厚生労働省

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(照会先)
大臣官房総務課調整連絡係
内線:7118

第10回厚生労働省政策会議 議事要旨

  I 日時:

平成22年2月23日(火)17:00〜18:00

 II 場所:

参議院議員会館 第1会議室

III 出席者:

長妻大臣、細川副大臣、長浜副大臣、山井政務官、足立政務官ほか

 IV 議題

・企業年金制度等の改善等を図るための確定拠出年金法等の一部を改正する法律案(通称「年金改善法案」)について

・労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案について

  V 議事要旨(○は出席議員、●は厚生労働省側)

冒頭、細川副大臣から本日の議題の紹介の後、長妻大臣から挨拶が行われた。

1.企業年金制度等の改善等を図るための確定拠出年金法等の一部を改正する法律案(通称「年金改善法案」)について

資料1−1及び1−2に基づき、説明後、質疑。

○国民年金保険料の納付可能期間を2年から10年に延長するとのことだが、故意に納付せずに未納となった人と期間内に納めていた人との公平を図るために、利息をつけるのか。通常国会で法案成立後いつから10年間の期間は遡及するのか。

○未納が11年前、12年前という人も多くいるなかで、なぜ納付可能期間が10年なのか。また、地域を回ると受給資格期間が25年に満たないため年金を受給できないという不満が多い。民主党の新年金制度に対する期待は大きいが、新年金制度への移行のスケジュールはどうなっているのか。

○納付可能期間の延長の施行日が「平成23年10月1日までの間に政令で定める日」となっているが、時効に関わる問題だからできるだけ施行日は早い方がいい。施行が遅かったために間に合わなかったという人も出るだろう。なぜ公布の日にしなかったのか。

○制度の周知不徹底のために未納のまま障害を負ってしまい、特別障害給付金の対象にもなっていない無年金障害者という人々がいるが、このような人々を救えないか。

●25年ルールについては、他の先進国を見ると、アメリカが10年程度で、他の国ではそれよりも短いか、受給資格期間がないというところもある。25年ルールは新制度では大幅に見直していく。なぜ納付可能期間が10年かについては、今は生活が苦しくて払えないから10年後に払うといっても、そのときに本当に払えるかどうかは分からない面もあるので、いつまでも払っていいということでは成り立たない。こうした点について我々もいろいろと考え、2年というのはあまりにも短いので、今回は10年としたところ。新制度はマニフェストにもある通り、鳩山政権1期4年の中で検討し、平成25年の国会に法案を提出し、成立させる。そして、そう遠くない時期に、閣僚をメンバーとする年金改革の会議を開く。重要なのは国民のコンセンサスを得るということであり、新年金制度の大原則を国民と共有していきたい。最終的には、国民的議論や国民的アンケートを行い、与党だけでなく野党の理解も得ないといけない。4年間かけて大きなコンセンサスを得ていく。法案を1期4年で通し、2期目以降に制度をスタートさせたい。「最低保障年金はすぐもらえるのか」とよく聞かれるが、新制度に移行したらすぐに7万円の最低保障年金が全国民に出るわけではない。どの国も制度改革時には移行期間を設けている。旧年金制度と新年金制度それぞれから給付をもらう期間が40年くらいあることになるだろう。スウェーデンは一定のみなしをして、移行期間を20年に短縮している。この移行期間についても大きな論点になると思うが、まずは、新年金制度へのコンセンサスを作り上げていきたい。それと並行して、年金記録問題の対応も行っていきたい。

●利息をつけて故意に納付しなかった人と納付してきた人との公平を保つかどうかについては、当時の保険料額に10年国債の表面利回り等を勘案して設定した追納加算率に基づく加算を付す。施行日についてはできるだけ早くした方がいいという指摘には厚労省としても同感だが、日本年金機構の準備作業があるので、長く見ても来年10月1日までの政令で定める日としている。日本年金機構と調整中であり、できるだけ早く対応していきたいと考えている。特別障害給付金の対象範囲拡大については、政府内でも検討していかなければならない。また、国会の場でも与野党で議論いただきたいと考えている。

○納付可能期間の延長については、新年金制度創設まで、例えば3年間など期間を限定して行った方が納めないといけないという気持ちを起こさせられるのではないか。

○法案名について、年金制度の公的年金部分と企業年金部分の改善のどちらが本体なのかがわからない。ボリュームは企業年金の方が多いかもしれないが、年金制度の1階部分と3階部分のうち、どちらが重要かといえば1階部分の方である。別建てもしくは国民年金法の改正をメインとする法律にするべきではないか。

○地域を回っていると、未納の理由には「どうせ払っても将来年金をもらえないから」という声が多い。そこが根本の問題である。将来的には必ずもらえるということと、障害年金や遺族年金があることをもっとアナウンスする必要があるのではないか。他の理由として、「生活保護の方が多くもらえる」とも言われる。真面目に納めてきた人よりも生活保護の方が多くもらえるということは矛盾している。将来的に生活保護との関係については、どのようなスタンスを示していくのか。

●納付可能期間延長を時限措置としなかったのは、納付可能期間の延長は長年の懸案であったため、恒久的にできるようにするとの趣旨によるもの。法案名については、今までも指摘されているところであり、内閣法制局にも相談・お願いをしてきたが、法律案の要綱を見てもらえば分かる通り、企業年金関係が大部分を占めているため、やむを得ない。ただし、全体の法律構成を考慮し、国民年金、企業年金通じて改善していくという意味を込めて、「年金改善法案」という通称を付けたところ。現行制度のアナウンスに関しては、まったく同感。しっかりと保険料を納付していただかなければならないので、障害年金・遺族年金もあるということも含めて、制度の広報を進めていかなければならないと考えている。生活保護との関係については、給付と負担の制約もあるが、新しい制度の検討の中で考えていかないといけない課題である。

●納付可能期間の延長を限定しなかったことについては、過去に一定の期間に限定して特例納付を行ったときに、世間から賛否両論が起きた。つまり、一定の期間を設けることで、お金を持っている人しか納められず、金持ち優遇だと批判された。このため、今回は一定の期間を設けなかった。「年金改善法案」という通称名については、検討させていただく。企業年金の法律もあるので、例えば「年金確保法案」といった代替案を検討させていただきたい。私もフリーターなどの若い方から「国民年金保険料を払わないでいれば、将来生活保護がもらえる」とよく言われる。そういうときは、「新年金制度でも納付した人と未納だった人の間に差をつけざるを得ないので、必ず保険料を払ってほしい」と説明している。生活保護にはミーンズテストがあり、貯金なども洗いざらい調べられる。生活保護と年金制度の関係は簡単なことではない。1期4年の中で全国民の知恵を集めて、若い方も納得できる制度をつくっていきたい。 ○法案名については、通称だけでなく正式名称についても検討いただきたい。 ○アナウンスの仕方にもつながるが、年金は支え合いの制度。自分がもらえるかもらえないかだけではなく、社会全体の支え合いのためにも年金保険料を払う必要があるということを説明しなければならない。

●現行の年金制度は賦課方式を採っている。若い人の保険料は仕送り方式で年金を受給している方のところへいく。助け合い・支え合いの制度であることを説明していきたい。

○納付可能期間については、自分で気づかないといけないのか。日本年金機構から通知は来ないのか。あと、67歳や68歳の人が追加で納付することによって受給権を得た場合、65歳からの期間も遡って受給できるようになるのか。

○確定拠出年金制度の改正についてだが、個人も掛金を拠出できるようにするということは、今のうちから個人でできることを支援するという趣旨と理解している。国民年金基金等も同じだが、老後どれくらい給付がもらえるのかが分からないと、個人で今どれくらいの掛金を拠出すべきかが分からない。

●自分の年金記録のどの期間が遡れるかについては、ねんきん定期便で過去の納付記録を確認してもらう。

○納付可能であることを判断できる人は少ないと思う。法律の改正に気づかない人もいるだろう。この期間は納付できるということを明記しなければいけない。

●検討していきたい。また、67歳で追納したとしても、遡りはできない。追納した時点からの給付である。国民年金基金については、加入時に掛金額と給付額が確認いただける。確定拠出年金については、企業が掛金を拠出し、一人一人の資金運用の成績次第で将来の給付額が変化するものであり、仕組みの趣旨を理解していただきたい。

●自分の記録のどの部分が納付可能期間の対象となるかについては、ねんきん定期便に個別に赤字で指摘したいところだが、コンピューターシステム等の関係もある。ただし、10年以内の未納期間であれば追納できるということは定型的に赤字で表示できるような工夫をしたい。その際は、大きな字で目立つように記載したい。

2.労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案について

資料2−1、2−2及び2−3に基づき、説明後、質疑。

○派遣法は規制緩和から規制強化に大きく舵を切った。専門26業務については登録型派遣の原則禁止から除くということだが、事務用機器操作やファイリングといった業務はそもそも専門性があるのかということが問題になっている。一方で、士業や医師等の国家資格を取得する業務については、明らかに専門性があるものなので、専門26業務の中に入れるべきではないかと考えている。登録型派遣の原則禁止までの3年間において、ニーズのある業務等を調査することになるかと思うが、ぜひ26業務に追加すべき業務についても調査して議論していくべき。どこでニーズがあるかということは、政治や行政が判断すべきでないと考えている。したがって、ニーズがないから禁止するというのは妥当でない。近年、へき地での医師のニーズは高い。

○今回の改正において、法律の名称に派遣労働者の保護が盛り込まれたということは素晴らしい。専門26業務については、かつてはもっと少ない業務であったものが拡大してきたので、26がいいのかどうかも含めて議論していくべき。「一定の有期雇用の派遣労働者」について、無期雇用の転換推進措置を設けるとのことだが、「一定の有期雇用」とはどのくらいの期間の雇用を指しているのか。派遣先の罰則であるみなしについても評価できる。今後この規定が実行性のあるものになるよう、政省令等の議論もしっかりやっていくべき。

○私の地元は製造業が盛んであり、派遣切りが起こった際は大変だった。現在は、円高・デフレの影響もあり、特に中小企業においては禁止の影響がどのくらいになるのか心配している。審議会からは使用者でどのような懸念が示されたのか。

●専門26業務については、先日、大臣指示のもと通達を発出したところ。この通達に基づき、専門26業務の考え方を明らかにし、指導監督をしっかりやっていくこととしている。専門26業務については様々な御意見があるが、士業については、それぞれの業法で無資格者から指揮命令は受けないと規定されているので、通常は請負等で行う。今後、審議会での議論を踏まえ適切に対応してまいりたい。「一定の有期雇用」については、最終的には審議会で決定して頂くことになるが、今までの議論においては、1年以上の有期雇用の方が想定されている。また、審議会において使用者側からは、中小企業の場合は人を募集してもなかなか集まらないので配慮頂きたいとの御意見があった。法案の施行に向けて、職業紹介の整備も行うこととしていることや、施行日を3年後としているのも、そういった影響を考慮したもの。

3.その他

○年金受給者の確定申告についてだが、年金受給者の中には名前を書くこともできない人もいる。いつまでも確定申告をさせるのではなく、権利を留保するなどして、確定申告をやらずに済むようにできないか。

●財務省と相談して、後ほど報告する。 ○雇用保険について、今回の改正により適用基準が6か月から31日になることに伴い、事業主から色々手続きが大変との指摘がでている。今回の改正によりどのくらいの人が対象となるのか。

●今回の改正においては255万人の方が雇用保険の対象になる。改正に伴い事業主の方への負担は増えるが、制度の十分な周知に努め、ご相談には丁寧に対応していきたい。

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