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身近な健康の相談役
「かかりつけ薬剤師・薬局」を持ちましょう

「かかりつけ薬剤師・薬局」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
超高齢社会に突入している日本では、高齢者の健康管理が大きな課題になっています。
高齢者はいろいろな病気を抱えるケースが多く、使う薬の種類も多くなります。こうした薬を一元的・継続的に把握し、薬の効果をきちんと発揮させたり、副作用の発生を未然に防いだりすることが重要です。
若い人でも、処方してもらった薬を正しく理解して使わないと、せっかくの薬が無駄になってしまったり、副作用が出てしまったりすることがあります。
こうしたケースをなくすため、一人ひとりの服薬状況をしっかり把握し、薬のことについて教えてくれるのが「かかりつけ薬剤師・薬局」です。薬の飲み合わせや副作用などの相談をはじめ、地域で暮らす私たちの日常の健康相談に24時間応じる役割も担っています。
身近に信頼できる「かかりつけ薬剤師」がいれば安心です。
本特集では、「かかりつけ薬剤師・薬局」とはどういうものか、どう活用すればいいのかを見ていきます。

Introduction  薬局が生まれ変わる!

患者本位の医薬分業に向けて

なぜ、「かかりつけ薬剤師・薬局」が重要なのでしょうか。
以前は、外来の患者は診察を受けた医療機関で薬を出してもらうという、いわゆる院内処方が主流でしたが、近年では医師が診断・処方を行い、薬は薬局で受け取る「医薬分業」が推進されてきました。
医薬分業のメリットは、診察・処方を行う医師と調剤する薬局の薬剤師により、薬を使う際のダブルチェックができることです。これにより、薬の効果や副作用を確認してもらったり、同じような薬が重複していないか、飲み合わせの悪い薬が出されていないかをチェックしてもらったりすることができます。現在の日本では、外来投薬の約70%が薬局で調剤されるまでに至っています。
今はさらに、医薬分業のメリットを生かすべき状況が増えています。高齢化の進行に伴い、慢性疾患などが増え、薬物療法の必要性は高まっていますが、高齢の患者さんのなかには「薬の種類が多くて飲めない」「飲みづらい」などの理由から薬が残ってしまう、いわゆる“残薬”が少なくないことがわかっています。また、医療機関から処方された薬以外に、市販薬やサプリメントを併せて使っている例もあります。多くの薬を使っていると、組み合わせが悪く、相互作用による健康被害を起こすケースも見られます。
薬局の薬剤師はこれらの状況を十分に踏まえ、単に医師の処方箋に基づいて調剤するだけでなく、患者さんが使っているすべての薬やサプリメントなどの情報を把握して、患者さんの薬の管理を行ったり、場合によっては医師にお薬を減らしたり、お薬を変えてもらったりする提案を行うことが重要ではないか、との議論が盛んに交わされるようになったのです。

薬局のあり方の見直しとかかりつけ機能の強化

こうした議論を受けて、厚生労働省の検討会が昨年9月に「健康サポート薬局のあり方について」という報告書をまとめ、また10月には「患者のための薬局ビジョン」を公表しました。
前者は、かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、積極的に地域住民の健康づくりをサポートする薬局を「健康サポート薬局」と表示できる仕組みを示したものです。後者は、すべての薬局がかかりつけ機能を持つことをめざして(図表1)、立地から機能へ(病院の門前から地域へ)、対物業務から対人業務へ(薬中心から患者中心へ)、バラバラから一つへ(医薬関係者間の情報の共有化へ)という方向性のもと、中長期的に薬局を再編する道筋を示したものです。これからの薬剤師・薬局は、かかりつけとしての基本的な機能と積極的な健康サポート機能を兼ね備えていくことが求められています。
これを機会に、信頼できる「かかりつけ薬剤師・薬局」を持つようにしましょう。

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    (発行元の(株)日本医療企画のページへリンクします)

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