I. がんの本態解明
(1) | 発がん要因
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(2) | 発がん機構
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(3) | がんの特性
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(4) | 生物学的基盤
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1 | 生体の免疫機構に関する研究成果の臨床的応用のためのトランスレーショナルリサーチ |
2 | がんの分子標的研究の推進と治療応用のためのトランスレーショナルリサーチ |
3 | 新しい原理による治療開発のためのトランスレーショナルリサーチ |
4 | がん予防に関する研究成果の臨床応用のためのトランスレーショナルリサーチ |
5 | がん診断に関する研究成果の臨床応用のためのトランスレーショナルリサーチ |
1 | 生活習慣改善によるがん予防法の開発とその評価 |
2 | 新規がん化学予防剤の同定とがんの高リスク群への応用 |
3 | ゲノム情報を取り入れた個別のがん予防法の開発 |
4 | 感染予防と感染症制御によるがん予防 |
5 | 発がんリスク軽減に関する適切な知識の普及と環境整備 |
1 | 発がんリスクを判定するためのマーカーの同定と高精度解析法の開発 |
2 | 高感度腫瘍マーカーおよび解析技術の開発 |
3 | がんの個性判定法の確立とその臨床応用 |
4 | 遺伝子多型を利用したがん治療法(化学療法・放射線療法など)に対する副作用予測法の開発 |
5 | 新規の診断用機器の開発とその評価体制の確立 |
6 | コンピューターによる自動診断法の開発と臨床応用 |
7 | 新規のがん検診技術の開発と導入 |
8 | 検診の診断精度の向上とその有効性の確立 |
1 | 新しいがん手術療法に関する研究 |
2 | がんの機能温存・機能再建手術に関する研究 |
3 | がん治療への内視鏡技術の応用に関する研究 |
4 | がんの分子標的治療薬の開発に関する研究 |
5 | がんの免疫・遺伝子・細胞療法に関する研究 |
6 | 新しいがん放射線治療に関する研究 |
7 | がんの緩和医療に関する研究 |
1 | がんの罹患と予後についての実態把握に関する研究 |
2 | がん患者データベースの構築に関する研究 |
3 | がん診療のための医療情報提供システムに関する研究 |
4 | 国民向けがん情報提供システムに関する研究 |
5 | がん患者、家族のための支援技術の開発に関する研究 |
1 | トランスレーショナル・リサーチ、臨床研究促進のための研究体制の整備 |
2 | がん登録事業等、疫学研究の基盤整備 |
3 | 国レベルのバイオリソース、データベース機能の充実 |
4 | がんの予防・検診センターの設置を含む予防・診断技術の確立とその全国への普及 |
5 | 国民へのがんに対する的確な知識と最新情報の提供 |
6 | 産官学連携の強化のための体制整備と産官学協力の推進 |
7 | 若手研究者ならびに研究支援者の育成と人事交流の促進 |
8 | 国際協力、国際交流の充実 -国際協力をもとに国際貢献へ- |
9 | がん研究の推進における中核拠点機能の強化による、研究・運営の効率化と充実 |
II. | トランスレーショナルリサーチの推進と実践
わが国のがんの基礎研究は国際的に高い評価を受けているが、その実用化・臨床への還元については、それを支援・促進する基盤の整備も十分でない。診断、治療、さらには予防を含めたがん医療の新たな展開には、生命科学研究の成果を臨床へ還元していく一つ一つの過程を充実させることが必要であり、その過程に関わる全ての研究(トランスレーショナルリサーチ)の充実が必要である。
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III. | がんの予防法の開発と実践
がん予防対策を総合的に進めていくために、一般国民、あるいはがんの高リスク群を対象とした生活習慣改善、がん化学予防剤やがんウィルス感染予防治療による有効ながんの予防法を開発し、それらを実践する。遺伝子多型などゲノム情報を取り入れた予防法や感染症制御による予防法の開発も強力に推進する。また、これらの総合的知見を蓄積することにより、集団と個を対象としたがん予防法の確立を図る。さらにがん予防を効果的に実践していくために、がんに関連した情報の収集、専門家のみならず広く国民へのがん予防知識の普及を系統的に推進する。
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IV. | がんの診断法の開発と実践
ゲノム研究やたんぱく質科学研究を体系的・網羅的に推進して、新規の発がん要因・腫瘍マーカー・抗がん剤感受性関連因子・抗がん剤副作用関連因子の同定を目指す。また、これらの要因を評価する体制を構築するとともに、これら要因の解析技術の開発を行い、有用なマーカーの臨床への導入を図る。診断用機器の開発と臨床への応用としては、高速コーンビームCT、高磁場MRI、臓器特異的MRIサーフェイスコイル、拡大デジタル画像撮影機器、PETを含む機能画像撮影機器、電子分光内視鏡、新しい造影剤と放射性薬剤の開発を行う。診断支援としては、コンピューター自動診断装置、がん診断画像情報のデーターベースの構築等を重点的に推進する。検診に関しては、新規がん検診技術の開発による検診精度の向上と、死亡減少効果・延命効果・費用対効果等の総合的観点から有効性を明らかにする。
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V. | がんの治療法の開発と実践
外科学的療法における効果の客観的評価体系の確立、難治がんに対する集学的治療の検討、ロボット外科をはじめとする新しい手術手技やがん治療のための医療機器の開発、機能温存・機能再建手術などの開発・推進、外科分野における臨床試験支援体制を構築する。内視鏡手術あるいは胸腔鏡・腹腔鏡手術については、適応の拡大、安全性の改善を目指し、新しい機器や人工素材の開発を推進する。分子標的治療薬の開発を進めるとともに、個々の患者におけるがんの細胞学的特性や体質情報に基づき、最適な治療法を選別しうる集学的がん診療体系の研究を進める。また固形がんに対する新しい免疫療法に関する研究を推進する。遺伝子治療については、ベクター開発などの基盤研究を進めるとともに、臨床的有用性につながる新たな分子標的を探索する。また、粒子線治療の臨床的有効性を評価するとともに、強度変調放射線治療、定位放射線照射療法、密封小線源治療などの新しい照射技術についても適応拡大を目指す研究を進める。緩和医療に関しては、疼痛、全身倦怠感、呼吸困難、胸腹水などの管理のための新技術開発に努め、同時に、全人的医療を実現するための患者支援技術についても研究を進める。
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VI. | がんの実態把握と、がん情報・診療技術の発信・普及
がんに対して社会全体で取り組んでいくためには、がんの罹患・予後に関する正確な実態把握が不可欠である。その基盤として、信頼性の高いがん患者データベースの構築・整備を推進する。また、全国でがん診療に携わる医療従事者に対して最新のがん診療に関する情報提供を進めると同時に、一般国民、患者及びその家族に対しても、様々な情報を公開する。これにより、医療従事者と患者、家族が十分な情報に基づき、合意の下で診療方針の意思決定ができる情報面での支援を行い、がん診療の有効性、倫理性、そしてQ.O.L.を向上させてゆく。また、がん生存者やその家族の不安や悩みを分析し、それを改善させるための手立てを開発していく。
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VII. | 支援事業
がん克服を目指す研究がより一層推進されるためには、種々の支援事業の充実が必須である。まず、基礎研究の成果を臨床の場に導入するための橋渡し研究としてのトランスレーショナルリサーチの促進を図るため、腫瘍やがん患者のDNAを数万人レベルで集積できるようなバイオリソースセンター等の機能の強化を図るとともに、産官学連携のより一層の強化のための体制の整備が必要である。がんの実態を正確に把握するためのがん登録事業、大規模かつ長期の疫学研究の実施を可能とする支援体制の整備も必須である。また、臨床試験の登録、審査等の実施の拠点となるセンター機能の充実も極めて重要である。全国のがんの医療に携わる専門家への最新のがん診療技術の普及と、一般国民に対するがんについての正確な知識や最新情報を提供することを目指したネットワークを整備する。加えて、若手研究者および研究支援者の育成事業、およびがん医療従事者の国際交流および国際共同研究支援事業を推進し、がん克服の研究進展をはかる。
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