1 はじめに
本書は、平成10年11月に本検討会中間報告書(以下、「中間報告」と言う。)が公表されて以降、主として調査研究を中心に進められた取組から明らかになった、内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する重点課題についての検討成果と、今後実施されるべき調査研究並びに行政科学の視点も加味した行動計画を提示するものである。
内分泌かく乱化学物質は、内分泌系の機能をかく乱することによって、生殖系、神経系等に重大な障害を与えることが懸念されているが、どのような化学物質に内分泌かく乱作用があるのか等、未解明な部分が多いことから、厚生労働省では主として健康影響の観点から、国際的な枠組みや他省庁とも協力して、必要な調査研究及び検討を進めてきた。
中間報告では、人の健康を確保するために必要な課題を、データが不十分なため、必要な調査研究の実施が期待されている課題と、先端的な科学研究の推進によって解決が期待される課題に大別し、問題解決のための当面の取組方針がとりまとめられた。昨年12月の第10回検討会では、その後の調査研究や科学的知見の入手、国際的動向を踏まえ、「中間報告で示された調査研究課題と取組方針は適切であり、今後とも継続する必要があるものの、短期的には以下の事項について詳細にわたる専門的な検討を加える必要がある」ことで合意がなされた。
これらの重点課題については、5つの作業班を設置して専門的な検討が行われてきたが、本年7月の第11回検討会において、その検討成果が報告され、今後の調査研究等の取組が明らかになったことから、中間報告書追補としてとりまとめるに至った。また、調査研究の成果を行政施策に調整・活用すべく、具体的な行動計画を記した。
厚生労働省では、ヒトの健康を確保するために、本検討会の成果を着実に行政施策に反映させていくとともに、さらなる調査研究を重ねていく所存である。
最後に、本書のとりまとめに際して、惜しみない協力と貴重な助言をいただいた、伊東座長をはじめとする本検討会委員並びにその他の関係者の方々に、心から感謝したい。
検討会委員(アイウエオ順)
青 山 博 昭 | (財)残留農薬研究所水海道研究所 毒性第一部生殖毒性研究室長 |
阿 部 薫 | 横浜労災病院長(国立がんセンター名誉総長) |
井 口 泰 泉 | 岡崎国立共同研究機構 統合バイオサイエンスセンター教授 |
伊 東 信 行○ | 名古屋市立大学名誉教授(前名古屋市立大学長) |
井 上 達 | 国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター長 |
岩 本 晃 明 | 聖マリアンナ医科大学泌尿器科学教授 |
押 尾 茂 | 帝京大学医学部泌尿器科学教室講師 |
黒 川 雄 二 | (財)佐々木研究所理事長 |
櫻 井 治 彦 | 中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター所長 |
紫 芝 良 昌 | 三宿病院院長 |
鈴 木 勝 士 | 日本獣医畜産大学獣医生理学教室教授 |
鈴 木 継 美 | 東京大学名誉教授(元国立環境研究所長) |
杉 暹 | 横浜市教育委員会委員長(前横浜市立大学長) |
武 谷 雄 二 | 東京大学医学部産婦人科学講座教授 |
田 中 勝 | 岡山大学環境理工学部環境デザイン工学科教授 |
津 金 昌 一 郎 | 国立がんセンター研究所支所臨床疫学研究部長 |
寺 尾 允 男 | (財)日本公定書協会長(前国立医薬品食品衛生研究所長) |
寺 田 雅 昭 | 国立がんセンター総長 |
中 澤 裕 之 | 星薬科大学薬品分析化学教室教授 |
西 原 力 | 大阪大学大学院薬学研究科教授 |
藤 原 房 子 | (財)日本女子社会教育会理事長 |
眞 柄 泰 基 | 北海道大学大学院工学研究科教授 |
松 尾 昌 季 | 住友化学工業株式会社研究主幹 |
安 田 峯 生 | 広島国際大学保健医療学部臨床工学科教授 |
山 崎 幹 夫 | 千葉大学名誉教授(東京薬科大学客員教授) |
和 田 正 江 | 主婦連合会長 |
その他の関係者(アイウエオ順)
内 山 充 | (財)日本薬剤師研修センター理事長 |
江 馬 眞 | 国立医薬品食品衛生研究所大阪支所生物試験部室長 |
神 沼 二 眞 | 前国立医薬品食品衛生研究所化学物質情報部長 |
菅 野 純 | 国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部室長 |
関 沢 純 | 国立医薬品食品衛生研究所化学物質情報部第一室長 |
高 田 昇 | 中央労働災害防止協会労働衛生検査センター所長 |
牧 野 恒 久 | 東海大学医学部産婦人科学教授 |
審議経過
第 7 回 | 平成11年 8月 2日及び3日 |
第 8 回 | 平成11年 9月24日 |
第 9 回 | 平成12年 9月 6日 |
第10回 | 平成12年12月 5日 |
第11回 | 平成13年 7月31日 |
第12回 | 平成13年10月16日 |