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製造拠点の海外移転や製品輸入の拡大、大企業の下請け再編等の動きが進展する一方で、若年者のものづくり離れや技能離れと、我が国産業を支えてきた熟練技能者の高齢化が進展している。こうした傾向は、とりわけ中小製造業において顕著に見られ、我が国の経済発展に重要な役割を担ってきた優れた技能者の確保や、その後継者の育成が困難となってきている。
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特に、地場・伝統産業については、地域に根ざした産業であるだけに、いったん技能の継承が途切れると、復活させるのが困難であるという特徴がある。
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それだけに、地場・伝統産業における後継者の確保・育成の必要性は、他の産業に比べて差し迫った状況にある場合が多いと考えられるが、地場・伝統産業は、一般に企業規模が零細であり、1社単独では資金的にもマンパワー的にも後継者の確保・育成を行うだけの余力がなく、また、ノウハウも持たない場合が多い。
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したがって、地場・伝統産業における後継者の確保・育成については、地域の事業主団体が中心となって、傘下の企業が協力して推進することが効果的であると考えられるが、現時点においてはそうした取り組みが全国各地で積極的に行なわれているとは言いがたい状況にある。
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このため、厚生労働省は、平成16年度において、都道府県職業能力開発協会に「地場・伝統産業後継者育成事業」を委託し、後継者の確保・育成に積極的に取組もうとする地場・伝統産業関係の事業主団体を支援する。
また、こうした取り組みを取りまとめて公表し、全国各地で同様の悩みを抱える地場・伝統産業の後継者の確保・育成を支援することとしている。 |