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キャリア交流プラザ事業に係る市場化テスト(モデル事業)
の実施に関する方針


 趣旨

 全国15の主要ハローワーク(公共職業安定所、以下「安定所」。)では、中高年ホワイトカラー求職者、壮年技術者及び中高年長期失業者を登録制により対象として、求職活動に有用な知識等の付与、経験交流、キャリアコンサルティング等を集中的に実施し、これらの者の再就職の促進を図るキャリア交流プラザ事業を実施している。
 国では、キャリア交流プラザ事業を実施するため必要な施設等を確保してキャリア交流プラザを設置しているが、全国15か所うちの5か所について、民間事業者等の知見・ノウハウを活用することにより、サービスのコスト削減・質向上をめざしていく観点から、求職者に対して無料の職業紹介事業を含む一連の幅広い就職支援に関わる事業(以下「事業」という。)を行う施設とし、その運営について、民間事業者等の創意工夫が最大限発揮されるよう「公設民営方式」(国等の設置した施設について、これを民間事業者等に対し包括的に管理・運営委託させる方式)を前提に、市場化テスト(モデル事業)の対象とする。

 基本的な考え方

 この市場化テスト(モデル事業)においては、民間事業者の創意工夫を最大限活用するとともに、国は入札に参加しないが、国と民間との間の透明・中立・公正な比較を実現することを目的としている。このため、落札した民間事業者が国に対して不利にならないよう競争条件均一化のための措置を講ずるとともに、サービスの質やコスト(当該事業に要する直接的な費用に加え間接的な費用を適切に参入)の面から国及び民間の実績評価を行う。
 このため、民間事業者の創意工夫を最大限活用する観点から、業務の具体的な遂行のあり方や構成(各支援内容のウェイト、順序、相互の関連づけ等)は、ハローワークが従来行ってきた前例に拘束されず、入札参加者の提案と裁量に委ねられる。
 また、国と民間の間の透明・中立・公正な比較を実現する観点から、本事業を実施する5カ所のキャリア交流プラザにおける事業の実績(サービス水準及び費用)について、客観的かつ可能な限り定量的な指標を用い、費用を構成する項目要素と費用を公表する。

 事業概要

(1) 実施箇所
 北海道、埼玉、東京、愛知、京都の5労働局のキャリア交流プラザ

(2) 事業の実施期間
 事業の実施期間は、平成17年6月から平成18年5月まで(就職状況のフォローアップ業務については9月まで実施)

(3) 支援対象者
 支援対象者の選定は、選定基準を開示の上、安定所が実施する。
 支援対象者数とコース設定は次のとおり。(1期3ヶ月)
[規模、期数]( )内は同規模の国直轄のもの
 東京 50人規模 18期。(大阪)
 北海道 愛知 30人規模 18期。(宮城、広島、福岡)
 埼玉 京都 20人規模 18期。(千葉、神奈川、新潟、長野、兵庫、熊本)
[コースの種類別の設定]
 ホワイトカラーコース(概ね45以上60歳未満)14期(最低10期)
 壮年技術者コース(概ね30以上45歳未満)2期(最低1期)
 長期失業者コース(概ね45以上60歳未満、1年以上の失業者)2期(最低1期)
 ※ 事業開始後、総支援対象者数は若干数のものを除き変更しないが、各期ごとの人数、コースの区分については、受託事業者と協議の上、求職者の状況、雇用失業情勢等に応じて、柔軟に振り替える場合がある。

(4) 支援の内容
1 セミナー、ガイダンス(就職に向けた意欲の喚起等)
2 経験交流(登録者相互の情報交換、相互の心理的なサポート等)
3 キャリアコンサルティング(自己・労働市場の理解の促進等)
4 求職者に対する無料の職業紹介その他の就職支援
 民間事業者の創意工夫を最大限活用する観点から、上記1から4までの具体的内容や構成(各支援内容のウェイト、順序、相互の関連づけ等)は、受託事業者の創意・工夫に委ねられるが、その内容は企画書に明記し、実行するものとする。

 支援対象者は、安定所が行う職業紹介やキャリア交流プラザ以外で行われる民間の就職支援サービスを利用することを妨げられない。
 受託事業者が職業紹介を行う場合、適切な守秘義務を課した上で、事業主が同意するものについて安定所から求人情報の提供を行う。
 民間の創意・工夫を活かす観点から、サービスの提供の日及び時間帯は、安定所の執務時間を踏まえつつも、施設の家主等との関係で許容される範囲内において柔軟に設定できるものとする。

(5) 提供されるべきサービスの水準
 就職支援開始後6ヶ月時点における就職率(支援対象者のうち雇用保険被保険者資格を取得した者及び自営を開始した者の割合)55%以上を目標とし、併せて、支援対象者にとって適切な就職が実現されることが望まれる。(実績評価に当たっては、5(1)に定める指標により比較を行う。)
 トライアル雇用を活用した場合は常用雇用に移行した段階で就職とみなす。

(6) 人員体制
 人員、管理者の配置等の体制は、受託事業者の創意工夫に委ねられるが、企画書に明記し、その内容を実行するものとする。
 受託事業者と安定所は、それぞれ担当者を定め、円滑な業務の実施に必要な調整を図る。

(7) その他の契約条件
 受託事業者は、キャリア交流プラザの施設を、国との契約に基づくキャリア交流プラザ事業以外の事業に使用してはならない。
 キャリア交流プラザ事業の内容には、キャリア交流プラザ以外の施設、事業所で行われている事業の利用を含めてはならない。
 支援対象者との相談の過程で、キャリア交流プラザの利用とは関係なく、支援対象者自らの任意の判断で利用すべきものであることを明確にした上で、求職活動に資する可能性のある自他の民間の事業について幅広く情報提供することは差し支えない。
 職業紹介を実施する場合には、求人者又は求職者のいずれからも料金を徴収してはならない。
 業務上知り得た個人情報又は企業情報を漏洩してはならない。
 その他契約上の義務に反してはならない。

 市場化テスト評価委員会の設置

 厚生労働省に「市場化テスト評価委員会」を設置し、国が作成する入札仕様書、落札者の選定に当たっての評価基準等について、第三者、民間事業者等の意見を反映させるとともに、実際の落札者の選定に当たって応札した民間事業者の企画書について質の評価を行うとともに、事業開始後は定期的に実績の評価を行う。
 市場化テスト評価委員会の構成は、労働問題や市場化テストについて知見を有する学識経験者、職業紹介事業者等の事業主団体代表者、行政関係者とする。ただし、事業主団体代表者は、実際の落札者の選定に当たって応札した民間事業者の企画書の評価を行う際には参加しない。
 また、議事の概要は公開する(ただし、一般競争入札の公正な実施を妨げるおそれのある事項を除く。)

 入札に関する事項

(1) 入札方式
 受託事業者の決定方法は、総合評価方式の一般競争入札による。
 契約の主体は、労働局長とし、評価基準に基づく質に関する評価の結果及び入札価格により落札事業者を決定する。ただし、質に関する評価については「市場化テスト評価委員会」の意見を反映させるものとする。

(2) 総合評価方式による落札決定の方法
 予定価格の範囲の入札額であって、質に関する評価点を価格で除して得られる総合評価点が最も高いものを落札とする。
 質に関する評価点は、支援の内容が確実に実施されると評価される場合に与えられる基礎点と、支援の内容の質の高さにより与えられる加算点の合計点とし、基礎点と加算点の配点比率は10対2とする。

(3) 入札参加要件
1 職業紹介事業者、求人情報提供事業者その他仕様書において示される内容の事業を企画し、効率的・効果的に事業を実施できるものであること
2 就職支援の一環として職業紹介を行う場合には、有料職業紹介事業の許可を得ていること
3 会計関係法令上の入札資格があること
4 職業安定法第32条の有料職業紹介事業の許可の欠格要件を準用し、これに該当しないこと

(4) 適切、適正な入札機会の確保
 入札説明書の交付はもとより、入札説明会の開催、40日間の入札期間の確保、質問への適切な対応により、適切、適正な入札の機会を確保する。
 また、民間事業者の企画書の検討に資するため、入札説明会等において、全国(15カ所)のキャリア交流プラザにおける事業の実績(平成15年度及び平成16年度9月末までの就職者数及び就職率)、本事業を実施する5カ所のキャリア交流プラザにおける平成15年度の事業の直接経費を示す。

(5) 委託費の支払い
 次の経費について委託費を支払う。
1 落札結果に基づき決定された事業の実施に必要な経費
2 支援対象者の就職率が、55%以上である場合は、1に加え、当該割合を超える分の就職者数1人につき3万円の就職促進費を支払うものとする。

(6) 区分経理
 受託事業者は、委託事業について他の経理と区分してその経理を行うものとする。

 事業の実績評価

(1) 実績評価は、支援開始後6か月時点における就職(*)件数、就職率、定着状況、利用者の満足度等並びに事業の運営に要した経費により行う。
 *就職経路別内訳(安定所紹介、事業受託者紹介、その他など)

(2) 実績評価及び就職促進費の支払いの対象となる就職は、雇用保険被保険者資格を取得したもの及び自営を開始したものとする。

(3) 就職の状況は、受託事業主において、支援対象者に対し、支援開始後6か月時点までの間における就業について、郵送により調査し、必要な回答の督促、記載漏れの補充等を求める。

(4) 利用者の満足度等は、支援対象者及び安定所又は受託事業者の紹介により当該者を採用した企業に対する支援開始6か月時点での満足度等について、アンケート調査(悉皆調査)により把握する。なお、支援対象者に対しては受託事業者が、採用企業に対しては紹介した者が、郵送、訪問等により調査し、必要な回答の督促、記載漏れの補充等を求める。

(5) 報告は、各期が支援開始後7月を経過する日までに、安定所を通じて行う。
 また、(3)に係る雇用保険被保険者資格の取得の事実確認は安定所が行い、自営の開始は(3)の調査票に支援対象者の署名を得ることにより行う。

(6) 経費による評価は、落札価格及び実際に要した費用によるものとする。また、落札価格と経費の比較を行うことにより、本事業において実施した総合評価方式による一般競争入札の手法についても検証する。

(7) 国の直轄事業においても、受託事業者と同様の方法により実績評価を行う。経費については、予算の節約等もあることから実際に要した費用により、民間と比較する。

(8) (6)、(7)の評価を実施するため、受託事業者及び国は、事業の実績及び実際の運営に要した経費を記録、集計する。

 民間事業者が使用する名称

(1) 本事業により設置される個々のキャリア交流プラザの正式名称は、「ハローワーク」を冠し、かつ、受託事業者名を明記するものとし、表記は次の例によることを仕様書において明らかにする。
 ハローワークキャリア交流プラザ○○((株)△△受託□□労働局委託事業)

(2) 受託事業者及びその事業に従事する者は、上記(1)の名称又はそれと誤認される名称を用い、キャリア交流プラザ事業の業務以外の自ら行う業務の宣伝に利用すること(一般的な会社案内資料において列挙される事業内容や受注業務の1つとして事実のみ簡潔に記載する場合等を除く。)及び当該自ら行う業務がキャリア交流事業の一部であるかのように誤認させるおそれのある行為を禁止する。

 競争条件均一化のための措置

(1) 落札した民間事業者等が国に対して不利な立場とならず、その円滑な事業運営が可能となるような必要な措置を講ずることとする。

(2) 受託事業者に対しては、次の方法により、安定所の有する求人情報の適時かつ適切な提供を行う。
 安定所の求職者を対象にハローワークインターネットサービス上で公開している求人をインターネットで閲覧することができるようにする。
 ハローワークインターネットサービスにおいて全ての閲覧者が閲覧可能としている求人情報を、電子媒体により毎週提供する。
 受託事業者は、提供された求人情報を利用して支援対象者に職業紹介を行おうとする場合は、求人情報の入手方法を明らかにした上で当該求人情報に係る事業主の同意を得て、職業紹介を行わなければならない。

(3) 支援対象者の雇用に係る助成措置(特定求職者雇用開発助成金等)については、支給要件に該当する支援対象者が受託事業者の職業紹介により就職した場合にも対象となる。
 トライアル雇用の活用が有効と認める支援対象者については、受託事業者とハローワークが協議の上、受入れ事業主の開拓、トライアル雇用実施計画書の取り次ぎ等を行うものとする。

(4) 公設民営の趣旨に鑑み、キャリア交流プラザにおいて供用されている物品については、すべてを受託事業者に無償で貸与することとするが、契約時に不要とされたものは撤去する。

(5) 施設に係る共益費に含まれない清掃費、空調費等については、受託事業者の負担とする。また、国とリース契約を結んできたパソコン、コピー、ファクス等国の物品でないものについては、受託事業者が引き継ぐ意思があり可能であれば契約を変更する。

 公共サービスの確実な提供の担保に関する事項

(1) 契約の履行の担保を図るため、企画書の内容を契約内容の一部として構成するとともに、支援開始前には企画書に記載したサービスの内容を支援対象者に交付することを義務付ける。

(2) 支援対象者に対する求職者としてのサービス提供の最終的な責任は、国・ハローワークに帰属するものであり、業務運営上必要がある場合は、国直轄のキャリア交流プラザと同様に個別支援対象者に係る支援状況、個人情報等を、安定所の求めに応じて提供することを義務付ける。

(3) 国は事業の実施状況及び経理について検査することができるものとする。受託事業者に法令又は契約に違反する行為がある場合、国は契約を解除し、又は損害賠償を請求できるものとする。

0 モニタリングに関する事項

 受託事業者は、事業の実施状況について定期的に安定所を通じて報告するものとする。



照会先:職業安定局首席職業指導官室
電話:03-5253-1111(内線5776)
FAX : 03-3502-2606


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