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政府の過去の対応の検証について(補足)

別紙3

政府の過去の対応の検証について(補足)
平成17年9月29日

 アスベスト問題に関する過去の対応については、去る8月26日に開催された閣僚会合において、各省庁における検証結果を取りまとめたところである。その際、さらに9月へ向けて精査、検討することとした事項については、以下のとおりである。検証結果全体としては、それぞれの時点において、当時の科学的知見に応じて関係省庁による対応がなされており、行政の不作為があったということはできないが、当時においては予防的アプローチ(完全な科学的確実性がなくても深刻な被害をもたらすおそれがある場合には対策を遅らせてはならないという考え方)が十分に認識されていなかったという事情に加え、個別には関係省庁間の連携が必ずしも十分でなかった等の反省すべき点もみられた。

 クロシドライト(青石綿)及びアモサイト(茶石綿)の使用等禁止施策に関する諸外国との比較については、以下のとおりである(別添−(1)参照)。
 クロシドライト及びアモサイトの使用等禁止措置の検討開始は、欧州諸国が我が国より先行しているが、これは、欧州諸国では我が国よりも早期に石綿を大量に使用し、多くの健康被害が生じていたことを背景として、EC委員会等において独自の科学的検討がなされていた一方、我が国では石綿に係る健康障害事例も少ない中で、昭和61年(1986年)のILO石綿条約の採択や平成元年(1989年)のWHO勧告を契機として禁止措置の本格的な検討を開始したという背景事情の相違が影響している。
 クロシドライトに関しては、イギリスが昭和61年(1986年)に全面禁止し、ドイツが昭和61年(1986年)、フランスが昭和63年(1988年)に原則禁止したのに対し、我が国は平成7年(1995年)に全面禁止としたが行政指導等により平成元年(1989年)には使用の実態がなくなっていたことを確認しており、ドイツ及びフランスでは禁止措置を講じた時点では依然クロシドライトの使用の実態があったことにかんがみれば、実態面ではこれらの国に遅れをとってはいなかったものの、予防的アプローチが国際的に認知された現状から見ると、生命・身体に係る法令上の禁止措置については、世界的な動向を見ながら実施するという考慮が十分なされたとは言えないものと考える。
 また、アモサイトに関しては、イギリスは昭和61年(1986年)に全面禁止したが、ドイツ(平成5年(1993年))及びフランス(平成6年(1994年))と我が国(平成7年(1995年))とでは大差がない。なお、米国やカナダにおいては、クロシドライトやアモサイトの使用は現在も全面的には禁止されていない。
(注)8月26日付けの「アスベスト問題に関する政府の過去の対応の検証について」においては、フランスのクロシドライト及びアモサイトの全面禁止時期を平成9年(1997年)としていたが、追加調査の結果、すべての石綿の全面禁止は同年になされたが、クロシドライト及びアモサイトは平成6年(1994年)に全面禁止されていたことが判明した。

 大気汚染防止法の改正による規制制度の導入が、平成元年まで行われなかったことについては、
(1) 予防的アプローチが国際的に広く認知され、我が国の法令等にも反映されたのは平成4年のリオ宣言以降であり、平成元年以前の時点ではこの考え方は浸透していなかった
(2) 当時は、法令(公害対策基本法、環境庁設置法)における規定の下、環境庁の任務は汚染物質が工場外に出ることの防止(エンド・オブ・パイプ対策)に限られるという認識が自他ともに強く、石綿問題についても当時の環境庁の所掌の範囲内の対応にとどまったことが原因と考えられる(別添−(2)参照)。

 アスベスト問題については、過去の関係省庁の連携が必ずしも十分であったとはいえなかったことを踏まえ、今後、こうした問題についての関係省庁間の連携を確実なものとするため、例えばILO条約など国際条約で規制されている物質についての動向など、化学物質の有害性等に係る新たな知見について、関係省庁が情報交換、意見交換を行うとともに、さらに個別物質についての検討が必要となった場合にその連絡、調整を行うことを目的とする「有害化学物質に関する関係省庁連絡会議」(仮称)を早急に設置することとする(別添−(3)参照)。

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