ホーム > 報道・広報 > 広報・出版 > 広報誌「厚生労働」 > 今月の特集 日本で安心して働いてもらうために 外国人雇用Q&A

広報誌「厚生労働」

特集 日本で安心して働いてもらうために 外国人雇用Q&A

少子高齢化の進展による人手不足が進むなか、外国人労働者を雇用したいと考えている企業が増えています。
しかし、外国人労働者の雇用についてはコミュニケーションの問題、宗教や生活習慣の違いなど、不安材料も少なくありません。そこで本特集では、外国人労働者を新たに雇用しようとする企業が直面しがちな課題を取り上げて、Q&A形式で解説します。特に人事・労務担当者は必読です。

増えています!外国人労働者

現在、日本ではどれくらいの数の外国人労働者が働いているのでしょうか。昨年10月末時点の厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ」をもとに、外国人労働者の総数、国籍別・在留資格別の人数、外国人労働者を雇用している事業所数などを見てみましょう。

外国人労働者を雇用している事業所と外国人労働者の状況

(1) 雇用事業所数と外国人労働者の増加要因

 昨年10月末現在、外国人労働者を雇用している事業所数は17万2,798カ所、外国人労働者数は108万3,769人に上ります。これは前年10月末現在の15万2,261カ所、90万7,896人に対し、2万537カ所(13.5%)、17万5,873人(19.4%)の増加となっています。どちらも、2007年に届出が義務化されて以来、過去最高を更新しました。

 外国人労働者数が増加した要因としては、留学生の日本企業への就職支援が強化されたことや、国が進めている高度外国人材(高度な専門的知識や技術を持つ外国人)の受け入れが着実に増えていることが挙げられます。これにともない、「専門的・技術的分野」の在留資格を持つ外国人労働者が増えていると考えられます。加えて、留学生の受け入れが進んでいることによる、「資格外活動」の外国人労働者の増加や、雇用情勢の改善による、就労に制限のない身分に基づく在留資格の外国人労働者の増加も要因といえるでしょう。

(2) 労働者派遣・請負事業を行っている事業所数

 前述の事業所数のうち、労働者派遣・請負事業を行っている事業所は1万6,389カ所、当該事業所で就労する外国人労働者は23万7,542人で、それぞれ事業所全体の9.5%、外国人労働者全体の21.9%を占めています。前年10月末現在では、同1万5,588カ所、20万4,907人でしたので、801カ所(5.1%)、3万2,635人(15.9%)の増加です。

外国人労働者の属性

(1) 国籍別

 外国人労働者の属性を国籍別に見ると、中国(香港等を含む)が34万4,658人と最も多く、外国人労働者全体の31.8%を占めています。次いで、ベトナムが17万2,018人(同15.9%)、フィリピンが12万7,518人(同11.8%)、ブラジルが10万6,597人(同9.8%)の順です。
 特にベトナムは前年同期比で6万2,005人(56.4%)増、ネパールも同1万3,714人(35.1%)増と、大幅なアップを示しています(図表1)。

図表1 国籍別外国人労働者の割合

(2) 在留資格別

 在留資格別では、最も多いのが「身分に基づく在留資格」で、外国人労働者全体の38.1%を占めています。次いで、「資格外活動(留学)」を含む「資格外活動」が22.1%、技能実習生の「技能実習」が19.5%、「専門的・技術的分野の在留資格」が18.5%となっています(図表2)。
 「技能実習」の外国人労働者は21万1,108人と、前年同期比で4万2,812人(25.4%)の増加、「専門的・技術的分野」の外国人労働者は20万994人と同3万3,693人(20.1%)の増加です。「資格外活動(留学)」も20万9,657人と同4万1,997人(25.0%)増えています。

図表2 在留資格別外国人労働者の割合

(3) 国籍別・在留資格別

 在留資格を国籍別に見ると、中国は「身分に基づく在留資格」が25.3%、「資格外活動」が24.7%、「技能実習」が24.5%、「専門的・技術的分野の在留資格」が24.4%です。
 ブラジルとペルーはともに「身分に基づく在留資格」が99.2%と、ほとんど。その内訳は「永住者」の割合が最も高く、国籍別の外国人労働者数に占める「永住者」の割合は、ブラジルが49.5%、ペルーが64.6%となっています。
 また、フィリピンも「身分に基づく在留資格」が76.5%と大変多く、そのうち「永住者」が44.2%を占めています。
 ベトナムは「資格外活動(留学)」が43.3%、次いで「技能実習」が42.3%です。ネパールも「資格外活動(留学)」が61.2%と高くなっています。
 G7/G8等(イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、ロシア、オーストラリア、ニュージーランド)と韓国は「専門的・技術的分野の在留資格」がそれぞれ58.6%、43.5%と半数近くを占めています。

(4) 産業別

 外国人労働者の数を産業別に見ると、「製造業」が33万8,535人と最も多く、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が15万3,994人、「卸売業、小売業」が13万9,309人、「宿泊業、飲食サービス業」が13万908人、「教育、学習支援業」が5万9,963人の順です。このことから、さまざまな産業で外国人労働者が働いていることがわかります。
 労働者派遣・請負事業を行っている事業所に就労している外国人労働者の人数・割合を産業別に示すと、「製造業」では、同産業の外国人労働者全体の18.1%にあたる6万1,275人、「サービス業(他に分類されないもの)」ではさらに多く、同68.7%にあたる10万5,817人です。「製造業」のなかでは、「電気機械器具製造業」と「輸送用機械器具製造業」において割合が高く、それぞれ31.6%(7725人)、29.8%(2万816人)でした。

外国人雇用事業所の特性

(1) 産業別の事業所数の割合

 外国人労働者を雇用している事業所の特性を産業別に見ると、「製造業」が4万542カ所(23.5%)と最多ですが、その割合は前年と比べると減少しています。一方、「建設業」の割合は増加し、1万2,911カ所(7.5%)に上っています(図表3)。

図表3 産業別外国人雇用事業所の割合

(2) 規模別の事業所数の割合

 規模別に見ると、「30人未満」の事業所が9万7,951カ所と最も多く、全体の56.7%を占めています。事業所数はどの規模においても増加傾向にあり、特に「30人未満」の事業所は前年同期比15.7%増と、最も大きな増加率を示しています(図表4)。

図表4 事業所規模別外国人雇用事業所の割合

(3) 都道府県別の事業所数の割合

 都道府県別の外国人労働者を雇用している事業所数では、東京都が27.6%を占め、次いで愛知県8.0%、大阪府6.6%、神奈川県6.4%、埼玉県4.4%の順です。これら上位5都府県で全体の半数を超えています。

  • 続きを読む
    (発行元の(株)日本医療企画のページへリンクします)

ホーム > 報道・広報 > 広報・出版 > 広報誌「厚生労働」 > 今月の特集 日本で安心して働いてもらうために 外国人雇用Q&A

ページの先頭へ戻る