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高度熟練技能者について
高度熟練技能者とは、長年の経験と工夫を重ねることにより培われた優れた熟練技能を活かし、先端医療用の精密測定機器の組立てや自動車の試作エンジン部品の加工に携わるなど、世界に誇る日本のものづくりの発展を担ってきた方々である。
熟練技能者の高齢化等により「技能の空洞化」が懸念される中、このような優れた熟練技能の継承を支援するため、中央職業能力開発協会は厚生労働省の委託を受け、継承すべき優れた技能を持つ高度熟練技能者の認定を平成10年度から行ってきた。
高度熟練技能者は、例えば、次のような技能をお持ちの方である。
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医療現場で、鮮明な高解像度の画像を撮影するX線透視撮影台は、極めて精密、複雑なメカニズムで、約700種類、3000点以上の精密部品でできている。
精密な部品でも、膨大な部品を組み合わせて製品にする段階では、微妙な誤差が積もり積もって大変大きな誤差となり機能が発揮できなくなってしまうが、計測機器をほとんど使わずに視覚や聴覚を頼りに、すばやく問題となる箇所を見つけ、適切な調整を行って製品に組立てることができる。 |
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新幹線や在来線の鉄道用の車輪は、車輪の形状をした型板を接触する端子でなぞって、油圧装置などを介して駆動機構に伝達していき、最終的に刃物が材料を型板の形状に削っていく仕組みの「車輪旋盤」といわれる機械で加工する。
伝達機構のスムーズな連携が鍵となることから、デリケートな動きが反映される箇所に重点をおいて調整を行うが、特にレールに接する車輪の踏面を加工する際は、滑らかに仕上げるため、様々な調整が必要となる。
これらの機構は長期間の使用により少しずつ不具合が生じるが、加工状況の不 具合や不良発生時に、問題箇所を速やかに察知して手際よく調整を完了させ、作 業を速やかに復旧することができる
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認定後の活躍について
高度熟練技能者の認定を受けた方は、多くの方が製造等の現場の第一線で活躍されており、指導経験も豊富であることから、その優れた技能と経験を活かし、工業高校生に対する技能検定受検等の実技指導、公共訓練施設や業界団体での技能者に対する実技指導など、各地域での技能継承の取組みにご協力をいただいている。北九州市の「北九州マイスター」に認定・表彰され、少数精鋭の中堅技能者に匠の技を伝授されている方もおられる。
さらに、中央職業能力開発協会では、高度熟練技能者のプロフィールやすばらしい熟練技能など、次代の技能者を目指す方々に役立つ情報を文書化・映像化して保存するとともに、ホームページ、ビデオ、パンフレットなどを通じて提供を行っている。
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平成15年度後期の認定について
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平成15年度後期は、今回から募集を開始した、プラントメンテナンス関係業種(製缶・配管職種)と、一般・精密・電気機械器具整備関係業種(生産加工機械整備職種)も含め、8業種16職種について、平成15年11月11日から平成15年11月28日まで認定申請の受付を行った。 |
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受付後、申請者について各界の専門家により業種別に設けられている高度熟練技能審査委員会において審査を行った結果、別添のとおり高度熟練技能者263名が認定され、延べ認定者数は3,140名となった。
認定を受けられた高度熟練技能者の方々には、中央職業能力開発協会長名による「認定証」と「徽章(バッジ)」が授与されるとともに、中央職業能力開発協会のホームページ(http://www.kodo.javada.or.jp/list/index.html)でも紹介される。 |
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