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第1回検討会における意見を事務局として整理したもの


.普及啓発の基本的方向性

普及啓発というのはかなり以前から、それこそ国を挙げて、県を挙げて、私どもの施設関係者あげて、ずっとやってきたが、それでもなおかついろいろな偏見というか、無理解というか、かなり厳しい。

確かに精神障害と一口で言っても、いろいろな場面、いろいろな状況、いろいろな背景を持っているので違ってくる。

風貌から見たり、対人関係の弱さ、就労の低さ、かなり就労しようとするが、どうしても就労が長続きしない。どんなに作業所などで訓練しても就労に結びつかないという障害、社会的なバリアがあるということが改善しないと理解が得られない。

恐さからの差別というか、理解の悪さを突破するには大変な努力をしなければならない。


.国民の認識の現状と国民に向けた分かりやすいメッセージ(指針)
(1) 正しく理解する

精神疾患は、誰でもかかる病気であることと、それはライフスタイルを変えることによって、あるいはストレスをうまく処理することによって防ぎ得る病気。精神障害は生活習慣病であるとある程度言ってもいいのではないか。素質があって、それにストレスなどがかかってなる病気で、まさに生活習慣病という表現ならば一般の方にもわかりやすい。

精神障害者は漠然とただ危険であるという件について、家族会では司法統計を使っており、統計の年代は少々古いが、年間総検挙人数の中で精神障害者が占める割合は0.1%という数字が示されている。精神障害者はみんな危険という考えが誤っていることを示す上でその数字はわかりやすい。

(2) 態度を変える・行動する

日常的な接触体験が重なれば多くの人たちは恐いという印象は払拭できる。ほんの瞬間瞬間の体験がその時の状況によって恐いという体験につながる。しかし、日常的な体験ができると、その人が恐いというよりも、病気が悪いときは大変なのだなという印象で受けとめていく。

今後精神障害者は怖くない人なのだよというイメージを持っていただくためには、その対極にあるきちんとリハビリができてデイケアなり作業所なりに通っている人たちとの接点を視野に入れた調査もやっていただけたら。

恐いというのは固定したイメージであるが、家族会のレベルでもそれを何とか変えていきたいという思いがある。それで最近では、作業所などに小・中学生にも見学に行っていただくとか、そういう交流のプログラムを組んでいるところも出てきている。


.指針の趣旨の普及方法
(1) 基本的方針
(1) 普及の対象者層に応じた情報発信

もちろん学校であるとか職場であるとか、あるいは地域という場面場面での啓発のあり方が考えられるべき。

例えば地域の中で精神障害の問題を理解していただくというときに、理解をしていただく人たちの対象を絞りながら広がりを期待していくというような考え方もできるのではないか。

(2) 国民に接する機会の多い者や当事者の役割の重視

接触体験のプラス・マイナスだけで単純に結果を出すと何となく誤解され、接触体験の内容をどう考えるかが重要。

住民と接する第一線の人たちが精神障害について、どういう理解を持つのかが大変大事。

障害者団体の中でバリアフリー化をしなければ精神保健の問題は解決できないのではないか。3障害が一体化して活動していることもこれからの視点として非常に重要。

(2) 主体別の取り組み
(1) 当事者、当事者家族

恐いというのは固定したイメージであるが、家族会のレベルでもそれを何とか変えていきたいという思いがある。それで最近では、作業所などに小・中学生にも見学に行っていただくとか、そういう交流のプログラムを組んでいるところも出てきている。

自立サポートネット流山というNPO法人は3障害者団体が一緒になって作られ、一番画期的なのは、今までの福祉作業はどちらかというと第2次産業であったが、第3次産業で障害者の店を運営し、売り上げを確保している。実物教育というか、普及啓発冊子を100遍配るよりはお店に来て実際にそこで接してもらうことの方が大変大きいものがあるのではないか。

本市では、保健師に強制的に精神保健福祉士の連続研修をさせて試験を受けさせ養成している。こういうことがどこでもできるというわけではないが。ただしそれを受けた人たちは、みんな受けてよかった、そのことが保健師活動にも役に立っているという結果が出ている。

(2) 保健医療福祉関係者、地域活動関係者

オープン・ザ・ドアという形で統合失調症の偏見に対する普及啓発事業をやっている。その方法は、いわゆる良好な接触体験をしていただこうということで、過去の接触体験の有無とは余り関連づけずに、当事者と民生委員たちとのディスカッションをしていただく。そこで、障害者もきちんと自分のことを言えるのだなとか、人に対して配慮した行動がとれるのだなということはそういう中ではすぐ体験される。

社会福祉協議会は都道府県と市町村のすべてに組織されているが、最近は精神障害者のホームヘルプの実施主体にもなりつつある。そのときに関係者が正しい意識を持ってもらうことを目的に、都道府県社協を対象に精神保健の研修というプログラムを社会福祉協議会振興事業として立ちあげた。基礎研修では社会福祉協議会の職員、一般の住民を対象に、実務研修では地域生活を支援する職員を対象に研修を行っている。企画そのものを精神保健福祉会や精神保健福祉センター、家族会の方々と共同で企画するやり方が地域の中で啓発する上で、共同で実施するかということが大変大事。

(3) 雇用や教育の関係者

精神疾患は誰でもなる、私自身もあの時そうだったのだと思えるようなものであるし、職場で働く多くの仲間も誰でもなり得るものだと。その意味では、ストレスが高まっている職場の中では大きな問題。

さまざまな状況にいる人たちが働くための支援は、援助付雇用という言葉のようなものではないものも必要。

実際に職場の中でストレスの中からそういう状況に陥った人に対して、仕事を軽減してしまうことがプラスに出るときと、仕事を軽減し過ぎてだめな人間だというふうに評価されることによってさらに悪化して、その病気が進んでしまっている傾向が見られる場合とある。そこで雇用の場での新たに障害者という雇用率の問題として組み込むようなものと違う意味での対応がかなり難しい。

精神障害者がヘルパーの資格を取得しても事業所が受け付けてくれないという課題。

(4) 行政職員、メディア関係者

正直言って全体的には自治体職員も理解が深まっていない。

市町村がこの仕事を厄介だなと最初は思っていて、しかし厄介ではいけない、自立支援をきちんと受けとめなければいけない。

例えば自治体の住民サービスに携わる公務員の方たちを対象にした普及啓発のあり方を考えていただけると、そこからいろいろな広がりが期待できるのではないか。

自治体職員の意識を変えるには専門職の意識を変える、そして専門職の意識が変わればその地域も変わるという連鎖反応は普及啓発の中で大きなポイント。

精神障害者の報道に関して歴史的にみると相当変わってきている。例えば氏名を出さなかったり、病歴がある場合に、記事にしないということも今はかなりの数になっている。

(5) その他


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