平成21年8月7日
検討会中間報告概要
I はじめに
II 生衛業の特性と現状
1 生活衛生関係営業の特性
・生衛業は、国民に密着したサービスで衛生的で安心できるサービスの提供を求められている
・衛生規制の下、衛生管理を行い、衛生水準の維持向上を図ることを基本とした営業
・地域に密着したサービスであり地域社会との共生の中で営業
・生活水準向上、高齢化等による利用者・消費者ニーズの変化に対応したサービスの提供が求められる
2 経営の状況
・生衛業全体で、121万事業所、従業者数628万人で約36兆円規模の事業を展開
・労働集約型で、雇用の受け皿の期待
・小規模資本の営業が可能で、過当競争になりやすい
・景気が停滞する中、景気動向調査では平成9年以降最低の水準
3 生活衛生同業組合の現状
・昭和32年の環衛法の成立し、適正化規程等の制定が組合の重要な役割
・その後、護送船団方式から自由競争原理の下での営業に転換されている。
・生衛組合は、17業種で576組合(小組合は、3組合)
・組合及び連合会は、業界の地位向上を図るうえで重要な役割を担う
・組合員数の減少及び高齢化が課題
III 生活衛生営業指導センターについて
1 生活衛生営業指導センターの役割
・生衛業の指導、消費者の苦情対処のための第三者機関
・都道府県センターと全国センターで役割を分担
2 都道府県センターの現状と課題
(1)財務状況
・収支状況は、各都道府県センターの平均で約4,000万円
・補助金に7割以上依存
・地方財政の危機的状態の中、十分な予算措置が講じられない状態が見られる
(2)都道府県センターの認知度
・消費者・利用者の認知度が低い
・組合員には認知されているが、組合員以外の営業者への認知度が低い
(3)相談・指導事業
・経営指導員は、全国で135名配置
・全国で年間5万件の相談指導業務
・相談・指導内容で融資相談が約半数を占めている
・経営指導員が約2〜3年で交代し、スキルの向上及び事業の継続性に課題
・相談指導顧問による専門相談は、雇い上げ人数が限定
・一部都道府県において特相員制度が形骸化
(4)都道府県が行う生活衛生営業指導事業に対する協力
・クリーニング師研修及び業務従事者講習を実施しているが、参加者が低調
・「生活衛生貸付制度」の都道府県推薦事務の委託
(5)標準営業約款登録事業
・消費者利益を擁護するためのサービスの基準
・5業種(理容、美容、クリーニング業、一般飲食業、めん類業)で制定しているが、登録率にバラツキがあり、一部で登録が低調
(6)各種振興事業の実施
・国庫補助事業において、各事業10〜20程度の都道府県センターが実施している状況
・県単独事業で実施している都道府県もある
・全国センターにおいては、振興推進事業等を実施
(7)組合加入の促進
・都道府県センターで貸付制度の知事推薦等の際に、組合未加入者への加入勧奨をしているが効果は少ない
IV 生活衛生貸付制度について
1 日本政策金融公庫の経緯と役割
・昭和42年環境衛生金融公庫として設立(生衛業の衛生状態確保のため)
・平成11年国民金融公庫と統合し国民生活金融公庫
・平成20年日本政策金融公庫
・生活衛生貸付制度には、大きく分けて3つの制度
一般貸付(生衛業の衛生上の措置及び設備の近代化の支援) 振興事業貸付(振興計画の認定を受けた組合員の事業の支援) 生活衛生改善貸付(組合等の経営指導を受けている者の支援) |
・経営基盤の脆弱な生衛業の経営にとって不可欠な融資制度
2 生活衛生貸付制度の現状と課題
・平成10年度と平成20年度を比較すると貸付規模(3,200億円→1,750億円)
貸付実績は(2,271億円→693億円)と70%減少している。
・平成20年度の貸付内訳は、振興貸付315億円、一般貸付316億円、衛経46億円となっている。設備資金95%で運転資金は5%となっている。
・衛経において、同業者の特相員による経営指導に抵抗感を抱く営業者もいる。
・推薦等の事務手続きで、申請手続きで必要な書類が都道府県による相違
V 当面取り組むべき事項
1 基本的方向
・組合による衛生水準確保のための自主的努力が重要
また、連合会等による業界全体の活性化への取組が必要
・都道府県センターによる組合活動への支援強化等及び連携協力体制の強化
・全国センターにおける振興助成事業の拡充及び研修等の充実
・生活衛生貸付制度の制度面や運用面の改善、制度の周知及び情報の提供
・国及び都道府県による効果的な予算措置及び情報提供
2 具体的方策
(1) 都道府県センター関係
[1] 都道府県センターにおける経営指導支援体制の強化
・融資に精通した経営指導員の育成
・営業者が利用しやすい相談指導体制の確立(インターネットの活用、外部専門機関との連携・活用等)
・振興指針及び振興計画を把握することによる効果的な経営指導
・保健所と連携した支援及び環境衛生監視員等との連携協力
・各都道府県の実情に応じた経営指導員等の増員
[2] 都道府県センター等による組合加入に係る支援強化
・都道府県窓口と連携して開業に関する相談等の段階での新規開業者へ積極的な働きかけ
・保健所との連携
[3] 地域実情を反映した活性化促進事業の推進
・各地方の実情を考慮した事業が実施できるよう事業のメニュー化及びメニューの拡大
[4] 消費者・利用者の苦情処理を円滑に行う体制の整備
・消費者からの苦情に適切に応対できる体制等の整備
・関連消費者団体との連携による対応
・営業者が抱える消費者からの苦情に対する悩みにも対応できる仕組み
[5] 地域社会への貢献に対する支援
・生衛業は、国民生活に欠かせない公共性のあるサービスであり、地域経済活動を側面から支えている営業
・生衛業の特性を生かした取組を組合と連携して自治体に働きかけることが必要
・優良事例の情報収集及び提供
[6] 地方交付税財源の活用
・都道府県担当者及び各組合と連携して、効果的な事業の実施
(2)全国センター関係
[1]組合の振興事業の充実
・生活衛生振興推進事業の拡大と強化
[2]約款制度(Sマーク)の普及拡大
・認知度を高めるため、全業種での制度の導入を目指す
・約款制度導入の業種においても、時代を反映した見直し
[3]「生衛業情報ネットワークシステム」等の活用
・相談、指導業務や情報共有化等の充実強化
(3)生活衛生貸付制度関係
[1]生活衛生貸付制度の利用促進のための運用の改善等
・制度面の優位性の確保
・生活衛生貸付申し込みに際しての提出書類の整理
[2]生活衛生改善貸付制度(衛経)の手続の改善
・衛経貸付の審査にかかる都道府県センターと組合の連携
[3]振興事業貸付制度の充実
・振興事業貸付の利率の更なる引下げ措置の恒久化への取組
[4]制度の周知及び情報提供
・都道府県センターや組合との連携による説明会や相談会の開催
・経済金融事情等に関する情報提供
(4)国や都道府県の対応
[1]財政的支援
・国においては、地方及び組合の要望を踏まえた財政的支援が必要
・都道府県においては、都道府県センターの実施事業への財政的支援が必要
[2]振興計画のフォローアップ
・振興計画のフォローアップによる情報提供と着実な事業の推進
[3]各種情報提供
・都道府県センターや連合会、組合が必要な衛生関係や行政施策等の情報提供