厚生労働省

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このサイトは、2009年に発生した新型インフルエンザ(A/H1N1)に関する情報提供のために厚生労働省が制作し、新型インフルエンザ発生時の参考資料として当面掲載しているものです。
このサイト内で「新型インフルエンザ」と記載しているものは、基本的に新型インフルエンザ(A/H1N1)を指しており、掲載している情報も主に発生当時から2011年3月31日までのものであることにご注意ください。
インフルエンザに関する最新の情報は、2011年4月1日から厚生労働省ホームページのインフルエンザ情報サイト(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/index.html)に順次掲載してまいりますので、以前の新型インフルエンザ対策関連情報サイトをお気に入り登録されている方は、ご変更をお願いいたします。

平成21年6月19日

厚生労働省

医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(改定版)

1.基本的考え方

平成21年5月22日付け厚生労働省「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」について、諸外国の患者発生状況、これまでの我が国の患者発生状況等にかんがみ、以下のように改定する。

(諸外国の患者発生状況)

今回の新型インフルエンザ(A/H1N1。以下同じ。)については、現在においても感染者数は増加しており、特にこれから冬を迎える南半球において増加が著しい。平成21年6月12日(日本時間)、世界保健機関(WHO)は感染状況について異なる複数の地域(大陸)の国において地域(コミュニティ)での持続的な感染が認められるとして、2009年改訂ガイドラインに基づくWHOフェーズ分類を6とし、世界的なまん延状況にあると宣言した。その上で、WHOは加盟国に対し、引き続き警戒を求めるとともに、社会経済的混乱を招かないよう各国の状況に応じて柔軟に対応することを求めている。

(我が国の患者発生状況と今後の見通し)

我が国における感染の状況については、一部地域において、海外渡航歴のある者が端緒となる散発事例と学校における集団発生事例、さらにこれ以外にも散発事例がいくつかの都道府県で見られている。これらの事例について感染拡大防止のための調査や健康観察などを行っている。

しかし、外国との交通が制限されていないことや南半球をはじめとする諸外国での感染状況の推移を見ると、海外からの感染者の流入を止めることはできず、今後とも、我が国においても、患者発生が続くと考えられる。さらに、一部に原因が特定できない散発事例が発生していることを見ると、秋冬に向けて、いつ全国的かつ大規模な患者の増加を見てもおかしくない状況であると考えられる。

今回の新型インフルエンザの特性として、基礎疾患を有する者等は重症化の可能性が高いとの報告がある。今後、患者数の増加に伴い、基礎疾患のある者で重症患者が増加する可能性があり、これに対応しなければならない。

(基本的考え方)

新型インフルエンザについては、現在の感染状況を見ると、感染拡大防止措置による患者の発生をゼロにするための封じ込め対応は、既に現時点では困難な状況である。

したがって、秋冬に向けて国内での患者数の大幅な増加が起こりうるという観点に立ちつつ、患者数の急激で大規模な増加をできるだけ抑制・緩和することにより社会活動の停滞や医療供給への影響を低減させる。また、ほとんどの者は軽症のまま回復しているが、一部の基礎疾患を有する者等は重症化することが分かっている。したがって、軽症の人が自宅療養を行うこと等により、患者数の増加に伴い増えると考えられる医療機関の負担を可能な限り減らし、重症患者に対する適切な医療を提供することを目指すことが必要である。

また、患者の把握についても、個々の発生例ではなく、患者数の大幅な増加の端緒となる事例や全国的な傾向を的確かつ速やかに探知し、対策につなげていくことが必要である。

さらに、患者数の急激で大規模な増加を見てから、対策の変更を講じることは、現場の混乱を引き起こしかねない。現時点を、感染拡大防止措置により患者の増加を抑制しつつ、秋冬の事態に対応するための準備の期間と位置付け、仮に患者が急増した場合でも、社会的な混乱が最小限となるよう体制を整えていくことが必要である。

このような観点から、以下の考え方に基づき、2以下に述べる対策を速やかに講じるものとする。

(1) 重症患者数の増加に対応できる病床の確保と重症患者の救命を最優先とする医療提供体制の整備

(2) 院内感染対策の徹底等による基礎疾患を有する者等の感染防止対策の強化

(3) 感染拡大及びウイルスの性状の変化を可能な限り早期に探知するサーベイランスの着実な実施

(4) 感染の急速な拡大と大規模かつ一斉の流行を抑制・緩和するための公衆衛生対策の効果的な実施

なお、これまでは感染者・患者の発生した地域を大きく「感染の初期、患者発生が少数であり、感染拡大防止に努めるべき地域」と「急速な患者数の増加が見られ、重症化の防止に重点を置くべき地域」の2つのグループに分けて指針の運用を行ってきたが、このグループ分けを廃止する。

2.地域における対応について

(1)発生患者と濃厚接触者への対応

[1] 患者

原則として患者(患者と疑われる者を含む。)については、医師の指示等に従い、入院措置ではなく、新たな感染者をできるだけ増やさないよう、外出を自粛し、自宅において療養する。なお、感染拡大のおそれがある場合などについては必要に応じて入院させることも可能とする。

基礎疾患を有する者等に対しては、早期から抗インフルエンザウイルス薬の投与を行う。そのうち、重症化するおそれがある者については優先的にPCR検査を実施し、必要に応じ入院治療を行う。なお、医師の判断に資するため、厚生労働省において、医療従事者に対して、随時、最新の科学的知見等を情報提供することとする。

[2] 濃厚接触者

患者の濃厚接触者に対しては、都道府県等は、外出自粛など感染拡大防止行動の重要性をよく説明し協力を求めるとともに、一定期間に発熱等の症状が出現した場合、保健所への連絡を要請する。学校等の集団に属する者であって、複数の患者が確認された場合は、必要に応じ積極的疫学調査を実施し、濃厚接触者を特定する。

基礎疾患を有する者等で感染を強く疑われる場合については、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を医師の判断により行う。さらに、医療従事者や初動対処要員等のうち基礎疾患を有する者については、それらの者がウイルスに暴露した場合には、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を行う。その上で、感染した可能性が高くない場合には、職務の継続を可能とする。

* 基礎疾患を有する者等:新型インフルエンザに罹患することで重症化するリスクが高いと考えられている者をいう。通常のインフルエンザでの経験に加え、今回の新型インフルエンザについての海外の知見により、以下の者が該当すると考えられる。

   妊婦、幼児、高齢者、慢性呼吸器疾患・慢性心疾患・代謝性疾患(糖尿病等)・腎機能障害・免疫機能不全(ステロイド全身投与等)等を有しており治療経過や管理の状況等を勘案して医師により重症化へのリスクが高いと判断される者等。

(2)医療体制

発熱相談センターは、受診する医療機関が分からない人への適切な医療機関の紹介、自宅療養している患者への相談対応等、電話による情報提供を行う。具体的な発熱相談センターの運用については、地域住民がどのような情報を必要としているか等に応じて都道府県等において決定する。

外来部門においては、今後の患者数の増加に対応するために、現在、発熱外来を行っている医療機関のみならず、原則として全ての一般医療機関においても患者の診療を行う。その際、発熱患者とその他の患者について医療機関内の受診待ちの区域を分ける、診療時間を分けるなど発熱外来機能を持たせるよう最大の注意を払う。特に、基礎疾患を有する者等へ感染が及ばないよう十分な感染防止措置を講ずる。また、公共施設、屋外テント等の医療機関以外のところに外来を設置する必要性は、都道府県等が地域の特性に応じて検討する。

入院については、原則として実施せず自宅療養とするが、重症患者については、感染症指定医療機関以外の一般入院医療機関においても入院を受け入れる。その場合も、医療機関は院内感染防止に配慮した病床の利用に努める。都道府県は、地域の実情に応じて病床を確保する。

都道府県は、特に新型インフルエンザに感染した際のリスクが高いと考えられる者を守るため、都道府県の判断により発熱患者の診療を原則行わない医療機関(例えば透析病院、がん専門病院、産科病院等)を定めることができる。

(3)学校・保育施設等

学校・保育施設等で患者が発生した場合、当該学校・保育施設等の児童・生徒等を感染から守るために、都道府県等は、当該学校・保育施設等の設置者等に対し、必要に応じ臨時休業を要請する。

なお、感染拡大防止のため特に必要であると判断した場合、都道府県等は、患者が発生していない学校・保育施設等を含めた広域での臨時休業の要請を行うことは可能である。

大学に対しては、都道府県等は、必要に応じ、休業も含め、できる限り感染拡大の速度を遅らせるための運営方法の工夫を要請する。

3.サーベイランスの着実な実施

(1)感染拡大の早期探知

新型インフルエンザの集団における患者発生を可能な限り早期に探知し、感染の急速な拡大や大規模な流行への発展の回避を図る。

このため、保健所は、全ての患者(疑い患者を含む)を把握するのではなく、放置すれば大規模な流行を生じる可能性のある学校等の集団に属する者について、重点的に把握を行う。また、同一集団内で続発する患者についても把握を行う。この変更に当たっては、円滑な移行期間を経て、速やかに実施する。

地方衛生研究所は、これらの疑い患者の一部からの検体に対し、確認検査を実施し、新型インフルエンザと確定した場合には、医師は、保健所への届出を行う。

あわせて、保健所においては、従来から学校等におけるインフルエンザの集団発生につながる出席停止や臨時休業の状況を把握しているが、今後は、より迅速に把握する。

都道府県等では、これらの結果等を国へ報告するとともに、患者への対応、濃厚接触者への対応等を含め、必要な感染拡大防止対策を実施する。

(2)重症化及びウイルスの性状変化の監視

入院した重症患者の数を把握するとともに、予め定められた病原体定点医療機関からインフルエンザ患者の検体提出を受け、地方衛生研究所及び国立感染症研究所において、病原性や薬剤耐性など、ウイルスの性状変化に対する監視を実施する。

その結果、性状の変化が見られた場合には、その結果を公衆衛生面、医療面等における対応へ的確に反映させる。

(3)インフルエンザ全体の発生動向の的確な把握

予め定められた定点医療機関におけるインフルエンザ患者の発生状況の保健所への報告に基づき、インフルエンザ全体の発生動向を的確に把握し、医療関係者や国民へ情報提供する。

4.検疫

現状では既に世界的なまん延状況にあるとの認識の下、今後の検疫の方針を入国者全員への十分な注意喚起と国内対策の変更に応じた運用へ転換する。

全入国者に対して、検疫ブースの前で呼びかけを行うとともに、新型インフルエンザに関する注意を記載した健康カードを配布し、個人としての感染予防に留意するよう周知するとともに、発症した場合には医療機関を受診するようさらに周知徹底する。

有症者の把握については、事前通報があった場合の状況に応じて、機内検疫を継続実施するほか、機内アナウンスの強化等による自己申告への協力依頼を継続する。

検疫で判明した有症者(同一旅程の集団から複数の有症者が認められた場合を除く)については、原則、新型インフルエンザのPCR検査を行わず、症状に応じたマスク着用や可能な限り公共交通機関を使わないなどにより帰宅(自宅療養)させる。

同一旅程の集団から複数の有症者が認められた場合には、検疫所において確認のため新型インフルエンザのPCR検査を実施し、陽性の場合には本人に連絡し医療機関受診を勧める。この場合、当該同一旅程の他の者については、住所地等を確認の上、都道府県等に対して、情報提供を行う。都道府県等は、この者に対し、外出自粛など感染拡大防止行動の重要性をよく説明し協力を求めるとともに、一定期間に発熱等の症状が出現した場合、保健所への連絡を要請する。

5.更なる変化に備えて

秋冬に向けて起こりうる国内の患者数の大幅な増加に対応する準備とともに、実際に、患者数が大きく増加したときの適切かつ迅速な対応をさらに検討していくことが必要である。

特に入院医療について、患者が適切な医療を受けられない事態を回避するため、より重症者に限定した入院医療の提供など具体的な対策を検討し明らかにしていく必要がある。

サーベイランスについては、感染拡大の早期探知の取組を停止し、定点医療機関における発生動向の把握等に特化するとともに、病原性や薬剤耐性などの変化を見るため病原体サーベイランスを継続するなど、状況に応じた対応を行う。

また、ウイルスの性状に変化が見られ、病原性の増大や薬剤耐性の獲得が生じた場合は、本運用指針の見直しを検討する。

新旧対照表(PDF:125KB)

概要(PDF:296KB)

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