厚生労働省


鳥インフルエンザと新型インフルエンザ

健康局 結核感染症課

新型インフルエンザ対策には、大きく分けて2つあります。

一つは薬剤やワクチンで、もう一つはウイルスを国内に侵入させないための水際対策や、特定の地域に閉じこめて感染の拡大を防ぐ地域封じ込め、あるいは外出や集会などの自粛といった、さまざまな公衆衛生的対応です。

ここでは薬剤とワクチンについて解説しましょう。

新型インフルエンザウイルスに対する薬剤やワクチンの製造・備蓄

パンデミックワクチン

効果は高いけれど
いまからは製造できないワクチン

新型インフルエンザウイルスをもとに作成したワクチンをパンデミックワクチンといいます。

ただし、このワクチンはウイルスが発生してからでなければ製造できません。

したがって、ウイルス発生からワクチン完成までの間は、このワクチンなしで対応しなければなりません。

国はパンデミックワクチンを全国民分、製造する予定で、製造され次第、順次接種を開始します。

プレパンデミックワクチン

すでに製造しているけれど、パンデミックワクチンと比べて
効果が確実とはいえないワクチン

ワクチンにはもう一つあります。鳥インフルエンザウイルスからつくるものです。現在すでに鳥インフルエンザウイルスが人へ感染していますが、このウイルスが新型インフルエンザウイルスに変異するのではないかと危惧されています。ですから、鳥インフルエンザウイルスをもとにしたワクチンでも、新型インフルエンザに対して、ある程度の効果をもつ可能性も考えられるのです。

このワクチンをプレパンデミックワクチンといいます。

注意しなければならないのは、ウイルスの変異を正確に予想することはできないため、プレパンデミックワクチンの効果を過信することができないということです。

抗ウイルス薬

発症を抑えたり
症状悪化を抑えてくれる薬剤

抗ウイルス薬は人の体内でのウイルスの増殖を抑えるものです。感染してしまっても、発症を抑えたり、症状の悪化を抑えることができると期待されるのです。

日本で承認されている抗ウイルス薬には、オセルタミビル(商品名タミフル)とザナミビル(商品名リレンザ)があります。

ワクチン・抗ウイルス薬の備蓄および製造方針
  抗インフルエンザ
ウイルス薬(タミフル)
プレパンデミック
ワクチン
パンデミック
ワクチン

・ウイルスの増殖を阻害する薬剤。
・発症後、症状を軽減できる。
・予防的な投与もある。
・現時点での鳥インフルエンザH5N1に対するワクチン。
・ある程度の重症化防止効果が期待できる。
・新型インフルエンザのウイルスをもとに作成するワクチン。
・最も有効性が期待できる。
・発生してから完成までおおよそ半年〜1年かかる。

治療 国内発生初期の封じ込め 医療機能低下の防止
社会機能低下の防止
国民全体へ
の免疫付加


患者
(発症後48時間以内での投与が望ましい)
患者との接触者(感染のおそれのある者) 医療従事者
社会機能維持者
全国民
  備

2500万人分
内訳・・・国と都道府県でそれぞれ1050万人分と流通備蓄400万人分
300万人分 (18年度)1000万人分(ベトナム株・インドネシア株) 発生後に製造開始

医療対応について

非常時用の体制として
通常時とは大きく変わります

医療面での対応は、医療従事者や研究者、保健所職員などの公衆衛生担当者が主体となって取り組むことになります。

まず、海外で新型インフルエンザ患者が発生した時点で、保健所ごとに「発熱相談センター」を設置し、感染が疑われる発熱患者に関して電話等で相談を受け付けることとしています。国内で患者が発生した場合には、自分が感染したのではないかと思える人には、院内での感染を広げるわけにはいきませんから、新たに設置される「発熱外来」を受診してもらうなど、通常の受診とは異なる行動が求められます。

また、患者や疑わしい症状を呈する者を早期に把握できるように、症例報告システムを稼働させます。その結果、それぞれの症例に対して必要な対応、措置が迅速にとれるようになります。

実際に新型インフルエンザ患者が発生した場合は、感染症法に基づき、当該患者に対する感染症指定医療機関への入院・隔離の措置が行われ、適切な医療を受けることになります。また、患者と接触した人たちの調査や、抗ウイルス薬の予防投与による感染拡大の制御などもはじめます

新型インフルエンザ医療体制の段階

新型インフルエンザパンデミック時における医療体制について、詳しくお知りになりたい場合はこちらのサイト(6 医療体制に関するガイドライン)をご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/09.html


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