「ケガのリハビリ中は、こころと向きあう時間。
同じ悩みをもつ選手から、こころの元気をもらいました」
バレーボール選手
栗原 恵 さん
自分のこころと闘う日々
- Q7
- 社会人となり、オリンピックやワールドカップ、Vリーグなどの代表メンバーとして出場するようになってからは、どんなふうに乗り切っていったのですか。
- A
- 社会人としての責任が出るので、自分を制御できるようになることが大事になりますね。
怠けようと思えばいくらでも怠けられるし、練習していても、自分で手加減すればいくらでも抜くことができますよね。
ライバルに勝ちたいというよりは、自分をどこまで制御できるか、まさに自分のこころとの闘いだと思います。
プレイしていれば、スパイクに失敗してもディフェンスだったりサーブだったりで、チームの勝利に貢献できます。
でも、ケガをしているときは自分と向きあう時間が長くなりますから、へこみますよね。
同じ悩みをもつ選手から教えられたこと
- Q8
- ケガで大事な試合に出場できないときには、自分のこころとどのような向きあい方をしていますか。
- A
- ケガをしている間は自分自身と会話する時間が長くなるので、深刻に悩んでしまうほうかもしれません。
悩むときはとことん悩むほうです。
自分のことを友人に話すことは苦手なんですが、よく相談は受けます。
自分ではどうしようもなくなったときには、母親に話を聞いてもらいます。
つらい気持ちをただ聞いてもらうだけで気持ちが楽になるというか……。
でも、今回は同じケガをしているほかの競技選手といっしょにリハビリをして、たくさんのことに気づかされました。
自分以上に重いケガをしている選手でも「絶対復帰するぞ ! 」と思って、あきらめずにリハビリしているんです。
復帰したいという気持ちをもつことが大事だということを教えられましたね。
そして、マイナー競技の選手からは「バレーボール選手がうらやましい」と言われ、自分はほんとに恵まれているなと思いました。
自分を支えてくれる人がたくさんいることに、感謝しなければならないって……。
リハビリで同じ悩みをもつ人の話を聞けたことは、こころのメンテナンスをするいい機会になったと思っています。
友達や先輩の話に耳を傾けてみよう
- Q9
- こころの悩みを抱えている中学生や高校生に対して、アドバイスをお願いします。
- A
- 中高生の頃はいろんな種類の悩みがあると思いますが、自分が信頼できると思う人に話してみるのがよいと思います。
でも、私みたいに自分のことを表現するのが苦手な人は、まず友達や先輩や両親とおしゃべりをして、みんなの話に耳を傾けてみるだけでも、解決の糸口がつかめることもあると思うんです。
私の場合、バレー部の友達とずっと一緒に生活していたので、悩みを抱えていると「いつもと違うな」って、お互いに感覚でわかるんです。
そんなときは相手を察して、アドバイスをしたり、さりげなく接したり……。
つらいときに友達や母親からさりげなく接してもらったことが、うれしかったですね。
それから、同じ悩みをもつ人から話を聞いてみるのも、とてもいいことですよね。
パイオニアレッドウィングスのエーススパイカーとして活躍する栗原恵さん。
プロフィール
栗原恵(くりはら・めぐみ)さん
1984年生まれ。広島県江田島市能美島に生まれ、両親の影響で小学校4年生のときからバレーボールを始める。
中学2年のとき、バレーボールがうまくなりたいと兵庫県姫路市の中学に転校。
山口県の高校に進学し、1年生のときにインターハイ、国体、春高(全国高等学校バレーボール選抜優勝大会)、2年生のインターハイの4冠を達成。
高校3年生のとき全日本の代表メンバーとして2004年アテネオリンピックに出場(5位入賞)、2008年北京オリンピック出場(5位入賞)し、日本のエーススパイカーとして活躍。
2004年、パイオニアレッドウィングスに所属。