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採血の業務の管理及び構造設備に関する基準について


○採血の業務の管理及び構造設備に関する基準について
(平成15年7月18日)
(薬食発第0718005号)
(各都道府県知事あて医薬食品局長通知)
 今般、「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律」(平成14年法律第96号)による改正後の「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」(昭和31年法律第160号。以下「法」という。)第21条に基づき「採血の業務の管理及び構造設備に関する基準」(平成15年厚生労働省令第118号)が制定され、平成15年7月30日から施行されることとなった。
 採血を適正に実施するためには、本基準の励行確保は極めて重要であるので、下記事項に御留意のうえ施行に遺漏のないようにされたい。
第1 基準の趣旨
 血液製剤等(法第12条第2項に規定する血液製剤等をいう。以下同じ。)は人から採取された血液を原料とし、製造及び試験検査を経て製品化されるものであり、その品質確保を図るためには、採血から製造まで一貫した管理を行う必要がある。しかしながら、業として人体から採血することは「医師法」(昭和23年法律第201号)に規定する医業に該当すること等の特殊性から、採血行為については、「薬事法」(昭和35年法律第145号)ではなく、「採血及び供血あつせん業取締法」により規制されてきたところである。つまり、採血については薬事法に基づく医薬品の製造管理及び品質管理規制の対象から除外され、「血液製剤の製造を目的とする採血の適正化に関する基準について」(昭和55年10年9日付け薬発第1334号薬務局長通知)に基づき実施されてきたところである。
今般の法改正に伴い、採血の業務の管理及び構造設備に関する基準を設け、採血の適正化を図り、血液製剤等の一層の品質確保を図ることとした。

第2 第1章関係

 1 第1条第3項の「採血の実施に際し一回限りの使用で使い捨てる器具」とは、成分採血キット等採血の工程において血液が直に接する容器並びに器具及び器材をいうこと。
 2 第1条第3項の「表示に用いる材料」とは、採血により得られた血液の容器に貼り付けるラベル及び同条第2項に規定する健康診断(以下「健康診断」という。)のために採取された血液の容器に貼り付けるシールをいうこと。

第3 第2章関係

 1 第2条関係
(1)第1項の「採血に係る業務」とは、献血者等に対する健康診断から、採血の実施、採血により得られた血液の保管及び管理に至る一連の業務をいうこと。
(2)第2項の「採血責任者の業務を統括する」とは、採血事業者が当該採血統括者について定めた担当する区域において、採血責任者の上位にあって、第6条に規定する採血所における業務の管理の最終的な責任と権限を有することをいうこと。
(3)採血事業者は、採血責任者を兼ねることは差し支えないものであること。
(4)採血事業者が当該区域について採血統括者を選任した場合であって、かつ、一時的に採血責任者がいない等やむを得ない場合には、採血統括者は、採血責任者を兼ねることができること。
 2 第3条関係
(1)「採血事業者は、採血所ごとに、次に掲げる事項について記載した採血基準書を作成し、備え付けなければならない。」については、採血事業者が統一的に作成したものを、各採血所に備え付けることを基本とするが、統一的な採血基準書に加え、各採血所において、それぞれの事情に応じた事項を盛り込むことを妨げるものではないこと。
(2)第1号の「健康診断に関すること」とは、次の事項をいうものであること。
 献血者等が記載する採血の申込書の記載事項及び記載方法
 献血者等の問診事項
 献血者等の検査事項及び検査方法
 献血者等の選択基準
(3)第2号の「採血の実施に関すること」とは、次の事項をいうものであること。
 採血の方法並びに機械及び器具の取扱い方法(採血部位等の消毒方法及び無菌的操作を行うため特に注意すべき事項を含む。)。成分採血については、これらに加えて血球等の返還の方法。
 採血により得られた血液と健康診断のために採取された血液とが同一の献血者等に由来することを示すための表示方法及び誤表示を防ぐためのチェック方法
(4)第3号の「採血に係る業務の工程の管理に関すること」とは、次の事項をいうものであること。
 採血の工程の管理に関すること
 採血従事者の作業管理に関すること
(5)第5号の「構造設備の管理に関すること」とは、次の事項を含むものであること。
 清掃すべき場所、機械及び器具並びに清掃を行う頻度
 清掃作業の手順並びに清掃に使用される薬剤及び器具等
 清掃状況の評価方法
(6)第6号の「試薬及び試液(以下「試薬等」という。)並びに資材の規格、使用方法及び管理に関すること」とは、試薬等並びに資材の安全性及び有効性が確保されるよう、それらについて適当な頻度で抜き取り試験を行うことを含むものであること。
(7)第7号の「採血に従事する者(以下「採血従事者」という。)の衛生管理に関すること」とは、次の事項をいうものであること。
 作業服装基準
 採血従事者の健康状況の把握方法
 採血従事者の手洗い設備及び手洗い方法又は消毒設備及び消毒方法
 作業中の採血従事者の注意事項
 3 第5条関係
(1)第1項第2号及び第3号の「確認すること」とは、各号に掲げる業務が適正に行われていることの確認を行い、その結果を採血事業者等へ報告を行うことを含むものであること。
(2)第1項第3号の「搬出」とは、採血により得られた血液を血液製剤等の製造所に搬出することをいうこと。搬出する際には、遡及調査ができるよう、同項第4号ハに定める出納の記録を適正に行わせること。
(3)第1項第5号の「採血により得られた血液に関する記録」とは、次の事項をいうものであること。なお、採血事業者が、血液製剤等の遡及調査に資するため、献血者等の情報を採血番号を用いて管理している場合は、アに代えて採血番号を記録することとしても差し支えないこと。
 献血者等の氏名及び住所
 採血が行われた場所
 採血が行われた年月日
 献血者等の血液型
 採血容器の種類及び血液保存液又は抗凝固液の種類
 採血により得られた血液の品質に関する特記事項
 採血作業中に生じた特記事項
 採血の適否の判定をした者及び採血を行った者の氏名
 記録を作成した年月日及び記録を作成した者の氏名
 4 第6条関係
(1)「採血所における業務」とは、採血に係る業務に加えて、献血者等の受入れ、採血中及び採血後の対応並びに第7条から第10条に掲げる業務といった採血所において行われる業務及びそれに関連した業務をいう。
(2)「自己点検、苦情処理及び教育訓練の手順に関する文書」とは、自己点検、苦情処理及び教育訓練に係る業務を円滑かつ適正に行えるようにその手順を明確にしたものであり、それぞれ次の事項が記載されていなければならないものであること。
 自己点検の手順に関する文書
 第7条に規定する業務を適正に遂行できる手順に関する事項
 苦情処理の手順に関する文書
 第8条及び第9条に規定する業務を適正に遂行できる手順に関する事項
 教育訓練の手順に関する文書
 第10条に規定する業務を適正に遂行できる手順に関する事項
(3)各手順に関する文書には、制定者及び制定年月日並びに改訂した場合には改訂者、改訂年月日、改訂事項及び改訂理由を記載しておくこと。
 5 第7条関係
(1)第1項の「あらかじめ指定した者」とは、業務の内容を熟知し、当該業務を責任をもって実施できる者としてあらかじめ指定した者であること。
(2)第1項第1号の「定期的に自己点検を行うこと」とは、当該採血所における業務の管理が適正に行われているかを評価するために、その実効性も含め次の事項について定期的に自己点検を行うことをいうこと。
 採血所の組織
 採血統括者の業務
 採血責任者の業務
 採血基準書
 自己点検、苦情処理及び教育訓練の手順に関する文書
 前回の自己点検の結果及び改善措置の確認
 苦情処理に関する業務
 教育訓練に関する業務
(3)第1項第2号の「自己点検の結果」には、前記(2)に掲げる事項について自己点検を実施した結果のほか、次の事項を含むものであること。
 実施年月日
 自己点検の結果に基づく判定
 改善が必要な場合の改善勧告
 6 第8条関係
(1)第2号の「苦情の内容、原因の究明及び改善措置」とは、次の事項をいうものであること。
 苦情の内容
(ア)苦情対象となった血液製剤等の品目及び採血番号
(イ)苦情に係る事項の発生年月日、発生場所及び申出者の氏名
(ウ)苦情の内容及び申出経緯
 原因の究明
(ア)苦情に係る血液製剤等の調査結果(搬出先の製造所名、搬出状況等)
(イ)採血記録、保管記録及び衛生管理記録の調査結果
(ウ)原因究明の結果に基づく判定
 改善措置の状況
 7 第9条関係
(1)第1項第2号の「苦情の内容、原因の究明及び改善措置」とは、次の事項をいうものであること。
 苦情の内容
(ア)採血所が申出者から苦情を受け付けた年月日
(イ)苦情に係る事項の発生年月日、発生場所及び申出者の氏名
(ウ)苦情の内容及び申出経緯
 原因の究明
(ア)苦情に係る業務の実施状況の調査結果
 原因究明の結果に基づく判定
 改善措置の状況
 8 第10条関係
(1)「あらかじめ指定した者」とは、前記5(1)と同趣旨であること。
(2)第1号の「教育訓練」とは、理論的教育と実地訓練からなるものであること。
(3)第1号の「計画的に実施すること」とは、教育訓練の実施及びその実効性の定期的な評価について計画を立てて実施する趣旨であること。
(4)第2号の「報告」には、次の事項を含むものであること。
 実施年月日
 教育訓練の内容
 教育訓練を受けた者の氏名
 教育訓練を行った者の氏名

第4 第3章関係

 1 構造設備に関する基準の趣旨
(1)法第30条の規定により、業として行う採血は、医師法に規定する医業に該当する。したがって、採血所は、「医療法」(昭和23年法律第205号)第1条の5に規定する診療所に当たることから、「医療法施行規則」(昭和23年厚生省令第50号)第3章に定める診療所の構造設備に関する基準を満たさなければならないこと。
(2)本章は、採血所は、診療所の構造設備に関する基準に加え、適正な構造設備を有する必要があることから定められたものであること。
 2 第11条関係
(1)第1号の「清潔であること」とは、作業中における外部からの汚染防止に配慮されたものであって、清掃が容易な内装建材が使用されているものであること。
(2)第2号の「明確に区分」とは、直接外気に触れない構造であることをいうこと。
(3)第5号の「必要な器具」とは、体温計、体重計、血圧計、聴診器、注射器、比重針、比重液、血液型判定用血清、血液型判定板及び消毒材料であること。
(4)第6号の「必要な器具」とは、腕枕、頭枕、駆血帯、コッヘル、試験管、試験管立て、ローラーぺンチ、チューブシーラー及び自動採血装置であること。
(5)第7号の「必要な器具」とは、保温性のある血液運搬用バッグであること。
(6)第8号の「必要な器具」とは、救護ベッド、エアウェイ、開口器、舌圧子、舌鉗子、人工蘇生器、喉頭鏡、吸引器及び吸引チューブであること。

5 記録の電磁的記録による保存について
 第5条第2項、同条第3項、第7条第1項第2号、同条第2項、第8条第2号、第9条第1項第2号及び第10条第3号に規定する記録の保存については、以下に掲げる措置を講じている場合には、当該記録を書面に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)により保存しても差し支えないこととする。
 1 記録の保護について
 電磁的記録の故意又は過失による書き換え、消去及び混同を防止するために、次に掲げる措置を講ずること。
(1)記録の入力を行う装置は、あらかじめ指定された作業者を認識し、指定された者以外の者による記録の入力、変更及び削除を防止できるものであること。
(2)あらかじめ定められた手順によらない記録の入力、変更及び削除が禁止されていること。
(3)記録の入力、変更及び削除を行った場合には、作業日時、作業者並びに入力した電磁的記録媒体(電磁的記録に係る媒体をいう。以下同じ。)等を特定するための固有標識についての記録を作成すること。
(4)記録の滅失防止のために予備の記録(バックアップ)を作成し、保存すること。
 2 記録の印字等について
 電磁的記録について書面への印字やディスプレイ装置への表示を行うための設備及び方法が整備されていること。
 3 電磁的記録の管理について
 記録を保存するための電磁的記録媒体の管理について次に掲げる事項を定めておくこと。
(1)電磁的記録媒体の保管方法、保管期間、保管場所及び保管責任者
(2)電磁的記録媒体の劣化、損傷等の防止措置
(3)電磁的記録媒体の劣化、損傷等が生じた場合の措置

6 既存の通知の廃止について
 本通知の適用に伴い、次に揚げる通知は廃止する。
 1 「血液製剤の製造を目的とする採血の適正化に関する基準について」(昭和55年10月9日付け薬発第1334号薬務局長通知)
 2 「移動採血車に係る採血業の取扱いについて」(昭和61年4月1日付け薬発第292号薬務局長通知)

7 その他
 本通知は、平成15年7月30日から適用する。

○採血の業務の管理及び構造設備に関する基準について
(平成15年7月18日)
(薬食発第0718006号)
(日本赤十字社社長あて医薬食品局長通知)
 標記について、各都道府県知事あて別添写しのとおり通知したところである。
 採血を適正に実施するためには、本基準の励行確保は極めて重要であるので、貴職におかれても御了知の上、貴管下採血所に対して周知徹底を図られるようお願いする。

別添〔略〕


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