定例事務次官記者会見概要
(H21.05.28(木)14:00〜14:13 省内会見場)
【広報室】
《次官等会議等について》
(次官)
厚生労働省関係では政令案が一つかかっております。検疫法施行令の一部を改正する政令案であります。中身は、本年6月4日に静岡空港の供用が開始され、国際航空路線が開設されることに伴い、同空港を検疫飛行場に指定するとともに、検疫感染症等に関し調査及び衛生措置を行うことができる区域を定めるものであります。
《質疑》
(記者)
原爆症に関してですが、東京高裁が一審よりも範囲を広めた認定という判決を出しました。その受け止めと、被爆者の側は一括の救済を求めているのですが、今後の対応についてお願いします。
(次官)
東京高裁の判決が出まして、中身は現在いろいろと確認中であります。骨格は、原告側の勝訴分が9件、国側の勝訴分が1件ということであったと思います。判決を十分吟味して関係省庁と相談をしながら、省としての対応を検討していきたいと思います。また、事実認定についてもいろいろな判断が示されましたので、これについてもこの先の行政にどのように生かしていくことになるのかよく研究していきたいと思います。一括救済と言いますのは、法律上は放射線に起因して原爆症が起こるということになっておりますので、起因しているかどうかというのが大きな点であります。そういう点を抜きに一括救済ということは法律的には難しいことではないかという感じがしています。いろいろと事実認定について広く議論され、また、判決が出てまいりましたので、そういうことを踏まえてよく研究をしていきたいと思っております。
(記者)
郵便制度を悪用した事件に関係して、厚生労働省の係長が逮捕されましたが、その受け止めと、その当時の上司らの関与であるとか組織的な関与の方も調べているということですが、その件はどのような段階でしょうか。
(次官)
今回の郵便事業関係の問題につきましては、厚生労働省の職員が逮捕される事態になりまして、大変遺憾なことだと思っております。事実関係については今、検察当局において調べている最中でありますので、その調査に協力をして、実態の解明が行われることを期待しております。また、真相が解明されましたら、それを踏まえてその対処について検討していきたいと思っております。
(記者)
厚生労働省の分割案について、関係閣僚の会議があったようですが、事務次官といたしましては分割の在り方はどのようにあるべきか、議論の在り方がどのようにあるべきかどうお考えでしょうか。
(次官)
中央省庁再編が平成13年に行われましたが、再編に至るまでには非常に長い期間をかけて、全省庁、行政府のあり方を議論したわけであります。その中で、厚生省と労働省を一つの省にして仕事を進めようということになりました。厚生労働省になりまして、両省の所掌分野を一人の大臣の下に推進することになりましたが、それによるメリットも多々あります。一方、何事もそうですが、一つの制度を改正すれば、いろいろ問題が解決し、プラスの面がある反面、それに伴うマイナスの面も出てきます。私自身は、合併した長所を生かしていくことが大事であると思っておりますし、厚生労働行政を仮に二つに分けるといたしましても、その長所が消えて無くなってしまうことでは大変もったいないことだという感じがします。一方、課題をどう解決するか、ということについても真剣に議論される必要があります。そういう意味では、大きく長所や課題について議論をして、それを解決するにはどういう在り方が良いか議論を深めることが大事だと思っています。厚生労働省の行政につきましては、福田内閣から麻生内閣にかけて、社会保障国民会議で社会保障政策の在り方が議論されまして、その中で、当然増が多い社会保障経費については消費税をリンクさせながら考えるべきだということが指摘されていたと思います。消費税とリンクさせる時に、カバーする分野が二つの省に分かれた方がいいのかどうかという議論もあるという感じがします。この国民会議は総理の下で、厚生労働行政の在り方懇談会は官房長官の下で開かれ、これについても今年の3月に報告いただきまして、現在省内では、その報告書を踏まえて様々な改革に取り組んでいるところであります。これらの議論なども踏まえて厚生労働省の在り方が幅広く議論されたらいいと思います。在り方懇談会では、厚生労働省の体制の強化ということが各省とのバランスの上で行われるべきだということが指摘されておりました。私は、そういう点にも大変深く関心を持っております。
(記者)
厚生労働省の分割なのですが、先ほど行われました六大臣協議では厚生労働省としてどのような主張をされたのでしょうか。
(次官)
舛添大臣がどういう主張をされたのか私はまだ聞いておりませんので、詳しくは分かりません。大臣は国会答弁で「三つの省に分けるという考え方もある」とか、一方私どもと議論する時は「国民に対するセーフティネットということでは、国民にとって一つのところがセーフティネットを考える方が分かり易いのではないか」という議論もあります。それから厚生労働省を二つに分けるという議論の中に、舛添大臣が大変お忙しいという指摘もあったようですが、そういうことに対しては、国会における副大臣制度の活用などを踏まえた、国会と行政の連携の問題もあるのではないかということを平素おっしゃっております。本日の六大臣の会議でどのようなことをおっしゃられたのか直接は聞いておりませんが、そういう趣旨のことを話されたのではないかと思います。
(記者)
障害者郵便の件ですが、逮捕された方の上司の関与について報道されておりますが、その点について厚生労働省としてはどのくらい調査が進んでいるのか教えてください。
(次官)
調査については、人事課長をヘッドに官房の人間をメンバーにした調査チームで、調査をしてもらおうと思っております。内部だけでいいのか、アドバイス的なものを外部の人に受けた方がいいかを含めて調査の仕方を詰めているところです。調査チームとしての作業はこれからということで、調査チーム自身ではまだ聞いておりませんが、何人かについては個別で話しは聞いているということです。聞いている限りでは、報道されているようなことについて、それを確認する中身は得られていないということです。
(記者)
それは局長についても調査をして、関与は否定しているということでいいのでしょうか。
(次官)
調査チームとしての調査はこれからです。ただ、こういうことが起これば事実関係の確認ということは、一応、簡便ではありますが確認することがあります。そういう中で、先ほど申し上げたようなことです。
(記者)
報道されていることは組織的な関与ということですが。
(次官)
私は、こういうことが組織的に行われるとは理解し難いと思っております。何を持って組織的と考えるか様々ですが、その辺についての評価は事実関係の確認を待って考える話しだと思っております。
(記者)
組織的な関与を確認する中身というのは今得られていないという理解でよろしいでしょうか。
(次官)
調査チームを作っての調査というのはまさにこれからということです。部分的に、簡便ではありますが確認をしており、その中では特段新しい事実関係を掴んでいるわけではありません。
(記者)
名前が挙がっている幹部とかについては、調査の期間の間、国会答弁など行う機会があると思うのですが、公務は予定どおり行う予定なのでしょうか。
(次官)
事実確認は取れておりませんので、変えなければいけないという理由はないと思います。新しい事実が出てきた時にどうするかは別の問題ですが、現時点では特段新しい事実が出てきているわけではありませんので、現在の仕事の仕方を変える必要はないと思っております。
(了)