平成20年8月11日 厚生労働省医薬食品局 審査管理課化学物質安全対策室 室長 山本 順二(2421) 担当 廣田(2910)、古田(2426) 電話代表 03-5253-1111 |
塗料の使用に伴うものと疑われる重大製品事故について
今般、別紙のとおり、消費生活用製品安全法第35条第3項の規定※に基づき防カビ用として販売されている塗料の使用に伴うものと疑われる重大製品事故の発生事例について、経済産業省から通知がありました。
現在、事業者においては、今般の事故の原因に係る調査等を実施しています。
当室では、事業者が行う調査等を注視することとしていますが、今回の被害が当該製品に含まれる化学物質に起因するものである可能性が否定できないため、再発防止の観点から、都道府県等に情報を提供し、消費者への周知・注意喚起について協力を要請しました。
なお、一般的に、有機溶剤を使用した塗料では、吸入による健康被害が発生するおそれのあることが知られており、当該製品についても、カタログ等に記載された注意書きによって、使用に際しては換気をよくすること、適切な保護具を着用することなどの注意喚起がなされていることから、現時点では当該製品について回収等の特別な指導は予定しておりません。
※ 平成19年5月14日に改正法が施行され、消費生活用製品の使用に伴う重大製品事故について事業者から経済産業省への報告が開始されました。報告された重大製品事故のうち、製品に使用されている化学物質が事故原因と考えられるものについては、厚生労働省医薬食品局化学物質安全対策室に通知されます。当室では、今後も経済産業省から重大製品事故報告の通知がある場合に、危険の回避に必要な事項等について適宜情報提供を行っていくことにしています。
別紙 事故内容等
製品名: 塗料※ | |||||
経済産業省から情報を入手した日 (括弧内は報告事例を企業が認識した日) |
報告事例の概要 | ||||
事故発生日 | 事故発生場所 | 被害分類 | 事故概要 | ||
1 | 平成20年8月6日 (平成20年7月15日) |
平成20年5月13日 | 千葉県 | 負傷又は疾病(治療に要する期間が30日以上) | 公衆浴場の天井・壁面上部に当該製品を塗装した翌日、当該公衆浴場を利用した女性(1名)が、咽頭痛、頭痛、結膜充血等を発症し、現在も治療を受けています。なお、当日、当該公衆浴場を利用した他の客から同様の被害は今のところ報告されておりません。 |
再発防止策: 現在、製造事業者においては、今般の事故の原因に係る調査等を実施しています。当該製品は平成2年に販売を開始していますが、これまでに、当該製品に起因する結膜充血、急性咽頭炎等の健康被害の発症事例は他に確認されていないことから、現時点では、製造事業者は、当該製品と同一の製品による同様な被害が発生する危険性はないと判断しています。しかしながら、今般の事故を受け、製造事業者では、注意喚起のためのより詳細な文書をカタログ等に記載することを、再発防止策として検討しています。 一般的に、有機溶剤を使用した塗料では、吸入による健康被害が発生するおそれのあることが知られており、当該製品についても、カタログ等に記載された注意書きによって、使用に際しては換気をよくすること、適切な保護具を着用することなどの注意喚起がなされています。当室では、事業者が行う調査等を引き続き注視するとともに、本事例を公表し、当該内容を各都道府県・政令市・特別区衛生主管部(局)長あてに通知することにより、広く消費者に周知することとしました。 |
※参考 ・ 製造事業者 関西ペイント(株) 「スーパーカビノンOP」 水色。 ・ 用途は防カビ用の塗料。石油缶(14L入り)に入っており、エアゾールタイプではなく、希釈用シンナーで希釈して塗布するタイプ。 ・ 業務用製品として、塗料専門販売店で販売されているが、一般消費者も購入することができる。 ・ 平成2年に販売開始。 ・ 主要成分としては、樹脂成分として酸化重合形樹脂(アルキド樹脂)、顔料成分として酸化チタン、炭酸カルシウム等、溶剤として脂肪族炭化水素系溶剤等が含有されている。 ・ カタログ等には、成分組成概要の他、「使用に際しては換気をよくしてください。」、「適切な保護具を着用してください。」等の注意事項が記載されている。
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