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労働条件・職場環境に関するルール

労働条件・職場環境に関するルール

1 賃金

  1. (1)賃金額についての決まり

    「最低賃金法」によって、使用者が支払わなければならない賃金の最低限度額が定められています。最低賃金は、都道府県ごとに決まっていて、例えば東京では、時給869円です(※)。たとえ労働者が同意したとしても、それより低い賃金での契約は認められません。最低賃金より低い賃金で契約したとしても、法律によって無効となり、最低賃金額で契約したものとみなされます。

    ※ 平成26年4月現在。

    最低賃金には、すべての労働者とその使用者に適用される「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者とその使用者に適用される「特定最低賃金」があり、それぞれ都道府県ごとに決められています。両方の最低賃金が同時に適用される場合には高い方の最低賃金が適用されます。

  2. (2)支払い方についての決まり
    賃金が全額確実に労働者に渡るように、支払い方にも決まりがあり、次の4つの原則が定められています(労働基準法第24条)。
    1. [1]通貨払いの原則
      賃金は現金で支払わなければならず、現物(会社の商品など)で払ってはいけません。ただし、労働者の同意を得た場合は、銀行振込み等の方法によることができます。また、労働協約で定めた場合は通貨ではなく現物支給をすることができます。
    2. [2]直接払いの原則
      賃金は労働者本人に払わなければなりません。未成年者だからといって、親などに代わりに支払うことはできません。
    3. [3]全額払いの原則
      賃金は全額残らず支払われなければなりません。したがって「積立金」などの名目で強制的に賃金の一部を控除(天引き)して支払うことは禁止されています。
      ただし、所得税や社会保険料など、法令で定められているものの控除は認められています。それ以外は、労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数を代表する者と労使協定を結んでいる場合は認められます。
    4. [4]毎月1回以上定期払いの原則
      賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。したがって、「今月分は来月に2か月分まとめて払うから待ってくれ」ということは認められませんし、支払日を「毎月20日〜25日の間」や「毎月第4金曜日」など変動する期日とすることも認められません。ただし、臨時の賃金や賞与(ボーナス)は例外です。
  3. (3)その他
    その他にも、労働者の生活の保障のために賃金について、以下のような決まりもあります。
    1. [1]減給の定めの制限(労働基準法第91条)
      労働者が、無断欠勤や遅刻を繰り返して職場の秩序を乱したり、職場の備品を勝手に私用で持ち出したりするなどの規律違反をしたことを理由に、制裁として、賃金の一部を減額することを減給といいます。一回の減給金額は平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。また、複数回規律違反をしたとしても、減給の総額が一賃金支払期における金額(月給なら月給の金額)の10分の1以下でなくてはなりません。
    2. [2]休業手当(労働基準法第26条)
      使用者の責任で労働者を休業させた場合には、労働者の最低限の生活の保障を図るため、使用者は平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければなりません。したがって、「働いていないから給料を支払わないのは仕方ない」ということはなく、休みが会社の都合である以上、一定程度の給料を保障する必要があります。
    3. [3]給与明細書(所得税法第231条)
      所得税法では、給与を支払う者は給与の支払を受ける者に支払明細書を交付しなくてはならないと定められています。したがって、会社には従業員に給与明細書を交付する義務があり、給与を支払う際に交付しなければいけません。

2 労働時間・休憩・休日

  1. (1)労働時間の決まり
    労働基準法では、1日の労働時間を8時間以内、1週間の労働時間を40時間以内と定めています(法定労働時間、労働基準法第32条)。
    法定労働時間を超えて労働者を働かせる場合には、あらかじめ従業員の過半数代表者または労働組合との間に、「時間外労働・休日労働に関する協定」を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません(労働基準法第36条)。この協定は労働基準法第36条に規定されていることから、「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。
    36協定により延長できる労働時間については、厚生労働大臣が定める「時間外労働の限度に関する基準」(厚生労働省告示)において上限時間が示されており、協定内容はこの基準に適合するようにしなければなりません(原則週15時間、月45時間)。
    また、使用者が労働者に時間外労働をさせた場合には割増賃金を払わなければなりません。
    • 法定労働時間を超えて働かせた時(時間外労働)は25%以上増し ※ ・・・[1]
    • 法定休日に働かせた時(休日労働)は35%以上増し ・・・[2]
    • 午後10時から午前5時までの深夜に働かせた時(深夜労働)は25%以上増し ・・・[3]
    例えば、法定労働時間外の労働かつ深夜労働であった場合([1]+[3])は、支給される賃金は50%以上増えます。
    ※1か月60時間を超える時間外労働については50%以上の割増賃金を支払わなければなりません。ただし、中小企業については当分の間適用が猶予されます。
    さらにこの割増賃金は雇用形態にかかわらず、すべての労働者に適用されます。したがって、アルバイトなどの短時間労働者にも支払わなければなりません。
  2. (2)休憩・休日の決まり
    使用者は1日の労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも60分の休憩を勤務時間の途中で与えなければいけません(労働基準法第34条)。
    休憩時間は労働者が自由に利用できるものでなければならないので、休憩中でも電話や来客の対応をするように指示されていれば、それは休憩時間ではなく労働時間とみなされます。
    また、労働契約において労働義務を免除されている日のことを休日といいます。使用者は労働者に毎週少なくとも1回、あるいは4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。(法定休日、労働基準法第35条)
  3. (3)変形労働時間制 (労働基準法第32条の2〜第32条の5)
    変形労働時間制とは、一定の要件の下、一定の期間を平均して1週間の労働時間が40時間を超えない範囲で、1日当たりの労働時間が8時間を超えたり、1週間当たりの労働時間が40時間を超えて労働させることができる制度です。忙しさの差が激しい業種において、繁忙期と閑散期に合わせて、使用者と労働者が労働時間を工夫することで全体の労働時間の短縮を図るためなどに利用されています。
    変形労働時間制には、1か月単位、1年単位の変形労働時間制、1週間以内の非定型的変形労働時間制、労働者が自分で始業時刻、終業時刻を決定できるフレックスタイム制があります。
    変形労働時間制は、労働時間を弾力化することで業務の効率をよくする反面、労働者にとっては、生活が不規則となったり、通常の労働時間制ならもらえるはずの時間外手当がもらえなくなったりすることにつながるなどの問題点もあります。
    そこで、変形労働時間制の導入には、就業規則や労使協定で定めておくなどの要件を満たす必要があります。また、妊産婦や育児・介護を行う人たちには適用制限がありますし、変形制といっても全く自由に長時間連続で働かせることができるわけではなく、法令上、上限や時間外労働、休みに関する規定が定められており、それに反することはできません。
  4. (4)年次有給休暇 (労働基準法第39条)
    年次有給休暇とは、所定の休日以外で、賃金の支払いを受けて仕事を休める日のことです。労働者の心身の疲労を回復させ、また、仕事と生活の調和を図るためにも、まとまった休暇を与えることは重要です。半年間継続して雇用されている労働者は、全労働日の8割以上を出勤していれば、10日間の年次有給休暇を取ることができます。さらに勤続年数が増えていくと、8割以上の出勤の条件を満たしている限り、1年ごとに取れる休暇日数は増えていきます。(20日が上限)
    また、有給休暇は、原則として、休養のためでもレジャーのためでも利用目的を問わず、取得することができます。しかし、会社の正常な運営を妨げるときに限っては、別の時期に休暇日を変更させることができます。会社は有給休暇を取得した労働者に対して、不利益な取扱いをしてはいけません。
    アルバイト(パートタイム労働者)でも、[1]6か月間の継続勤務、[2]全労働日の8割以上の出勤、[3]週5日以上の勤務、という3つの要件を満たせば、正社員と同じだけ有給休暇が付与されます(週4日以下の勤務であったとしても、週の所定労働時間が30時間以上であれば、正社員と同じだけ有給休暇が付与されます)。加えて、週の所定労働日数が4日以下で、週の所定労働時間が30時間未満の場合でも、その所定労働日数に応じた日数の有給休暇が付与されることになります。

【年次有給休暇の付与日数(一般の労働者)】

勤続年数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

【年次有給休暇の付与日数(週所定労働時間が30時間未満の労働者)】

週所定
労働日数
年間所定
労働日数
勤続年数
6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月
4日 169〜216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121〜168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73〜120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48〜72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

3 労働安全衛生

職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成することを目的として、労働基準法の特別法である労働安全衛生法が定められています。労働安全衛生法は、事業者に、仕事が原因で労働者が事故に遭ったり、病気になったりしないように措置する義務を定めるとともに、労働者に対しては、労働災害を防止するために必要な事項を守り、事業者が行う措置に協力するように定めています。
例えば、事業者は、労働者を雇い入れた際とその後年1回、医師による健康診断を行わなければならず、労働者はその健康診断を受ける必要があります(労働安全衛生法第66条)。また、最近では仕事上のストレスによるうつ病など、労働者のメンタルヘルスも大きな問題となっており、快適な職場環境形成のためには、事業者が、作業方法の改善や疲労回復のための措置だけでなく、メンタルヘルス対策を行うことも重要となっています。

  • 仕事で病気やけがをした場合
    労働者が仕事や通勤が原因で病気やけがをした場合には、労災保険給付の対象になります。
    労災保険給付を受けるためには、各種の請求書を提出する必要がありますので、被災労働者から災害の原因など必要な証明を求められたときは、速やかに証明をしてください。
    また、被災労働者みずから保険給付の請求を行うことが困難な場合には、請求を行うことができるようにしてください。
    なお、仕事が原因の病気には、長期間にわたる長時間の業務による脳・心臓疾患や人の生命にかかわる事故への遭遇などを原因とする精神障害なども含まれますので、ご留意ください。 
  • 職場のパワーハラスメント
    職場のパワ―ハラスメント(パワハラ)とは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」を指します。パワハラは内容によっては刑法などに触れる犯罪となります(名誉毀損、傷害罪等)。また、会社には快適な職場環境を整える義務があることから、会社も責任を問われる場合があります。
     職場のパワーハラスメントに関する情報は、ポータルサイト「あかるい職場応援団」を参照してください。詳細はこちら

4 性別による差別の禁止

男性と女性がともにいきいきと働き続けることができるように、法律上さまざまな制度が設けられています。

  1. (1)性別による差別の禁止
    事業主は、労働者の募集・採用において性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとされています(男女雇用機会均等法第5条)。
     また、事業主は、配置、昇進、降格、教育訓練、福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新において、労働者の性別を理由として差別的な取り扱いをしてはいけません(男女雇用機会均等法第6条)。
     労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをすることも禁止されています(男女同一賃金の原則、労働基準法第4条)。
  2. (2)間接差別の禁止(男女雇用機会均等法第7条)
    事業主が以下の3つの措置を行うことは、実質的に一方の性に不利益となって、性別を理由とする差別となるおそれがあるため、合理的な理由がない限り、間接差別として禁止されています。
    1. [1] 募集・採用にあたり身長、体重または体力を要件とすること
    2. [2] コース別雇用管理における総合職の募集・採用にあたり転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること
    3. [3] 昇進にあたり、転勤経験があることを要件とすること
  3. (3)セクシュアルハラスメント対策(男女雇用機会均等法第11条)
    職場におけるセクシュアルハラスメントとは、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否・抵抗などしたことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること(対価型セクシュアルハラスメント)」及び「性的な言動が行われることで就業環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に重大な悪影響が生じること(環境型セクシュアルハラスメント)」をいい、女性、男性ともに対策の対象となります。
    男女雇用機会均等法第11条により、事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメント対策として雇用管理上必要な措置を講ずる義務があります。
  4. (4)ポジティブ・アクション
    過去の女性労働者に対する取り扱いなどが原因で職場に事実上生じている男女間格差を解消する目的で、女性のみを対象としたり女性を有利に取扱う措置については法違反とはなりません(男女雇用機会均等法第8条)。また、このような格差の解消を目指して雇用管理の改善について企業が自主的かつ積極的に取り組みを行う場合、国が援助できる旨の規定が設けられています(男女雇用機会均等法第14条)。詳細はこちら

5 仕事と家庭の両立のために

仕事と家庭の両立を図りながら、充実した職業生活を送れるように、妊娠・出産、育児、介護をサポートし、働く男性、女性とも仕事を継続できるような制度が設けられています。

  1. (1)妊産婦の健康管理
    使用者は、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性が休業を申請した場合または産後8週間を経過しない女性については、就業させてはなりません。(ただし、産後6週間経過した女性が請求した場合、医師が支障なしと認めた場合は就業できます)。その他、妊婦健診の時間を確保したり、女性労働者が医師等から指導を受けた場合は事業主はその措置を講じること、育児時間を取得できるなどの規定もあります(労働基準法第6章の2)。
  2. (2)育児休業
    労働者は原則として子どもが1歳(一定の場合は1歳6か月)になるまで、育児休業を取得することができます。育児休業は、女性・男性どちらも取得できます。事業主は要件を満たした労働者の育児休業の申出を拒むことはできません(育児・介護休業法第2章)。
    ※両親がともに育児休業を取得する場合には子が1歳2か月に達するまでの間で1年間育児休業を取得することができます。
  3. (3)介護休業
    労働者は、要介護状態にある家族を介護するために介護休業を取得することができます。介護休業は、対象家族一人につき、要介護状態に至るごとに1回、最長で通算93日間取得することができます。事業主は、要件を満たした労働者の介護休業の申出を拒むことはできません。(同法第3章)
  4. (4)不利益取扱いの禁止
    結婚、妊娠、出産したことや産前産後休業、育児休業などの申し出をしたことまたは取得したことなどを理由として、解雇その他不利益取扱いをすることは、法律で禁止されています(男女雇用機会均等法第9条、育児・介護休業法第10条、第16条、第16条の4、第16条の7、第16条の9、第18条の2、第20条の2、第23条の2 )。

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