厚生労働省

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定例事務次官記者会見概要

(H20.08.21(木)14:01〜14:12 省内会見場)

【広報室】

《次官会議等について》

(次官)

今日の次官会議は、特にご報告する案件はありません。ご質問がありましたらどうぞ。

《質疑》

(記者)

高齢者医療の導入によって負担増になり、西濃運輸の健保組合が解散手続きをとったということで、予てから健保連の方からも前期高齢者の納付金の負担が重いという声が上がっていたわけですが、実際に解散の動きが出たことについての受け止めと、結果的に解散すると国庫負担増に繋がることになるわけですが、それの今後の高齢者医療を巡る負担等を含めたお考えをお聞かせください。

(次官)

高齢者医療については、一つは老人保健制度で70歳から75歳以上の対象者に引き上げて、法律としては2年前の完成しましたが、75歳以上の後期高齢者医療を作り、それまでの間はどちらかというと退職者医療制度でサラリーマンOBの医療をみていた仕組みを、65歳から75歳未満までの人達について、全保険者で拠出をしながら医療費をみるという新しい制度にしたわけです。これによって、健保組合の年齢構成などによって負担が変わってくるのは間違いありませんので、組合によっては増えてくる所が出てきます。

お話があった西濃運輸の場合には、単に負担の話だけではなくて、西濃運輸グループの中で健保組合に入っている所と、政管健保に入っている所があり、西濃運輸グループの中でもグループ内である意味の格差があり、これを機会に全体が政管健保に移るということになったのだと思います。組合健保で続けていくか、あるいは、政管健保の方に移るかといのは、組合の判断でありますし、判断は単に財政の問題だけではなくて、その他、今のようなそれぞれの組合が抱えた事情も反映されるわけですので、一概にどうこういうことはできないと思います。

(記者)

福島県立大野病院で産科医が逮捕された事件で、昨日無罪判決が出ましたが、そのご所感をお聞かせください。

(次官)

大臣も昨日お答えされておりますので、それ以上のことは特にないのですが、社会全体の注目を集めた案件だと思います。事実認定、その事実の法律への当てはめということですので、これは裁判所の一つの所見ということで、それについて直接のコメントをするのはいかがかなと思います。

ただ、これを契機に例えば、産科医療についての無過失補償の問題ですとか、保険制度を作る話ですとか、事故調査委員会のようなもので真相究明をする話ですとか、いろいろな議論が出ておりますので、私共の方も、現在、第三次案を公表しまして各界からの意見を聞いているところですが、この関係について出来るだけ早く成案をまとめて、次の臨時国会に成案ができれば法案化していきたいと思います。

(記者)

西濃運輸のようなことが今後続くと、政府管掌健康保険がどんどん多くなっていくわけで、そうすると国庫負担がどんどん多くなるということに対して何か懸念はありますでしょうか。

(次官)

医療費自身が増えていくというのは、どういう仕組みであっても避けられない話でありまして、医療費の財源については。保険料で負担するか、あるいは、国なり地方なりの財政負担という形で負担するかしかないわけです。これから、高齢化がどんどん進めば、高齢者の医療というのは、現在の時点では、若い人の一人あたりの医療費が4〜5倍くらいかかると言われておりますので、そういう人達の人口が増えていくという、あるいは、全体として人口減少になっていった将来の人口推計を見ても65歳以上人口が4割台というのが続くと言われております、今20%くらいですが。そういうことを考えれば医療費はどうあっても増えるわけで、増えるのを対処するのは、保険料を増やすか、税での負担を増やすしかない。それから、もう一方では、そういう現在の自然体の推計をみればどこかに負担が増えるわけでありまして、健康保険組合でやるとしても、健康保険組合サイドの保険料を上げていかなくてはいけませんでしょうし、健康保険組合を維持するよりは政府管掌健康保険組合に入ろうという、これは、最後のセーフティネットですから、セーフティーネットだという意味で、今回も、1,000億円の負担を組合健保に求めているわけですので、そういう意味では、制度の在り方として、そこにいくのは一つの選択であると思っております。そういう形で、仮に国庫負担が増えるとしても、それは制度上そうなっているのですからそれは仕方がない、増える医療費を保険料で負担するか、税金で負担するかの話の中の一つの制度的な形であると。それから、西濃運輸の保険料は、現在の政府管掌健康保険のパーセントまで達していませんので、そういう意味では、西濃運輸が政府管掌健康保険に入るというのは、保険料も増えるということになるわけです。そのトータルで見ていくことになるわけですので、仕組み上、それは、そこの対象者が増えれば、組合健保の方が、総じて平均的に見れば政府管掌健康保険より保険料負担が小さいわけですから、その保険料の負担も大きくなり、入ってくれば13%の国庫負担も付いてくる。これは制度の仕組みだと思います。

この問題は、多分、現在の人口構造とか人口将来推計を前提にすれば、どう考えても保険料が増えるか、国庫負担なり、自治体の負担含めて、税負担が増えるか、それしかないわけですが、基本的には、一つには、我々としては、医療費そのものをできるだけ小さくしたいと。それが、疾病予防のようなものに力を入れてやっていきたいということですし、それから、欧米に比べてベット数が3倍くらい多いという状況について、できるだけ急性を担当する医療と、それから、生活支援をする介護と分けて、医療費関係の国庫負担を小さくしたいと。更には、長い、大きな目で見れば、少子化が進んで人口構造が非常に高齢化するということが大きな問題ですので、少子化対策に相当な力を入れていかなければなりません。この医療保険の問題だけではありませんけれども。制度設計した当時の状態から離れたような現実に、その時前提とした事実とは違ったものを前提にものを考えなければいけなくなるということになるのだろうと思います。

(記者)

ある程度政府管掌健康保険組合に移るところが次々出てきて国庫負担が増えるとしてもそれはいたしかたないということで。

(次官)

移るところは、総じて保険料も増えるわけですし、保険料が増えても良いということで来るには、それなりの事情があるわけです。単に負担だけではなくて、今言いましたように、西濃運輸の場合には、グループの中で、ちょっと数は正確に覚えておりませんが、6割くらいが健康保険組合に入っていて、4割くらいは入っていないわけですので、入っていない人達は政府管掌健康保険に入っているわけで、グループ内での、ある意味で不公平もあったわけです。そういう問題を中に抱えた組合ですからこの際にということだったと思うのです。全てが同じような理由で同じように移るとは思っておりません。

(了)


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