厚生労働省

  • 文字サイズの変更
  • 小
  • 中
  • 大

社会保障協定の締結を進めています

年金局 国際年金課

近年、企業はその活動拠点を海外に向けて積極的に展開しており、これに伴って海外で生活される方も年々増加しています。

国際的な人的交流が活発化する中で、社会保障の分野において日本と外国の政府間で調整すべき様々な課題があることが明らかになってきました。

こうした課題を解決するために諸外国との間で「社会保障協定」の締結を進めています。

社会保障協定とは何ですか?

保険料の「二重払い」を解消します。

○ 日本の年金制度に加入している方が、外国に派遣された場合、派遣先の国でも年金制度などへの加入を求められることがあります。このような場合に保険料の「二重払い」が起こります。(外国から日本に派遣される方についても同様の問題が起こり得ます。)

○ 社会保障協定においては、派遣期間が5年を超えない場合には、原則として派遣先国の年金など社会保障制度への加入義務を免除します。この場合、派遣元国の制度にのみ加入することになり、保険料の「二重払い」の問題が解消されます。

(参考:派遣期間が5年を超える場合は原則として派遣先国の制度のみに加入することになります。)

(図I) 「二重払い」の解消

〈日本の企業に勤務する人が外国にある支店や駐在員事務所などに短期間派遣される場合〉

(図I) 「二重払い」の解消

※ 上記のケースでは派遣期間が5年を超えないため、日本の制度のみへの加入になります。

保険料の「掛け捨て」を防止します。

○ 日本だけではなく諸外国の年金制度においても、年金を受給するためには一定期間以上年金制度へ加入すること(最低加入期間)を要件としている場合があります。

(参考:老齢年金の場合は、日本は25年間、アメリカは10年間、ドイツは5年間の最低加入期間があります)

○ それぞれの国の年金制度への加入期間が短い場合、最低加入期間の要件を満たすことができず、納めた保険料が年金給付に結びつかないこととなります。これがいわゆる保険料の「掛け捨て」の問題です。

○ 社会保障協定においては、自国の年金制度の加入期間のみではこの最低加入期間の要件を満たさない場合、その要件の判断に当たり、自国制度への加入期間と相手国制度への加入期間を通算することを認めることにより、保険料の「掛け捨て」を防止しています。

(図II) 「掛け捨て」の防止

〈米国に派遣され就労していた人の例:米国の老齢年金受給のために必要な最低加入期間は10年

(図II) 「掛け捨て」の防止

※ 上記のケースでは 日本制度からは34年分の年金額が支給され、米国制度からは6年分の年金額が支給されます。

現在どのような国と協定が結ばれているのですか?

日本は、平成12年2月に初めての社会保障協定をドイツと結んで以来、様々な国と社会保障協定を結んでいます。

○協定が既に発効している国
ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ(計7ヶ国)

舛添大臣とキャロン駐日カナダ大使

日・カナダ社会保障協定の実施のための行政取決めの署名式(平成19年11月)
舛添大臣とキャロン駐日カナダ大使

○協定は既に署名済で現在発効の準備を進めている国
オーストラリア、オランダ、チェコ(計3ヶ国)

なお、社会保障協定の内容は相手国により異なりますので、詳しいことをお知りになりたい方は、こちらをご覧ください。

今後はどのような国と交渉・協議を行うのですか?

協定の締結国の拡大に向けて交渉・協議を活発に行っています。

○ 現在、スペイン及びイタリアとの間では政府間の正式交渉を行っています。また、アイルランド、ハンガリー、スウェーデン及びスイスとの間では非公式協議を行っています。

○ 平成19年6月に「社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律」が制定されました。これにより、従来協定を結ぶたびに個別に制定してきた、協定を国内で実施するための法律を制定をする必要がなくなったため、諸外国との間で協定締結に向けた交渉や協議を同時並行的に進めることができる環境が整いました。
 一層の協定締結国の拡大に向け、外務省とともに、今後とも優先度の高い国から積極的に交渉・協議を行っていきます。

(注)社会保障協定の締結相手国の選定は、(1)相手国の社会保障制度における社会保険料の負担の規模、(2)在留邦人数や進出日系企業数等の状況、(3)経済界からの具体的要望の多寡、(4)二国間関係、(5)我が国と相手国の社会保障制度の違い等を総合的に考慮しつつ、外務省と相談して行うこととしています。

(図III) 協定締結等の状況

2008年8月18日現在

社会保障協定締結等の状況

社会保障協定締結等の状況

お問い合わせ先

年金局 国際年金課


トップへ