〜医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律について〜
我が国の医療保険制度については、昨今の経済状況の悪化による被保険者の収入の落ち込みや、高齢化の進展などによる医療費の増加を背景として、各保険者の財政状況が厳しさを増しております。
特に、一昨年のリーマンショック以降の景気の落ち込みによる医療保険財政への影響は大きく、国民健康保険、協会けんぽ、後期高齢者医療制度それぞれの平成22年度以降の保険料の大幅な上昇が見込まれていたところです。
このため、それぞれの制度における保険料の上昇を抑制するための財政支援措置を講ずること等を内容とする「医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」を平成22年通常国会に提出し、先般成立したところです。(一部を除き、5月19日施行)
【改正の内容】
中小企業のサラリーマンが加入する協会けんぽの保険料軽減のための措置
次の措置を講じることにより、1人あたり平均で、労使あわせて年間21,000円保険料の上昇を抑制。(保険料率が全国平均8.2%から9.9%まで上昇する見込みであったものを9.34%まで抑制。 ※実際の保険料率は、各都道府県により異なります。)
<保険料の上昇を抑制するために講じた措置>
- 協会けんぽに対する国庫補助率について、13%から16.4%に引き上げ
- 単年度での収支の均衡の特例として、2009年度以降の赤字額について、2012年までの3年間で分割して返済することを可能にし、各年度の返済額を圧縮。
- 協会けんぽや健保組合などの保険者が後期高齢者医療制度に対して負担している支援 金の1/3について、財政力に応じた負担になるよう負担方法を見直し(具体的には、加入者の数に応じた負担から総報酬額に応じた負担に変更。)
市町村国保の保険料軽減のための措置等
次の措置を講じることにより、1世帯平均で、年間約12,000円保険料の上昇を抑制。
<保険料の上昇を抑制するために講じた措置>
- 「低所得者の数」や「高額な医療費」に着目して、国及び都道府県が財政支援する事業を平成25年までの4年間継続。
国民健康保険料の滞納にかかわらず、一定の窓口負担で医療を受けられる子どもの範囲を「中学生以下」から「高校生世代以下」に拡大。(平成22年7月1日施行)
市町村国保の財政の安定化を図るために、都道府県単位による運営の広域化を推進するための措置を実施。
<具体策>
- 都道府県の判断による市町村国保の広域化を図るための方針の策定。
- 1人1か月30万円を超える医療費の負担を、都道府県内の市町村が費用を出し合って負担を共有する事業について、その対象となる医療費の範囲の拡大を可能に。
高齢者の保険料軽減のための措置
次の措置を講じることにより、1人あたり平均で、年間7,500円保険料の上昇を抑制。
(14.2%保険料が上昇する見込みであったところ、2.1%の上昇に抑制。)
<保険料の上昇を抑制するために講じた措置>
- 都道府県広域連合の財政不足に対応するために積み立てている基金(都道府県に設置)と都道府県広域連合の剰余金を活用
次の措置を講じることにより、サラリーマンに扶養されていた方の保険料について、年間37,800円保険料の上昇を抑制。
<保険料の上昇を抑制するために講じた措置>
- サラリーマンに扶養されていた方の保険料を9割軽減する措置を来年度も継続。
(保険局総務課)