理上の都合から、最後の支給対象期間について、その全日について休業を行っていなくとも日割り支給とせず、支給対象期間の全体について育児休業給付又は介護休業給付を支給しているが、「育児休業又は介護休業に伴う賃金収入の全部又は一部の喪失」という保険事故に対する給付であるという原点に立ち返ってこれを改め、休業日について日割りで支給することとする。 |
雇用保険部会における検討状況
○ | 第19回(12月18日(木))
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○ | 第20回(12月25日(木))
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〔平成15年12月現在〕
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注) | ○=部会長 ※=専門委員 |