厚生労働省

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平成21年8月20日

(照会先)
厚生労働省医薬食品局
監視指導・麻薬対策課  蛭田(内線2784)
今村(内線2767)

平成20年度無承認無許可医薬品等買上調査の結果について

医薬品成分の含有事例が報告されているいわゆる健康食品及び違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)を対象として実施した平成20年度無承認無許可医薬品等買上調査の結果を別添のとおりとりまとめましたので、公表いたします。


別添

平成20年度無承認無許可医薬品等買上調査の結果について

平成20年度無承認無許可医薬品等買上調査については、いわゆる健康食品のうち、強壮効果を標榜する製品(以下「強壮用健康食品」という。)、痩身効果を標榜する製品(以下「痩身用健康食品」という。)及び違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)を対象として実施した。

調査方法、調査結果等は以下のとおりである。

1 調査方法等

1) 参加都道府県

平成20年度無承認無許可医薬品等買上調査に参加希望のあった都道府県にいわゆる健康食品及び違法ドラッグの買い上げ業務を委託した。

2) 買上時期

平成20年10月〜平成20年11月

3) 買上対象品目

強壮用健康食品、痩身用健康食品及び違法ドラッグ

4) 医薬品成分等の分析

強壮用健康食品、痩身用健康食品及び違法ドラッグに配合されていることが疑われる医薬品成分等について分析を行った。

2 調査結果の概要

各都道府県においていわゆる健康食品等258製品(重複を除くと246製品)を購入し、国立医薬品食品衛生研究所において医薬品成分等の分析を行った。(医薬品成分等が検出された製品の詳細は別紙参照。)

1)強壮用健康食品については、158製品(重複を除くと147製品)のうち33製品(重複を除くと31製品)から、シルデナフィル等の医薬品成分を検出した。
33製品中8製品(重複を除くと6製品)については、カプセル基剤からのタダラフィルの検出であった。

2)痩身用健康食品については、72製品(重複を除くと71製品)のうち医薬品成分の検出されたものはなかった。

3)違法ドラッグについては、28製品のうち3製品から、薬事法で指定する指定薬物である5-MeO-EIPT、DOC及びN-methyl-4FMP(いずれの成分も平成20年12月17日に指定薬物として指定、平成21年1月16日から施行。買上時は未指定)を検出した。

3 対応状況

医薬品成分等が検出された製品については、関係都道府県において、当該製品を取り扱う業者等に対し、販売中止、回収等の必要な措置を行っているところである。


別紙

1. 医薬品成分が検出された強壮用健康食品

No. 買上都道府県 製品名 検出された医薬品成分 製品の形状 国内発売元 備考
1 北海道 2H&2D タダラフィル カプセル (株)丸栄バイオファーマ 12と同製品
2 山形県 SURPRISE シルデナフィル 粉末 INOVA,JAPAN INC.  
3 山形県 Sasori-Tengu タダラフィル カプセル dio-net.com  
4 山形県 THE POWER チオキナピペリフィル カプセル (株)永美ワールド  
5 山形県 MY LOVE チオキナピペリフィル カプセル ダインコーポレーション  
6 群馬県 新一粒神 シルデナフィル 錠剤 不明  
7 群馬県 HERBAL VIRILITY ヨヒンビン 錠剤 不明  
8 東京都 DRAGON Jr タダラフィル 錠剤 ビックライフ  
9 東京都 Rocky シルデナフィル、チオデナフィル 錠剤 ブレーン通商  
10 神奈川県 KUAILE lidao タダラフィル カプセル (有)スパーシア 27と同製品
11 神奈川県 仁王の力 タダラフィル カプセル (有)スパーシア  
12 新潟県 2H&2D タダラフィル カプセル (株)丸栄バイオファーマ 1と同製品
13 岐阜県 速硬100 シルデナフィル 錠剤 不明  
14 岐阜県 睾丸素 シルデナフィル カプセル 不明  
15 岐阜県 領頭 陽 シルデナフィル カプセル 不明  
16 岐阜県 impala チオキナピペリフィル、チオデナフィル 錠剤 スリースター  
17 静岡県 鹿便王 シルデナフィル 錠剤 不明  
18 静岡県 紅九龍宝 シルデナフィル、タダラフィル 錠剤 不明  
19 京都府 ロケットカプセル タダラフィル カプセル (有)スパーシア  
20 京都府 SNIPER ホモシルデナフィル、ホモチオデナフィル カプセル M's Factory  
21 奈良県 羅王(RAOU) タダラフィル カプセル (有)スパーシア  
22 和歌山県 黒蟻精(飛朋) シルデナフィル 錠剤 不明  
23 和歌山県 徳国増大王 シルデナフィル カプセル 不明  
24 和歌山県 西班牙 ~牛 シルデナフィル 錠剤 不明  
25 和歌山県 USA viger100 シルデナフィル 錠剤 不明  
26 和歌山県 解決 早泄 真功夫 シルデナフィル 錠剤 不明  
27 広島県 KUAILE lidao タダラフィル カプセル (有)スパーシア 10と同製品
28 徳島県 ミラクルONE アミノタダラフィル、ヒドロキシホモシルデナフィル カプセル 沖縄漢研(株)  
29 徳島県 ERECTRA King シルデナフィル 粉末 ニホン薬品(株)  
30 福岡県 Pinger ホモシルデナフィル、ホモチオデナフィル カプセル (株)アプリア  
31 福岡県 Love up ホモシルデナフィル、ホモチオデナフィル カプセル (株)サンテインターナショナル  
32 佐賀県 植物偉哥 シルデナフィル 錠剤 不明  
33 佐賀県 威哥王 シルデナフィル 錠剤 不明  

※1、3、10、11、12、19、21、27については、カプセル基剤から検出された。

2. 医薬品成分が検出された痩身用健康食品

該当なし

3. 指定薬物が検出された違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)(※)

No. 買上都道府県 製品名 検出された指定薬物 製品の形状 国内発売元 備考
1 東京都 Aromatherapy APPLE 5-MeO-EIPT 液体 不明  
2 福岡県 Mango DOC 液体 不明  
3 福岡県 Darjeeling N-methyl-4FMP 液体 不明  

※5-MeO-EIPT、DOC、N-methyl-4FMPは、いずれも平成20年12月17日に指定薬物として指定、平成21年1月16日から施行。買上時は未指定。


参考資料

(1)強壮用健康食品から検出された医薬品成分について

○  シルデナフィル(sildenafil)

国内ではシルデナフィルクエン酸塩が医薬品として承認されている。
適応:勃起不全
副作用:血管拡張、頭痛、動悸等

化学構造式

○  タダラフィル(tadalafil)

国内でタダラフィルが医薬品として承認されている。
適応:勃起不全
副作用:頭痛、潮紅、ほてり、消化不良等

化学構造式

○  ホモシルデナフィル(homosildenafil)

国内外で医薬品としては承認されていないが、シルデナフィルと同一の活性代謝物が生成され、シルデナフィルと同様の作用を示すことが実験的に確認されており、健康被害が発生するおそれが否定できない。

化学構造式

○ ヒドロキシホモシルデナフィル(hydroxyhomosildenafil)

国内外で医薬品としては承認されていないが、シルデナフィルと同様の作用を示すことが実験的に確認されており、健康被害が発生するおそれが否定できない。

化学構造式

○ アミノタダラフィル(aminotadalafil)

   国内外で医薬品としては承認されていないが、タダラフィルと類似の化学構造を有する物質であり、類似の作用を有することが考えられ、健康被害が発生するおそれが否定できない。

  

化学構造式

○ チオデナフィル(thiodenafil)

国内外で医薬品としては承認されていないが、シルデナフィルと類似の化学構造を有する物質であり、類似の作用を有することが考えられ、健康被害が発生するおそれが否定できない。

化学構造式

○ チオキナピペリフィル(thioquinapiperifil)

国内外で医薬品としては承認されていないが、シルデナフィルと類似の化学構造を有する物質であり、類似の作用を有することが考えられ、健康被害が発生するおそれが否定できない。

化学構造式

○ ホモチオデナフィル(homothiodenafil)

国内外で医薬品としては承認されていないが、シルデナフィルと類似の化学構造を有する物質であり、類似の作用を有することが考えられ、健康被害が発生するおそれが否定できない。

化学構造式

○ ヨヒンビン(yohimbine)

国内ではヨヒンビンの塩酸塩が医薬品として承認されている。
適応:老衰性陰萎、衰弱性射精、神経衰弱性陰萎等
副作用:発疹、発赤、めまい、発汗、虚脱感等

化学構造式

(2)違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)から検出された指定薬物について

違法ドラッグについて

平成17年2月25日付け厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知「いわゆる「脱法ドラッグ」に対する指導取締りの強化について」において、使用目的に係る標榜ぶり如何に関わらず、事実上、人体への摂取を目的として販売されていると判断される場合には、薬事法上の無承認無許可医薬品に該当し、取締りの対象になる旨を各都道府県等に通知している。また、平成19年4月1日より改正薬事法が施行され、現在、39物質が指定薬物に指定され販売等に関して規制されている。

「指定薬物」

中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物(大麻、覚せい剤、麻薬、向精神薬、あへん及びけしがらを除く。)

<検出された指定薬物>

○  フェネチルアミン系化合物

・1-(4-クロロ-2,5-ジメトキシフェニル)プロパン-2-アミン(DOC)

化学構造式

・1-(4-フルオロフェニル)-N-メチルプロパン-2-アミン(N-methyl-4FMP)

化学構造式

○ トリプタミン系化合物

・N-エチル-N-イソプロピル-5-メトキシトリプタミン(5-MeO-EIPT)

化学構造式


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