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7 6つの課題についての議論のまとめ

改革に向けた期待、標準的な年金(モデル年金)の考え方

 以上、女性と年金をめぐる問題について、具体的な制度設計上の6つの課題について見てきたが、議論を大きな視野で整理するとすれば、「女性自身の貢献がみのる年金制度」という方向を目指し、まず、女性の一定の厚生年金加入期間を前提とした、いわゆる「共働きモデル」を想定していくことが適当である。
 この「共働きモデル」を念頭に置きつつ、前述した「個人の選択に中立的」、「支え手を増やす」、「女性に対する保障の充実」の基本的な視点に沿って、これまで議論してきた6つの課題について、国民各界各層の間で幅広く議論が行われ、改革に向けて、整合性をもった形で合意が得られ、次期年金制度改正で改善措置が講じられることを期待する。

短時間労働者等に対する厚生年金の適用

 就業形態の多様化が進展する中で、多くの女性が多様な形態での就労を通じて自らの年金保障の充実を図ることができるようにするとともに、年金制度の支え手を増やすという観点から、短時間労働者に対する厚生年金の適用については、拡大を図る方向で、様々な論点について検討していくべきである。

第3号被保険者制度

 第3号被保険者制度については、個人単位と世帯単位、応能負担と応益負担、公平性の確保という社会保障制度としての我が国年金制度の基本に関わる大きな問題である。男女共同参画社会の形成に向けた様々な取組みが進められている中で、この問題についても、必要な改革が行われることを強く望む。そのためには、国民各界各層の間で、この報告書における議論の整理と問題提起をスタートラインとして幅広い議論が繰り広げられ、この問題についての国民的な合意が形成され、適切な結論が見出されることを求めたい。

育児期間等に係る配慮措置

 育児期間等に係る配慮措置については、女性が多様な就労を通じて自らの年金保障の充実を図るという方向性の中で、年金制度としてどのような配慮を行うことが適当かどうかという点について検討すべきである。

離婚時の年金分割

 夫婦二人の老後生活を支える年金が離婚してもなおそれぞれの生活を支えるものとなるよう、離婚時の年金分割が可能となるような仕組みを講じる方向で、実施可能な方途、その時期等、専門的、技術的な多くの論点について十分な検討を重ねるべきである。

遺族年金制度

 同様の観点から、遺族年金制度については、これを基本的に維持しつつ、共働き世帯と片働き世帯との間の均衡を図る、自ら働いて保険料を納付したことができる限り給付に反映する仕組みにする等の観点から、見直しに向けて綿密に議論していくことが必要である。



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