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災害医療体制のあり方に関する検討会
報告書
平成13年6月
災害医療体制のあり方に関する検討会
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目次
はじめに
1.阪神・淡路大震災後の取り組みの現状と今後の課題
1)地方防災会議等への医療関係者の参加の促進
2)災害時における応援協定の締結
3)広域災害・救急医療情報システムの整備
4)災害拠点病院の整備
5)災害医療に係る保健所機能の強化
6)災害医療に関する普及啓発、研修、訓練の実施
7)病院防災マニュアル作成ガイドラインの活用
8)災害時における消防機関との連携
2.災害発生時の緊急医療チームの派遣体制の整備(日本版DMAT構想)について
3.診療の優先順位に応じた傷病者のトリアージについて
4.今後の課題のまとめ
おわりに
(参考資料)
(検討会経緯)
(委員名簿)
はじめに
災害医療対策については、阪神・淡路大震災を契機に行った各種の研究や検討の結果を踏まえ、平成8年の健康政策局長通知「災害発生時における初期救急医療体制の充実強化について(平成8年5月、健発第451号)」に基づいて、災害拠点病院や広域災害・救急医療情報システムの整備等が行われてきた。
しかしながら、このように整備されてきた仕組みのもとで、現実の大規模災害発生時における迅速かつ効率的な医療の提供が行われ得るのかという運用面での懸念や、有珠山噴火や鳥取県西部地震など阪神・淡路大震災以降に発生した災害から得られた知見の集積に基づく再検討の必要性が指摘されている。このため、本検討委員会においては、阪神・淡路大震災から5年を経過したのを機に今日的視点から災害医療体制をハード・ソフト両面から再点検を行い、特に、発災直後の急性期の災害医療体制の強化に関し、以下のとおり提言を行うものである。
1.阪神・淡路大震災後の取り組みの現状と今後の課題
平成8年の健康政策局長通知「災害発生時における初期救急医療体制の充実強化について(平成8年5月、健発第451号)」(以下「局長通知」という。【資料1】)に記載された災害医療対策の現状と課題は、以下のとおりである。
1)地方防災会議等への医療関係者の参加の促進
○ 現状
- 平成12年4月現在、44都道府県の地方防災会議に医療関係者(医師会)が出席している。
- 平成9年度厚生科学研究「災害の初動期における活動マニュアルとその運用に関する研究」(主任研究者:山本保博)によれば、地域防災計画における災害医療体制の記載は、必ずしも十分とは言い難い状況にある。
- 特に、大規模災害発生時における応援要請システムについての記載が不十分との指摘があった。
○ 今後の課題
- 地方防災会議への医療関係団体の代表者や災害・救急医療専門家の一層の参画を図ると共に、地方防災会議における災害医療に関する議論を活性化する必要がある。
- 都道府県衛生主管部局と消防・防災主管部局との連携強化を図りつつ、地域防災計画における災害医療体制に関する記載や内容の充実、医療機関に対する災害発生時の指揮命令系統や大規模災害発生時における応援要請システムの一層の明確化を図る必要がある。
2)災害時における応援協定の締結
○ 現状
- 全都道府県において、医療計画における地方ブロック(以下「ブロック」という。)内での応援協定が締結されているが、ブロックを越えた応援協定の締結については数県に留まっている。
- 災害時の搬送体制の確保に関し、東京都は、(財)日本救急医療財団の「災害時広域搬送事業【資料2】」により、大規模災害時に傷病者、医療救護班、医療物資等の緊急輸送を行うために民間ヘリを活用出来る体制を整備している(平成13年2月)。
○ 今後の課題
- 人口過密地域を抱える都道府県においては、大規模災害が発生した場合、ブロック内の医療体制のみでは対応できない可能性もあることから、ブロックを越えた応援協定の締結を促進する必要がある。
- 都道府県間の応援協定において自律的応援体制の一層の明確化を図ると共に、搬送に関する自衛隊、海上保安庁等との連携強化に努める必要がある。また、公的及び民間の輸送機関(鉄道、航空機、船舶等)との協定締結も更に促進する必要があるが、その際、船舶については、避難所など多様な機能を果たし得ることを考慮すべきである。
3)広域災害・救急医療情報システムの整備
○ 現状
- 広域災害・救急医療情報システムは、都道府県の救急医療情報システム上においてインターネットを活用して構築されており、災害時における医療機関の稼働状況、医師・看護婦等スタッフの状況、ライフラインの確保状況、医薬品等の備蓄状況等に関する情報の収集・提供が可能となっている。
- 37都道府県(平成13年度整備予定の6府県を含む。)において広域災害・救急医療情報システムが導入されている。
- 東海村臨界事故、有珠山噴火、島根県西部地震等においては、本情報システムにより災害情報が関係者間で交換され、発災直後の状況把握に大きな役割を果たしている。
○ 今後の課題
- 未導入県における計画的導入を促進し、全国ネットワークの早期構築を図る必要がある。なお、県独自の情報システムを導入している県における本情報システムとの互換性の確保手法についても早期に検討する必要がある。
- 被災直後においては電力や一般電話回線が被災により使用不能となる事態も想定されることから、携帯電話による本システムの利用を可能とすることなど情報の入力・発信方法を改善する必要がある。なお、被災地域内の医療機関と関係機関との間における情報伝達を確保するための手法についても別途検討していくことが必要である。
- 本情報システムの幅広い利用と活発な情報交換等を促進するため、災害医療に関する定期的な情報提供、災害拠点病院の整備状況等に関するデータベース構築など、ソフトウェアの改善・充実を図る必要がある。
- 多量の情報処理が必要となる大規模災害発生時における本情報システムの対応能力を高めるため、コンピュータのハード面での機能強化(処理速度の速い機種への転換やミラーサイトの構築等)を図る必要がある。また、365日24時間の安定したシステム運用が確保されるよう、保守点検体制の確立やバックアップ体制の整備など本情報システムの運用体制の強化を図る必要がある。
- 平時から本情報システムにおける救急医療情報を定期的に更新し、リアルタイムの医療情報を適切に提供することにより、関係者の日常の利用を促進することが、災害発生時に本情報システムを円滑に活用する上で重要と考えられる。
4)災害拠点病院の整備
○ 現状
- 全都道府県で530(うち基幹災害医療センター52、地域災害医療センター478)の病院が災害拠点病院として指定されている(平成12年12月1日現在)。
- 災害拠点病院のハード面については、備蓄倉庫が48%、施設の耐震構造化が68%、自家発電装置の設置(2〜3日分)が33%、受水槽の設置(2〜3日分)が17%、ヘリポートの確保が85%の病院で整備されている状況にある(平成13年1月現在)。一方、ソフト面については、防災マニュアル作成が65%、防災の訓練実施が64%、地域の防災訓練への参加が54%といった状況にある。また、医療チーム派遣のためのマンパワーとして、災害拠点病院全体において医師1,168名、看護婦2,435名、その他の職員1,802名が確保されている状況にある。(平成12年12月1日現在)
- 災害発生時における災害拠点病院の活動を円滑に進めるためのマニュアルについては、平成9年度厚生科学研究「災害の初動期における活動マニュアルとその運用に関する研究」(主任研究者:山本保博)において雛形が作成されている。
○ 今後の課題
- 平時より、災害拠点病院の存在や機能について地域住民等への周知を図るとともに、応急用医療資器材の貸出し要件の事前取り決めを推進するなど第一線の地域医療機関との連携体制の強化を図る必要がある。
- 施設の耐震化(医療器材の固定等も含む。)等が終了していない病院については早期かつ計画的に整備を推進する必要があり、特に、被災時の代替機能を備えた「フェイルセイフ」なライフラインの確保に努めることが重要な課題である。また、関係機関や医療関係団体との連携策も含めたマニュアルの整備、定期的な訓練実施など、運用面の一層の改善に努める必要もある。
- 大規模災害発生時における円滑かつ効率的な医療の提供を推進するため、災害拠点病院相互間や自衛隊等の関係機関との間の機能分担と連携方法の明確化を図るなど、全国的な災害医療ネットワークの整備・構築に向けた検討を早急に開始する必要がある。その際、自衛隊や消防機関等の関係機関との連携について検討する必要があるが、各地域だけでなく、関係する中央省庁間においても協議する必要がある。
5)災害医療に係る保健所機能の強化
○ 現状
- 保健所は、「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(厚生省告示374号、改正平成12年3月厚生省告示第143号【資料3】)において地域における健康危機管理の拠点として位置づけられているが、保健所の参画場面が平時の救急医療において少ないこと等から災害拠点病院や消防機関との関係が希薄であるとの指摘がある。
○ 今後の課題
- 地域における保健医療分野における危機管理の中心的な行政機関として保健所が認知されるよう、本年3月に作成された「地域健康危機管理ガイドライン」等に基づき、災害医療に関する知識を備えた要員の確保を図るとともに、日常活動における取り組みを強化する必要がある。
- また、「地域健康危機管理ガイドライン」においては、保健所の機能として災害発生時における医療ボランティアの配置調整や報道関係者との調整が記載されたところであり、こうした機能を適切に果たし得るような体制整備を図る必要がある。
6)災害医療に関する普及啓発、研修、訓練の実施
○ 現状
- (財)日本救急医療財団においては、一般市民に対する心肺蘇生法の普及等を図る目的で、米国心臓学会の作成したガイドラインに基づいて我が国における心肺蘇生法の統一基準を作成した(平成13年5月)。
- 災害医療の重要性等については、厚生労働省や関係機関において「救急の日」及び「救急医療週間」等の機会をとらえ各種啓発等を実施している。また、医療従事者に対しては、国立病院東京災害医療センター等において「災害医療従事者研修会」を開催している。
- 訓練については、「防災の日」等において都道府県や地方ブロックの単位で実施されているが、大規模な災害を想定した広域ブロック規模での合同演習は行われていない。
○ 今後の課題
- 一般市民の防災意識を高めるための啓発活動の一層の推進や、新たなガイドラインに基づいた心肺蘇生法の普及を図る必要がある。
- 医療関係者の研修については、国立病院東京災害医療センター等における研修内容について適時見直しを図りながら一層の充実を図る必要がある。また、これらの研修修了者に県・市町村レベルの研修を担当させることも検討する必要がある。
- 訓練については、米国連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency:FEMA)の取り組みなど海外の事例も参考としつつ、実践的能力の向上に資するものとなるよう、創意工夫が必要である。また、広域ブロック単位で関係機関が参加する合同演習を実施し、既存のマニュアルや応援体制の有効性を検証し、必要に応じてマニュアル等の修正を行っていくことも今後の検討課題である。
7)病院防災マニュアル作成ガイドラインの活用
○ 現状
- 病院における防災マニュアルについては、(社)日本病院会が平成11年に行った調査によると、回答のあった病院の52%しか作成していない。
○ 今後の課題
- 病院における防災マニュアル作成状況は十分とは言い難く、都道府県による医療機関への立ち入り調査等の機会を捉えて、その作成を徹底させる必要がある。
- また、「医療機関における活動マニュアル」(平成9年度厚生科学研究「災害の初動期における活動マニュアルとその運用に関する研究」、主任研究者:山本保博)の一層の普及に努めることが必要である。
8)災害時における消防機関との連携
○ 現状
- 緊急消防援助隊要綱の改正(消防救第315号平成12年12月25日 消防庁長官通知【資料4】)により、「医師との連携体制をさらに強化するため、被災地に医師を搬送することができる体制の構築に努める」旨が明確化されているが、大規模災害時における消防機関と医療機関との連携体制については、都道府県衛生主管部局と消防・防災主管部局相互の協議が十分でないとの指摘がある。
○ 今後の課題
- 消防機関と医療機関相互の協議と連携の促進を図り、また、国においても地方自治体に対する積極的な助言に努める必要がある。
- 特に、緊急消防援助隊要綱改正の主旨を踏まえ、関係機関相互の協議と連携の促進を図り、また、国においても地方自治体に対する積極的な指導・助言に努める必要がある。
2.災害発生時の緊急医療チームの派遣体制の整備(日本版DMAT構想)について
1)米国及び日本の現状について
- 米国では1984年に全国災害医療システム(The National Disaster Medical System:NDMS)が組織された。このシステムは、米国保健福祉省、国防省、米国連邦緊急事態管理庁や民間の援助団体等から構成され、DMAT(Disaster Medical Assistance Team)の派遣と医療資機材の被災地への搬入を行うものである。
- DMATは、NDMSへの参画病院、参画ボランティア組織、保健・医療団体が組織している緊急医療チームで(1995年現在、全米でレベル1のチームが約15存在)、各チームは約35名の医師、看護婦等から構成され、災害発生時には被災地に赴き自律的な医療活動を行うものとされている。
- 我が国においては、災害時には都道府県又は市町村立病院・診療所(以下「公立病院等」という。)の医師等が救護班を編成し活動するほか、災害救助法に基づき日本赤十字社が都道府県から業務委託を受けて災害医療活動を行うこととなっているが、大規模災害発生の際には、公立病院等や日本赤十字社だけでは十分な対応が困難なのではないかという懸念が存在している。
2)検討会において提案された「日本版DMAT構想」の概要
- 上述のような状況を踏まえ、本検討会の委員から「日本版DMAT構想」(以下「本構想」という。)が提案され、検討が行われた。
- 本構想は、全国の災害拠点病院に被災地への緊急派遣が可能な医療チームを編成し、災害発生の際には、災害拠点病院間の事前の応援協定に基づき被災地の災害拠点病院に自律的に入り、当該病院長の指揮下に災害医療に従事するというものである。
3)構想に対する評価と今後の検討課題
- 本構想については、災害発生時における広域的医療支援の体制強化と迅速化、さらには災害拠点病院そのものの活性化に資するものとの評価が可能である。
- しかしながら、本構想には、都道府県知事が派遣する救護班や日本赤十字社の救護班活動との関係整理や被災地への派遣手段の確保の問題、あるいは、被災地における医療活動の範囲や指揮命令系統の明確化といった多くの検討課題も存在している。
- また、365日24時間の応援要請に対応できる体制(チーム編成や搬送体制の確保)を採れる災害拠点病院がどの程度存在するのかという問題もあり、構想の実現のためには、マンパワーの質量両面の充実など、災害拠点病院の機能強化を図ることが不可欠である。また、全国を対象とする効率的な出動体制を構築するためには、災害拠点病院相互間や、関係機関との間の機能分化を図っていくことも必要となる。
- したがって、本構想については、全国的な災害医療ネットワークに関する検討と併せ、引き続き研究・検討を進めることが適当であろう。
- なお、被災地に派遣する医師等の補償問題については、各種災害補償法による補償、都道府県知事による従事命令等を受け業務に従事した場合など一定の要件のもとにおける災害救助法の定めによる扶助金により一応の対応が可能となっているが(【資料5】)、本構想の検討に当たっては、救助活動に従事した医療者の間で補償の不公平を生じさせないようにするといった論点も念頭に置く必要がある。
3.診療の優先順位に応じた傷病者のトリアージについて
1)トリアージの重要性と既存の提言内容
- トリアージとは、被災地において最大多数の傷病者に最善の医療を実施するため、傷病の緊急度と重症度により治療優先度を決めるものであり、限られた人的・物的医療資源を有効に活用するための重要な行為である。
- 「震災時における医療対策に関する提言(阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する検討会、平成7年5月29日)」においては、(1)阪神・淡路大震災では一部トリアージが未実施のため、限られた医療資源が有効に活用されなかったこと、(2)トリアージ技術等に関し医療関係職種の訓練・研修を実施する必要があること、(3)災害時のトリアージの意義等に関して国民に対する普及啓発活動を行う必要があることなどが提言されている。
- 「阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する検討会報告書(平成8年4月)」においては、トリアージの際に用いられる識別票(トリアージ・タッグ)の標準化について提言されている。
2)現状と今後の課題
- トリアージ・タッグの標準化は既に完了している。
- トリアージの際の「死亡群」「即治療群」「待機治療群」「軽治療群」への分類については、被災地域における医療資源等の状況に応じて適切に実施される必要があることから、今後、現場での適切なトリアージを適切に実施するために必要な手続きや手技等に関するマニュアル作成や、研修を実施していくことが必要である。
- トリアージ実施に関する法的責任に関して本検討会としては、「トリアージは、判断如何によっては傷病者の生命に危険を及ぼす可能性があることから、原則として医師が行うべきものである。ただし、大災害の発生現場において医師の到着を期待できない、あるいは到着を待てないような状況下において救命救急士、看護婦等がトリアージを行うことの医師法第17条に関する違法性については、『緊急避難』に該当するものとして、違法性が阻却されるのではないか。また、トリアージを行った場合の個別の判断については、事後的にみて他の判断が最善と考えられる場合であっても、当該状況下で収集可能な情報に基づいて行われた合理的な判断であれば、一般に法的責任は生じない。」という整理が可能と考える。
4.今後の課題についてのまとめ
1)地方防災会議等への医療関係者の参加の促進
地域防災計画における災害医療体制の記載は、必ずしも十分とは言い難い状況にあり、地方防災会議への医療関係団体の代表者等の一層の参画を図るなどの必要がある。
2)災害時における応援協定の締結
全都道府県において、地域ブロックでの応援協定が締結されているが、ブロックを越えた応援協定の締結を促進し、自律的応援体制の一層の明確化を図るなどの必要がある。
3)広域災害・救急医療情報システムの整備
有珠山噴火等において被災地の状況把握に大きな役割を果たしているが、未導入県における計画的導入を促進するとともに、ソフトの改善・充実やハードの機能強化、運用体制の強化を図る必要がある。
4)災害拠点病院の整備
全都道府県で530の病院が災害拠点病院として指定されているが、第一線の地域医療機関との連携体制の強化を図るとともに、施設の耐震化等について早期かつ計画的な整備を推進する必要がある。また、全国的な災害医療ネットワークの整備構築に向けた検討を早急に開始する必要がある。
5)災害医療に係る保健所機能の強化
地域における保健医療分野における危機管理の中心的な行政機関として保健所が認知されるよう、日常活動における取り組みの強化等が必要である。
6)災害医療に関する普及啓発、研修、訓練の実施
訓練の実践性を高めるための創意工夫や、広域ブロック単位で関係機関が参加する合同演習の実施を検討する必要がある。
7)病院防災マニュアル作成ガイドラインの活用
病院における災害時のマニュアル作成は十分とは言い難く、その作成を徹底させる必要がある。
8)災害時における消防機関との連携
都道府県における消防機関と医療機関相互の協議と連携の促進を図り、国においても地方自治体に対する積極的な指導・助言に努める必要がある。
9)災害発生時の緊急医療チームの派遣体制の整備(日本版DMAT構想)について
全国の災害拠点病院において被災地への緊急派遣が可能な医療チームを編成し全国的な運用を図るという構想(日本版DMAT構想)については、災害発生時の広域的医療支援の体制強化と迅速化等に資するものと考えられ、全国的な災害医療ネットワークに関する検討と併せ、引き続き研究・検討を進めることが適当である。
10)診療の優先順位に応じた傷病者のトリアージについて
被災地において限られた医療資源を有効に活用するための重要な行為であり、トリアージの際の分類基準・手技の標準化に向けたマニュアルの作成や、研修を実施していくことが必要である。
おわりに
本検討会においては、発災直後の急性期における災害医療体制の強化を中心に議論を重ねてきた。検討期間の制約等から全ての関連項目について十分な検討を行うことができたとは言い難く、原子力災害等の特殊災害やNBCテロ等への対応の強化、ボランティアやマスメディアとの協力体制の構築といった課題については、その重要性を指摘するに留めたい。
国及び地方公共団体に対しては、本報告書を踏まえ「人命第一」の原則を最大限に尊重した災害医療体制の確保に向け、関連施策の着実な前進を図ることを期待する。また、「全国的災害医療ネットワークの整備」、「日本版DMAT構想」など今後の検討課題についても、それぞれの専門家・関係者による研究・検討が継続されることを望みたい。
照会先:医政局指導課
田中、郡山、中嶋
内線 2559,2558,2550
Tel 03(3595)2194
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