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変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に関するQ&A

<照会先> 厚生労働省健康局疾病対策課

電話   03-5253-1111(2353、2354)

(直通)  03-3595-2249

(平成22年1月更新)

変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に関するQ&A
(Q1−Q4はクロイツフェルト・ヤコブ病一般について)


Q1 クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)とはどのような病気ですか?

 神経難病のひとつで、抑うつ、不安などの精神症状で始まり、進行性認知症、運動失調等を呈し、発症から1年〜2年で全身衰弱・呼吸不全・肺炎などで死亡します。
 原因は、感染性を有する異常プリオン蛋白と考えられ、他の病型を含めて「プリオン病」と総称されます。
 CJDは世界中に広く分布しており、日本では人口100万人に年間1人前後の率で発症(こうした、原因不明で発症するものを孤発性CJDといい、平成17年に国内で初めて認定された、vCJD(変異型CJD)とは異なるものです。)するといわれています。プリオン病の約8割を占める、原因が不明である孤発性CJDの発症年齢は平均68歳で、男女差はありません。
 CJDは1997年に厚生労働省特定疾患治療研究事業の神経難病疾患として加えられており、診断のための基準が設けられています。(詳細は難病情報センターホームページhttp://www.nanbyou.or.jp/sikkan/105.htm 「クロイツフェルト・ヤコブ病診療マニュアル」参照)


Q2 CJDによる年間発生数、死亡率はどのくらいですか?

 日本では年間約200例(平成20年人口動態統計)の弧初性CJD患者が発生しています。
 仮に孤発性CJDを発症した場合、発症後約1年以内で死亡することから、死亡者数は1年前の患者発生数とほぼ同じとなります。vCJDは罹病期間が平均1年半であり、進行は孤発性CJDより緩やかです。


Q3 プリオンとはどんなものですか?

 プリオンとは、ヒトでは第20番染色体に存在するプリオン遺伝子が産生するプリオン蛋白が異常化したもので、“感染性を持つタンパク粒子”という意味の言葉です。
 プリオン遺伝子は、哺乳動物から酵母に至るまで見いだされており、正常なプリオン蛋白は病気を起こすとは考えられていません。


Q4 プリオン病とされるヒトの病気は?

 ヒトのプリオン病には、これまで、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、家族性のゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)、食人の風習のあったパプアニューギニアのある種族だけに起きるクールー病などが知られていました。
 プリオン病の患者の大部分、日本では約77%が孤発性CJDです。孤発性CJDの発生率は年間100万人に1人前後です。地域差、男女差はなく、世界各地に孤発的に発生しています。遺伝が関与する家族性CJDやGSSなどがそれに続き約17%を占めます。
残りの約6%が獲得性プリオン病であり、その中で、医原性伝播が疑われるものとして、CJD患者由来の乾燥硬膜(脳膜)移植を受けた人がCJDに罹るなどの実例が知られ、脳下垂体製剤や角膜移植などで生じたとされる例も報告されています。
 この他に、BSEとの関連性が示唆されている変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)が1996年に英国で初めて確認されました。


Q5 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)とはどのような病気ですか?

 プリオン病の中でも獲得性プリオン病のひとつで、牛の海綿状脳症(BSE)との関係が指摘されているものです。英国をはじめとするヨーロッパ諸国を中心に208例(平成20年7月現在)が報告されています。
 診断基準については、難病情報センターホームページhttp://www.nanbyou.or.jp/sikkan/105.htm 「クロイツフェルト・ヤコブ病診療マニュアル」を参照してください。


Q6 これまでどのような国でvCJDの患者が報告されたことがあるのですか?

 1996年に英国において初めてvCJDの患者が報告されて以降、BSE感染牛が多く発生したヨーロッパ諸国を中心に208例(平成20年7月現在)が報告されています。その内イギリスが167例、フランスが23例となっており、ヨーロッパ以外のアメリカ、カナダで発生したほとんどの症例については、英国の滞在歴があることがわかっています。


Q7 vCJDは普通のCJD(孤発性CJD)と異なるのですか?

 1996年3月、英国CJD諮問委員会は10名のvCJDの患者を確認して、この病気は、
(1)  若年で発症すること
(2)  発症して死亡するまでの平均期間が緩徐なこと(平均18ヶ月)
(3)  孤発性CJDで特徴的な脳波のPSD(周期性同期性放電)がみられないこと
(4)  脳の病変部に広範に異常プリオン蛋白が沈着したクールー斑や空胞がみられることなど、
従来の孤発性CJDとは異なる特徴を有するとしました。
(1)、(2)、(3)、(4)の相違点によって、患者さんの生前に孤発性CJDと区別できますが、死後、解剖によって、特徴的な脳病理所見を確認して確定診断が行われます。


Q8 vCJDに感染しているのか不安なので確認したいのですが、検査方法はありますか?

 現在のところ、発症前の検査方法はありません。症状が出現した後に、髄液検査や脳波検査、画像等でCJDの診断をしていきます。さらに、確定診断には、亡くなられた後に脳組織を用いて、Western Blot法や免疫染色により異常プリオンタンパクを検出することが必要です。


Q9 vCJDはどのような症状で発病するのでしょうか?

 vCJDでは、初発症状として、抑うつ、不安、自閉、異常行動などの精神障害が主なものです。しばしば上・下肢の感覚障害や記憶障害などの随伴を認めることもあります。


Q10 母子感染はありますか?性的接触による感染はありますか?授乳しても大丈夫ですか?

 現在まで母子感染、性的接触による感染の報告事例はありません。また、乳汁中に異常プリオン蛋白が検出されたという報告はありません。


Q11 日本ではvCJDの発生を常時監視する体制はあるのですか?

 日本では、平成11年4月に施行された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に基づく感染症発生動向調査による届出や「特定疾患治療研究事業」による臨床調査個人票等により、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を含む全てのプリオン病患者の発生の把握に努めています。


Q12 vCJDとBSEは、関連がありますか?

 1996年3月、英国CJD諮問委員会は、vCJDとBSEの間に因果関係があるとする直接的な科学的根拠はないが、他に確度の高い選択肢もないことから、最も適当な説明として、1985年から爆発的に発生しているBSEの脳、脊髄などが食用に供されていたことに関連があると示唆しました。その後、疫学、および種々の研究結果からvCJDとBSEとは同一の感染因子が原因であることが示されています。


Q13 vCJDの潜伏期間はどれくらいですか?

 現在のところ、正確には判っていません。英国では、vCJD患者を初めて確認した1996年当時は、1985年から爆発的に発生しているBSEとの関連から、ヒトがその伝達性のある危険部位を食べてから発症するまでの期間(潜伏期間)として、8年から10年と考えられていますが、この期間より長い方、短い方もいらっしゃいます。また、BSE患者数が最も多い英国の研究では、特定の遺伝子を持つ患者の発症時期が相対的に遅いことから、ヒトでも体質や遺伝の違いによって潜伏期間や感受性がかなり異なるのではないかと考える研究者がいます。


Q14 vCJDの治療法はありますか?

 残念ながら、現在のところありません。
 しかし、精神症状を示す初期の段階で診断できる方法を見つけることや異常プリオン蛋白を減少させるワクチンのようなものを開発することなどの研究が進行中であり、早期の成果を期待しているところです。


Q15 vCJDの患者からの血液で感染することはありますか?

 2003年に英国においてvCJDの患者の献血血液から二次的にvCJDが発生した可能性のある事例が初めて報告されました。日本においてはこれまで、英国、フランスのvCJD発生国からの血液製剤の輸入の実績はありません。


Q16 わが国ではどのような食品安全対策がとられていますか?

 2001年9月、我が国において初めてBSEにり患した牛が発見されたことから、同年10月18日より、食肉処理時の牛の特定危険部位すなわち頭部(舌及び頬肉を除く)、脊髄、回腸遠位部等の焼却処分等を義務化し、BSE検査を全国一斉に開始するなどの安全対策を講じています。
 なお、現在、欧州連合諸国では、安全な牛肉の流通に必要なBSE対策として、と畜場において、特定危険部位の除去のほか、一定月齢以上の牛のBSEスクリーニング検査などを実施しています。


Q17 日本で今後vCJDにかかるリスクはどのくらいですか?

 我が国におけるvCJDリスクを評価するには、(1)どれほどのBSEプリオンが食物連鎖に入り、牛と人との間の種間バリアを越えて、どれだけの人に対してvCJDリスクを与えるのかについて、BSEプリオンが人に摂取されるまでのそれぞれの段階でのリスクを評価し、それらのリスクを基に一連の流れを通して最終的なリスクを評価する方法と、(2)疫学的な手法として、英国の研究者が、vCJD感染者数はBSE発生頭数に相関する等の仮定のもと、過去のBSE感染牛発生頭数と現時点までに発生したvCJD患者数等の疫学的情報を用いて将来発生するvCJD患者数を予測する考え方を利用する方法が考えられます。
 (2)の方法を用いて計算した場合、全頭検査以前のBSEプリオン摂取による我が国全人口(1億2000万人)におけるvCJD患者の発生数は0.1人〜0.9人と予測されています。(「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について 中間とりまとめ 平成16年9月 食品安全委員会」より抜粋)


Q18 日本ではvCJD患者の発生に対してどのような対応をとるつもりですか?

 人から人への二次感染は普通の日常生活ではないと考えられていますが、CJDについての専門家が集まっている厚生科学審議会疾病対策部会クロイツフェルト・ヤコブ病等委員会において専門的な見地から適切なコメントを受け、迅速に詳細な調査をしていくことになります。


Q19 英国、フランスに滞在したことがありますが、大丈夫ですか?

 英国では、1989年11月に牛の脳、脊髄、脾臓、胸腺、扁桃、腸の販売を禁止しました。
 なお、2000年12月にとりまとめられた英国食品基準庁のBSE対策評価報告書によると、vCJDの発生原因である可能性が指摘されているせき柱などを用いたMRM(mechanically recovered meat, 機械的回収肉:肉の付着した骨を粉砕したのち、骨くずを除いて回収された挽肉)については、1995年に禁止されました。
 フランスでは、1989年8月に英国からの反芻動物への飼料としての肉骨粉輸入禁止措置をとり、1996年3月に英国からの牛の輸入を禁止しました。更に、1996年6月に脳、眼、せき髄について特定危険部位として、食用及び家畜飼料からの除去並びに焼却処分を実施し、1997年1月MRMの製造禁止としました。
 したがって、それ以前の期間は相対的にリスクがあるといえますが、平成20年7月までの報告例では、欧州以外での報告6例のうち4例については英国滞在歴が確認されています。日本で今後vCJDにかかるリスクについては、Q17のとおりです。


Q20 英国やフランスにこれから行きますが、大丈夫ですか?

 現在、欧州連合諸国では、安全な牛肉の流通に必要なBSE対策として、と畜場において、特定危険部位の除去のほか、一定月齢以上の牛のBSEスクリーニング検査(英国では30か月を超える牛の食用禁止措置をとっている)などを実施しています。


Q21 英国内で危険性のある牛肉はいつまで流通していたのですか。

 英国では、1989年11月に牛の脳、せき髄、脾臓、胸腺、扁桃、腸の販売を禁止しました。
 なお、2000年12月にとりまとめられた英国食品基準庁のBSE対策評価報告書によると、vCJDの発生原因である可能性が指摘されているせき柱などを用いたMRM(mechanically recovered meat, 機械的回収肉:肉の付着した骨を粉砕したのち、骨くずを除いて回収された挽肉)については、1995年に禁止されました。
 なお、MRMについては、英国食品基準庁の「BSE感染源プロジェクトMO3108」報告書(2002年10月)の中で、下記の表のように加工品中のMRMの割合が推定されています。

加工品中のMRMの割合の表


Q22 英国ではハンバーガーの味を良くするため脳や脊髄等が混ぜられていたと聞きましたが事実なのですか。

 2002年11月14日の英国の海綿状脳症諮問委員会において、食品基準庁による1980年から1995年の間のせき柱などを含むMRMの使用状況に関する調査結果を踏まえて、これらを含む安価なハンバーガーや挽肉を通じてBSE病原体に暴露した可能性を指摘しています。すなわち、当時、ハンバーガーにせき柱等を含むMRMが使われていたと考えられます。


Q23 英国におけるvCJDの多発地域はどこですか?

 イングランド中部のレスターシアで5例が集団で発生したという事例があります。


Q24 牛のゼラチン由来物質を使った薬品や化粧品は大丈夫ですか?

 合理的な処置が取られており、現在まで感染した報告はありません。


Q25 牛のテール・スープは安全ですか?

 テール(尾椎の一部)はBSEの感染性が検出されておらず、特定危険部位には指定されておりません。したがって、テール・スープの安全性には問題がないと考えられています。


Q26 英国以外のBSE発生国で摂取した牛肉は安全なのでしょうか?(ヨーロッパ、米国、カナダ等)。

 牛の筋肉については、BSE感染性が証明されたという研究報告はなく、と畜・解体時に適切に特定危険部位が除去されていれば安全性に問題はないと考えられています。
 現在、欧州連合諸国では、安全な牛肉の流通に必要なBSE対策として、と畜場において、特定危険部位の除去のほか、一定月齢以上の牛のBSEスクリーニング検査などを実施しています。
 また、米国、カナダにおいても当該国政府が食品安全対策として必要と判断している一定月齢以上の牛の特定危険部位除去などの安全対策がとられています。


Q27 80年代後半から90年代前半にかけ、英国製の栄養補助食品(牛骨由来のカルシウム補給食品のようなもの)が国内で販売されていましたが大丈夫ですか。

 カルシウム剤については、骨から製造する時点で物理的・化学的な処理がされているため、摂取しても問題ないと考えています。


Q28 英国滞在歴に係るに献血制限について、どのような見直しを行ったのですか。

 平成17年2月に国内において変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)患者が確認されたことを受け、予防的かつ暫定的な措置として、平成17年6月1日より、1980年から1996年の間に英国に1日以上滞在された方からの献血をご遠慮いただいて参りました。
今般、平成21年度第3回薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会(平成21年12月10日開催)での審議結果を踏まえ、平成22年1月27日より、当該措置を見直し、同期間に英国に通算1ヶ月以上滞在された方からの献血をご遠慮いただくこととなりました。詳しくは、https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/7m3.htmlをご覧ください。


Q29 感染の可能性がある場合、不安がある場合など、vCJDについての相談は、どこにすればいいのでしょうか。

 厚生労働省では、健康局疾病対策課(TEL03−3595−2249)、食品安全部企画情報課(TEL03−3595−2326)において、相談の対応を行っています。献血に関するご相談は、医薬食品局血液対策課(TEL03−3595−2395)となります。
 また、都道府県等の地方自治体においても、保健所等において相談できる体制が整備されています。(各都道府県にお問い合わせ下さい)

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