厚生労働省

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個人請負型就業者に関する研究会について

なぜ今この研究会を開催したのでしょうか?

近年、個人自営業者であっても、1つの企業と専属の委託業務契約や請負契約を交わし、人を雇わずに就業するといった雇用と非雇用の区別がつきにくい層が出現し、既存の制度や法律の適用から漏れているのではといった指摘がなされていました。

このため、業務委託や請負といった契約に基づき、人を雇わずに就業している「個人請負型就業者」について、その実態を調査し、今後の政策的方向性について検討をするため、昨年8月から7回にわたり研究会を開催し、報告書を公表したところです。

どのような報告がなされたのでしょうか?

研究会報告書では、個人請負型就業者の実態や、実態を踏まえた政策的方向性について提言されています。簡単な概要は以下の図表をご覧下さい。その後、もう少し踏み込んだ内容を見ていきましょう。

(報告書概要)
個人請負型就業者の現状と今後の政策的対応の方向性

研究会ではどのような調査が行われたのでしょうか?

研究会では、求人情報提供事業者、労働組合、NPO法人、活用企業、学識経験者からヒアリングを行うとともに、委託調査(「個人請負型就業者に関する調査研究事業」)により個人請負型就業者の実態を把握しました。

委託調査では、

(1) 求人情報の分析

求人情報サイト、求人情報雑誌に掲載があった625件の求人情報を分析。

(2) 事業所へのアンケート調査

個人請負型就業者を活用する2000の事業所に全56問のアンケートを送付。738の回答を回収し、そのうち325件の有効回答を分析。

(3) 事業所、就業者へのインタビュー調査

6社の事業所と、22人の就業者に対しそれぞれ1〜2時間程度のインタビュー調査。

を実施しました。

調査ではどのようなことがわかったのでしょうか?

調査によって、多様な業種・職種で個人請負型就業者が活用されていること、専門性の高い者、低い者、労働者性が高い者、低い者など様々な就業実態があることが明らかとなりました。

(参考)

○ 業務委託・請負の求人が多い業種は順に、(1)塾、エステ等の対個人サービス業(41.0%)、(2)道路貨物運送業(12.3%)、(3)卸・小売業、飲食店(9.9%)。

○ 求人が多い職種は順に、(1)営業・販売(33.9%)、(2)理容・美容(23.7%)、(3)軽貨物運送(9.1%)。

○ 就業者を労働者性が高い形で活用をしている事業所は26.7%。

○ 多かった活用理由は順に、(1)専門的業務に活用するため(59.4%)、(2)即戦力・能力のある人材を確保するため(40.3%)、(3)人件費の節約のため(28.0%)。(複数回答)

また、今後政策的対応が必要な課題として以下の事柄が確認されました。

○ 就業条件が明確でない求人や業務委託・請負という募集が適切なのか懸念される求人があった。

(参考) 契約期間については89.3%、報酬金額の決め方では27.4%の求人で記載がなかった。

○ 労働者性の判断基準(労働法で保護される労働者に該当するのかどうか)がわかりづらいという指摘があった。

○ 業務委託・請負という働き方(雇用との違い)について充分に認識していない事業者や就業者がいた。

(参考) 業務委託・請負に従事する者が雇用保険や労災保険、厚生年金保険に加入しているという事業所が2〜1割あった。

○ トラブルの相談先について苦慮する者がいた。

○ 契約の履行上のトラブル(中途解約や代金不払い等)、求人に関するトラブル、労働者性に関するトラブルがあった。

(参考) 中途解約を行ったことがある事業所は34.2%、中途解約以外の事業所と就業者のトラブルの内容は、多い順に、仕事の評価をめぐってが49.0%、人間関係が38.8%、契約内容が18.4%だった。(複数回答)

調査結果を踏まえどのようなことが提言されたのでしょうか?

上にあげた課題に対応するため、以下(1)〜(5)のような政策が提言されました。今後は、今回の提言が実現されるよう取り組んで参ります。

(1) 求人情報の明確化について

求人情報の利用者が不利益を被らないよう、求人情報の掲載基準について、行政と求人情報協会が連携してガイドライン作成を検討。

(2) 活用企業が守るべきガイドラインについて

企業が個人請負型就業者を活用する場合に守るべき事項、注意すべき点等を盛り込んだガイドライン作成を検討。

(3) 業務委託・請負で働くことについて周知・啓発

働く側、発注側のそれぞれに対し、業務委託・請負で働くことと、雇用されて労働することの違いについて行政が周知・啓発。

(4) 労働者性の判断基準について

就業者や活用企業にとって、労働者性の判断がしやすくなる方法を検討。

(5) トラブルの相談窓口について

就業者、求人情報企業、活用企業に対し各種制度や利用可能な相談窓口等について行政がわかりやすく情報発信。

研究会参集者

奥田 香子京都府立大学公共政策学部准教授
(22年4月1日より近畿大学法科大学院教授)
佐藤 厚法政大学キャリアデザイン学部教授
佐藤 博樹(座長)東京大学社会科学研究所教授
佐野 嘉秀法政大学経営学部准教授
原  ひろみ労働政策研究・研修機構人材育成部門副主任研究員

更に詳しく知りたい方は

「個人請負型就業者に関する研究会」におけるこれまでの議論の経緯や報告書については、以下のリンクをご参照下さい。

第1回研究会資料議事録
第2回研究会資料議事要旨
第3回研究会資料議事要旨
第4回研究会資料議事要旨
第5回研究会資料議事録
第6回研究会資料議事録
第7回研究会資料
個人請負型就業者に関する研究会報告書
● お問い合わせ先

政策統括官(労働担当)労働政策担当参事官室

(代表)03-5253-2111 (内線)7992


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