厚生労働省

  • 文字サイズの変更
  • 小
  • 中
  • 大

定例事務次官記者会見概要

(H20.11.27(木)14:01〜14:16 省内会見場)

【広報室】

《次官会議等について》

(次官)

今日の事務次官会議ですが、厚生労働省案件は特段ございませんでした。

《質疑》

(記者)

事件の容疑者とみられる男が逮捕されましたが、保健所に処分されたペットの仇討ちだとか、元次官と家族を含めて10人くらいの殺害を計画していたとか様々な供述が出てきておりますが、改めて今回の事件の受け止めをお聞かせください。

(次官)

元厚生省の次官、次官の家族の殺傷事件という大変痛ましい事件が起こりまして、どうしてこういうことが起こったのか初めて話しを聞いた時にはまったく推測できない、と思いました。幸いにして本人が出頭しまして、犯人逮捕に至るという流れになったわけですが、具体的なところは報道されていること以外には私は分かりません。報道されている内容から見ると、これをどう受け止めていいのか、どういう認識、理解をしていいのか、全く整理がつかないというのが率直な心情でございます。今後の真相究明、特に、元厚生省の幹部を、家族を含めて殺傷するというふうに考えたところの真相究明を待ちたいと思います。

(記者)

今回の事件を契機に、役所の警備体制のあり方を検討し直そうということで、今日の副大臣会議でも議題に上がったようですが、特に厚生労働省として具体的に今後どのような警備をしていこうとお考えでしょうか。

(次官)

厚生労働行政は国民生活と大変縁の深い分野を担当しておりますので、それだけいろいろな形で多くの人がこの役所を訪ねて来ます。そういう人達が建物に入ってくる、担当部局に行くということの障害にならないようにしたいというのが基本的な考えです。一方、他の庁舎ではすでに始まっておりますが、IT化の中で正式な名称はなんというか分かりませんが、地下鉄を通っていくようなやり方で、身分証明書をかざして入いる、あるいは入室先をチェックをする、これはIT化の中で全省庁やろうということで方針が決まったものでありますので、これはこれできちんとやっていくことが必要かなと思っております。最初に言いましたことと、そういうIT化中でやっていくこととの調和を図るような工夫が大事だと思っております。

(記者)

介護保険の件についてまとめてお伺いしたいのですが、介護報酬が今回初めてプラス改定されるのですけれども、そのプラス改定の理由と3%という改定幅をどう評価するかということについて改めてお伺いしたいのです。それと、これまで過去2回引き下げてきたことを振り返りましてどういうふうにご覧になられますでしょうか。

(次官)

介護制度につきましては、事務次官として去年の夏に戻ってきましたけれども、こういうことがなければ厚生省において行った最後の自分の仕事でありますので、そういう意味でこの制度の定着、普及については大変強い関心を持っております。当初の制度設計のイメージとその後の運用を考えますと、思ったより軽度の人たちへの利用というのが多くあったのかなという感じがしております。少し制度の運用を需要の高い人にシフトする、そういう観点から、前の改正の中で少しその辺を念頭においた仕組みが考えられたのではないかと思っております。

一方、現在、あるいは最近における介護関係で働いている人たち、施設であるとか在宅サービスであるとか、働いている人たちの勤務条件、処遇も含めて、他の産業に比べてなかなか厳しいということが指摘されております。ここを改善することは、介護制度の、介護保険制度を含めて、介護全体の制度の定着のために大変重要な要素であります。全体の予算が厳しい中でありますが、補正予算の流れの中でこの問題の解決に向けて前進させようという動きがあったことは、私は、大変意義のあるのことだと思っております。

3%については、同じような勤務期間を前提にして、他の産業との給料の差、処遇の差を考えると、これで十分かどうかというのはなお議論があるかもしれませんが、かなりそういう水準に近づけるということで、それなりの水準ではないかと思っております。

(記者)

3%がなかなか待遇改善にまで結びつかないのではないかという指摘もあるのですが、その辺については。

(次官)

制度の仕組み上、給料をいくらと決められないものですから、施設体系全体でどう考えるか、サービスの中身に応じてどう考えるかということでやっていかざるを得ないわけであります。ただ、この3%を考えた背景というのは、まさに介護に従事する人たちの処遇の改善を念頭においておりますので、これからの作業になりますが、介護報酬を定めていく中でそれが具体的に実現できるように、あるいは、施設経営者に様々な情報開示を要請する中でそれが担保されていくように、運用面での工夫をしていきたいと思っております。

(記者)

自治体で介護保険料が余っているところがあると。それで余っている一方で老人ホームの経営が厳しく、介護の働いている人の給料も安いと。全体的に非常にちぐはぐな印象を持つのですが、その変についてはいかがでしょうか。

(次官)

介護報酬を決めまして、3年間、需要がどのくらい伸びるかということをそれぞれ推計して、市町村ごとに介護保険料を定めているわけであります。ですから、介護を要する人の需要見込み、対象者の数がどのくらい増えるかということについて、過去のトレンドで見ていくことが通例だと思いますけれども、制度の定着に従って伸びが鈍化しているということが見込みに比べて支出が小さく済んだということではないかと思います。ただこの部分は、次の介護報酬改定の中で、引き上げる保険料の増分が小さくて済むということになってきますので、今度の改定、その実施の中で適切に使われるようになっていくという理解であります。

(記者)

サービスが利用しづらいからではないかという指摘についてはどういうふうにお考えになりますか。

(次官)

サービスの必要度というのは、要介護の認定を行いますので、利用しづらいとかしにくいという議論ではないと思います。

(記者)

事件の件なのですけれども、容疑者がペットの仇討ちということを供述していますけれども、いわば飼っていたペットの処分というのは、保健所が一義的に管轄していますし、法律の所管は環境省になると聞いているのですけれども、いわば全く筋違いの動機で山口さんとか吉原さんが襲撃されたことになりうるのではないかと、可能性ですけど、これについてはいかがでしょうか。

(次官)

それは環境省の幹部だったら、という意味なのでしょうか。

(記者)

そういう意味ではなくて、動機が、筋違いの動機でそれをやられた可能性も指摘されておりますけれども。

(次官)

動機は、先程最初に申し上げましたように、今分かっている情報では、私は理解できないわけです。どう受け止めて良いか、どう理解して良いか、その整理がつかない、最初に申し上げたことは、そういう意味であります。これについては、これからの捜査当局の真相究明に待つしかないのかなと、それを待った上でその整理を考えるのかなと思います。

少し質問から離れたようなことを申し上げてもよろしいでしょうか。私は、我が国の今世紀における大きな課題は3点あると思っています。少し厚生労働行政を離れる部分がありますが、大きくは、環境問題(地球温暖化)、少子化、人口減少問題、それからもう一つは、日本社会のモラルの低下だと思っています。今回の事件は、モラルの問題にかなり関わるのではないかという認識でありまして、これに社会全体でどう取り組むのか。今回の事件だけではないのですが、前回の記者会見で申し上げましたけれども、交通事故で人を挟んでいるのに引きずって走っていくとか、ちょっと考えられないようなことであります。腹いせに誰でも良いから轢き殺したという事件等も私の気持ちではとても理解できない事件であります。そういう殺人事件だけではありません。給食費を払わないとか、軽い病気なのに救急車を呼ぶとか、こういう一つ一つも私はモラルの問題だと思っています。こういう日本社会のモラルの低下みたいな問題を社会全体でどう取り組んだら良いのかということを真剣に考えていかなくてはいけないかなと思います。相当大きな課題ではないかと思っております。

(記者)

今朝、自民党の部会で社会保障費の2,200億円削減目標を撤回するよう求める決議がなされましたけれども、予算編成も迫って参りましたが、現時点で次官はどのようにお考えでしょうか。

(次官)

夏のシーリング閣議了解では、2,200億円というのが従前から決められて、それについて安定財源を確保すればその分シーリングが下がるという内容になったわけであります。私どもとしては、その安定財源の一つに、これは健康の問題もあるかもしれませんが、たばこ税の引き上げというのが一つあるのではないかと思っています。たばこ税以外にもあるかもしれませんが、安定財源を確保して、それによってシーリングをカバーするのが一つの道だと思っております。ただ、党税調の議論の中では、聞くところによりますと、たばこ税を上げるべきだという議論と、現下の状況では上げるべきではないという議論と、両方あると聞いております。そういう別途の安定財源が確保できなければ、私はシーリングを確保することは極めて厳しいと思います。そういう情勢を今日の部会の先生がおっしゃられたのではないかと受け止めております。

(記者)

先日の経済財政諮問会議で麻生総理が発言されたこと、食べたり飲んだりしてその医療費を私が払うのはおかしいのではないか、と言われたことに対してまた釈明があったようですけれども、それについてどのようにお受け止めでしょうか。

(次官)

発言全体を見てみますと、総理は自分で自分の健康管理の努力をしているということで、努力をしている人と努力をしていない人の対比をしながらの発言だったのかなと全体を見ると思います。私どもとしては、健康管理には努力をしてもらいたいと思っております。俗に言うメタボ健診、特定健診と特定保健指導という形でまさに健康管理の取組を制度的にも推進しようとしています。これで効果が出ればそれなりに保険料負担も小さくなっていくわけでありまして、趣旨については制度的にはそう対応しているということでございます。

(了)


トップへ