厚生労働省

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プレスリリース

平成21年2月9日

厚生労働省

農林水産省

第37回コーデックス連絡協議会の概要

平成21年 2月5日(木曜日)に、第37回コーデックス連絡協議会を開催しました。主な質疑応答事項及び意見は以下のとおりです。

本協議会では、まず、第16回アジア地域調整部会、第17回食品輸出入検査・認証制度部会、第40回食品衛生部会の報告を行い、それに対する質疑応答及び意見交換がなされました。次に、食品表示部会に関する集中意見交換を行いました。

1.コーデックス委員会の活動状況について

(1) 第16回アジア地域調整部会

・ 非発酵大豆製品の規格について、日本として積極的に当該規格のステップを進めるつもりはあるかと問われ、まず、豆乳、豆腐など、各国ごとに特徴の異なる様々な製品について、本作業がどこまでを対象に含めるかにもよるが、そもそも論として、豆腐は、傷みやすく、貿易に適さないと考えており、コーデックス規格作成の必要性については低いと考えている旨説明した。また、規格策定のメリットとデメリットは何かと問われ、アジア地域では、ある国の伝統食品をについてコーデックス規格を作成することが、その食品のステータス向上と考える傾向があるが、必ずしもそのようなことはなく、統一された規格により、貿易が容易になる一方、組成などを規定することにより、製造法や組成の改善が妨げられる場合もある旨説明した。

・ 発酵大豆ペースト(みそ)の規格について、日本からどのような修正を提案したかと問われ、アミノ酸含量の値(味噌に含まれるべき大豆の量)、いくつかの食品添加物の追加などを提案し、採用された旨回答した。

・ チリソースの規格について、第29回総会(2006年)では、国際規格とすべき、トマトベースも認めるべきなど、アジア地域以外の国も関心を示していたが、その後どうなったのかと問われ、2008年9月の第24回加工果実・野菜部会で議論したところ、国際規格にはしないほうがよいとのECからのコメントを除き、意見が出なかったことを説明した。

(2) 第17回食品輸出入検査・認証制度部会

・ 食品の輸入が多い日本にとって、「海外監査及び検査の実施のための原則及びガイドライン」のような文書があると相手国の対応もスムーズになると思う。また、「トレーサビリティ/プロダクトトレーシングの更なるガイダンス」も必要であるので、作成に向けて積極的に対応して欲しいとの要望が出された。

・ 「国内の食品検査システムに係るガイダンス」について、例えばアジアの輸出国内で流通する食品の安全性が底上げされれば、日本の輸入食品の安全性も向上するという意味で有意義であり、このような文書の必要性を感じる、との意見が出され、貿易する食品については既にコーデックス食品輸入管理システムに関するガイドライン(Guidelines for Food Import Control Systems)が出来ているが、一方今回議論されているガイダンスは国内で生産・消費されるものについてのガイダンスであり、日本としてはコーデックスで議論することが適切なのかという懸念があったが、他の国々はすべて賛成していたと説明した。

(3) 第40回食品衛生部会

・ 調理済み食品中のリステリア・モノサイトゲネスに関する微生物学的規準原案について、規準値を策定する際の検体数について問われ、本規準原案では検体数は5(n=5)と規定されている旨回答した。

・ 鶏肉中のカンピロバクター及びサルモネラ属菌の管理のためのガイドラインについて、対象をブロイラーから鶏肉全体に広げたことによって作業の進捗が遅れるなどの影響はないかと問われ、[1]影響があることは否定できないこと、[2]ブロイラー以外については文献が限られており、各国からのデータを集めることとされたが、データの集まり具合によっては、今後、ブロイラーだけを切り離して先に議論を進めるべきと考えている旨回答した。

さらに、リスク管理意思決定ツールについてどのようなものかと問われ、[1]加盟国が提出してきたデータをベースとして、あるリスク管理措置をとった場合にどのようなリスク低減効果が生じるのかをインターネット上でシミュレーションできるシステムの構築を検討していること、[2]データを持たない途上国などが、様々なリスク管理措置の中からどの選択肢を選ぶかを決定する際に、当該システムを用いてシミュレーションすることにより、決定しやすくできるようにするものである旨回答した。

・ 生鮮野菜・果実の衛生実施規範について、「小規模な生産・加工システム」とはどの程度の規模を指すのかと問われ、具体的な基準は示されていない旨回答した。

2.食品表示部会に関する集中意見交換

・ 資料7-(2)「コーデックス表示規格と日本の措置」の中で、日本の加工食品品質表示基準における特色のある原材料表示(品種、○○県産の表示)は、コーデックスの「量的表示」に相当するものではないと考えており、したがって、両者を比較することは適当でないとの感想が出された。

・ 期限表示に関して、製造年月日の表示義務付けをする場合のTBT協定上の解釈を問われ、かつて、ECは、消費者の混乱を招くとして、コーデックスで規定されている「いわし」表示を否定していたが、WTOのパネルに訴えられたところ、コーデックス規格は消費者の混乱を招かないように制定されているとして、コーデックスで認められている表示を認めないECの措置はTBT協定違反として認定されたケースを紹介した。

・ 現在議論されている、遺伝子組換え表示の提言(Recommendation)について、コーデックスから求められたコメントに対し、日本がどのように回答したのかと問われ、提言には既存のコーデックス規格のうち遺伝子組換え表示に関連する部分を抜粋した表があるが、これは必ずしも必要ではないと考えるが、この表を作成するのであれば今の案では整理が適切ではないので、「一般原則」、「義務表示」、「任意表示」の3つに分けてはどうか、という意見を出している旨説明したところ、食品表示部会の会合前の連絡協議会でそのコメントを提示してほしい、との要望が出された。

・ 遺伝子組換え表示について、議論を重ねても合意が得られず、ルールを作ることができないのではないかという印象を持っているが、どう考えるかと問われ、EC、ノルウェー等と協力して何らかの成果が出るよう議論を続けていきたい旨回答した。

・ 栄養表示のガイドラインは、国際的にも栄養強調表示が広がっていること、日本国内でも食育の推進の意味においても、義務表示を広げていくべき、との意見が出され、表示以外の施策を含め総合的に考えるべき、また食習慣等によってどのような栄養素が必要かは国ごとに異なるので国際規格としての合意は難しいと考えている旨回答した。

・ 栄養表示については、日本では商業的な目的で表示されると考えられているが、本来は消費者が見て買うことができる表示にすることが必要だと考える。日本の栄養表示については、栄養参照量(NRV)をどのように使うかも含めて考えてもらいたいとの要望が出された。

・ 食品安全を基礎とし、科学に基づいた議論が行われないと食品表示部会における議論がまとまりにくいと感じており、どのように議論を進めるか日本も提案していくべきではないか、と問われ、コーデックスにおいて何らかの案を提案し、議論を進めていくには、積極的に討議文書を作成し、あるいは作業部会を主催するなどの実際の貢献が必要である。食品表示部会も、バイオテクノロジー応用食品特別部会、残留農薬部会、汚染物質部会などと同様に、日本から積極的に提案をし、議論をリードしていく必要があるが、食品表示部会においては、必ずしもそうなっていないと回答した。また、食品表示は科学的データを基礎とする食品安全の問題と異なり、誰もが納得するような形で議論を収束させることが難しく、国際的な合意が得られにくい旨説明した。

【問い合わせ先(注:資料配布は農林水産省のみ)】

厚生労働省食品安全部企画情報課国際食品室

国際食品室長  池田  千絵子

担当:福島(電話:03-5253-1111 内線2407)

農林水産省消費・安全局国際基準課

国際基準課長  小川  良介

担当:小出(電話:03-3502-8111 内線4471)
((直)03-3502-8732)


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