厚生労働省

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平成21年度厚生労働省
主要税制改正要望の概要

平成20年8月

厚生労働省

厚生労働省

問い合わせ先:
社会保障担当参事官室 政策第二係
山田章平、佐野耕作(内線7693)
労働政策担当参事官室 企画第二係
田中規倫、亀井遵児(内線7992)


平成21年度厚生労働省主要税制改正要望(目次)

第1 健康な生活と安心で質の高い医療の確保等のための施策の推進

○ 社会医療法人の救急医療等確保事業を行う病院及び診療所の用に供する建物等に係る非課税措置の創設

○ 新型インフルエンザ対策に係る医療提供体制整備促進税制の創設

○ 有用かつ安全な放射線治療をがん患者に提供するためのリニアック装置の特別償却制度の創設

第2 働く意欲を有するすべての人たちの就業の実現

○ 高齢者を多数雇用する場合の機械等の割増償却制度及び課税の特例の創設

第3 安定した雇用・生活の実現と安心・納得して働くことのできる環境整備

第4 人口減少社会の到来を踏まえた少子化対策の推進

第5 高齢者等が生き生きと安心して暮らせる福祉社会の実現

○ 企業型確定拠出年金における個人拠出の導入に係る掛金の所得控除の適用

○ 確定拠出年金の拠出限度額の引上げ

○ 個人型確定拠出年金の加入対象者の見直しに係る掛金の所得控除の適用

○ 療養病床の転換に係る特別償却制度の適用期限の延長

第6 障害者の自立支援の推進

第7 国民の安全と安心のための施策の推進

○ 公益法人が設置する医療関係者の養成所、社会福祉施設等に係る地方税の非課税措置の存続

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第8 各種施策の推進

○ 生活衛生関係営業関連の税制

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健康な生活と安心で質の高い医療の確保等のための施策の推進

社会医療法人の救急医療等確保事業を行う病院及び診療所の用に供する建物等に係る非課税措置の創設

要望内容

救急医療、へき地医療、産科・小児科医療などを守るため、都道府県の医療計画に基づき特に地域で必要な医療の提供を担う社会医療法人について、救急医療等確保事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療(小児救急医療を含む。))を行う病院及び診療所の用に供する建物等に係る非課税措置を創設する。    〔登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税〕

社会医療法人の救急医療等確保事業を行う病院及び診療所の用に供する建物等に係る非課税措置の創設

医療計画に記載された救急医療等確保事業の要件

(特に地域で必要があるものの採算の確保が困難な医療)

救急医療

・医療計画で当該病院が位置付け

・救急患者受入れ体制

・時間外等加算割合が20%以上

・救急車等搬送件数が750件以上 等

へき地医療

・医療計画で当該病院・診療所が位置付け

・病院:医師派遣又は巡回診療が年53日以上

・へき地診療所:診療日が年209日以上 等

小児医療(小児救急医療含む)

・医療計画で当該病院が位置付け

・小児救急体制

・乳幼児の時間外等加算割合が20%以上 等

災害医療

・医療計画で当該病院が位置付け

・救急患者受入れ体制

・時間外等加算割合が16%以上

・救急車等搬送件数が600件以上

・災害派遣医療チームを保有 等

周産期医療

・医療計画で当該病院が位置付け

・産科救急体制・緊急帝王切開術体制

・分娩実施件数が年500件以上

・母胎搬送件数が年10件以上

・ハイリスク分娩管理加算が年3件以上 等


健康な生活と安心で質の高い医療の確保等のための施策の推進

新型インフルエンザ対策に係る医療提供体制整備促進税制の創設

要望内容

●簡易陰圧装置を取得した医療機関について特別償却(100分の20)を認める。(法人税・所得税)

●医療法第7条第2項第2号に規定される感染症病床を増改築した医療機関について特別償却(100分の15)を認める。(法人税)

概要

●発生初期に対応する感染症指定医療機関等の確保

●最大1日10万1千人の入院患者が見込まれる医療体制確保のための医療用機器の整備

感染症指定医療機関等の確保

感染症指定医療機関等の確保

・感染症病床の整備

感染症指定医療機関の必要数の充足

  機関数 病床数 うち陰圧施設あり
特定感染症指定医療機関 3 8 8
第1種感染症指定医療機関 26 49 49
基準による必要数 47 94  
第2種感染症指定医療機関 315 1635 980
基準による必要数 359 1751  

医療用機器の整備

医療用機器の整備

・感染症指定医療機関及び協力医療機関における簡易陰圧装置の取得促進

パンデミック発生時、一般病床等を新型インフルエンザ患者用病床に転用するのに使用

必要性

●近年、東南アジアを中心に鳥インフルエンザが鳥から人へ感染する事例が増加。この鳥インフルエンザ(H5N1)が人から人へ感染する形に変異し、新型インフルエンザとして世界的に流行することが危惧されている。

●新型インフルエンザが発生した場合、1日の入院患者が最大10万1千人が見込まれるなど、現在の医療体制では十分な対応ができないため、早急に医療提供体制を整備する必要がある。

・第169国会において、感染症法及び検疫法改正(平成20年5月2日公布、平成20年5月12日施行)

・同国会において、附帯決議

・平成20年6月20日、与党鳥由来新型インフルエンザ対策に関するプロジェクトチームより提言「鳥由来新型インフルエンザ対策の推進について」


健康な生活と安心で質の高い医療の確保等のための施策の推進

有用かつ安全な放射線治療をがん患者に提供するためのリニアック装置の特別償却制度の創設

要望内容

「がん診療連携拠点病院(※1)」が、放射線治療に関する高額医療用機器(リニアック(マルチリーフコリメーター付きのものを含む。)に限る。以下「リニアック(※2)」という。)を取得した場合において、当該取得価格に「34%」を乗じて計算した価額を特別償却できる制度を創設するもの。

※1 平成20年4月1日現在、全国351医療機関 ※2 エックス線や電子線等の放射線を当て、がん治療等を行う放射線治療装置

必要性1

リニアックの経年劣化により、
放射線量等の予期しない変動(誤差)等が発生

同種の機器に更新、有用かつ安全な治療水準を維持

必要性2

副作用が少なくかつ治療効果が高い
高機能なリニアック(IMRT)の普及・保険適用

高機能な機器を導入、治療の有用性・安全性の向上

概要(イメージ図)

期待される効果

地域における放射線治療水準の維持・向上 = がん医療の均てん化(※)の促進

※がん患者が居住する地域にかかわらず等しくがんの状態に応じた適切ながん医療を受けられるようにすること。がん対策基本法の基本理念のひとつ。


働く意欲を有するすべての人たちの就業の実現
高齢者を多数雇用する場合の機械等の割増償却制度及び課税の特例の創設

要望内容

高齢者を多数雇用する場合に取得する機械・設備・施設等の割増償却の創設(所得税・法人税の特例)及び固定資産税の課税の特例の創設

概要

(イメージ例)

安定した雇用・生活の実現と安心・納得して働くことの出来る環境整備
企業型確定拠出年金における個人拠出(マッチング拠出)の導入に係る掛金の所得控除の適用

要望内容

現在、企業型確定拠出年金については、個人拠出が認められていないが、現行の拠出限度額(他の企業年金なし:4.6万円、他の企業年金あり:2.3万円)の枠内、かつ、事業主の掛金を超えない範囲で、個人拠出を認め、これを所得控除(小規模共済控除)の対象とする。

支援の必要性

(1)『企業拠出が不十分』

企業拠出は、全体の平均では約1.1万円(限度額4.6万円に対して約1.3万円、拠出限度額2.3万円に対して約9千円)にすぎず、老後の所得確保として不十分。

本人拠出(マッチング拠出)により老後の所得を確保する必要性が高く、その自助努力に対して国として税制上の支援を行うべき。

(2)『導入企業の大半が中小企業』

企業型確定拠出年金を実施する企業の約8割は、企業拠出を増額する余力が低い中小企業である。

中小企業の人材確保に資するよう、本人拠出(マッチング拠出)に対する税制上の支援を行うことにより、中小企業の従業員の老後の所得確保を充実させるべき。

(3)『若年世代の企業拠出は低い』

企業拠出は賃金に一定率を乗ずることで決められる方式が大半であり、結果として賃金の低い若い世代の企業拠出は低くなる。

若い世代から自助努力により掛金を拠出し、年金資産を積み増すことにより、将来の年金給付の充実を図り、老後への「安心」が得られるようにすべき。

支援措置の内容

既に個人型は、拠出限度額の範囲内で全額所得控除(小規模共済控除)が適用されており、企業型確定拠出年金における個人拠出(マッチング拠出)についても、同じ控除を適用すべき。

※ 小規模共済控除(小規模企業共済等掛金控除)は、個人型確定拠出年金の掛金のほか、個人事業主等が自らの退職金を共同で確保するための任意加入の小規模企業共済制度において、個人事業主等が拠出した掛金に対して適用されており、全額所得控除となる。


安定した雇用・生活の実現と安心・納得して働くことの出来る環境整備
確定拠出年金の拠出限度額の引上げ

要望内容

企業型及び個人型の拠出限度額を老後の所得保障を担うために必要な所要の額まで引上げる。

(1)企業型の拠出限度額の引上げ

『若年世代の企業拠出が低くなる』

年功序列賃金体系の下、壮年世代に係る掛金を拠出限度額の枠内におさえようとするため、結果として、若年世代の掛金が低くなる。

若年から壮年を通じた各世代において掛金が引き上げられるよう、拠出限度額を引き上げるべき。

拠出限度額の引上げ

(2)個人型の拠出限度額の引上げ

(1)『半数が限度額付近まで拠出』

拠出限度額1.8万円のうち、1.5万円以上の掛金が拠出されているのは47.6%となっており、半数近くの者が拠出限度額に近い水準となっている。

個人の自助努力により掛金を拠出し、将来の年金給付の充実を図ることができるようにすべき。

(2)『企業型に比べ個人型への支援が低い』

企業型の拠出限度額は4.6万円又は2.3万円である一方、個人型は1.8万円となっており、個人の自助努力に対する支援が低い。


安定した雇用・生活の実現と安心・納得して働くことの出来る環境整備
個人型確定拠出年金の加入対象者の見直しに係る掛金の所得控除の適用

要望内容

確定給付型の企業年金のみを実施し企業型確定拠出年金を実施していない企業の従業員についても、個人型確定拠出年金の加入を認める。

必要性

(1)『転職により掛金の積み増しが困難』

企業型確定拠出年金を実施している企業から確定給付型企業年金のみを実施している企業に転職した場合、確定拠出年金への加入が認められないため、掛金の積み増しができない。

就労活動の多様化が進む中、転職先の企業で企業型確定拠出年金が実施されていない場合であっても、自助努力により掛金を拠出し、将来の年金給付の充実を図ることができるようにすべき。

(2)『確定給付企業年金のみを実施している企業の掛金水準は低い』

確定給付企業年金と企業型確定拠出年金を実施している場合の企業拠出は、両者を合わせて、平均約3万円となっているが、確定給付企業年金のみを実施している場合の企業拠出は、平均約1.9万円であり、低い水準となっている。

企業が企業型確定拠出年金を実施しているか否かにかかわらず、自助努力により掛金を拠出し、将来の年金給付の充実を図ることができるようにすべき。

個人型確定拠出年金の加入対象者の見直しに係る掛金の所得控除の適用

高齢者等が生き生きと安心して暮らせる福祉社会の実現
療養病床の転換に係る特別償却制度の適用期限の延長

要望内容

療養病床の転換を支援するため、療養病床の転換に係る特別償却制度(※)の適用期限を、「平成21年3月」から「平成24年3月」(療養病床再編成の終了時)に延長するよう要望する。

※ 療養病床を老人保健施設等に転換するための改修等を行った場合に、当該年度の法人税について、基準取得価格(取得価額の50%)の15%の特別償却を行うことができる制度

療養病床の再編成と支援のスキーム

※ 療養病床の再編成とは、医療の必要性に応じた機能分担を推進することにより、「(1)利用者の実態に即したサービスの提供」、「(2)人材の効率的な活用」、「(3)医療・介護の総費用の減少」を図ることを目指すもの。

療養病床の再編成と支援のスキーム
特別償却制度の具体的なイメージ
(例:改修額5,000万円の場合)

○ 改修年度において、通常の償却額に特別償却額375万円を上乗せすることが可能となり、税負担を軽減。

○ 償却期間が短くなる(39年→36年)ことで、投下資本の早期回収を図ることが可能。

特別償却制度の具体的なイメージ(例:改修額5,000万円の場合)

国民の安全と安心のための施策の推進
公益法人が設置する医療関係者の養成所、社会福祉施設等に係る地方税の非課税措置の存続

要望内容

特例民法法人から非営利型の一般社団法人・一般財団法人に移行した法人のうち、一定の要件を満たす法人について、現行の税制優遇措置を継続する。

公益法人が設置する医療関係者の養成所、社会福祉施設等に係る地方税の非課税措置の存続

各種施策の推進
生活衛生関係営業関連の税制

生活衛生関係営業者等の基盤強化税制

◆ 理美容業、クリーニング業、飲食店営業者等の取得する機械・装置及び器具・備品について、特別償却(30%)又は税額控除(7%)を講じている措置の延長。

設備投資を積極的に進めることができる。

共同利用施設の特別償却

◆ 生活衛生同業組合等が策定する振興計画に基づく共同利用施設について、特別償却(8%)を講じている措置の延長。

・共同冷凍庫  ・共同保管庫  ・研修施設 等

事業の共同化、協業化により生産性の向上が図られる。

○ 財政基盤の強化・安定

○ 営業施設の衛生水準の向上

○ 経営の改善、成長力の促進

飲食店等における設備投資実施割合は3割超、上昇傾向がみられる

飲食店等における設備投資実施割合は3割超、上昇傾向がみられる

2007小企業の設備投資動向調査(国民生活金融公庫)

その他の生活衛生関係同業組合等への支援

◆ 組合等の各事業年度における留保所得について、32%まで損金算入する特例措置の延長

内部留保の充実を通じて、組合事業の健全性が確保される。

◆ 組合等の貸倒引当金の繰入限度額を16%割増して損金算入する特例措置の延長

売掛金等の貸倒リスクに対応し、組合の事業活動を推進する。


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