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男女間の賃金格差問題に関する研究会

報告書のあらまし(総論部分)


【参考】(はじめに)
研究会では、基本的に一般労働者の所定内給与に関する男女別平均賃金の格差を取り上げ、格差の要因分析、格差縮小のための取組のあり方について検討を行っている
委員の総意である総論と、委員の個人論文である各論から構成されている

【男女間賃金格差の現状、推移と要因】
(男女間賃金格差の現状と推移)
我が国の男女間賃金格差は、男性を100とした時に女性は65.3(2001年)
長期的には縮小傾向にあるが、国際的にみて格差は大きい
第1図第2図

(男女間賃金格差の要因)
男女間賃金格差の発生原因は多種多様であるが、最大の要因は男女間の職階(部長、課長、係長などの役職)の差であり、勤続年数の差も影響している。この他に手当も影響している
第1表第3図
アンケートやヒアリングによれば、業務の難易度、業務の与え方に男女間で相違がみられることが指摘されている
第4図
コース別雇用管理制度の導入企業の方が、非導入企業よりも男女間格差が大きいとの推計結果が得られた



【男女間の賃金格差を解消する賃金・処遇制度のあり方】
男女間賃金格差は多くの場合、賃金制度そのものの問題というよりも賃金制度の運用や業務の与え方、配置のあり方等雇用管理における問題によるとみられる
同一価値労働同一賃金原則は、性差別のない賃金の実現を目指すものであり、我が国で広く利用されている職能給中心の賃金体系の下でも、女性への業務の与え方、能力開発、人事評価等人事管理を適切に行うことによりその実現は可能

↓

【格差解消への取組み】
(労使への提言)
公正・透明な賃金制度・人事評価制度の整備・運用が必要
生活手当の見直しが必要
企業トップが先頭に立って、業務の与え方や配置の改善などのポジティブ・アクションを推進することが望まれる
コース区分決定方法などコース別雇用管理制度そのものの点検が大切
ファミリー・フレンドリーな職場形成の促進に取り組むことが望まれる
(行政の課題)
〔当面の課題〕
男女間賃金格差解消のために労使が自主的に取り組むための賃金管理及び雇用管理の改善方策に係るガイドラインの作成・普及等労使の取組に対する支援が必要
男女賃金差別事案の事後救済制度の過程において、賃金・雇用管理の専門家による客観的分析が行えるようにすることが必要
〔中期的な課題への対応〕
ポジティブ・アクション推進の手法の検討や、どのようなケースが間接差別となるかについての十分な議論を進めることが必要



第1図 一般労働者の男女間所定内給与格差の推移(男性=100)

第1図 一般労働者の男女間所定内給与格差の推移

(資料出所)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」


第2図 男女間賃金格差の国際比較(男性=100)

第2図 男女間賃金格差の国際比較

(資料出所)
 日本:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2001年)
 アメリカ:労働省「Employment and Earnings」(2001年)
 イギリス、ドイツ、フランス:ILO「Year Book of Labour Statistics」
(2000年)


第1表 男女間賃金格差の要因

  男女間賃金格度 男女間格差
縮小程度
原数値 調整済
労働時間 65.3 66.1 0.8
年齢 65.3 67.4 2.1
学歴 65.3 67.5 2.2
企業規模 65.3 66.1 0.8
産業 64.2 61.9 -2.3
勤続年数 65.3 71.4 6.1
職階 66.0 77.2 11.2

注1) 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2001年)を用いて算出
注2) 労働時間については、時間当たり賃金により格差を再計算した。
その他の項目については、それぞれの項目について、女性の労働者構成が男性と同じと仮定して算出した女性の平均所定内給与額を用いて男性との比較を行った場合、格差がどの程度縮小するかを見たもの


第3図 勤続年数階級別男女別一般労働者
全体に占める管理職比率(企業規模100人以上)

第3図 勤続年数階級別男女別一般労働者 全体に占める管理職比率
(資料出所)
  厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2001年)


第4図 男女間賃金格差の要因(M.A.)

第4図 男女間賃金格差の要因

(資料出所)
  男女間の賃金格差問題に関する研究会
  「男女間の賃金格差に関する意識調査」(2002年5月)


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