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広報誌「厚生労働」
ニッポンの仕事、再発見!
《木工塗装工》
家具など木製品の塗装を行う。破損や色褪せ部分などを技術を駆使し修復。文化財の補修にも関わるため、工芸的な技能と美的センスが必要とされる。
木の性質を活かした塗装の美を追求
伝統的な工芸手法にも精通
金子 雅一
かねこ・まさいち
1949年、東京都生まれ。68年、東京デザイン専門学校に入学。木工塗装会社に就職し2年間修業したのち約5年間、複数の会社でさらに修業を積む。27歳のとき、家業の有限会社精工塗装所を4代目として継ぐ。東京木工塗装技能士会会長。中央技能士検定委員。2017年、「現代の名工」に選定される。 (有限会社精工塗装所 住所:東京都荒川区東尾久2-30-2)
木工塗装工は建築・金属塗装と異なり、丁寧な仕上げ塗りや破損・色褪せの修復など幅広い技術が必要とされます。金子雅一さんは木工塗装の第一人者。木工塗装工に求められる知識と技能についてお聞きしました。
すべての色を再現 文化財の修復も担う
「木工塗装は、塗装技術に加え、木の性質や家具の文化を知らなければできない仕事です」と話すのは、木工塗装工の金子雅一さんです。金子さんは、木製家具の塗装だけでなく、店舗や住宅の取り付け家具の塗装、アンティーク家具の補修・塗り替えなど、木を素材とする製品の塗装において卓越した技能を有しています。
木工塗装は、外壁や門扉などを塗る建築塗装や、自動車やスチール家具などを塗る金属塗装と違い、丁寧に磨き上げることによって素材の美しさを引き立てます。
「単純にスプレーや
仕上がりの色は何十種類もの見本帳で注文主から指定されますが、金子さんはすべての色を再現できると言います。木の性質も熟知しているため、それぞれの木に合った塗装を施すこともできるのです。そのため、メーカーから修復を断られた家具が持ち込まれることもあるとか。
また、金子さんは欧米のアンティーク家具や日本の伝統的な技法で細工された塗装の補修・復元にも精通した、数少ない木工塗装工の一人です。
「色褪せの補修はもちろんですが、傷や欠けた部分、蒔絵や螺鈿、象嵌などの補修も行います。アンティーク感を出すために新品のように仕上げないなどの工夫や美的感覚も必要とされる仕事です」
近年は、海外の安価な家具が出回るようになったために廃業する木工塗装工が増え、技能検定受検者も減少しています。「文化財に指定されている建造物の調度品の補修も手がけていますが、木工塗装の技術を継承していかないと、いずれ文化財の修復ができなくなってしまいます。業界全体のテコ入れが急務ですね」と危機感を覚えています。
そこで、金子さんが会長を勤める東京木工塗装技能士会では10年前からコンクールを実施し、業界全体の技能向上を見据えた活動をしています。
イタリア製のアンティーク椅子の