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看護師等養成所の教育活動等に関する自己評価指針

看護師等養成所における自己点検・自己評価についての基本的な考え方

−教育評価の意味−
 養成所における自己点検・自己評価は、教育評価の一環として位置づけられる。
 教育評価は、教育目的・目標の実現を目指して行われる教育活動に関する決定を行うために、必要な資料を収集整理して、実際の教育が当該目標をどの程度達成したか、また達成しつつあるかを見極め、それを次の教育活動へフィードバックする手続きである。評価結果から教育活動の改善点を見出し、教育活動の質向上を目指して再計画・実施され、再び評価するというように、教育評価は循環的、継続的に行なわれてこそ意味がある。

−自己点検・自己評価の目的−
 看護師等養成所として厚生労働大臣(准看護師養成所については都道府県知事)の指定を受けた養成所は、以後、養成所としての「教育水準の維持・向上」と「創意工夫のある教育の追究」を図ることによって、常に質の高い看護師等を養成していく責任と義務がある。各養成所はそのための「内部的品質保証の仕組み」をもっていなければならない。この内部的品質保証の仕組みが「自己点検・自己評価」である(図1参照)。
 設置主体および管理者は、養成所の教育理念の基に教育目的がどのように達成されているのかについて、また、養成所としての水準をどのように維持・向上させているのかを自己点検・自己評価できなければならない。そのためには、自己点検・自己評価について、どのような評価項目を設定し、どのように見極めるか、どのような資料やデータを収集するのか、それをどのように分析するのか等の知識と方法を必要とする。また、評価結果を活用して教育を改善していくために、改善の手だてやそれを実現していくための知識と方法も必要である。
 前項の「教育評価の意味」に示したように、自己点検・自己評価は、循環的、継続的に行ない、自養成所の維持・発展につながることが重要である。また、社会的説明責任を果たすためには、自己点検・自己評価の一環として、評価結果を計画的に公表する機会を設定することも必要である。


−自己点検・自己評価の対象−
 自己点検・自己評価の対象は、各養成所の教育活動であり、下図に示す9カテゴリーとその下位項目からなる。

*下位項目一覧は7-9ページ参照


図
図2 自己点検・自己評価の対象


看護師等養成所の自己点検・自己評価指針

−自己点検・自己評価指針の活用にあたって−

  1. 本指針は、看護師等養成所の自己点検・自己評価のための指針として作成したものである。
     保健師養成所、助産師養成所、看護師養成所、准看護師養成所それぞれに異なる状況や背景があり、本指針がその全てを網羅できるものではないので、各養成所においては、自養成所の状況を踏まえて活用する必要がある。
  2. 本指針は、「自己点検・自己評価カテゴリー、下位項目」、「『評価の考え方』と『点検』」、自己点検・自己評価のために必要とする「資料(データ)」 および、「点検(評価内容)一覧」により構成されている。
  3. 「評価の考え方」は、各養成所において、自己点検・自己評価についての知識と方法を理解しながら進めることができるように、各自己点検・自己評価のカテゴリーおよびその下位項目について、どのように見極めていけばよいのかを基本的な説明を含めて記述している。
  4. 本指針の中で示している「資料(データ)」は、「評価の考え方」の内容を点検・評価する上での目安として示している。その具体的内容(どのようなもの)や量(どの程度)については、各養成所が自ら考え、選択していくものである。
  5. 「点検」は、「評価の考え方」と「資料(データ)」から、自己点検・自己評価のカテゴリーがどのような状況になっているのかを明確に捉えるための視点として設定した。
  6. <点検>(評価内容)一覧では、各カテゴリーの「『評価の考え方』と『点検』」のなかに設定した「点検」を一覧できるようにした。また、自養成所の現状を測定できるように、尺度を設定した。カテゴリーごとに設定した「点検」と、この一覧に表示した<点検>(評価内容)とは、基本的には同じものであるが、尺度を用いて評価する際の評価内容を明確にするために、各「点検」項目に含まれる要素を分けて表示してある。 本指針においては、この尺度のみを単独で使用するのではなく、「評価の考え方」と「資料(データ)」を十分に理解した上で活用することに意味がある。
  7. 本指針は各養成所が活用して、自己点検・自己評価した結果に基づいて改善の方向を見出し、その方向に向かうための指針であり、養成所間の相対的レベルを測るものではない。
  8. 評価のカテゴリーは9領域あり、「点検」は67項目(125点)を設定しているが、最初から一度に全てのカテゴリーに取り組むことは時間的・労力的に困難である。自己点検・自己評価は継続的に、計画的に実施することに意味があるので、1で述べたように各養成所の状況に応じて、実際に取り組めるカテゴリーや項目から始めることが望ましい。
  9. <点検>(評価内容)一覧を用いて行った評価得点が高くなることは、「評価の考え方」の内容が示すように、各養成所が自らの設定した教育理念・教育目的の実現に向けて、看護師等養成所としての水準が向上するように努力していることを示すものである。

  *本指針において、「教師」は、「学術・技芸を教授する人」(広辞苑1998)として、教育を行う個人を表している場合に用いている。
一方、「教員」は、「学校に勤務して教育を行う人」(同上)として、組織員としての意味や、勤務等に関連する内容を表す場合に用いている。


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