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アメリカにおけるWebサイト調査


1  ネット上のヘルスケア情報の質の調査
2  オンラインユーザーの個人情報保護に対する意識調査
3  主要ヘルスケアWebサイトにおける個人情報保護対策(プライバシーポリシー )状況を調査


CHCF(California HealthCare Foundation)が実施
2000.1〜7


1. Report on the Quality of Health
Information on the Internet


・調査目的:
 医療系Webサイトの情報の質を専門家が評価

・調査対象:
 乳がん、喘息、うつ病、肥満症の情報を提供する18のサイトと検索エンジン


2000.7
CHCFとRAND社の共同研究


ヘルスケア情報の評価


  • 必要な情報がカバーされている割合が低かった。

      例: 乳がん63%、喘息36%、うつ病44%、肥満症37%
    Oncolink85%、Yahoo!27%

    その他、情報の提供者、作者名、日付が不明、内容に矛盾があったりした。

  • 一般の検索エンジンでは目的の情報を探し出す時の効率の悪さが問題とされた。

  • 情報が専門的すぎて、一般の人には理解できないものがあることも問題とされた。



2.Survey of consumer attitudes


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オンラインユーザー1,009 人対象

Internet healthcare Coalitionの
スポンサーシップで、調査自体は
サイバーダイアログ社が実施。

2000.1.10-17



Survey of consumer attitudes


  • オンラインユーザーの61%は、プライバシーに関心を持っていた。

  • うち、75%が、サイトに提供した個人情報が許可なしに他に供与されることを心配していた。

  • 65%が、e-mailが他人に読まれている不安を感じていた。

  • 59%が、誰かがハッキングして、自分の医療情報を見ているのではないかと心配していた。



3.Privacy Policies/Practices Report


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  • 目的:企業のプライバシー保護の実効性の改善

  • 対象:21のヘルスケアサイトをチェック


    2000.1


    Conducted by Janlori Goldman, Health
    Privacy Project and Richard M. Smith


(1)プライバシーポリシーの掲示状況


21サイト中、19のサイトが プライバシーポリシーを掲示していた。しかし、以下の点で公正さを欠いていた。


  • いつ、誰によって個人情報が収集されるかが不明確

  • 何の情報が収集されているかの説明が不充分

  • 第三者の行動に関する記載が不十分

  • セキュリティの確保の方法について説明がない



(2) ポリシーの実行状況


  • クッキーや第三者によるバナー広告において、 説明なく情報を収集していた。

  • 個人が特定できる情報が、ポリシー違反のかたちで、第三者に供与されていた。

  • 個人情報への不正なアクセス等への防止策が確立されていなかった。



ポリシーに、Practices(実行) が伴っていなかった


Immediate impact of the report


  • Received significant media attention; increased consumer awareness of the problem

  • Most sites reviewed responded favorably, improved their policies and changed practices

  • Some sites did not respond well, but improved policies and practices nonetheless

  • Informed development of IHC International Code of Ethics, Hi-Ethics efforts and prompted privacy discussion within industry, generally

Quality Healthcare Information on the ‘NET 2000 より



自律原則(Self-regulations)で質を確保


情報、サービス提供者の自律的行動を促す倫理規範やガイドラインの策定


  • AMA guideline
  • eHealth Code of Ethics
  • HON
  • Hi-Ethics
  • URAC


AMA ガイドライン


Guidelines for Medical and Health Information
Sites on the Internet


  • Principles for content
  • Principles for advertizing and sponsorship
  • Principles for privacy and confidentiality
  • Principles for e-commerce


1995年の広告ガイドラインに始まり、
2000年に包括版が完成、公開となる。


AMA ガイドライン


MEDLINEplusのコンテンツ制作会社にURACの認定シール

MEDLINEplusのコンテンツ制作会社にURACの認定シール


日本における状況

「患者・家族におけるインターネット上の医療(健康)
情報の利用状況と意識に関する調査」

厚生省科学研究費による医療技術評価総合研究事業
(H12−医療-013)

主任研究者
辰己治之・札幌医科大学教授

(日本インターネット医療協議会協力)


患者・家族の利用状況調査(1)


  • インターネット上で医療(健康)情報を利用している
    患者・家族1,081名対象にアンケート調査

      高血圧、糖尿病、アトピー性皮膚炎、喘息
    胃がん・乳がん・大腸がんの患者及びその家族
      

<研究目的>
実際の利用状況と情報の質やプライバシー保護に関する意識を調査

(2002.2実施)

(詳細結果は http://www.jima.or.jp/JISSEKI/kousei2001.html



調査結果


利用頻度    1ヶ月に1度以上 71.3%
利用している情報は?
  病気に関する一般的情報 73.7%
病気の治療法に関する情報 59.2%
薬に関する情報 54.9%
医療機関に関する情報 32.0%
情報は信頼できるか?
       かなり信頼できる 9.5%
まあまあ信頼できる 83.0%
あまり信頼できない 7.1%
ほとんど信頼できない 0.4%
信頼を損ねる理由
         誰が情報提供者かわからない 67.3%
情報が偏っている 60.5%
営利的な要素がからんでいる 58.6%
医療相談の経験 28.7%
     相談の相手 医師(知らない医師)   64.5%
患者(団体も含む)  17.1%
民間の医療情報提供会社  16.8%
医師(かかりつけの医師)  8.4%
信頼できる相手は
           医師 93.1%
薬剤師 37.8%
患者(団体) 33.5%
個人情報の取り扱いについて
                  非常に関心がある 35.1%
まあまあ関心がある 54.5%
あまり(全く)関心はない 10.5%
プライバシーポリシーについて
  不可欠である 80.9%
できればあったほうがいい 15.9%
なくてもいい(わからない) 3.2%
情報やサービス提供に際して倫理規範やガイドラインの必要性は
  ぜひ必要である 62.8%
やや必要である 34.4%
あまり必要でない 2.6%
必要ない 0.2%


医療分野でのインターネット利用の環境づくり


日本インターネット医療協議会の発足
  1998年6月。医師、患者、弁護士、市民が参加。
  非営利の任意団体。2003年4月よりNPO法人化予定。
  http://www.jima.or.jp

<活動内容>
  • インターネット医療に関する研究調査活動
  • 情報、サービスの質を高めるトラストプログラム
  • プライバシー保護を推進
  • コンシューマーへの啓発 「医療情報利用の手引き」


トラストマークの運用


  • トラストマークによりサイトを認証
  • セルフアセスメントにより運用ポリシーを高める

       2001年6月〜12月 運用実証試験
    2002年1月から本格運用。
      -- 2002年10月現在 44サイト

  • Webサイトの質の向上と信頼性の確保が目的
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セルフアセスメントを公開


  • コンテンツの製作、監修方法
  • コンテンツの提供の対象
  • 個人情報の取扱いの有無
  • プライバシーポリシー(個人情報の取扱い方針)の有無
  • データの送受信方法
  • セキュリティ対策
  • 営利的サービスの有無
  • 外部営利サイトへのリンク
  • スポンサーシップ(金銭又は便益の供与)の有無
  • オンラインでの医療相談、ケアサービスの有無


トラストマークの仕組み


トラストマークの仕組み


「eヘルス倫理コード(仮称)」


情報、サービス提供時のガイドライン

  • コンテンツ、コミュニケーション、ケア、コマース、プライバシーの5分野において配慮すべきポイントをまとめる。

  • 自律的に質を高めていくトラストプログラムの一環としてWebサイトの運用基準を提示。

  • 2002年10月5日より、ドラフト案を公開中。パブリックコメントによる検討を経て、2003年4月より運用予定

  • 国際的にも通用するものをめざす。


     (詳細は http://www.jima.or.jp/ehealth_code/draft021005.html



eヘルス倫理コード ドラフト(案)



コンテンツの基準

コンテンツの基準


まとめ


  • インターネット等を通じた医療情報の提供にあたっては、 患者・市民がそれぞれの状況に応じて、必要な時、必要とする情報に的確にアクセスできるような情報の提供法が望まれる。

  • 公的主体、私的主体がそれぞれの立場を生かしながら、相互を補完しあうようなかたちで有用性の高い情報が提供されていくことが望まれる。

  • 情報の質の確保に関しては、情報提供者が自律的に質を高めていきながら外から客観的な評価を受けることで、さらに信頼性が担保されていくような仕組みを機能させていく方法がある。

  • インターネットのような新規技術の利用に際しては、利用者の自己責任を原則としながらも、利用者の情報利用能力の多様性を踏まえ、専門家による情報支援や信頼できる情報データベースの構築を積極的にはかるなど、情報利用の環境を総合的に整備していくことが望まれる。



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