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特例子会社に対する障害者雇用調整金・報奨金の支給
現行制度では、特例子会社が設立され、雇用率制度が包括適用されている場合、調整金・報奨金は、親事業主が受給することとなっているが、多数の障害者を雇用することで実際に経済的負担が発生している特例子会社は調整金・報奨金を直接に受給できず、合理的とは言えない面がある。
そこで、親事業主があらかじめ選択することにより、親事業主又は特例子会社のいずれかが調整金等を受給することができるよう柔軟な仕組みとしていくこととし、所要の手当を行うことが適当である。 |
(2) |
企業グループに対する障害者雇用率の算定
平成14年の障害者雇用促進法の改正においては、経済経営環境の変化により、特例子会社制度については、分社化による事業のスリム化の進展、持株会社制度の発展、国際会計基準の導入等に対応することが必要となっているとの認識の下、こうした状況において特例子会社制度を活用した障害者雇用の場の拡大を目指すため、特例子会社を保有する企業がその他の子会社も含め企業グループ全体で障害者雇用を進める場合について、企業グループでの包括的な雇用率制度の適用を可能としたところである。この特例は、特例子会社制度が障害者雇用を推進する有効な方法となっていることにかんがみ、特例子会社が存在することによって、企業グループ全体の障害者雇用の促進ということを明確に示す条件が整っていると認められることから設けられているものである。
企業グループに対する包括的な雇用率制度の適用については、企業の経営環境の変化に対応した企業グループ全体の障害者雇用の促進ということを明確に示す条件として、事業主単位での障害者雇用の促進という障害者雇用促進法の基本的な原則に留意しつつ、特例子会社を保有すること以外の条件が考えられるか、引き続き検討を行うことが適当である。 |
(3) |
除外率の縮小による障害者雇用の促進等
技術革新、職場環境の整備等が進む中、従来、障害者にとって困難と考えられていた職種においても就業可能性が高まっている。平成14年の障害者雇用促進法の改正により、平成16年4月より、除外率の一律10%ポイント引き下げによる縮小が行われたところであり、今後とも除外率適用業種に対する周知・啓発に努めるとともに、除外率縮小による障害者雇用の進捗状況等についての評価を行った上で、段階的な縮小に向けて準備を進める必要がある。
また、国・地方公共団体の除外職員制度についても、除外率制度への転換・縮小が行われ、公務部門においても障害者雇用の一層の促進を図ることとしたところであるが、このような中にあって、都道府県等の教育委員会については、特例的に低い法定雇用率(2.0%)の下、その実雇用率は、依然として法定雇用率を大きく下回る水準にとどまっている。このため、都道府県等の教育委員会においては、作成した採用計画の着実な実施等、障害者の採用拡大に向けてなお一層の取組を進めることが求められる。 |
(4) |
障害者雇用に関する助成金の整理等
障害者雇用に関する各種の助成金については、障害者雇用を進める企業にとって利用しやすい制度となるよう、常に見直しを行っていくことが必要であり、今般の上記3(2)において述べたジョブコーチに関する助成制度の創設等にあわせ、既存の助成金制度についても、類似の助成金の整理統合や手続きの見直し等所要の見直しを行うことが適当である。
また、障害者技能競技大会(アビリンピック)については、障害者雇用をめぐる昨今の動向を踏まえ、精神障害者も含めた職域を念頭に、対象となる障害者に一層の広がりをもたせることが必要であることから、障害者雇用納付金に基づく普及啓発事業として発展させ、身体障害者のみならず障害者全体について、その雇用促進に対する理解を高める場としていくことが適当である。 |