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広報誌「厚生労働」

ニッポンの仕事、再発見!

《畳工》

畳をつくって部屋にはめ込むだけではなく、「表替え」「裏返し」など畳のメンテナンスも行う。あらゆる種類の畳を加工できる技術を要する。

経験によって培われる細やかな技 部屋に隙間なく収まるよう畳を加工

島田 浩一
しまだ・こういち

1942年、埼玉県生まれ。61年、高校卒業後、二代目として島田畳店に就職し父親に弟子入りする。2007年、埼玉県畳技能士会会長に就任、8年間務める。一般社団法人埼玉県技能士会連合会副会長。埼玉県畳技能士会相談役。17年、「現代の名工」に選定される。 (島田畳店 住所:埼玉県熊谷市箱田3-6-28)

和室の減少に伴い畳の需要が少なくなる一方で、日本の気候に合った建築材として欠かせない畳。畳工の島田浩一さんは、住宅の畳だけでなく、神社仏閣特有の有職畳加工も手がけています。知っているようで意外に知られていないのが、畳工の仕事。畳の加工工程や、畳工に求められる技術についてお聞きしました。

住まいの仕上げ屋としての自負 手直しが必要な仕事はしない

「住まいを新築したとき、一番最後の仕事が畳屋です。いわば仕上げ屋ですね。施主さんやほかの建築業者に迷惑をかけないよう完璧な仕事をしなければならないと、肝に銘じています」と語るのは、畳工歴57年の島田浩一さんです。
 畳工の仕事は、問屋から仕入れた畳の芯(畳床)を部屋の寸法に合わせてカット。その芯に畳表と縁(へり)を取り付ける加工をします。かつては一切の工程を手作業でこなしていましたが、今はほとんどが機械によって行われています。
 しかし、現在でも変わらず畳工に求められているのは、部屋の寸法にきっちり収まる畳をつくること。部屋に畳を敷き詰めた際、隙間ができたり畳の目が曲がってしまうのは、畳工として半人前です。
「寸法を間違えると畳が収まらなかったり、隙間ができてしまうので、神経を使う細やかな仕事なんですよ。後で手直ししなければならないようでは、いい仕事とは言えません」
 一般的な畳は厚さ2寸(1寸は約3.03cm)ですが、今は芯が約1〜3cmの畳もあれば、縁なし畳や薄縁畳などもあり、こうした多様な畳に精通していなければなりません。畳を常にぴったり収めるには時間と経験が必要で、一人前になるには10年はかかるといいます。
 島田さんは、神社仏閣特有の有職畳加工にも卓越した技能を有しています。
「有職畳は手縫い加工なので、技術力を求められます。注文頻度が低いので、技術を忘れないように常に腕を磨くことが必要ですね」
 島田さんは技能グランプリ出場選手や技能検定受検者の指導にあたっており、若手に技術指導・伝承することが自身の技術力維持にもつながっているといいます。
「近年、畳の需要は減っていますが、ピンチはチャンスです。洋室の家でも畳を取り入れるなど、今なお好まれるのは、日本の気候に合っているからです。新しい畳の用途が生まれる可能性に期待しています」

有職畳(ゆうそくたたみ)「拝敷(はいしき)」の縁を専用の太い針で縫って、
畳表に留めていくのが「返し」という作業。厚く硬い畳を針で縫っていくのは、かなりの力仕事である

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